Tuesday, October 28, 2025

まよえる子羊 / まよう子羊。 どこがどう違う?


夏目漱石の小説《三四郎》の中で<まよえる子羊 (こひつじ) >というのが出てくる、そして  stray sheep の訳と出てくる。
 
ところで、<まよえる子羊 (こひつじ) >は<まよう子羊>ではだめか?<まよえる子羊 /  まよう子羊>。どこがどう違う?
 
<まよえる>は<まよう>の可能の意味にもなるが (注)、状況からして<まようことができる子羊>はおかしい。子羊が<まよっている>と形容する場合は<まよう子羊>、<まよっている子羊>でもいいだろう。 場面は忘れたが
 
あなたは (三四郎のこと) はまよう子羊よ。
あなたはまよっている子羊よ。
 
 で意味は通じるだろう。
 
ではなぜ<まよえる子羊 >になっているのか?
 
<まよえる>の<える>は可能の意味以外に何か意味はないか?
 
文法的には

<まよう>は
 
未然形 まよない, 未然形-2 まよおう
連用形 まよて ー> まよって 
終止形 まよ
連体形 まよひと
仮定形 まよ
未然形-2 まよ
 
でワ行五段活用 (あるいはワア行五段活用)。
 
一方<まよえる>は<まよう>由来だが
 
未然形 まよない
連用形 まよて 
終止形 まよえる
連体形 まよえるひと
仮定形 まよえれ
未然形-2 まよよう
 
 でア行下一段活用。ここに
 
連体形 まよえる
 
がある。 だがなぜか連体形以外は使いそうにない。
 
 
従 (したが) う、従える 
 
牧童に従 (したが) う子羊、牧童に従っている子羊
 
はいいが 
 
牧童にえる子羊
 
は何かおかしい。 
 
<従う>は
 
未然形 ない
連用形 て ー> って 
終止形 
連体形 ひと
仮定形 
未然形-2 
 
でワ行五段活用 (あるいはワア行五段活用)。
 
一方える>は<う>由来だが
 
未然形 ない
連用形 
終止形 える
連体形 えるひと
仮定形 えれ
未然形-2 よう
 
 でア行下一段活用。こちらの方は<可能>の意ですべて使える。
 
 
とりえずの結論として
 
まよえる子羊  = まよう子羊  

ーーーーーー

(注)

<五段活用 -> 下一段活用>変換で可能動詞になる、というルールがある。
 
 
 
 
sptt

 

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