ドイツ語の接頭辞<ab->相当の日本語動詞-2
前回のポスト ”<落ちる>、<落とす>は奥が深い” の続編。<さる>は漢字で書くと<去る>になるが意味は<去る>だけではない。今回も辞書の解説の引用から始める。<去る>は<落ちる>、<落とす>に比べると簡単な解説だ。
(1)ある場所から離れる。自動詞
(2)(不必要なものを)そこから取り除く。(<そこから>の<そこ>は<不必要なものがある場所>だろう。これは他動詞扱い。
(3)接尾辞的に、(すっかり)xx してしまう。
簡単だが、考えてみる必要がある。
(1)ある場所から離れる。自動詞
この解説はこれでいいだろう。 おもしろいのは中国語で<去る>の<去>は<行く>と言う意味だ。一方<行く>の<行>は普通語(北京語)では<OK>の意で用いられる。英語の to go にもこの意味があるようだ。否定は<不行>で<ダメ>の意だ。一方私が住む香港の広東語で<行く>は<歩く>の意だ。<歩く>は普通語(北京語)では<走>になり、<走る>は<跑>で、こちらは広東語も同じ<跑>だ。もちろん発音は日本語とまったく違い、また四声がある。広東語は6声とか7声がある。
この意味のある複合動詞
たち去る (これは<立って><去る>ではないので<発ち去る>のようだが、<立つ>も<発つ>も所詮は<たつ>だ。
飛び去る
流れ去る
抜き去る
走り去る
(2)(不必要なものを)そこから取り除く。これは他動詞扱い。
この意味での使い方は ”<落ちる>、<落とす>は奥が深い” で<落ちる>、<落とす>について似べた。一部繰り返しになるが、
<落とす>
汚れを落とす
複合語
けずり落とす
こすり落とす
すすぎ落とす
剃(そ)り落とす
以上は<取りさる>(to take off, to take away)意で使われる。
<去る>のこの意味では
この意味のある複合動詞
奪(うば)い去る (*)
捨て去る
取り去る (*)
拭(ぬぐい)い去る
盗み去る (*)
運び去る (*) (一般的な意味でも使えるが、<盗み去る> 、<持ち去る>の意で使われる場合が多いか?)
持ち去る (*)
(*)は<不必要なもの>を取り去るわけではなく、単純に<奪って去る>、<盗んで去る>、<運びながら去る>、<持ちながら去る>で、 (1)ある場所から離れる、の意でもよさそう。しかし、<奪われ>、<取られ>、<盗まれ>、<運び去られ>、<持ち去さられ>ると、<もの>はなくなってしまうことをかんがえると、(2)<(そこから)取り除く>グループでもよさそう。
(3)接尾辞的に、(すっかり)xx してしまう。
この辞書には例として
忘れ去る
抜き去る
一笑さる
冷罵さる
が上げられている。<一笑さる>と<冷罵さる>は私は使ったことがないし聞いたこともない。<一笑にふす>、<冷罵される>はどこかで見たかもしれない。<忘れ去る>は<すっかり忘れ去ってしまう>という言い方があるが、<抜き去る>は、<すっかり抜き去る>はほとんど聞かない。
完全に、まったく、あとかたもなく<忘れさる>
完全に、はるかに、大きく<抜き去る>
なら<(すっかり)xx してしまう>でいいだろうが、<(すっかり)xx してしまう>の意は動詞ではなく副詞にある。
<(すっかり)xx してしまう>の意の表現はほかにもある。
xx しきる
xx しはたす、xx しはてる
xx しつくす
< してしまう>は<すっかり>のない<xx てしまう>もっと中立的、一般的に能動的な<完了>の意味があるので、基本的に完了形がない日本語では重要だ。
sptt
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