Tuesday, October 21, 2014

<取る>は<手に取る>だけではない

ドイツ語の接頭辞<ab->相当の日本語動詞-3


<取る>は<取る>が前後につく複合動詞の多さからしても日本語の十大基本動詞のひとつだろう (十大基本動詞の有力候補としては<ある>、<見る>がある)。だいぶ前のポスト ”Give and Take  or <与える>と<取る>” では<取る>が前につく複合動詞について調べた(相当ある)ので、今回は<取る>が後ろにつく複合動詞について調べてみる。

<取る>が後ろにつく複合動詞の意味は基本的には<取って><xxする>の意で、これまたかなりあるが、慣用的な意味のものは<取る>が前につく複合動詞に比べると少ない。あいうえお順に書き出してみる。

洗い取る   <洗い落とす>が普通。
いびり取る
受け取る(*)  
打ち取る    <討(う)ち取る>とかくと慣用的な言い方になるが、もとは<打ちとる>だ。
奪(うば)い取る
えぐり取る
おどし取る
折り取る

書き取る
嗅(か)ぎ取る
かすめ取る
刈り取る
感じ取る
聞き取る
切り取る
くびり取る
汲み取る
けずり取る
漉(こ)し取る
こすり取る

しぼり取る
すすぎ取る   <すすぎ落とす>が普通。
すり取る    <掏り取る>と書くと<スリ>が盗み取ることになる。
せびり取る
そぎ取る

だまし取る
ちぎり取る
つかみ取る
つまみ取る
つみ取る

抜き取る
脱ぎ取る
盗み取る
ねじり取る

はがし取る
はぎ取る
はずし取る   普通は<取り外す>。
はさみ取る
引き取る    慣用的な用法がある。
ひねり取る
ふき取る
ぶっ取る    <ぶち取る>がもとの意か。 <ぶっちぎる(切る)>というのもある。
ほじり取る

見取る      慣用的な用法がある。
むき取る
むしり取る

ゆすり取る   慣用的な用法がある。
読み取る

意味があればどんな動詞にでもつけられるようだ。

浮かしとる - 浮かして取る
動かしとる - 動かして取る
押し取る - 押して取る

蹴(け)り取る - 蹴ってとる
殺しとる - 殺して取る

たたき取る - たたいて取る <たたいて奪い取る>の意と<たたき落とす>の意が考えられる。
つかみ取る - つかんで取る
止めとる - 止めて取る

なぐり取る - なぐって取る
寝かしとる - 寝かして取る
にぎり取る - にぎって取る 

はぎ取る - はいで取る
振り取る  - 振って取る   <振り切る>というのがある。

曲げ取る - 曲げて(折り曲げて)取る
まわし取る - まわして取る

(追加予定)

(*)受け取る  <取る>は to take でいいが<受け取る>は to take ではない。<受け取る>は与えられたモノを受ける(取る)、<与えられる>、<もらう>、の意で to receive という動詞がある。
<得(え)る>も<取る>(to take)ではなく、英語では to gain という動詞がある。


”Give and Take  or <与える>と<取る>” で書いた<取る>では


<手に取る><手に入れる(得る)>の原義以外では、

1)不必要なもの、好ましくないもの<取る>で<取り去る>、<取り除く>、<取り外す>などとして用いる。英語は動詞の後に<off>や<away>の副詞を加わる。英語ではこの意味では普通<to remove>が使われる。

2)<聞き取る>、<嗅ぎ取る>、<感じ取る>など感覚器官を通じて<知る>こと、現代風に言えば情報を<受ける>こと。<聞き知る>、<見知る>があるが、<取る>ほどの積極性はない。また<知る>は<取る>と違って、あまり他の動詞と結びつかない。

3) <読み取る>、<汲み取る>は<理解する>に近い。この場合、単に<XXを取る>ではなく<XXの意味を取る>。または<評価する>の意で<XXをYYと して取る>となり、<見る>の用法に近い。<見取る>も原義は感覚器官を通じて情報を<得る>ことだが、<理解する>の意で用いられることもある。<見取 り図>は見て、理解して、分析、判断して図に表したものだろう。<理解する>の大和言葉 は<わかる>だ。<わかる>もあまり他の動詞と結びつかない。

4)考えた後、または評価検討した後選択する。 選択はある種の決断だ。
文字通りだが<選び取る>。AではなBを取る。A、B、C の中からをAを取る。

5)  4)の選択(決断)の後は実行だ。<実行する>は<行う>があるが、よく使われるのは<する>だ。 <する>の連用形が<し>となってしまうので、<す る>と気づかずにいることも多い。仕上げ、仕方、仕組み、仕事。ところで、<実行の継続>、運営、管理、統制ということになるが、調整を含めた<実行の継続>ということでは再び<取る>がでてくる。
舵を取る、つかさ取る(司る)。 残念ながら、この<つかさ取る>は古語に近い。


と書いたが、上記の<取る>が後ろにつく複合動詞では

<手に取る><手に入れる(得る)>の原義と

1)不必要なもの、好ましくないもの<取る>で<取り去る>、<取り除く>、<取り外す>などとして用いる。

の意味の用法が多い。

<手に入れる(得る)>では無理やるり<奪い取る>物騒なのが多い。


sptt




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