ドイツ語 の接頭辞(prefix)の第18弾で<vor->について調べてみる。相良大辞典の接頭辞(prefix)の<vor->の解説は
”
分離動詞の前綴として常にアクセントを有し ” 前に、前へ;あらかじめ、前面で、仮に、予備に、予防に、先立って、模範として、先位、優勢など " を意味する。
”
と比較的簡単な説明だ。チェックしているとわかるが、これらの意味もまた使われ動詞はグループ化ができるようだ。 相良大辞典の<vor->見出し動詞は約160個、一方Collins のGerman-English and English-German 簡易辞典の<vor->見出し動詞は約60個で、forward、 ahead (前に、前へ) in front (前で)がよく出て来る。どういうわけか before はほとんど出てこないが、時間の<あらかじめ、先立って>は beforehand でいいだろう。
A. <vor->の意味のグループ化
位置(大げさに言うと空間)の前に、前へ
前面で (前で)
(時間の)前で
(時間の前)あらかじめ、 先立って
予備、予防 (準備、用意)-あまり意識されていないが<時間的に前でなされる>意味がある。
先位、優勢 (優位)
仮に - 大和言葉では<とりあえず>というのが似ているが実例は多くない。
模範として - これも実例は多くない。
B. <vor->につく動詞のグループ化
1)移動の自動詞につく場合(グループ)
基本的には<前に、前へ xx (移動の自動詞)>だが辞書では日本語らしくない訳になっているものが少なくない。むしろ<xx (移動の自動詞)して前に(へ)出る>と<出る>を加えた方がいい場合が多い。さらには<前に、前へ>が前提になっていれば<出る>だけでいい。<歩いて前に出る、走って前に出る>。よく使われる動詞は意味が派生しているのがある。
vorfahren
vorgehen
vorkommen - 前に出て来る(<来て出る>とは言わない)、xx のようにおもわれる(見える)、現れる、生じる。いずれも基本的には<前に出て来て見えるようになる>の意がある。
vorlaufen
vormarschieren
vorreiden
vorrennen
vorscwimmen
vortreiben
vortreten
2)移動しない自動詞につく場合(グループ)
vorsein
vorsitzen
vorstehen 前に立つ、派生して<つかさどる>
3)他動詞につく場合(グループ)
他動詞もいくつかにわけられる。
3)-1 距離の短い移動、または瞬間的な動作
これは相撲の決まり手が参考になる。押し、引き、突き、寄る、投げる、掛ける(引っ掛ける)。
移動の自動詞につく場合の他動詞版で<前に、前へ xx 他動詞>に加えて<xx (他動詞)して前に(へ)出す>と<出す>を加えた方がいい場合が多い。これもさらには<前に、前へ>が前提になっていれば<出す>だけでいい。
vorbringen - 前に持ち出す、取り出す、<申し出る>は<出る>だが他動詞
vordrücken - (前に)押し出す
vornehmen - この動詞は複雑。文字通りには<<前に、前へ取る>、または <<前に、前へ取り出す>だが、その意はないようで、<取って前に置く>(相良大辞典)の意のようだ。<前に置く>では vorlegen があり、単に<前に置く>だけではなさそう。Collins のGerman-English and English-German 簡易辞典ではこの元の意味はなく a) to carry out、b) to decide、c) to do が上げられている。一方相良大辞典では<着手する、手をつける、再び始める、企てる>が上げられている。実例をたくさんあったほうがよさそう。末尾参照。
vorstoßen - (前に)突き出す
vrwerfen - (前に)投げ出すにはならならず、<前に投げる>だ。派生として<責める、非難する>がある。
vorziehen - (前に)引き出す、この<前>はどの方向を前とするか微妙だ。<引く>は大体<手前に引く>がこの<手前>の解釈だ。<押す>は大体<前に押す>で<手前に押す>はおかしい。また vorziehen には先位をつけて<選ぶ>の意がある。<より出す>という言い方がある。
3)-2 距離の長い移動
vorstrecken
vortragen
4)見る、聞く、言う、話す、読む、書く、描く
vorsehen - 予見する、予知する、前もって考える、企てる、用心する
vorhören - 前の方に聞こえる --> 他よりもよく(先立って、優先して)聞こえる
vorsagen - 前もって話し方を教える (?) 英語訳には to recite というのがある。
vorsprechen - 話し手聞かせる (to speak out loud)
vorlesen - 読んで聞かせる (<読んで見せる>も可能のようだ)
vorschreiben - 書き出す、書いて見せる
vormalen - 描いて見せる
上で現れる<見せる>はどうも<自身の前に>というよりは<相手の前に>のようだ。vorweisen も当然<(相手の前に)見せる>。
4)<うそをつく、ごまかす>の意味になる場合(グループ)
Collins のGerman-English and English-German 簡易辞典にはこの<うそ、ごまかし関連>の<vor->動詞は vorgaukeln の一語だけ。gaukeln 自体に<うそ関連>の意味がある。相良大辞典の<うそ関連>の<vor->動詞はけっこうある、すぐれてはいるが古い辞典なのでどこまで実際にこのように使われているのか責任はもてない。
vorgaukeln - ①手品をして出して見せる(相良大辞典)。こまかく言えば<手品をして目の前に出して見せる>となるか。②ごまかし信じさせる。to lead someone to believe (Collins 簡易辞典).。
vorheukeln - いつわって言う、heukeln: いつわる、ふりをする。発音は gaukeln の中間だ。
vorkohlen - うそをつく、kohlen:へらず口をたたく。 der Kohl はキャベツのことだが、<たわごと>の意がある。
vorlügen
vorreden
vorschwindeln - ごまかす (schwindeln めまいがする、ごまかす)
vorsohlen - うそをつく die Sohle は英語の sole で足底。der Kohl キャベツと同類だ。
vortäuschen
vorzaubern - 魔術で(本当のように)見せる
vorspiegeln - さもありそうにみせる、たくみによく見せる。これは<見せる>グループでもある。
これ(<vor>と<うそ>の関連)は大げさになるが民族性が言葉に反映していと言えるのではないか。何故こうなったのかを考えてみた。<vor>には基本的に<前で、前に>の意がある。言葉を口に出すとき、言葉(声、音)は大体自分の前に出てくる。to pronounce, pronunciation (発音する、発音)は<pro->がつく。また前に出て行く言葉は加減、調節、制御できる。意識的に<ウソもつける>のだ。それでは真実、本当はどこにあるのか?少なくとも前ではなく<後ろに隠(かく)れている>のだ。これで<ウソをつく>という言い方に<vor>(前)という語が使われるようになった、と考える。
英語では to pretend。上にでてきた pretext が<pre->がつき<うそ、ごまかし>関連だ。
5)前もってする動詞のグループ
<前もって xx(動詞)する>だが、次のような動詞は<前もって する>のが基本だ。いわば<前もってする動詞>なのだ。
整える(整理する)でない<ととのえる>
準備する
用意する
用心する
予見する
予知する
予防する
予約する
次回のポストで検討する予定の接頭辞<nach->は、容易に推定できるが、基本的に<後からでないと出来ない>動詞と相性がいい。
(参考)
英語の<前>関連の接頭辞はpre- が主で、次いで pro-、 for(e)- が使われようだ。
to prepare
to prevent
to prefer
to predict
to preoccupy
to preserve
to present
to prescribe
to presume
prelude
precaution
premature
------
to progress
to proceed
to prodcuce
to pronounce
to provide
to promise
to prosecute
to prophet
prospect
program(m)
proficiency
professional
------
to foresee
foreground
forehead
forehand
(末尾)
From: Collins Reveso
vornehmen
vor+neh•men vt sep irreg
a
(=ausführen) to carry out
[Umfrage, Änderungen] to carry out, to do
[Messungen] to take
[Einsparungen] to make
[Umfrage, Änderungen] to carry out, to do
[Messungen] to take
[Einsparungen] to make
b
(=in Angriff nehmen)
(sich $) etw vornehmen dat to get to work on sth
(sich $) etw vornehmen dat to get to work on sth
c sich ($) etw vornehmen dat
(=planen, vorhaben) to intend or mean to do sth
(=Vorsatz fassen) to have resolved to do sth
ich habe mir vorgenommen, das nächste Woche zu tun I intend or mean to do that next week
ich habe mir zu viel vorgenommen I've taken on too much
ich habe mir vorgenommen, das nächste Woche zu tun I intend or mean to do that next week
ich habe mir zu viel vorgenommen I've taken on too much
d sich ($) jdn vornehmen dat
inf to have a word with sb
inf to have a word with sb
e
(=früher drannehmen) [Kunden, Patienten] to attend to or see first
f inf
(=vorhalten) [Schürze, Serviette] to put on
[Hand] to put in front of one's mouth
(=vorbeugen) [Schultern] to hunch
[Hand] to put in front of one's mouth
(=vorbeugen) [Schultern] to hunch
sptt
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