Friday, May 8, 2015
<と>は日本語の大発明
<と>が日本語の大発明であるのを発見したのは大分前で2012年9月に<日本語の助詞>という大きなタイトルのポストを書いているときだ。前回のポスト ”<言う>は自動詞、他動詞?” を書いているときに<xxx と言う>のが出てきたので 念のため<と>を手もとの辞書(三省堂、新字解、第6版)で確認してみた。格助詞の解説は次のようになっている。
① 動作、作用をする上で必要とされる相手(対象)であることを表わす、
例) xx と会う、 xx と結婚する、 xx と遊ぶ、 xx と戦う
おおしろいのは英語との対比で<xx と会う>と<xx と結婚する>は、試験問題によく出てくるようだが、
to meet xx
to meet with xx
to marry xx
to get married with xx
の二通りある。
さて今問題にしている<と>は②の解説になる。
② 思考、表現、行動の内容がそれであること表わす。
この辞書を引き慣れていない人のは、これでは何のことだかわからないだろう。 特に<内容がそれである>の<それ>だ。何が<それ>なのか? この辞書はよくわからない<それ>が解説のなかでよく出て来る。
② 例として
”
xx と思う、xx と見る、xx と考える、xx と想像する、xx と言う、xx と伝える、xx と呼ぶ(*)、
xx と決める、xx と判定する
”
があげられている。 簡単に解釈すると<xx>のところが<それ>なのだろう。これを言い換えて、
<と>は思考、表現、行動の内容であること表わす。
としたらどうか?<xx と決める>と<xx と判定する>は思考、表現、行動と言うよりは<決定(の内容)>でいいと思うが、決定を思考の結果といれば<決定>がなくてもよさそう。だが、
<と>は思考、表現、行動の内容であること表わす。
は簡単でよさそうだが、少し、または少しよく考えるとこれも何かおかしい。何かが抜けているような感じがする。何かとは何か? 結論を言うと、<それ>が抜けているのだ。<と>は内容あらわしているのではないのだ。細かく言うと、<xx>が内容に当たるが、<と>は内容を表わしているわけではない。内容は<xx>なのだ。これでは堂々めぐりになりそう。ここで<と>は格助詞であることを再認識しよう。助詞とは何か? <日本語の助詞>でもしつこく書いたが、
sptt Notes on Gramar<日本語の助詞>
”
助詞の特徴はなんども述べてきたが、<内包された(implied)意味、または同じ文の中の他の語との関係を示す>ということだ。助詞自体に明示された(explicit)意味はない。
”
<助詞自体に明示された(explicit)意味はない> のだ。つまり
<と>は<思考、表現、行動の内容であること表わす>働きをする。
<と>は前にある<思考、表現、行動の内容>と後ろにある動詞(思う、見る、考える、etc )の関係を示す。
ということだ。 何のことはない。
(*)
<xx と呼ぶ>はやや違うようだがが、この<呼ぶ>は<yy を xx と呼ぶ>という使い方で、yy と xx 関係を示しており、xx が内容と見れればいい。
英語をまた引き合いに出す。
I think that xxxx
は<私は xxxx と考える>なので
that = と
となる。それではこの that は何か。おそら that 以下の内容(xxxx)を示す接続詞だろう。しかし、上記の<と>の機能からは接続詞というよりは "関係詞" だ。関係詞といえば関係代名詞がすぐ思い浮かぶが、 that は関係代名詞だろうか? 実は、隠れた関係代名詞なのだ。英語の辞書や教科書には説明がないようだが(よく調べてはいない)、 この that はもともと(古くは)
I think that、 xxxx で
I think、 that xxxx ではないのだ。つまりは
I think that、 (that is) xxxx = 私はそれを考える、 それとは xxxx だ。
とうことだ。この説明は相良独和大辞典で見つけた。
xxxxen (動詞) das xxxx ----> xxxxen (動詞), daß (dass)
<と>は手もとの辞書では格助詞としてさらに③、④、⑤、⑥ の意味(内包された(implied)意味)があり、さらに接続助詞としてロジックにも使われる( xxx になると yyy )。<と>は単音節(to)の一字に過ぎないが、文法上もさることながら、日本語のなかで大活躍しており、その機能を考えると日本語の大発明と言える。
sptt
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