今は<そなえる>よりも<準備する>が優勢だ。<準備>は文字通りでは<準じて備(そな)える>、さらには<(xx に)したがってそなえる>。<したがって>、<したがう>は<したく>と関連がありそうだが、これはあと回しする。<そなえる>はクセモノで
xx をそなえる
で、<を>をとるので他動詞。例としては
花をそなえる
だが、これはコンピュータワープロでは<花を供える>と出て来る。
最新兵器をそなえる、、これはコンピュータワープロでは<最新兵器を備える>と出て来る。
また
戦争に備える地震に備える
原発事故に備える
万一に備える
災害に備える
運動会に備える
冬に備える
などは頻繁に使われるが<に>をとるので自動詞ではないか。手もとの辞書では<を>をとる、<を>がとれるから他動詞となっている。英語が自他兼用で
I will prepare some water(水を準備、用意しておく、そなえておく)
I will prepare for an unexpected failure. (予期せぬ失敗にそなえておく)
英語に準じれば<そなえる>も自他兼用でもよさそう。手もとの牛津(Oxford)英漢辞典は慎重というか shrewd というか自他動詞の区別はせず、<V+N>、<V + 前置詞>として解説している。<V + 前置詞>の V を自動詞とはしていないのだ。
さて、<戦争に備える>以下の<xx に備える>の<に>はなにか? <に>は格助詞で<学校に行く>の<に>。方向や行先を示すようだが(Wikiによれば<指向性>)、多用途といっていい。英語だと to prepare for、to get ready for で for (のために)に使われるようだ。日本語では<xx があった場合のために>でよさそう。だが戦争、地震、原発事故、万一(のこと)、災害の場合はいいが、食事と冬は具合が悪い。もっとも日本語でも<食事にそなえる>とは、特殊の場合以外は、言わない。<食事をそなえる>も<食事を供える>になって具合がわるい。 <食事を準備する>、<食事の準備をする>ならいい。一方<冬を準備する>はダメ。<冬の準備をする>ならいい。並べてみると
食事を準備する
食事の準備をする
冬を準備する
冬の準備をする
戦争(地震)を準備をする
戦争(地震)の準備をする
運動会を準備をする
運動会の準備をする
まったくダメというわけではないが
食事を準備する
以外の<xx を準備する>はおかしい。
逆に<食事にそなえる>はおかしいが、その他は<xxにそなえる>で問題ない。<食事をそなえる>は<食事を供える>になってしまい、その他は<冬を、戦争を、地震を、運動会を供える>はダメで<冬を、戦争を、地震を、運動会を備える>もおかしい。<備える>はかなりの確度で自動詞っぽい。
食事を準備する
と
食事の準備をする
を少しよく考えて見る。
準備するのは大体予期せぬ好ましくないこと(災害)、イベント(運動会)に対する、対応するためだ(for)。
食事と冬は様相が違う。<食事の準備をする>は<食事に対する、対応するため>というほどのことはない。言い換えると<食べ物を準備する>だ。こうすると<食事を準備する>が成り立つのだ。これは意外な発見のようだが、ヒントはイタリア語の学習からえている。
英語では
something to eat
という言い方がある。イタリア語では
qualcosa di mangaire でも qualcosa a mangaire でもなく、慣用的に qualcosa da mangaire という。そして、手もとの辞書によれば<食事を準備する>、<食事の準備をする>は
preparare da mangiare
となっている。さらに自分は食事をする準備ができている場合(I am ready to eat, to take a meal)は
prepararsi a mangiare
となる(多分)。
さてあと回しにした<したがう>、<したく>だが、<したく>は<準備>に相当する大和言葉だ。
食事をしたくする
食事のしたくをする
冬をしたくする(ダメ)
冬のしたくをする
戦争(地震)をしたくする(ほぼダメ)
戦争(地震)のしたくをする。(いくつか違った意味がある)
運動会をしたくする(ほぼダメ)
運動会のしたくをする。
<したく>と<したがって>の<したがう>が関係がありそうだが、<したく>と関係が強いのは<したてる(仕立てる)>だ。<したてる>は<服をしたてる>、今はありあわせでまにあわせるが、昔は<家具をしたてる>というのもあった。<したてる>は<xx にしたがってつくる>ことだ。
したてる - したつ - したく
の関連が考えられる。
別の語源として<sptt やまとことばじてん>の方のポスト ”準備と<したく>” で次のように書いている。
”
<しておく>は <準備する>ことなので
しておく -> し-てお-く -> これが縮まって<したく>となった。東京方言と思われるのに<xx しとく>というのがある。
”
sptt
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