前回のポスト ” Only Yesterday (Carpenters の歌の題名)のイタリア語は appena ieri ” の最後に appena の pena について簡単に紹介したが、<話が長くなるので、詳しくは別途検討>とした。忘れないうちに検討しておく。
pena
essere o stare in pena (per qn/qc) to worry o be anxious (about sb/sth)
ero in pena per te I was worried about you
le pene dell'inferno the torments of hell
ha passato le pene dell'inferno (fig) she went through hell
far pena to be pitiful
mi fa pena I feel sorry for him
fa pena vederlo così it is pitiful to see him like this
quel cappello fa pena (fig) that hat is a disgrace
fu condannato ad una pena di 5 anni he was sentenced to 5 years' imprisonment
scontare una pena to serve a term of imprisonment
♦ pena capitale capital punishment
♦ pena di morte death sentence o penalty
sono contrario alla pena di morte I'm against the death penalty
è stato condannato alla pena di morte he was sentenced to death
♦ pena pecuniaria fine
prendersi o darsi la pena di fare qc to go to the trouble of doing sth, take the trouble to do sth
valere la pena to be worth it
vale la pena farlo it's worth doing, it's worth it
non ne vale la pena it's not worth the effort o worth it
日本語訳をしてみると
a)-1) sorrow, sadness - 悲しみ、a)- 2) worry, anxiety - 心配、気がかり、悩み
b) pity - あわれみ
c) sentence, penalty, punishment - 罰
d) trouble, effort, difficulty - 問題、努力、困難
でa) は<悲しみ>と<心配、気がかり、悩み>はかなり違うので分けてみた。
イタリア語の angoscia は英語に angst、 anguish というラテン語系の語がある。また penalty(罰)のなかに pena がある。
英語の sorry はもともと<悲しい>だと思うが、<I am sorry.>で慣用的に<申し訳ない>と謝やまりの言葉になる。だが<私は悲しい>の意味も保持している。I am sorry to hear that your mother has passed away.
far pena to be pitiful
英語の I feel sorry for him. は<悲しい> 、<心配だ、気がかりだ>ではなく<気の毒に思う>で<あわれみ>表現だ。イタリア語の mi fa pena は<あわれみを誘(さそ)う>、<あわれに思う>。
quel cappello fa pena (fig) that hat is a disgrace
pena は disgrace ではない。disgrace は日本語では<恥(はじ)、shame>、<みっともないこと>。英語の方は(fig)となっているので That hat makes me feel sorry (pitiful). がイタリア語に忠実だ。
sorry (pitiful) になるほど、みにくい、みっともない、と言うことだ。
以上の a)、b) からすると pena ほぼ= sorry といえそうだ。日本語では適当な一語が見当たらない。それどころか以上の日本語をならべると
悲しみ; 心配、気がかり、悩み; あわれみ; 恥、みっともない
と多岐にわたる。しかもこれでは終らないのだ。
c) sentence, penalty, punishment - 罰
上述のように penalty(罰)のなかに pena があるので、これがpena の本命の意味ではないかと思うが
悲しみ; 心配、気がかり、悩み; あわれみ; 恥(はじ)、みっともない
のうち関連がありそうなのは恥(はじ)だ。 恥(はじ)は少なくとも日本人にとっては罰(心理的な punishment)になる。この心理的な punishment は、かなりのこじつけになるが<悲しみ; 心配、気がかり、悩み>に通じる。
d) trouble, effort, difficulty - 問題、努力、困難
さらに罰(心理的な punishment)は問題、困難をもたらし、取り除くためには努力が必要だ。
trouble, difficulty --> effort
の意味の転換は<問題、困難取り除くためには努力が必要>から来ていると思うが、大胆な変換だ。また例文
valere la pena to be worth it
vale la pena farlo it's worth doing, it's worth it
non ne vale la pena it's not worth the effort o worth it
からは単なる努力というよりは vale la pena の熟語として<やる(努力する)価値がある>の意で、価値をもたらすことになる(報いが期待できる)努力となる。なお vale la pena は非人称構文で
Vale la pena.
で一文だが、la pena は主語ではなく述語(目的語でもない)。主語は隠れていて、英語でいえば it.
It values la pena. だ。
最近の政治家は<問題、困難>とは言わずに前向きに姿勢を示す<挑戦(challenge)>という言葉を使うが、これと似たところがある。 appena にもどると、これはもう<問題、困難>を克服して<やっと>やりとげたことになっている。
最近中国語の宣伝文句で <勇於挑戦>というのを見た。昔は<有問題>、<没有問題>が常套句だったが、中国も変わってきている。前回のポストでは just に関連してナイキの宣伝文句 Just do it !! を引き合いに出した。宣伝文句は Vale la pena. <勇於挑戦>に通じるものがある。
sptt
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