Friday, June 23, 2017

英語の to leave は多義語


英語の to leave は多義語だ。これが自然に使えるようになるには少し時間と使用実践が必要。もっとも英語圏の人々多義語とは気がつかずに多用しているのだろう。

I am leaving now.
状況にもよるが、一番多いのは<お先に失礼します>か。

Leave me alone.
ほっておいてくれ。一人にしておいてくれ。

日本語の方にこだわると、この<おいてくれ>は<置いてくれ>の<置く>か。 一方英語の方にこだわると、これは Let me alone. でもよさそうなので to leave = to let となり、<置く>とはかなり違う意味だ。

I left my wallet at home.   財布を家に置き忘れた。 だが、I forgot my wallet at home. もまちがいではないだろう。

Hanako left her two children at home and went to the town (went downtown) for shopping.
花子は二人の子供を家に残して街に買い物に出かけた。

Taro left Tokyo yesterday.  太郎はきのう東京を去った、離れた、発(た)った。

さてこの動詞<to leave>は基本的に一体どういう意味なのか? 基本的な意味がわかれば多義語と意識せずに多用できるようになるかもしれない。本来自分で考えるべきだろうが、ここでは英語-イタリア語辞書にたよって話を進める。私が愛用しているのはCollins社の Reverso インターネット辞典。手もとにはサイズも活字も大きいBerlitz社のItalina-Englshi、English-Italian辞書があるがインターネット辞典の方が詳しく例文も探せば格段に多い。なぜイタリア語なのかというと、特に文法的な理由はなく、昨年から30年ぶりぐらいでイタリア語の再勉強中だからだ。今はインターネットという便利で、安価で、強力な武器がある。

Reverso インターネット辞典 English-Italian

leave
     ( left    vb: pt, pp  )
1       vt  
a      (go away from, town)    lasciare, andarsene da  ,   (room)    lasciare, uscire da,   (station)    partire da,   (hospital)    uscire da,   (person)    lasciare
to leave school        (complete studies)    finire la scuola,   (prematurely)    lasciare la scuola  
to leave home      uscire di casa,   (permanently)    andarsene di casa  
she left home when she was sixteen      se n'è andata di casa quando aveva sedici anni  
we leave London at six o'clock      partiamo da Londra alle sei  
they have left this address      se ne sono andati da qui  
may I leave the room?        (Scol, euph, to go to the lavatory)   posso uscire?  
to leave the table      alzarsi da tavola  
the car left the road      la macchina è uscita di strada  
the train is leaving in 10 minutes      il treno parte fra 10 minuti  
b      (forget)    lasciare, dimenticare  ,   (give, in will, as tip)    lasciare
don't leave your wallet in the car      non lasciare il portafoglio in macchina  
c      (allow to remain)    lasciare  
to leave the window open      lasciare la finestra aperta  
let's leave it at that      per ora basta (così)  
leave it to me!      ci penso io!, lascia fare a me!  
leave it with me      lascia che me ne occupi io  
I'll leave it to you to decide      decidi tu, lo lascio decidere a te  
she left him to it      lo ha lasciato alle sue occupazioni  
he leaves a wife and a child      lascia la moglie e un figlio  
to leave sb alone      lasciare qn (da) solo (-a)     
leave me alone or in peace!      lasciami in pace!  
don't leave anything to chance      non lasciar niente al caso  
it leaves much to be desired      lascia molto a desiderare  
take it or leave it!      prendere o lasciare!  
3 from 10 leaves 7      10 meno 3 fa 7  
d      (remaining)    to be left (over)      rimanere, restare, avanzare  
all the money I have left (over)      tutti i soldi che mi restano or che mi sono avanzati  
there's some milk left over      c'è rimasto del latte  
how many are (there) left?      quanti ne restano?, quanti ce ne sono ancora?  
nothing was left for me (to do) but to sell it      non mi rimaneva or restava altro (da fare) che venderlo  
2       vi     (plane, train)    partire  ,   (person)    uscire, andarsene
the bus leaves at eight      l'autobus parte alle otto  
they left yesterday      sono partiti ieri  
she's just left      è appena andata via  
he's already left for the airport      è già uscito per andare all'aeroporto 

イタリア語になじみがない人のために解説を加える。(イタリア語も奥は深いのだろうが、比較的習得がしやすい言語。特に発音は日本人向きだろう)

lasciare の基本的な意味は to let。

andarsene da はややややこしく、andarsene は andare + se + ne と分解する。da は前置詞で from に相当。andare + se + ne の andare は to go。se は再帰代名詞で、もとの形は si で、ne の前でゴロ合わせノため se に替わる。英語ではあまり出てこないが、イタリア語では頻繁にでてくる。再帰代名詞は<自分にもどるので>普通は他動詞につく。 andare(to go)は自動詞で、これは慣用語法にしておいて、ここでは詮索しない。ne は<xxについて、about it>といった意味の特殊な代名詞としておく。 自動詞 andare についているので意味がよく分からない。これも慣用語法にしておいて、ここでは詮索しない。andarsene=to go away と浅い理解でガマンしておく。

問題は次の uscire da で、 uscire は日本語の<出る、出ていく(くる)>に相当する。da は前置詞で from に相当するので uscire da は<xx から出る、出ていく、出てくる>だ。おもしろいのは英語の方で、<xx から出る、出ていく>に相当する英語が to go out、to get out が一般的で一語ではない。to leave はfrom なしで<xxから離れる、さる>で実質的に<xxから出ていく>となるが<出る>の意は薄い。 イタリア語のの uscire は<出る>の意を強く残している。

Taro already left the class room.

太郎はすでに教室から出て行った。

英語には一語の to exit があるが、動詞としてあまり使わない。名詞 exit は<出口>だ。入口はentrance。英語では<出入口>という便利な、理にかなった言い方はない。

partire は<出発する>。これも partire da と da がつく。

上記の英語-->イタリア語で、英語の to leave を分析する上で面白い例がいくつかある。

<離れる>は一般的に一時的で、ほどなく戻ってくる場合とほぼ永遠に<離れる>あるいはかなりしばらく<離れる>場合がある。<去る>もほぼ同じ。英語の to leave もほぼ同じ。一方イタリア語の方は区別がある。ここは英語の to leave の話なのでイタリア語の深入りしない
  
to leave the table      alzarsi da tavola

日本語は<席を離れる>でもいいが<席を立つ>ともいう。この<立つ>はクセモノで<立つ>ことが必ずしも<離れる>ことにはならない。<東京をたつ>は<東京を立つ>ではなく<東京を発つ>だ。

alzarsi は alzare + si で、この si は上に出てきた再帰代名詞。alzareは<起こす>で、これにsi がついて<自分自身を起こす>で意味的には自動詞の<起きる>になる奇妙な用法。。alzarsi の意味は<席を立つ>。これからすると日本語のほうも<席を立つ>でいいことになる。

(forget)    lasciare, dimenticare

文字通りの<忘れる>は to forget(英語)、deimeticare(イタリア語)だが、英語でも、イタリア語でも、また日本語でも<置き忘れる>で使われるので、この使い分け(to leave, to forget)はそれほど気にしなくていいようだ。

 (allow to remain)    lasciare

 to allow to remain は上で書いた to leave = to let よりも to leave の意味を詳しく説明しているようだ。イタリア語の方はもっぱら lasciare (= to let) だ。

he leaves a wife and a child      lascia la moglie e un figlio

これはlasciare = to let ではなく lasciare = to leave。また日本語では上記

花子は二人の子供を家に残して街に買い物に出かけた。

が相当する。日本語は<置いて>でもよさそうだが<残して>のほうが意味が明確だ。

(remaining)    to be left (over)      rimanere, restare, avanzare

これが<残す、残る>の意の to leave、 to be left の用法。これまたよく使う。(a) left over は食べもの<残りもの>だ。イタリア語の方は<残す、残る>の意の動詞を使い lasciare はでてこない。 

avanzare は例文がないが、下記の二つの意味がある。英語では to advance という動詞がある。

avanzare


   [1]  

1       vt     (proposta ecc)    to put forward  ,   (spostare in avanti, oggetto)    to move forward
avanzare qn di grado      to promote sb  

2       vi, (aus essere) o avere     (procedere)    to advance, move forward  ,   (stagioni)    approach   (fig)     (nello studio ecc)    to make progress
avanzare negli anni      to grow older, get on  
con l'avanzare degli anni      with the passing of time  
avanzare di grado      to be promoted  



avanzare   [2]  

1       vi, (aus essere)  

a      (essere d'avanzo)    to be left over, remain  

è avanzato del pane da ieri      there is some bread left over from yesterday  

non m'avanza molto tempo      I haven't (got) much time left  

basta e avanza      that's more than enough  


b      (Mat)  

sette diviso tre fa due e avanza uno      seven divided by three is two remainder one  


2       vt  

avanzare qc (da qn)        (essere creditore)    to be owed sth by sb  

avanzo dieci euro da te      you owe me ten euros 
ここは二番目の意なのだが、一番目(これが主要な意味、用法だろう)は<前に置く、前に行く、進める、進む>の意。これから派生して<先へ延ばす、遅らす>--><残る>の二番目の意味がでてくるので、二つの意味がある>は必ずしも正確ではない

さて最後は

(plane, train)    partire  ,   (person)    uscire, andarsene

の意の to leave だが、イタリア語ではモノ(交通機関)と人で区別があるが、英語の to leave にはこの区別はない。日本語の方も<出る>、<出かける>、<去る>、<発つ>はモノにも人にも使える。

さて多義語<to leave>は基本的に一体どういう意味なのか?の問題の回答だが、<何かを残して去る、去っていく> 感じ(意味)があるときに発する、使う言葉ではないだろうか。


I am leaving now.

は日本語の<お先に失礼します>が示唆するように、話している相手を残して<去って行く>のだ。

Leave me alone.

は、こんどは<私を残して> <去って、去って行ってくれ>の意だ。

I left my wallet at home.

は、詳しくいえば<財布を家に置き忘れて(=残して)><去ってしまった>。

Hanako left her two children at home and went to the town for shopping.



花子は二人の子供を家に残して街に買い物に出かけた(去った)。

<何かを残して去る、去って行く>はあるときは<何かを残す>方が強調され、あるときは<去る、去って行く>が 強調される。だが

Taro already left the class room.

太郎はすでに教室から出て行った。

は<何かを残す>の意が薄い。教室に誰も残っていなくてもこう言う。

Taro already went out from the class room.
Taro already got out from the class room.

との違いは何か? Taro already left the class room. は<去ってしまっている、もう教室にはいない>が強調されている。これに対し<went out from><got out from >の方は<出て行った>ことが主眼で、already との相性が悪いようだ。

逆に

Taro suddenly  went (got) out from the class room.

はいいが

Taro suddenly left the class room.

は間違いではないが <出ていく>という行動、行為はあまり強調さず、<(出て行って)教室にはいない>の<いない>が強調されているようで、suddenly とは相性が悪い。


sptt 

Monday, March 13, 2017

It's very kind of you.


<It's very kind of you.>は決まり文句で、<of>の文法上の役割がよくわからないが、こう言うのだ。所有(格)の<of>では説明しにくい。<You are very kind.>は間違いではないので、こう言ってもいいが、場面がちがうだろう。<It’s very kind of you.>は日常場面用、一方<You are very kind.>は少しシリアスな場面用か?

英語のkind は形容詞。日本語では<親切>が相当するが、修飾用法としては<親切なxx>、叙述用法としては<親切だ>で、よくわからない形容動詞か。名詞形は kindness でこれは<親切>(は)に相当する。したがって<親切>は形容動詞にも、名詞(体言)にもなることになる。

日本では親切があふれており小さなな親切運動>という社会的な活動まである。これを親切の<押し売り>とは見たくない。

<親切>は中国語由来だが、本家中国では日常会話はもちろん書面語で<親切>という言葉はまず耳にせず、お目にかからない。では<親切>がないのかというと、日本ほど多くなないが、ある。言葉であらわすと、<親切>ではなくという具体化した言い方なのだ。は比較的よく聞く。したがって<親切な人>はいるわけだ。 いわば<You are a very kind person.>。だが頻繁に、日常的に使われるわけではない。中国には<親切な人>が少ないわけではないだろうが、良くも悪くも(したころ)な、純粋の善意の親切は少なく、したがって<親切の押し売り>も少ない、と私は見る。(したころ)の方が優先してしまうためか?

<親切心>に相当する好心>、<好意>という言葉があるが、これまた日常はもちろん書面語で耳にせず、お目にかからない。<不好意思>は広東語由来だが普通話でも<軽い><不起>としてよく使われるようになっている。<軽い><もうしわけない、すみません>だ。だが、<不好意思>は文字通りでは<親切でない>だが、これは何のことか?<親切>の定義らしきものは<他人の立場に立って、こまている助ける>で、<不好意思>は<他人の立場に立ってこまている助けられない>気持ちの表現とすれば説明がつく。

<没意思>、<没有意>はこれまた別で

第一義: boring
例如:悶在屋里没意思, 出来走走吧。
第二義: uninteresting
没有趣味
例如:这小説写得真没意思。

それでは interesting は<趣味>かというとそうではなく、すくなくとも日常語では<有趣>。<有趣>は日本語感覚では名詞のようだが、<xx有趣>で形容詞になる。一方修飾語の場合は<有趣的xx>となるようだ。
 

sptt

Friday, November 4, 2016

<ゴメンなさい>、<ゴメンこうむる>について


<ゴメンなさい>はよく使うが、いったいどういう意味か?

<ゴメン>は<ご免>のことだが、相当複雑。<免>は<免ずる>で大和言葉では<ゆるす>の意だ。<免>に丁寧語の<ご>がついているのがミソだ。

<おじゃまします>とともに<ゴメンください>というが、<ゴメンください>は<お許しください>で意味が通る。だが謝るときの言葉<ゴメンなさい>は<お許し(ご免)なさい>では何のことだかわからない。<なさい>は<なす>の命令形のようで、<あやまりなさい>という。ところで東京弁では<ゴメンなすって>というのがある。これは<ゴメンなさってください>の略と考えると、おかしくない。<ご>がついているのもつじつまがあう。<ゴメンなさい>は<ゴメンなすって>のなまりか?

今はほぼ死語のようだが<ゴメンあそばせ>というのもある。<あそばす>は<する>の尊敬語のようなので、<ゴメンなさってください>でおかしくない。

<ゴメンこうむる>も難題だ。なぜなら<こうむる>はだいたい発話時に被害意識がある。<ご>がついた<ゴメン(お許し)>と<こうむる>はうまが合わない。

手元の辞書(古い三省堂の新明解第6版)では

1)<ゴメン>は<ご免>のことで、

ゴメンをこうむって先に帰らせていただきます。
天下御免の公営賭博

が例にある。

この他に

2)免職、免除の意があるとして

お役目ゴメンになる。

が例にあげらえている。

<免職>はこの例の<お役目ゴメンになる>から逆に意味として説明されている、と見た方がよく、<ゴメン>自体に免職の意はないだろう。免除は<許して除いて(除外して)もらう>の意で、単なる<お許し>とは違う。

3)拒否の意があるとして

(xxは)ゴメンだ。例:割の合わない仕事はゴメンだ。
(xxは)ゴメンこうむる。例:軍国主義の復活だけはゴメンこうむりたい。

が例として取り上げられている。だが<許す>と<拒否(ダメ、許さない)>はほぼ正反対だ。

1)<ゴメン>は<ご免>の

ゴメンをこうむって先に帰らせていただきます。



3)拒否の意の

(xxは)ゴメンこうむる。

の違いの説明を試みる。

<ゴメンをこうむって先に帰らせていただきます>は例にあげられているが、ほとんど聞いたことがない。すでに古語か。<お許しをいただいて先に帰らせていただきます>ならわたしもいいそうだ。

<(それは)ゴメンだ>と<(それは)ダメだ>は同じではない。
<(それは)ゴメンこうむる>はいいが<(それは)ダメこうむる>は意味をなさない。

上に述べたように<こうむる>はだいたい発話時に被害意識がある(被害意識を内包する、implied)。3)<拒否の意>は複雑で、<ゴメンだ>の主語は話者が<ゴメンする(たのまれて許す)>ことによって生じるおそれのある、話者にとって好ましくないコトなのだ。例:割の合わない仕事。

(xxは)ゴメンだ。例:割の合わない仕事はゴメンだ。

主語はこれでいいが、なぜ<XXはゴメンだ>と述語が<ゴメン>になるかだ。<割の合わない仕事はゴメンだ>の発話時の心理は

ゴメンして(許して)割の合わない仕事を引き受けるのは(するのは)いやだ。だからゴメンしない(許さない)。

といったところで、むしろ<ゴメン(許し)>の否定(拒否、拒絶)なのだ。

こうすると、<ゴメンこうむる>の<こうむる>が説明できる。”<ゴメンする(たのまれて許す)>ことによって生じるおそれのある話者にとって好ましくないコト”は<こうむる>のだ。これでよさそうだが、<xxはゴメンだ>と<ゴメン>が後にくる(述語のなる)のはどう説明したらいいのか?だが、こういう矛盾は言語上時々ある。深層心理がロジックに優先するのだ。

ゴメンして(許して)割の合わない仕事を引き受けるのは(するのは)いやだ。 --> だからゴメンだ。

後の<ゴメンだ>には前半の条件のなかの否定(拒否)の意が(深層心理下で)含まれているのだ。


sptt

Thursday, September 15, 2016

だます、だまる、ダメ


以前ドイツ語の接頭辞<ab->に関連して次のようなことを書いた。(<ab->は英語でも、abduction、abnormal、absent、 abstract などがあるが、<xxから奪い取る>といった基本的な意味がある。)


(*)だます

日本語は結構豊富で<だます>以外に

たぶらかす (<たぶる>という動詞があったのだろう)
ごまかす (<誤魔化す>は当て字だろうが、<誤魔>はおもしろい組み合わせだ。<だます>の関連、連想語か)
惑(まど)わす
かどわす(かどわかす)
まぎらす(まぎらわす)
まるめこむ
ばかす(化かす) - ばか(馬鹿)と関連があろう。

だま(dama)、ごま(goma)、まど(mado)、かど(kado)、まぎ(magi)はなんとなく語呂が似ている。

辞書によると<だます>の古語に<おびく>というのがあり、現在<おびく>自体は使われないが

おびき寄せる
おびき出す

は使う。


<だます>には<だまかす>という言い方があるが、いづれも他動詞。対応する自動詞は<だまる>だが、表面的な意味では<だます>の意の自動詞にならな い。この<だまる>の他動詞は<だまらす>で、<何も言わせない>という意味になる。<だます>の受身形は<だまされる>で、こじつければ<だまされる>ということは<(何も言わずに)いいなりになって、(だましの)指示にしたがう>こ とではある。

日常よく使う<だめ(ダメ)>は多義語だが、<だまる>関連だろう。<ダメ(だまれ)!何も言わずに、言うことを聞いて、指示にしたがえ>ということだ。<だめる>、<だめさす>、<だめさせる>という動詞はないが、<ダメ、と言って、何も言わさせずに、言うことを聞いて、指示にしたがわす>といった意味になるか?

<だめ(だ)、だめ(だ)>で禁止の意味になる。

 一方<だめになる>、<だめにする>はよく使うが、この場合の<だめ>は<使えなくなる>、<使えなくする>の意味として使う場合が多いのでこの<だめ>は<使えない>の意味になる。

<だめでもともと>もよく使うが、これは<うまくいかないくて、もともと>の意なので、<だめ>は<うまくいかない>の意になる。この場合<だめだ、だめだ>、は上記の禁止以外に、<うまくいかない>嘆きの言葉になる。<ああ、もうダメだ>。

これまた日常よく使う<ばか(バカ)>では、<ばかにする>という言い方があるが、これは<馬鹿にする>というよりは<馬鹿と見なして対応する>の意だが、<化かす>を使えば<簡単に化かせられる、と思って対応する>といったやや複雑な意味になる。いづれも非難の言葉だ。このような言動は、自分は他人より賢いと思っている人たちの言動だが、世間でよく見られる。当然好ましいことではない。この<他人より賢い>は英語に to outsmart という動詞があるが、非難と言うよりはほめ言葉のようだ。<賢い>でも clever と smart と wise の違いがある。


sptt

Wednesday, April 20, 2016

<にくい>形容詞、<くるしい>形容詞


<xx にくい>は一般的に動詞の連用形について形容詞をつくる。

読みにくい(小説)
書きにくい(字、紙)
住みにくい(家)
言いにくい(こと)
食べにくい(肉、パン)

例はいくらでもありそう。意味は<xx(するの)が難しい>で、英語でいえば difficult という形容詞に相当するだろう。

a difficult novel to read
a difficult letter to write
a difficult house to live (これは少しおかしい)
a difficult thing to say
a difficult piece of meat (bread) to eat

さて次はどうか?

1)見にくい字
2)見にくいアヒルの子

1)は

見にくい(小さい)字
見にくい(かすれかかった)字
見にくい(きたない)字

であれば一般的な用法と言える。<見るのが難しい>だ。だが

発音は同じだが<見にくい(きたない)字>と<醜(みにく)い字 >は微妙に違う。<醜(みにく)い字 >は2)見にくいアヒルの子、のグループだ。

<見にくいアヒルの子>は9割がた書く場合は<醜いアヒルの子>となるだろう。また意味上も9割がた物理的に<見るのがが難しい><アヒルの子>ではない。


ところで日本語では<食べにくい>は普通<まずい>の意にならないが、私が住む香港の広東語では<難食>は料理が<まずい>の意だ。したがって同じような現象が中国語にもあることになる。

<あいにく>は副詞だが、だぶん<合いにくい>の副詞形。<速い>--><速く>。


さておもしろいのは<xx くるしい>という言い方の形容詞だ。それほど多くはなく、また<xxにくい>形容詞ほどは一般化しておらず限定的だ。思いつくまま書きあげてみる。

動詞の連用形+ぐるしい

見ぐるしい
聞きぐるしい
寝ぐるしい


ごく自然な日本語を話す友人の韓国人が<思いぐるしい>と言うのを何度か聞いたことがあるので、彼の頭のなかでは<xx ぐるしい>が一般化しているのかもしれない。


名詞(体言)+ぐるしい

息ぐるしい
心ぐるしい

 <愛くるしい>は<愛>+<苦しい>の意味ではない。

形容詞の語幹+くるしい

狭(せま)くるしい - せまっくるしい (関東方言)
暑(あつ)くるしい - あつっくるしい (関東方言)


不明+くるしい

むさくるしい

<むさ>がよくわからないが、<蒸(む)し暑い>、<むしゃくしゃする>が関連するか?


さて<xx ぐ(く)るしい>の意味だが、<息ぐるしい>を除けば、物理的な<苦しい>というよりは不快感、閉塞感をあらわしているようだ。

<追加>

別のポスト ” <苦しい>形容詞 ” から

 

<xxくるしい>、<xxぐるしい>と言い方がある。調べてみたが、期待に反してそれほど多くはない。

暑(あつ)苦(くる)しい
息(いき)苦ぐる)しい
かた苦(ぐる)しい  この<かた>は多分<堅(かた)い、固(かた)い>の<かた>だろう。
(お)聞(き)き苦(ぐる)しい   耳障(ざわ)り
こころ苦(ぐる)しい
せま苦(くる)しい   これは<苦(ぐる)しい>と濁らない。
寝(ね)苦(ぐる)しい
(お)見(み)苦(ぐる)しい   目障(ざわ)り
むさ苦(くる)しい   これは<苦(ぐる)しい>と濁らない。

めまぐるしい   調べてみたがこれは<くるしい>ではない。 <目まぎる、めまぎれる(紛れる)>の意だ。

 
sptt

Friday, January 1, 2016

譲歩文(xx にもかかわらず)


譲歩文(節)というのが文法にでてくる。英文法で初めて出会うほうが多いだろう。よほど真面目に勉強しないと理解度はよくて半分くらいだろう。容認文(節)というのもある(相良独和大辞典)。

内容的には

なるほど xx だが、 yy だ。
たしかに xx だが、 yy だ。
xx にもかかわらず、 yy だ。

といった言い方の前半部が<純>譲歩文(節)。文法的に言い換えると<逆説が後につづく確定文(節)>とも言える。

どんなに xx しても、 yy だ。
たとえ xx しても、 yy だ。
なにがなんでも、  yy だ。

といった言い方も前半部が譲歩文(節)扱いのようだ。以上3例は<逆説が後につづく仮定文(節)>とも言える。<譲歩>の言葉の内容からして<仮定>は含めない方がいいだろう。また<仮定>は<仮定>で文法上は<譲歩>以上に詳しく説明される。この辺が譲歩文(節)の理解を浅くしている原因だろう。

後半部の内容は前半部から推測されることとは反対のことを述べる。前半部で一旦は譲歩(容認)するが、 後半部でそれを打ち消す内容を述べるのだ。<だが>、<ても(でも)>は逆説の語だ(接続助詞か)。ここで取り上げたいのは<かかわらず>という言い方だ。 <xx にもかかわらず>は英文法教科書によく出てくるせいか翻訳調っぽい。いつごろから使い出したのか?

<かかわる>は大体<関係する>、<関与する>の意で、<xx に関係(関与)せず>ともいえそうだが、あまり聞かない。英文法教科書ではやまとことばの< xx にもかかわらず>が圧倒的に多い。 <xx に関係(関与)せず>が文語的(古くさい)、かしこまりすぎているからだろう。

話の順序が逆になるが< xx にもかかわらず>に対応する英語は although, even though (even if) で、この英語に対応するドイツ語に obwohl といのがあるが他にもにもいくつかあるようだ。trozdem は主に<xxxx, trozdem >という言い方のようだ。ob は <xx かどうか>の意の whether (if) で wohl は well(good の副詞形)の意だ。英語の方はよくわからないが、ドイツ語の方は一旦は<いい(well)のではないか>という譲歩(容認)の意を強く残している。

一方中国語では<虽然(suiran、ピンイン無視)>が譲歩文(節)をつくるが、辞書や文法書では<转(転)接>という語がつかわれている。<转接>は<逆接>とほぼ同じ。ここで注意したいのは、同じ转接でも

<虽然>は

虽然 xxxx  -  xxxx にもかかわらず、なるほど xxxx だが

と英語の (al)though xxxx と同じ語順であることだ。これは日本語にはない。したがって、個人差があるが、使えるようになるには慣れが必要で時間が少しかかる。

一方

但是、不过は

(不过) xxxx  - しかし(ながら)、だが xxxx

で日本語と同じ語順で、これは特に慣れのための時間はいらないので、英語の<But xxx>と同じように、<但是(不过) xxx>とすぐに使い出せるようだ。

<しかし(ながら)、だが xxxx >は but、 however が相当するが、少し重々しくしたければ、nevertheless というのがある。


sptt