日本語の自動詞、他動詞の第五弾。
日本語の場合他動詞は助詞<を>をとる、あるいは実際とらなくても<を>がとれれば他動詞とする(定義)。あるいは、<を>をとるときは他動詞、<を>をとらないときは自動詞という定義もできるが、これだと同じ動詞が他動詞にもなり、自動詞にもなるので問題だ。だが英語でも日本語でも同じ動詞が他動詞にも自動詞にもなる動詞けっこうある。
割る - to break 他動詞、自動詞の両方あり。動詞変化は同じだが、自動詞の受身はない。Taro broke the door to get in. My brain has broken. (割れる)。<割れる>は可能の意にもなる。また<割られる>は受身というよりは被害、迷惑の意をともなう。
売る - to sell 英語は他動詞、自動詞の両方あり。Taro sells cars. This product sells well.(売れる)
自動詞<売れる>は他動詞<売る>の可能形<売れる>の意も否定できない。<こんなもの売れるか>では他動詞の可能形の意がつよくなる。また受身の<売られる>も純受身以外に害、迷惑の意をともなう場合が多い。<チンピラに喧嘩(けんか)を売られた。>
切る - to cut 英語は他動詞、自動詞の両方あり。 Taro cuts the rope. This knife cuts well. (切れる) <This knife cuts well.>は<このナイフはよく切れる>と訳すが、この場合の日本語の<切れる>は自動詞と言い切れない。なぜなら自動詞<切れる>は<この紐(ひも)はよく切れる>のように使うからだ。では<このナイフはよく切れる>の<切れる>は何かというと他動詞<切る>の可能形の<切れる>だ。
終える - to end 英語は他動詞、自動詞の両方あり。 Please end your speech now. The story ends here. (終わる)。他動詞<終える>の可能形は<終えれる>、<終えられる>。受身形、さらには尊敬形は<終えられる>だが、あまり使わない。
始める - to start 他動詞、自動詞の両方あり。He started his own company last year. The company started 10 years ago.(始まる)。他動詞<始める>の可能形は<始めれる>、<始められる>。受身形、尊敬形は<始められる>。
開(あ)く、開(ひら)く - to open 英語は他動詞、自動詞の両方あり。Please open the door. The door opened automatically. これは日本語でも<未来を開(ひら)く>(他動詞)と<戸がひとりでに開(あ、ひら)く>(自動詞)がある。
閉(と)じる to close 英語は他動詞、自動詞の両方あり。Please close the door. The door closed automatically. これも日本語で<幕を(本を)閉じる>(他動詞)と<幕はすでに閉じた>(自動詞)がある。
だいぶ前のポスト ”日本語の自動詞、他動詞-2” の中で、
”
<英語は他動詞、日本語は自動詞>
to reach - xxxに着く (to arrive は自動詞で to arrive at (in) となる)。
to touch - xxxにふれる(さわる)
to win a game - xxx勝負に勝つ (だれだれに勝つ、はまた別)
to lose a game- xxx勝負に負ける (だれだれに負ける、はまた別)
こうみると、<に>は対格を示す助詞のようだ。
”
と書いた。
<つく>は<着く>以外に
付く 、 関連語:付ける
就く
憑く (もののけが(とり)つく)
点く (火がつく、電気がつく)
突く
衝く (的を絞って突く、攻撃する)
搗く (こめ、もち、しりもち、などをつく)
尽
く 、関連語:尽きる、尽くす、尽かす
まりをつく - to bounce a ball
杖をつく - to stick a stick。<to stick>はステッカーの<to stick>、<a stick>はステッキ。
手をつく - これはむずかしい。to use an arm to support your body or to avoid damanage
息をつく - to take a breath。<一息つく>と<一息入れる>は似たようで違う。
があるが(また別のポスト ”<つく>(突く、着く、付く )について” 参照)、
<着く>、<付く>、<憑く>、<点く >は自動詞。一方他<突く>、<衝く>、<搗く >、<まりをつく>、<杖をつく>、<手をつく>、<息をつく>の<つく>は他動詞。
<尽
く>は古語的で、現代は<尽きる>で自動詞。<金が尽きる>。だが<金が底を尽く>という言い方もあり、この場合<尽
く>は<を>をとるので他動詞だ。しかし、<尽
く>ではなく<金が底に着く>とすると、漢字は違うが同じような意味になる。<尽
く>も<着く>も<つく>でもとは同じ、と見ることもできる。他動詞は<尽くす>。
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英文法で他動詞、目的語というと、やや複雑な構造の
to give A to B
to send A to B
to tell A to B
to write a letter to B
<A を B に与える(やる)> が直接目的語(A)、間接目的語(B)
がある。だが to give は数ある動詞の中の一動詞にすぎない。同じ仲間の動詞には
to send A to B
to tell A to B
to write a letter to B
がある。
一方<xx を yy で (を使って)zz する>という言い方がある。<zz する>はなにも<する>でなくていい。上の三例は
to send A to B by mail
to tell A to B by telephone (over the phone という言い方もある)
to write a letter with a pen to B
to touch - xxxにふれる(さわる)、は
to touch a wall with a finger の直訳は<壁を指で触れる>だが、日本語では<壁に指を触れる>という言い方があり、こちらの方が普通だ。<壁に指で触れる>は言いそうだが、こうは言わない。<触れる>は<壁に指で触れる>の場合は自動詞だが<壁に指を触れる>の場合は、<を>をとれば他動詞とすれば他動詞になるが、<を>をとっても<壁に指で触れる>の感じがあり、他動詞とはいいにくい(別途検討予定)。
to play baseball - 野球をして遊ぶ
to play mahjong - マージャンを(して遊ぶ)をする
英語の to play 自動詞、他動詞の両刀使いだが日本語は自動詞だ。 <xx をして遊ぶ> と言い方で、<する>、<遊ぶ>の二つの動詞を使う。<xx をする>の<する>は他動詞だ。
”日本語の自動詞、他動詞-2” の中ではまた<を>をとる自動詞として<動作動詞>をとりあげ、下記の例をあげた。
”
自動詞と他動詞が組みの動作動詞
おりる - おろす (車をおりる、車から荷をおろす)
出る - 出す (家を出る、金を出す)
進む - 進める (雪道を進む、歩を進める)
立つ - 立てる (席を立つ、旗を立てる)
起きる - 起こす (床を起きる、会社を起こす)
曲がる - 曲げる (角を曲がる、 針金を曲げる)
過ぎる - 過ごす (2時を過ぎる、時を過ごす)
上がる - 上げる (階段を上がる、手を上げる)
下がる - 下げる (階段を下がる(おりる、が普通、手を下げる)
飛ぶ - 飛ばす (飛行機が空を飛ぶ、紙飛行機を飛ばす)
通(とお)る - 通す (この道を通っていく、針の穴に糸を通す)
流れる -流す (大都会を流れる河川、水を流す)
めぐる - めぐらす (古都をめぐる旅、堀をめぐらす)
落ちる - 落とす (都を落ちる-都落ち、石を落とす)
おりる - おろす (階段をおりる、屋根から雪をおろす)
転(ころ)がる - 転がす (まりが下り坂を転がる、まりを転がす)
”
以上の<を>をとる自動詞(左側)は日本語では<を>をとることができるが(<を>をとらない純自動詞としての使いかたはもちろんある。<先に下りてください>、<はやくここから出よう>)、英語では直接目的語はとれない。<動作動詞>と書いたが、特に定義はなかった。定義がないので<動作動詞>には何らかの動作をしめす動詞が含まれる。もっとも<動詞>の大半は<動作>を示す言葉だ。
開(あ)く - 開ける (to open)、開かす(to force to open)、明(あ)かす(to disclose)、空(あ)かす(to empty)の<あかす>もある。<開(あ)かす>は<開く>の未然形<開か>+す
動く - 動かす (to move ) <動かす>は<動く>の未然形<動か>+す
起きる - 起こす (to rise - to raise)
落ちる - 落とす (to fall - to make st fall)
折れる - 折る (to break)
崩(くず)れる - 崩す (to break)、(to be destroyed - to destroy)
壊(こわ)れる - 壊す (to break)、(to be destroyed - to destroy)
倒(たお)れる - 倒す (to fall down - to make st fall down)
立つ - 立てる (立たす) (to stand - to make st stand)。<立たす>は<立つ>の未然形<立た>+す。<to stand xx>は<xx に耐える、xx を耐える>で英語では他動詞。 日本語の<耐える>は<xxに耐える>が普通だが<xxを耐える>も可能。
縮(ちぢ)む - 縮める (to shrink)。<縮まる>という自動詞もある。
ひっくり返る - ひっくり返す (to turn over - to turn st over)
以上の例では日本語の場合左側の自動詞を基準にすると右側の他動詞、英語では自動詞、他動詞の両刀使いが多い。<xx 未然形+す>は別途検討。
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送る - 送られる (受身)、送られてくる (to send - to be sent)、受ける、受け取 (to receive)
押す - 押される(受身) (to push, to press - to be pushed, to be pressed)
引く - 引かれる(受身)、(to pull - to be pulled)<潮が引く>の<引く>は自動詞 (to withdraw)
食べる - 食べられる (受身) (to eat - to be eaten) <食べられる>は<食べる>の可能形だが、最近は<食べれる>が主流のようだ。
取る - 取られる(受身) (to take - to be taken)<ボタンが取れる>の<取れる>は自動詞 (to go off, to come off)。他動詞<取る>の可能形も<取れる>になる。
運ぶ - 運ばれる(受身) (to carry - to be carried)
xx を作る - xx が作られる(受身) (to male - to be made)
さらに一般化した
xx をする - xx (を)される(受身、被害、迷惑) (o to - to be done)
以上は左側は他動詞だが特に<作為>感じられない。一方対応する自動詞はなく、無理に作ろうとうると、受身形になる。ただし日本語の<受身>は被害感や迷惑感が伴う。
手紙を書く
手紙を読む
音楽(ラジオ)を聞く - <聞こえる>は自動詞とも他動詞<聞く>の可能形ともとれる。
テレビを見る - <見える>は自動詞とも他動詞<見る>の可能形ともとれる。
などがある。
以上例は他動詞で対応する自動詞がなさそう。<対応する自動詞がない他動詞>と<対応する自動詞がある他動詞>は区別すべきだろう。-->今後の課題。
だが次のような言い方がある。
xx と書く
xx と読む(推測)
xx と聞く (うわさ)
xx と見る (評価、’推測)
<yy を xx と書く、読む、聞く、見る>の場合は他動詞(英語だと to write、to read、 to hear、 to see) yy as xx となる)でいいが、<yy>がない場合も可能で以上の動詞が他動詞とは言い切れない。
あなたを思う、 xx と思う
数学問題を考える、 xx について考える、xx と考える (to think xx、to think of、to think about)
神を信じる、UFOの存在を信じる、xx と信じる (to believe xx、to believe in)
以上の例は英語も日本語も自動詞、他動詞の両刀使い。ただし日本語の場合は<と>を<を>と同列とみなせば他動詞としてもよさそうだがそう簡単ではない。<と>は簡単そうに見えるが<大助詞>だ。
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貸す - 借りる (to lend - to borrow)
日本語も英語も<貸す>、<借りる >は独立している。
かぶる - かぶせる
かぶさる - かぶせる
<かぶる>は<雪が木にかぶる>で自動詞。<帽子をかぶる>で他動詞。
<かぶさる>は<雪が木にかぶさる>で自動詞。<帽子をかぶせる>で他動詞。
覆(おお)う - 覆われる (to cover - to be covered)
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”日本語の自動詞、他動詞-2” の中ではまた<英語は自動詞、日本語は他動詞>の例として
”
to wait for (to await) - xxxを待つ。 to await は他動詞
to
look for (to search)- xxxを探す、求める。search は to search xx for yy
のときは他動詞、to search for xxx では自動詞。<to search xx for yy >
とは<泥棒は金目のモノを求めて部屋を探した>のような例だ。to seek も to search と同じような使われ方だ。
to ask for - xxxを尋ねる (ask の使い方は難しい)
”
と書いた。
sptt
すごくいい説明です、ありがとうございます。
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