Sunday, July 14, 2013
<xx つく>、<xx つける>、<つかえる>
以前のポスト ”<つく>(突く、着く、付く )について” の書き出しは
”
<つく>は実に様々な意味がある。ワープロの辞書では下記のごとし。
突く
着く
付く 、 関連語:付ける
就く
衝く (的を絞って突く、攻撃する)
尽 く 、関連語:尽きる、尽くす
憑く (もののけが(とり)つく)
搗く (こめ、もちなどをつく)
点く (火がつく、電気がつく)
適当な漢字がないようだが、まりをつく; 杖をつく、手をつく; 息をつく もある。漢字を使うとこれだけの区別があるが、かなだけ、あるいはもっと現実的に耳で聞いたり話したりするときはこれらの区別はない。いいかえれば、中国語では発音上これらの区別があるが、日本語では区別がなく、すべて<つく>なの だ。正確には、<つく>(<つ>にアクセントあり-着く、付く、就く、尽 く、憑く、点く )と<つく>(<く>にアクセントあり-突く、衝く)の区別はある。中国語の四声に似た区別だ。
漢字を使うと意味が違う、あるいは微妙に違うようだが、大和言葉としての<つく>はかなり大雑把な動詞、よくいえば、かなり一般化、抽象化された語だ。もとの大きな意味は共通している(同源とか同根というが、いわば<ur- つく>だ)。<ある場所にに近づく、近づける>といったような意味だ。
”
いわば<つくつく動詞>だ。
<つく>のうち<着く>、<付く >、<就く>、<憑く>、<点く>は自動詞で、他動詞は<つける>。アクセントは<つける>の<け>にある。一方<突く>、<衝く>、<搗く >、それに<まりをつく>、<杖をつく>、<手をつく>、<息をつく>の<つく>は<を>をとる(とれる)ので他動詞。こちらの方は<つける>とすると可能の意になり、アクセントは<つける>の<る>かまたはとくにアクセントがないようだ。以上アクセントは東京アクセント。
<つく>、<つける>を含んだ複合動詞(動詞連用形+つく、つける>を調べてみる。
<yyに xx つく> - 基本的に自動詞
ありつく (有り付く)
行きつく (行き着く)
居つく (居着く)
追いつく (追い着く、追付く)
落ちつく (落ち着く)
思いつく (思い付く) - xx を思いつく
帰りつく (帰り着く)
か(噛、咬)みつく (噛み付く)
かぶりつく
考えつく (考え付く) - xx を考えつく
気づく
食(く)いつく (食い付く)
くっつく (くっ付く)
組みつく (組み付く)
食(く)らいつく (食らい付く)
こぎつく (漕ぎ付く)
吸いつく (吸い付く)
住みつく (住み着く)
抱きつく (抱き付く)
たどりつく (たどり着く)
と(飛、跳)びつく (飛び、跳び付く)
とりつく、とっつく、とっつきが悪い、とっつきにくい
泣きつく (泣き付く)
ひっつく (引っ付く)
巻きつく (巻き付く)
まつわりつく、まとわりつく (纏わり付く)
結びつく (結び付く)
基(もと)づく
焼きつく (焼き付く)
病みつく、病みつきになる (病み付き、止み付き、已み付き)
寄りつく (寄り付く)
( )内はコンピュータワープロで<つく>を検索。いくつかの選択肢がものがあるが、大体は<xx につく>で自動詞の<付く>か<着く>で、内容的にも大体は<付く>または<着く>の内容。<付く>または<着く>で区別があるように解釈できるが<付く>、<着く>両方の意味を持つ一般化した<つく>としてもいい。
思いつく、考えつく、気づく、結びつく、は創造、認識、連想関連の動詞でいい日本語だ。
<尽 く>は古語的で 、現代語は自動詞<尽きる>(他動詞<尽くす>)だ。
言い尽きる
出尽きる
燃え尽きる
おもしろい例として<金が底をつく>がある。
<金が底をつく>は <金が尽きる(使いきる)>の意であれば<金が底を尽く>だが<つく>は<を>をとる他動詞なので、自動詞の<尽く>はだめ。そうすると、<金が底を突く>がよさそうだが、<突く>は先のとがったモノで<つく>ような感じでいまいち。それでは<<金が底を着く>はどうか? <金が底に達する>の意だ。これでよさそうだが、<着く>は自動詞なので<底に着く>ならいいが<底を着く>はだめだ。どうどうめぐりなりそうだが、一般化した<つく>でも大きな問題はない、とすればいい。なお、<尽きる>の<きる>と使い切るの<きる>も関連ありそう。
<yyに xx つく>文字通りの意味と比喩的な意味があるが、比喩的な意味は多くない。
ありつく(有り付く)、は<得る>、<与えられる>の意に近い。<あるところ>へ<着く>の意か?
泣きつく (泣き付く)、<泣いて><近づく>の意か?
基(もと)づく、は<もと>に<付く>の意か?
病みつく(病みつきになる)、は基本的には<病気のように><付く>だが、<もののけが(とり)つく>の<憑く>という漢字がある。
以上の<つく>の意と一見関連なさそうな<つく>の付く複合動詞がある。
うろつく
ふらつく
ぶらつく
<付く>、<着く>はいわば固定化の意味をもっているが、上記三例は不固定をあらわしている。これはどうしたことか?おもしろい課題だ。後日検討予定。
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<yy に xx つける>、<yy を xx つける>、<zz を yy に xx つける> - 基本的に他動詞
当てつける、当てつけ
言いつける、先生に言いつける、おまえに言いつけておく、言いつけを守る
行きつける、1)よく(頻繁に)行く、行きつけの店 2)行きつく(行き着く)、の可能 xx に行きつける、< xx を行きつける>はダメ
痛めつける
植えつける
受けつける
打ちつける
う(生、産)みつける
売りつける
送りつける
押しつける
落ちつける、落ちつかす
おどしつける
買いつける
かかりつける、かかりつけの医者 <xx をかかりつける>はダメ
かがりつける
嗅(か)ぎつける
書きつける
駆(か)けつける
飾りつける
貸しつける
片づける
がなりつける
通いつける、通いつけの塾 <xx を通いつける>はダメ
聞きつける
切(斬)りつける
くくりつける
食いつける(食べつける)、食い(食べ)つけたxx屋のラーメン、食い(食べ)なれた
くっつける
蹴りつける、けりをつける
こぎつける、 <-- こぎつく、の可能 <xx をこぎつける>はダメ
こすりつける
しかりつける
しつける
しばりつける
締めつける
吸いつける、1)<-- 吸いつく 、の可能、2)たばこを吸いつける
住みつける、住みつけた家、住みなれた
擦(す)りつける
染めつける、染付け
た(炊、焚)きつける
たたきつける
立てつける、立てつけが悪い
突きつける
照りつける
どなりつける
取りつける
なぐりつける
投げつける
なすりつける
なでつける
舐(なめ)つける
煮つける、煮付け
縫いつける
塗りつける
寝かしつける
飲みつける、飲みつけた、飲みなれた
乗りつける
はさみつける
はねつける
嵌(は)めつける
貼りつける
ひきつける (引く、牽く、弾く、轢く、挽く、惹く、曳く、退く)
ひっつける
吹きつける
ぶつける (ぶっつける)
踏(ふ)みつける
振りつける、振り付け
巻きつける
見つける
結びつける
申しつける
燃(も)やしつける、火をつける、
盛りつける、盛り付け
焼きつける
やっつける
やりつける、やりつけた仕事
寄せつける
呼びつける
読みつける、読みつけた xx 新聞、読みなれた
文字通りの意味と比喩的な意味があるが、比喩的な意味が多いということはよく使われてきたことを示す。また取り上げた例では<付ける>の意を持つ場合が多いが、<着ける>の意も一部ある。また<付ける>、<着ける>区別が判然としない場合がある。付着は<付く><着く>だ。
嗅(か)ぎつける、聞きつける、見つける、感覚器官を通した認識関連の動詞だ。
送り付ける、送り着ける
住み付ける(住んで付く)、住み着ける(住んで着いて、離れない)
見付ける(見てxxをyyに付ける、は考えにくい)、見着ける、の方が<見て、目標のモノに着く>の意でいいようだが、<見着ける>とはあまり書かないし、<見着ける>と書かれているのはあまり見ない。
寄せ付ける、寄せ着ける
また比喩的な意味の場合にも同じようなことが言える。
踏み付ける - 踏んでxxをyyに付ける、の意もまれにはあろうが、<蟻を踏みつける>に<付ける>の意味は薄い。さらに比喩的な<山田は鈴木を踏みつけにして部長の地位を得た>では<付ける>の意味はないと言える。
釘付け <-- 釘でつける、釘で打ちつける、 釘でxxをyyに打ちつける
<つける>には to follow の意味もある。
後をつける
つけ回す
<つく>が前に来る複合動詞
つき合う - つき合わせる、 (付き合う)
つきあける - あまり使わないが<壁(障子)をつきあける> -->つき破る
つき当たる
つきかかる - あまり使わないが、相手に<食ってかかる>より物理的な意味になる。
つき崩(くず)す
つき刺す
つき進む
つきそう - 付き添い(沿う、添える)
つき倒す
つき出す
つきつける
つき通す
つき抜ける
つきのける - あまり使わないが<人ごみを、つきのけて、(前に)進む>
つき放(離)す
つき払う - あまり使わないが可能だろう
つき破る 突破、break through
つきまとう (付きまとう)
以上は<付く、着く>よりも<突く>の意味がらみが多い。
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<尽 く>は古語的で 、現代は自動詞<尽きる>、他動詞<尽くす>だ。
言い尽くす
売り尽くす
買い尽くす
書き尽くす
食い尽くす
汲み尽くす
探し尽くす
し尽くす
吸い尽くす
出尽くす
舐(なめ)尽くす
飲み尽くす
乗り尽くす
燃(もや)し尽くす
やり尽くす
読み尽くす
<xx 尽きる>、他動詞<xx 尽くす>比喩的な意味は少ない。
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名詞(体言)+<つく>、<つける>
額づく (<餅をつく>の<つく>)
力づける
元気づける
勇気づける
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<つかえる>について
<仕える> と<使える>はいずれも<つかえる>と発音するが意味はもちろん違う。違うが何か関係ははありそうだ。
<仕える>は<仕>の漢字を使うが<付く>、<付き従う>の<付く>と関連がありそう。<付く>は<xx に付く>で自動詞。一方<使える>は他動詞<使う>の可能形。 <仕える>の可能形はほとんど使わないが<仕えれる>。
と ころで、 <仕える>は見方をかえれば<使われる>ことだ。<仕える>は<誰々に仕える>、<何々(国家)に仕える>のように使う。あからさまではないがたいていは見返り(金銭、食べ物、住むところ)がある。<こき使われる>ても何らかの見返りはあるようだ。これに関連しては<雇(やと)う>、<雇われる>がある。
ところで、<仕える>に対応する英語は to serve だが、注意しないといけないのは to serveは基本的に他動詞ということだ。 to serve to you、 to serve for you ではなく to serve you となる。
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