Saturday, July 27, 2013

自動詞、他動詞-8 勝つ、負ける、負かす


<に>の目的語の格(与格-間接、対格-直接)は文法上の大きな問題。一例。

<負ける>は<xx に負ける>という。また英語でも to lose to someone (something) であたかも自動詞のようで、日本語辞書でも自動詞になっている。
一方<勝つ>は、日本語では<xx に勝つ>で<負ける>と同じ使い方だが、英語では to win someone (something) で他動詞。<勝つ>は日本語辞書では自動詞になっている。
やや詳しい英語辞書では to lose a game、to win against xx という言い方も可能で to lose、to win とも自動詞かつ他動詞の両刀使い。

日本語の<負ける>は込み入った動詞だ。

<負ける>に対し<負かす>という動詞があり、<xx を負かす>と使うので<負かす>は他動詞。しかも意味は<勝つ>だ。<す>は動詞の未然形について使役、自動詞の他動詞化の働きがあり、<負く>という五段活用の自動詞がある(あった)とすると、<負かす>は<負く>の未然形<負か>+<す>で<負く>の使役形、他動詞形。

1)<負く(負ける)>の使役。誰々を<負かす(負けさす)>で、この<誰々>は闘い(戦い)の場合通常<相手>なので<相手>に<負かす(負けさす)>ので自分は<勝つ>ことになる。

2) しかし<誰々>が相手でない場合は様子が違ってくる。

A と B が闘い(戦い)の当事者で、これに第3者の C が加わり、 (賭けのイカサマかなにかで)C が B をA に <負けさす>(使役)(負けるようにする)ことも考えられる。この場合<負かす>は使えない。<負かす>は他動詞なのだ。<C が B を負かす>と<C が B を負けさす> は意味が違う。くりかえしになるが、<負かす>は他動詞、<負けさす>は<負ける>の使役形ということになる。

一方<勝つ>はどうか。<勝つ>の使役形は、未然形<勝た>+<す>で<勝たす>だ。<勝たさす>ともいえる。相手に<勝たす(勝たさす)>場合、自分は<負ける>ことになるが、<勝たす>に純粋な意味で<負ける>の意はなく、(発言がウソか本当かは別として)<わざと負ける>になる。

A と B が闘い(戦い)の当事者で、これに第3者の C が加わり、 C が B をA に <勝たす>(使役)(勝つようにする)ことも考えられる。<勝つ>は自動詞。<勝たす>は使役形だが、当然<xx を勝たす>の形なので他動詞。<勝たさす>という使役形もある。<C が B を勝たす>と<C が B を勝たさす> はほぼ同じ意味でどちらも使役の意。しかしながら、普通はイカサマで B を<負けさす>ことはできるが、B を<勝たす、勝たさす>はできない。B を<勝たす、勝たさす>ためには A を<負けさす>のだ。 

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負ける(追加)

<おまけ>と言う言葉がある。子供(大人もときにそうだが)は商品そのものよりも商品についてくる<おまけ>の方に目が行くことがある。この<おまけ>は手もとの辞書によると

商品(の価格)を負ける

由来と書いてある。<負(ま)ける>は

これは特別まけておきましょう。(これは特別まけときましょう。)
これは特別おまけしておきましょう。(これは特別おまけしときましょう。)

と言って購入意欲をかきたてる販売促進口上だ。

<おまけ>は<まける>の連用形体言(名詞)用法<まけ>に丁寧語の<お>がついたもの。<負ける>とは言っても実際は売上を増やして利益を増やす、客に<勝つ>商人の巧みな戦略だ。

まけておきましょう -> まけておく( +ます) +よう
(おまけ)しておきましょう。 -> (おまけ)しておく (+ます) +よう。

の言い方は ”<xx (し)ておく>とはいったいどういう意味か?” というポストで詳しく調べて書いてある。


sptt

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