Sunday, May 27, 2018
受身と被害 / 迷惑と自発の助動詞 <れる、られる>
前回のポスト ”使役とはなにか?- 使役の<さす、させる>” で使役をとりあげたので、<れる、られる>を使ってあらわされる日本語の受身と日本語の特徴である自発表現を調べてみる。
英文法では能動文に対して受動文がある。英文法の授業(漢文はあるが中国語文法の授業はない。国語の授業はあるが、なぜが日本語文法の授業もない)で受動文を学び、能動文->受動文変換の練習やテストがある。さらに進むと英語国民は受動文よりも能動文を好むと教えられる。したがって、能動文->受動文変換は文法のためで、本来の英語学習の目的からはずれている。だが文法に目を向けることは日本語文法の授業がない日本語学習の手助けにはなる。
英語国民は受動文よりも能動文を好むのは確かのようだが、日本人が能動文よりも受動文を好むかと言うと、そうではない。日本人は自発表現を好むのだ。これは大きな違いで、大げさに言えば世の中の見方が違うのだ。自発表現は、まだ説明していないが自発動詞とも呼べるものを使用してなされる。一方、受身と自発の助動詞に<れる、られる>があり、動詞の未然形に<れる、られる>をつけて<自発>の意になる場合がある。自発と受身は違うが重なるところがありややこしい。さらに<れる、られる>は場合により可能、尊敬もあらわしますますややこしい。日本語学習の外国人泣かせの言い回しだ。
まずは受身について。
受身とはなにか?- 受身の<れる、られる>
太郎は花瓶を割った。 -> 花瓶は太郎に割られた。
Taro broke the flower pot. -> The flower pot was broken by Taro.
文法的には、受動文では能動文での目的語(花瓶)が主語になり、主語の太郎が<太郎に>と補語のような役割に代わっている。細かいことを言えば、日本語の<は>主語(主格)を示す格助詞ではないので、格助詞の<が>を使って
太郎が花瓶を割った。 -> 花瓶が太郎に割られた。
となるが、<は>との違いを示すのはそう簡単ではない。<は>は説明調、<が>は事実報告調と言ったところだ。
繰り返しになるが、受動文では、能動文での目的語(客語)の花瓶が主題(主語)になり、主題(主語)の太郎が<太郎に>と補語のような役割に代わっている。そしてなんと目的語がなくなっている。これは大きな違いで、大げさに言えば、モノの見方が違った(モノの見方を違えた)発話なのだ。
能動文では、目的語がないのは、自動詞が使われる。
英語の<The flower pot was broken by Taro.>は関心がこわれた花瓶に向かっていれば言いそうだ。(この<関心が xx に向かっている>は主題に近いようだ。普通は the がつく。)一方<花瓶は太郎に割られた。>は刑事モノのテレビドラマのなかでは言いそうだが、翻訳調だ。日本語には<割る>(他動詞)に対して<割れる>という自動詞がある。英語は特殊で to break は自動詞にもなるが(例えば、The engine broke and then the car stopped. )
The flower pot broke.
というと笑らわれるかも知れない。太郎が出てこなくても The flower pot was broken. が普通なのだ。
花瓶は自働的に、自発的に割れるものではないと考えるのが普通のようだ。一方日本語の方は
花瓶が割れた。
と普通に言う。<花瓶が太郎で割れた。>とは言わないが
窓ガラスが強風で割れた。窓ガラスは強風で割れた。
はごく普通に言う。
窓ガラスが強風で割られた。 窓ガラスは強風で割られた。
とはこれまた普通は言わないのだ。
<割る><割れる>は破壊関連の動詞だが、日本語の破壊、損傷関連の動詞を並べてみる。破壊、損傷関連の動詞をまずはじめにとりあげるのは特に意図があるわけではないが、背景には動詞の意味と形態の関係を知ろうというのが、”わび、さびの<xx ぶ(bu)>動詞“ から続いているこのシリーズの目的だ。だが、今回は動詞群ではなく助動詞だ。
破壊、損傷関連の動詞(あいうえお順)
他動詞 - 自動詞
折る - 折れる
枯(か)らす - 枯れる
傷(きず)つける - 傷つく
切る - 切れる
くずす - くずれる
こわす - こわれる
砕(くだ)く - 砕ける
倒す - 倒れる
散らす - 散る
つぶす - つぶれる
脱ぐ - 脱げる
剥(は)ぐ - 剝げる
はずす - はずれる (取る-取れる)
やぶく - やぶける
やぶる - やぶれる
汚(よご)す - 汚れる
割る - 割れる
まだ他にもあると思うが、順次加えるととして、上記の動詞を分析してみる。
xx す - xx れる
くずす - くずれる
こわす - こわれる
倒す - 倒れる
はずす - はずれる (取る-取れる、 この<取れる>は可能ではなく自発)
汚(よご)す - 汚れる
<xxす>の<す>は他動詞化、使役化の働きがある。
xx る - xx れる
折る - 折れる
切る - 切れる
取る - 取れる
やぶる - やぶれる
割る - 割れる
<xxる>の<る>は動詞化語といえる語。詳しく知らべてはいないが他動詞が多いか。ただし、<ある>、<いる>、<来る>などの基本語は自動詞だ。
xx く(ぐ) - xx け(げ)る
砕(くだ)く - 砕ける
脱ぐ - 脱げる
剥(は)ぐ - 剝げる
やぶく - やぶける
<xxく>の<く>は上の<す>ほど明確ではないが他動詞化の働きがあるようだ。ただし<動く>、<付く>、<着く>などの基本語は自動詞だ。
その他
枯(か)らす - 枯れる
傷(きず)つける - 傷つく
散らす - 散る
<その他>は別として、以上の左側は独立した他動詞で<xx す>を含めても使役の感じはない。一方右側の自動詞はいずれも自発動詞(自働的に、自発的に起こることを示す動詞、とでも定義するか)とみなせる。だが大半は使い方によって可能の意にもなる。この自発は左側の他動詞を受身形にして比べてみるとはっきりする。
くずす - くずされる - くずれる
こわす - こわされる - こわれる
倒す - 倒される - 倒れる
はずす - はずされる - はずれる (取る - 取られる - 取れる)
汚(よご)す - 汚される - 汚れる
折る - 折られる - 折れる
切る - 切られる - 切れる
やぶる - やぶられる - やぶれる
割る - 割られる - 割れる
砕(くだ)く - 砕かれる - 砕ける
脱ぐ - 脱がれる(脱がされる) - 脱げる
剥(は)ぐ - 剥がれる(剥がされる) - 剝げる
やぶく - やぶかれる - やぶける
その他
枯(か)らす - 枯らされる -枯れる
傷(きず)つける - 傷つけられる - 傷つく
散らす - 散らされる - 散る
<枯れる>、<散る>は自発動詞とみなせる。
<枯らす>は他動詞だが<枯れる>の使役の感じだ。
<散らす>も同じく他動詞だが<散る>の使役の感じだ。
<傷つく>は自発と言うよりは受身の感じだ。だが受身形ではない。また<傷(きず)つける>は使役の感じがない他動詞。<傷つく>は一語の動詞ではなく<きず>(名詞)+<つく>(動詞)の合成語。活用は<付く(つく)>と同じだ。傷つける(他動詞)-傷つく(自動詞)はやや特殊だ。
さく(割く、裂く) 他動詞 - 割ける、裂ける(自動詞)
たく(炊く) 他動詞 - 炊ける(自動詞)
くだく(砕く) 他動詞 - くだける(自動詞)
ほどく(他動詞) - ほどける(自動詞)
やぶく(破く) 他動詞 - 破ける、破れる(自動詞)
ぬぐ(脱ぐ) 他動詞 - 脱げる(自動詞)
で<xxける>は自動詞が普通。
自発(自働的に、自発的に起こる)の意と同時に可能の意は動詞だけではわかりにくいかもしれないが、<すぐ>をつけてみる。
すぐくずれる
すぐこわれる
すぐ倒れる
すぐはずれる (すぐとれる)
すぐ汚れる
どちらかというと自発の意だ。つぎに<なんとか>をつけてみる。
なんとかくずれる
なんとかこわれる
なんとか倒れる
なんとかはずれる (なんとかとれる)
なんとか汚れる
<なんとか汚れる>を除けば可能の意だ。以下ほぼ同じになると思われるので、興味とひまがあれば試してもらいたい。
さて、注目したいのは
他動詞(未然形)+<れる>、<られる>
は受身だが被害 / 迷惑の意がある、と言うか単なる<受身>と言うより ”<xx (さ)れて>こまる” の被害 / 迷惑の意が先にくるようだ。これは破壊、損傷関連の動詞と関係があるのか、あるいは文法的な法則なのか?
身体の動き、運動
動く
歩く
走る
跳(と)ぶ
投げる (他動詞)
蹴(け)る (他動詞)
打つ(他動詞)
泳ぐ
もぐる
上がる (持ち上げる - 他動詞)
下がる
のぼる(上る、登る、昇る)
くだる(下る)
降(お)りる
越す、超える
移る
くぐる
回る
曲がる
以上の多くは変な動詞で、英語では自動詞であるため、 日本語でも自動詞扱いされているようだ。
道の上を動く。<道の上で動く>はおかしい。<床の上で動く>はよさそう。戦場を動く。
道を歩く
道を走る
水たまり(障害物)を跳(と)ぶ(<跳び越える>が普通。縄跳びの縄を跳ぶ。)
激流の中を泳ぐ (<激流の中で泳ぐ>は意味が少し違う)
土の中をもぐる (<土の中にもぐる>は意味が少し違う。<土の中でもぐる>は変だ。)
階段を上(あ)がる
階段を下(さ)がる
階段をのぼる(上る、登る、昇る)
階段をくだる(下る)
階段を降(お)りる
山を越す、超える
事務所を移る
門をくぐる
角(かど)を回(まわ)る
角を曲がる
<を>をとるので他動詞と単純に決めたらどうかとも思うが、<を>をとる移動の<自動詞>という説明がある。これはだいぶ前のポストで検討したことがある。
場のアスペクト-<行く>と<来る>
日本語の自動詞、他動詞-3、移動動詞
日本語の自動詞、他動詞-12、移動動詞-2
というタイトルで移動動詞について書いたことがあるが、これらはあえて無視して話を進める。以上は自動詞だが上で調べた破壊、損傷関連の動詞に比べてなぜか<自発の感じ>が薄い。これはおそらく意識的、無意識を問わず人の意図的な行動を述べているからだろう。対応する他動詞を調べてみる。
動く - 動かす
歩く (歩かす-使役)
走る (走らす-使役)
跳(と)ぶ (跳ばす-使役)
( ) - 投げる (他動詞)
( ) - 蹴(け)る (他動詞)
( ) - 打つ(他動詞)
以上の三動詞は対応する自動詞がない。
泳ぐ (泳がす-使役)
もぐる (もぐらす-使役)
上がる - 上げる (上がらす-<上がる>の使役)
下がる - 下げる (下がらす-<下がる>の使役)
のぼる(上る、登る、昇る) (のぼらす-使役)
くだる(下る) - 下す (これは対(つい、ペア)としては少しおかしい) (下らす-<下る)の使役)
降(お)りる - 降ろす (降りさす-<降りる>の使役)
越す、超える (越さす、超えさす-使役)
移る - 移す (<移らす>は<移る>の使役形だが、ほぼ<移す>と同じ意味だ)
くぐる (くぐらす-使役)
回る - 回す (<回(まわ)らす>は<回る>の使役形だが、ほぼ<回す>と同じ意味だ)
曲がる -曲げる (<曲がらす>は<曲がる>の使役形だが、ほぼ<曲げる>と同じ意味だ)
<使役>が出てきて変な展開になってきたが、整理すると
歩く
走る
跳(と)ぶ
泳ぐ
もぐる
のぼる(上る、登る、昇る)
越す、超える
くぐる
は<を>をとるが自動詞とすると、対応する(ペアになる)純他動詞がないのだ。このポストは使役ではなく 受身と自発の<れる、られる>の話なので、さらに変な展開を進めて受身と自発のの意味がある本動詞の未然形に<れる、られる>を加えてみる。
動く、動かれる - 動かす、動かされる
歩く、歩かれる - 歩かす(使役)、歩かされる
走る、走られる - 走らす(使役)、走らされる
跳ぶ、跳ばれる - 跳ばす(使役)、跳ばされる
( ) - 投げる (他動詞)、投げられる。 相手に投げられる。ボールが投げられる。
( ) - 蹴(け)る (他動詞)、蹴られる。 相手に蹴られる。ボールが蹴られる。
( ) - 打つ(他動詞、打たれる。相手に打たれる。ボールが打たれる。泳ぐ、泳がれる - 泳がす(使役)、泳がされる
もぐる、もぐられる - もぐらす(使役)、もぐらされる
以上は、説明は抜きにしても、みごとな対応だ。
上がる、上がられる - 上げる、上げられる、 上がらす(使役)、上がらさせられる
下がる、下がられる - 下げる、下げられる、 下がらす(使役)、下がらさせられる
のぼる、のぼられる(上る、登る、昇る) - のぼらす(使役)、のぼらされる
くだる(下る)、くだられる - 下す、下される、下らす(使役)、下らさせられる
降(お)りる、おりられる - 降ろす、降ろされる、降りさす(使役)、降りさせらる
越す、越される、越える、越えられる、 越さす(使役)、越させられる、越えさす(使役)、越えさせられる
移る、移られる - 移す、移される、 移らす(使役)、移らされる
くぐる、くぐられる - くぐらす(使役)、くぐらされる
回る、回られる - 回す、回される、 回らす(使役)、回らされる
曲がる、曲がられる -曲げる、曲げられる、 曲がらす(使役)、曲がらさせられる
以上は、やや混乱があるが、文法的な対応が見られる。文法的な対応というのは、左側の自動詞に関しては受身でも自発でもなく、受身に似てはいるが<被害、迷惑>の意味なのだ。左側だけを抽出してみる。
動く、動かれる
歩く、歩かれる
走る、走られる
跳ぶ、跳ばれる
飛ぶ、飛ばれる
泳ぐ、泳がれる
上がる、上がられる
下がる、下がられる
のぼる(上る、登る、昇る)、のぼられる
くだる(下る)、くだられる
降(お)りる、おりられる
越す、越される、越える、越えられる
移る、移られる
くぐる、くぐられる
回る、回られる
曲がる、曲がられる
<おりられる>、<越えられる> が可能も表してしまうが、 すべて ”<xx れて、られて>こまる” (被害、迷惑)の意がある。手もとの辞書、あるいは簡容日本語文法では<れる、られる>は ”受身、可能、自発、尊敬(大体この順番)を表わす” で <被害、迷惑>は出てこない。一方他動詞の右側は
動かす、動かされる
歩かす(使役)、歩かされる
走らす(使役)、走らされる
跳ばす(使役)、跳ばされる
投げる (他動詞)、投げられる。 相手に投げられる。ボールが投げられる。
蹴(け)る (他動詞)、蹴られる。 相手に蹴られる。ボールが蹴られる。
打つ(他動詞)、打たれる。 相手に打たれる。ボールが打たれる。泳がす(使役)、泳がされる
もぐらす(使役)、もぐらされる
以上は基本的に<使役の受身>で一般的には<させられる>。 場合によっては<被害、迷惑>の感情が含まれる。自動詞<動く>に対応する他動詞<動かす>は使役に意味がうすく、一般的な対象(目的語)をとる他動詞となっている。<投げる><蹴る>、<投げる>の他動詞も同じ。
上げる、上げられる、 上がらす(使役)、上がらさせられる
下げる、下げられる、 下がらす(使役)、下がらさせられる
のぼらす(使役)、のぼらされる
下す、下される、下らす(使役)、下らさせられる
降ろす、降ろされる、降りさす(使役)、降りさせらる
越さす(使役)、越させられる、越えさす(使役)、越えさせられる
移す、移される、 移らす(使役)、移らされる
くぐらす(使役)、くぐらされる
回す、回される、 回らす(使役)、回らされる
曲げる、曲げられる、 曲がらす(使役)、曲がらさせられる
以上のうち<上げられる、下げられる、曲げられる>
は下一段活用動詞で場合により受身、あるいは可能の意味になる。使役でないものは受身だが、これまた場合によっては<被害、迷惑>の感情が含まれる。 使役がらみの動詞は<使役の受身(させられる、やらされる)>で<被害、迷惑>の感情が強いようだ。
他の動詞グループも継続して調べる予定だが、その前にすでに上で検討した<破壊、損傷関連の動詞>を調べてみる。
くずす、くずされる - くずれる、くずれられる
こわす、こわされる - こわれる、(こわれられる)
倒す、倒される - 倒れる、倒れられる
はずす、はずされる - はずれる、(はずれられる)
汚(よご)す、汚される - 汚れる、(汚れられる)
折る、折られる - 折れる、(折れられる)
切る、切られる - 切れる、(切れられる)
やぶる、やぶられる - やぶれる、(やぶれられる)
割る、割られる - 割れる、(割れられる)
砕(くだ)く、砕かれる - 砕ける (砕けられる)
脱ぐ、脱がれる - 脱げる (脱げれる(可能))
剥(は)ぐ、剥がれる - 剝げる(剝げられる)
やぶく、やぶかれる、やぶかられる - やぶける (やぶけられる)
枯(か)らす、枯らされる - 枯れる、枯れられる
傷(きず)つける、傷つけれる、傷つけられる - 傷つく、傷つかれる
散らす、散らされる、(散らさられる) - 散る、散られる
( )内は日本語としておかしい、またはかなりおかしい言い方。試してみたが<xxらられる>、<xxれれる>はどうもダメのようだ。煩雑になるので書かなかった。
例外はあるが、大体左側の他動詞+<xx れる、られる>は受身、被害、迷惑。
例外
脱ぐ、脱がれる
<脱ぐ>は自分の服や下着を脱ぐので<脱がれる>と言う表現が変になるようだ。<着る><着られる>同じだ。受身は<脱がす>の<脱がされる>、<着せる>の<着せられる>。
<脱げれる(可能)>は邪道の可能(食べれる)のようだが<脱げる>自体に可能の意がある。また<脱げる>は自発の意(取れる、はずれる)がある。
剥(は)ぐ、剥がれる (可能)
傷(きず)つける、傷つけれる、傷つけられる
これは本来<傷+つける>で一語動詞ではなく<つける、つく>が基本になっている。<傷つけれる>は邪道の可能になる。
右側は自動詞で破壊、損傷だが自発っぽい動詞が少なくない。 したがって<れる、られる>はつきにくいと言える。
かなり混乱してきており、結論までは道遠しの観があるが、次に物理、化学現象の動詞をしらべてみる。一部は<身体の動き、運動>と重なる動詞がある。現象自体は自動詞だろう。
物理現象
動く - 動かす (力、速さ、加速度)
落ちる - 落とす (引力)
飛ぶ - 飛ばす (飛翔、航空力学)
流れる - 流す (流体力学)
回(まわ)る ‐ 回す(回転力学)
現(あらわ)れる - 現(あらわ)す
消える - 消す
(変形関連)
( ) - 押す (圧力)
引く(潮が引く) - 引く
伸びる - 伸ばす
広がる - 広げる
縮(ちぢ)む -縮ます
曲がる - 曲げる
ねじれる - ねじる
ひねる(xxがひねている)- ひねる
へこむ - へこます
(波、振動関連)
ゆれる - ゆらす
ふるえる(震える) - ふるわす(振るわす)
(音、電波、光が)伝わる - 伝える
(光が)輝(かがや)く - 輝かす
(光が)通る - 通す
実験の場合は他動詞になるが、物理現象自体は基本的に自動詞だろう。始めに取り上げた<破壊>は物理現象としても捉えられる。左右の動詞に未然形に<れる、られる>を加えてみる。
動く、動かれる - 動かす、動かされる
落ちる、落ちられる - 落とす、落とされる
飛ぶ、飛ばれる、飛ばられる - 飛ばす、飛ばされる
流れる、流れられる - 流す、流される
回(まわ)る、回られる - 回す、回される
現(あらわ)れる、現れられる - 現す、現される、現さられる
消える、消えられる - 消す、消される、消さられる
(変形関連)
( ) - 押す、押される
引く(潮が引く)、引かれる - 引く、引かれる
伸びる、伸びれる、伸びられる - 伸ばす、伸ばされる
広がる、広がれる、広がられる - 広げる、広げられる
縮(ちぢ)む、縮まれる、縮まられる - 縮める、縮められる (<縮ます>は使役形)
曲がる、曲がれる、曲がられる - 曲げる、曲げられる
ねじれる、(ねじれれる)、(ねじれられる) - ねじる、ねじられる
ひねる(xxがひねている)、ひねれる、ひねられる - ひねる、ひねれる、ひねられる
へこむ、(へこまれる、へこまられる) - へこます、へこまされる
(波、振動関連)
ゆれる、ゆれられる - ゆらす、ゆらされる
ふるえる(震える)、ふるえられる - ふるわす(振るわす)、ふるわされる
(音、電波、光が)伝わる、伝わられる - 伝える、伝えられる
(光が)輝(かがや)く、輝かれる、(輝かられる) - 輝かす、輝かされる
(光が)通る、通られる - 通す、通される
左側の自動詞の受身は間違いではないが
広がる、広がれる(可能)、広がられる(迷惑)
縮(ちぢ)む、縮まれる(可能)、縮まられる(迷惑)
曲がる、曲がれる(可能)、曲がられる(迷惑)
を除くと、使う機会はほとんどないだろう。これらもヒトがらみで、純物理現象の記述ではほとんど使わないいだろう。受身以外の可能や自発や迷惑の意味でも使う機会はほとんどないだろう。またもとの自動詞に物理現象としての自発的な意味がある。
化学現象
燃える-燃やす
溶ける - 溶く、溶かす
混ざる - 混ぜる
濡(ぬ)れる - 濡らす
しめる - しめらす
乾(かわ)く - 乾かす
実験の場合は他動詞になる。
燃える、燃えられる - 燃やす、燃やされる
溶ける、溶けられる - 溶く、溶かれる、溶かす、溶かされる
混ざる、混ざられる - 混ぜる、混ぜれる。混ぜられる
濡(ぬ)れる、 濡れられる - 濡らす、濡らされる
しめる、しめられる - しめらす、しめさられる
乾(かわ)く、乾かれる - 乾かす、乾かされる
打つ現象と同じく、左側の自動詞の受身は間違いではないが使う機会はほとんどないだろう。受身以外の可能や自発や迷惑の意味でも使う機会はほとんどないだろう。もとの自動詞に自発的な意味がある。
料理は切ったり、ちぎったりするのを除けば、基本的に化学変化をさせることともいえる。
焼く - 焼ける
煮る - 煮れる
ゆでる - ゆだる
炒(いた)める - 炒まる
あぶる -
温める - 温まる
冷やす - 冷える
凍(こお)らす - 凍る
<させる>で他動詞が主。
焼く、焼かれる - 焼ける、焼けれる
煮る、煮られる - 煮える、煮えれる
ゆでる、ゆでられる - ゆだる、(ゆだれる)
炒(いた)める、炒められる - 炒まる、(炒まれる)
あぶる、あぶられる - ( )
温める、温められる - 温まる、(温まられる)
冷やす、冷やされる - 冷える、(冷えられる)
凍(こお)らす、凍らさられる - 凍る、(凍られる)
右側の自動詞に<れる>、<られる>は基本的にダメだ。
<焼ける>、<煮える>は下一段活用。<焼けれる>、<煮えれる>は可能の意味になるが、もとの<焼ける>、<煮える>は自発的な自動詞以外に可能の意味があり、<焼けれる>、<煮えれる>の可能は<邪道の可能>扱いのようだが、そのうち市民権を得るだろう。
以上を見た限り、物理、化学現象、化学現象に近い料理関連の動詞では自動詞に自発的(自然発生)な意味があるためか、自動詞+<れる>、<られる>は基本的に具合がわるい。ヒトとの関連がなければ被害、迷惑の意味はないと言っていい。
自然現象(天気)
(川が)流れる - 流す
(波が)立つ - 立てる
(地面が)ゆれる - ゆらす
(日、月、星、雲、霧、モヤが)現(あらわ)れる - 現す
(日、月、星、雲、霧、モヤが)出る - 出す
(雲、霧、モヤが)消える、はれる - 晴らす
晴(は)れる - 晴らす
くもる - くもらす
(雨、雪が)降る - 降らす
(風が)吹く - 吹かす
(カミナリが)鳴る - 鳴らす
(氷が)張る - 張らす
<自然現象>なので自動詞が主だが、主語を使わないと意味をなさない表現が多い。原因や理由とともに他動詞も可能だがこのような表現はまれだ。
(川が)流れる - 流す
(波が)立つ - 立てる
(地面が)ゆれる - ゆらす
(日、月、星、雲、霧、モヤが)現(あらわ)れる - 現す
(日、月、星、雲、霧、モヤが)出る - 出す
(雲、霧、モヤが)消える、はれる - 晴らす
晴(は)れる - 晴らす
くもる - くもらす
(雨、雪が)降る - 降らす
(風が)吹く - 吹かす
(カミナリが)鳴る - 鳴らす
(氷が)張る - 張らす
日常使われる左側の自動詞に<れる>、<れる、られる>を加えてみる。
(川が)流れる - (川に)流れられる
(波が)立つ - (波に)立たれる、立てられる
(地面が)ゆれる - (地面に)ゆれられる
(日、月、星、雲、霧、モヤが)現(あらわ)れる - (日、月、星、雲、霧、モヤに)現れられる
(日、月、星、雲、霧、モヤが)でる - (日、月、星、雲、霧、モヤに)出られる
(雲、霧、モヤが)消える - (雲、霧、モヤに)消えられる
(雲、霧、モヤが)はれる - (雲、霧、モヤに)はれられる
晴(は)れる - 晴れられる
くもる - こもられる
(雨、雪が)降る - (雨、雪に)降られる
(風が)吹く - (風に)吹かれる、吹かられる
(カミナリが)鳴る - (カミナリに)鳴られる
(氷が)張る - (氷に)張られる
以上のうち<(雨、雪に)降られる>が被害、迷惑の意で使われるくらいで、そのほかはほとんど聞かない。自然現象はヒトと関わり合いがあり、もう少し被害、迷惑の意で使われる表現があっても
よさそうだが、これはどうしたことか?
感覚表現、感覚動詞
見る(他) - 見える(自)
聞く(他) - 聞こえる(自)
嗅(か)ぐ(他) - 嗅げる(自)、匂(にお)う
味わう(他) - 味わえる(自)
触れる(自他)
<xxを感じる>は漢語の<感>+<ずる->じる> で大和言葉ではないだろう。
<れる>、<られる>をつけてみる
見る、見られる - 見える、(見えれる、見えられる)
聞く、聞かれる - 聞こえる、(聞こえれる、聞こえられる)
嗅(か)ぐ、嗅がれる - 嗅げる、嗅げれる、嗅げられる
( ) ー 匂(にお)う、(匂われる、匂わられる)
味わう、味わわれる - 味わえる、味わえれる、味わえられる
触れる(自)、(触れれる)、触れられる - 触れる(他)、触れれる、触れられる
( )内はまれ、または間違い。それ以外は日常頻繁に使われるものが多い。使われ方の分析は簡単ではない。
xx が見られる - 可能
xx を見られる - 受身、被害/迷惑
xx が見える - 可能、自発
xx を聞かれる - 受身、被害/迷惑
xx が聞こえる - 可能、自発
xx が聞ける - 可能 <xx を聞ける>は翻訳調
xx が匂(にお)う - 自発 <xxの匂い(臭い)がする>普通。
xx が味わえる - 可能。 自発は<xxの味がする>か?
xx が触れる - 自発
知覚、思想表現動詞
知る - 知れる、知られる、知らされる
思う - 思われる、思わされる
考える - 考えられる、考えさせられる
認(みと)める - 認められる、認めさせられる(使役)
xx を 知る、思う、考える、認める -> xx が 知られる、思われる、考えられる、認められる
xx と 知る、思う、考える、認める -> xx と 知られる、思われる、考えられる、認められる
xx と みなす - xx と みなされる
受身、自発の区別は難しいのではないか?
英語でよく使われる表現に
I am interested in xxx
I am pleased, delighted that xxx
I was impressed by xxx
I was surprised by xxx
と言う受身表現がよく使われる。一方能動表現の
xxx interests me.
xxx pleases me.
xxx impressed me.
xxx surprised me.
を聞くのはまれではない。簡潔で無駄がなく、因果関係が直接的で意味もよく伝わる。私は最近よく使う。これらの能動表現に比べると、上の受身表現は見方をかえると自発表現といえないか?しかし、例は少ないが、英語の受身表現自体には被害 / 迷惑の感じはなく、中立的なのだ。日本語の受身表現が往々ににして被害 / 迷惑の感情を伝えるのと大きな違いと言っていい。
いろいろ疑問があるのでまだ終わりではないが、まとまりがなく長くなったので、とりあえずここで止めておく。出だしで<破壊、損傷関連の動詞をまずはじめにとりあげるのは特に意図があるわけではないが>とかいたが、明確ではなかったが少しは意図があった。以前に
ドイツ語の接頭辞(prefix)- 15<ver->
というポストを書き、これと関連のある長らく書きかけ中の
イタリア語の接頭辞 -1 <s->
というポストとの関連が頭のすみにあった。今もあるので、芋ずる式にこれを展開する予定。
sptt
Friday, May 25, 2018
使役とはなにか?- 使役の<さす、させる>
今書いている ”他動、使役の<xx す>動詞” が相当長くなり、読みにくくなってきたので、辛抱強く読めない人のために、一部を独立させることにした。独立させた部分の趣旨は大体同じだが、まったくのコピーということではない。
使役とはなにか? 使役の定義はなにか? 簡単のようだが、そう簡単ではない。
手元の辞書(三省堂、新明解)では
1)人を使ってなにかをさせる。
2)文法: だれかにある行為をさせる意を表す。
となっている。<だれかに>とあるので使役の対象は人のようだが、かならずしも人でなくてもいいようだ。
文法的には
自動詞の場合: yy(誰々、何々) に xx せる、させる、す、さす。
他動詞の場合: yy(誰々、何々) に zz を xx せる、させる、す、さす。
ただし目的語の<zz を>は了解されていればしばしば省かれる。
例: 太郎に読まさす。、
太郎に本を読まさす。 -> 太郎に読まさす。
は普通だ。<本を>が省略されたものとみなして<読ま>は基本的に他動詞。
さらに日本語の場合主語も往々にして省かれてしまう。<太郎に読まさす>は主語のない不完全な文だが、 <太郎に読まさす>は往々にして
私は(が)太郎に読まさす。
の意で<私は(が)>が省かれてしまう。<私>以外の場合は主語(xxが)、主題(xxは)を加えるのが普通。
先生が(は)太郎に読まさす。
あなたが(は)太郎に読まさせたらどうか? (この<あなたが(は)>も往々にして省かれる。)
などとなる。 主語(xxが)も主題(xxは)も意味上は使役主だ。
英語の使役は
to make yy(誰々、何々)+ 動詞原形
to let yy(誰々、何々)+ 動詞原形 (使役よりも許可の意が強い)
が代表。ミソは<動詞原形>。最近よく< to help + 動詞原形>を新聞(私は香港在住で英字新聞はSouth China Morning Post のことと言っていい)で目にするが邪道だろう。おそらく、広東語(口語)では<帮(to help>は<帮我xx(動詞)>、<帮你xx(動詞)> の形でよく使われ、この影響があるだろう。
to ask yy(誰々、何々)+ to 動詞原形 (to infinitive)
は文法上は使役形ではない。使役の意味が強い to force を使って
to force yy(誰々、何々)+ to 動詞原形
あるいは許可の意味が強い to permit を使って
to permit yy(誰々、何々)+ to 動詞原形
でも動詞原形ではなくto 動詞原形のため文法上は使役形ではないようだ。日本語文法もこの英語の使役(to make yy(誰々、何々)+ 動詞原形)の影響を受けているようだ。
太郎に銀行へ行かす、行かさす、行かせる、行かさせる。 <行く>は自動詞
ところで
太郎を銀行へ行かす、行かさす、行かせる、行かさせる。
と<太郎に>ではなく<太郎を>とした場合も使役になるのか?
歩く - 歩かす <歩く> 自動詞 また<歩く>は<を>をとる自動詞でもある。
太郎に道を歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
は使役性があきらかだが
太郎を道を歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
はダメだ。 <を>が重なるためだろう。
太郎を道の上で歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
は同じような意味だが、<を>で問題ない。
太郎に道の上で歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
でも問題はない。
人がからまない場合はどうか。
犬に人が来たら吠えさす、させる。
金魚にえさを食べさす、させる。
上の例では犬、金魚が使役の対象のようだが、犬の場合は少しちがうが、金魚の場合は
to make the gold fish eat a bait
to force the gold fish to eat a bait
ではない。おそらく<誰かが金魚にえさを食べさせる>のだが、<誰か>を示さなくても意味が伝わる。もっとも上のような英語はなく、普通は to feed the gold fish 。これで<金魚に餌をやる><金魚にえさを食べさす>の意味になる。人以外の使役で文法法則を見つけるにはもう少し例が必用だが、あえて次に進む。形容詞の場合だ。上記の辞書の定義<2)文法: だれかにある行為をさせる意を表す>からすると、これは使役ではない。
1)部屋をきれいに(暗く)する。
to make the room clean (dark)
2)誰々に部屋をきれいに(暗く)さす、させる。英語では
to make someone make the room clean (dark)
make が重なるのでこうは言わないかも知れないが可能だ。
1)to make the room clean の to make は目的語は the room でそのあとにclean (dark) という形容詞がきている。日本語では
部屋をきれいに(暗く)する
一方
2)to make someone make the room clean(dark) の一番目の to make は使役の働きがあり、
to make yy(誰々、何々)+ 動詞原形(二番目のmake)
の構造。 動詞原形の動詞がたまたま make になっているのだ。日本語では
xx に部屋をきれいに(暗く)さす、させる。
で<する>が二回出てくるわけではない。<さす>、<させる>は使役の助動詞ではなく独立した動詞ともとれるが、
さす - <する>または古語(文語の<す>)の未然形<さ>+使役語(使役の助動詞でもいい)<す>。 つまりは動詞<する>の使役形の終止形なのだ。
させる - <する>または古語(文語の<す>)の未然形<さ>+使役語(使役の助動詞でもいい)<せる>。 つまりはこれまた<する>の使役形の終止形なのだ。
とも解釈できる。手もとの辞書(三省堂、新明解)には<せる><させる>が使役の助動詞として載っている。
ここでは to make the room clean について考えてみる。
to make は他動詞で<xx を作る>が原意だが to make xx 形容詞(yy)の場合は日本語では<xx を yy にする>となる。ポイントは<形容詞(yy)にする>。英語では to make が目的語(原則として人で間接目的語)と原形動詞を従えて使役動詞となる。一方日本語では<する>の使役形が使われる。<する>は英語では to do が相当する。英語ではこの to do が疑問文や否定文を作るのに使われているので、これを使役にも使うと負担(役割)が多すぎるのだ。もっとも日本語の方も今見たように使役動詞、使役助動詞は<す>(<する>の古語、文語)由来で、<する>の未然形<さ>+使役助動詞は
さす
させる
ささす
ささせる (これは少し変だが、こうも言えるようだ)
ささしめる (これはほとんどきかない。だが<さしめる>とは言わないようだ)
となって煩雑だ。
<する>の未然形<さ>と書いたが<する>は
しない
して、しながら
する
するとき
すれば
で上一段活用。未然形は<さ>ではないのだ。これでは具合がわるいので未然形はあるときは<し>、またあるときは<さ>ということになっている。だが<さ>は<する>の古語<す>の五段活用の未然形とも考えらる。
<す>五段活用
さず (未然形)
して、しながら
す
すとき
せば
だが古語<す>に未然形は<せず>で<せ>だ。さらに古語では<せば>(五段活用、昔は四段活用)は仮定形ではなく已然形<したら、すると>。仮定は ”未然形+<ば>” だった。 <さば>ではなく<せば>だったろう。もっとも<なさば>の<なさ>は<なす>の未然形で、<なさば>が使われていただろう。古語<す>も現代語<する>と同じく変格活用だったと見た方がよさそう。
使役がらみの<する>については、今再勉強中のイタリア語は日本語に似たところがある。
from Collins English - Italian On Line Dictionary
English "make" ->Italian translation
使役関連のみ
動詞原形の場合
(cause to do) "fare"
to make sb do sth -> far fare qc a qn
形容詞の場合
(cause to be or become) "fare"
to make sb happy/sad -> rendere or far felice/triste qn
この辞書の解説、例文は簡単だが(ごく一部をコピーしたもので、far fare 以外の言い方もある)示唆するところが多い。
1)fare = する、to do
2)far fare と動詞原形の構造。far は fare の短縮形
3)<誰々に> が英語では sb (somebody)で格(直接、間接目的語だかはっきりしない)に対して a qn (qualcuno)(日本語の<誰々に>に相当)で間接目的語。
4) 動詞原形、形容詞の場合を問わず、基本的な(使役の)意味は to cause であること。
いづれも重要だが、特に4)に注目したい。使役の基本的な意味は to cause なのだ。そして effect の方も示されており、行為の場合は動詞、状態の場合は形容詞+<に>、副詞(暗く)+<さす、させる、ささす、
以上の日本語が英語との対比があるためか翻訳調のところがある。
太郎に部屋をきれいにさす(させる)。
でもいいが
太郎に言って、部屋をきれいにさす(させる)。
とすると実際の日本語らしく、しかも意味がよく伝わる。この場合<言う>が大きな役割をしている。
sptt
太郎を行かす、太郎に行かす-使役の<す、さす>
今書いている ”他動、使役の<xx す>動詞” が相当長くなってきたので、辛抱強く読めない人のために、一部を独立させることにした。趣旨は大体同じだが、まったくの一部コピーということではない。短くよみやすくしたつもりだ。
使役に関連した例文
私は太郎を行かす(行かさす、行かせる、行かさせる、行かしめる)
と
私は太郎に行かす(行かさす、行かせる、行かさせる、行かしめる)
はどこが違う。英語では
I make Taro go.
または
I let Taro go.
でもいいが、使役と言うよりは許可か。ここで Taroは直接目的語か、それとも間接目的語か? おそらく間接目的語だろう。そうだとすると、日本語の方は<私は君に行かせてやる>が相当する。<行く>は自動詞。他動詞の場合はどうか。
私は太郎にテレビを見させる(見させてやる)。
私は花子に食事の準備をさせる。
で
私は太郎をテレビを見させる(見させてやる)。
私は花子を食事の準備をさせる。
は明らかにまちがい。<まちがい>というか、こうはいわなのだ。<xx を yy を> と<を>が重なるためだろう。他の例もあるが他動詞は基本的に直接目的語<yy を>とるので、<xx(だれだれ)に>となるようだ。文法規則よりも語呂が優先するのだが、<語呂の優先>は文法規則と見てもいい。 言葉は話しやすく、聞きやすいほうがいい。
自動詞にもどって
私は太郎を花子に合わさせる。
はいいが
私は太郎に花子に合わさせる。
はダメだ。上記の例から太郎は間接目的語なので<に>をとるはずだが<花子に合わさせる>と<に>があるので、<<xx に yy に> と<に>が重なるのを避けるためだろう。上の例文にもどって
私は太郎を行かす
と
私は太郎に行かす
を考えると、
日本語では使役(許可)文(使役(許可)の助動詞を使った文)では、自動詞の場合<を>が間接目的語をとることになる。だが<行かす>を他動詞とみれば<私は君を行かす、行かさす>の<を>は直接目的語となる。なにかまやかしの説明のようだ。もっとも以上はもともとまやかしで、日本語では<わたしは>はほとんどの場合はぶかれる。<わたしは>の<は>は主格を示す格助詞ではなく<主題>を示す係助詞で、以上の例は主題はあるが主語がない文なのだ。主語がない(表れない)と使役、許可は誰がするのか?日本語ではこれは話者-聞き手の間で暗黙の了解となっている。
sptt
Saturday, May 19, 2018
他動、使役の<xx す>動詞
<xx(動詞語尾)>シリーズの続きの<xx す>動詞なのだが、書き進めているうちに相当長くなってしまった。どうも<xx す>動詞は特殊なのだ。<xx す>は<xx する>の文語のようだが、それ以外に場合によっては使役の意味がある。また場合によっては他動詞化のはたらきもある。他動詞はあるが使役動詞というのはない。手もとの国語辞書(三省堂、新明解)には使役の助動詞として未然形につく<せる>、<させる>、<しめる>というのがあるが、<す>、<さす>も未然形について使役になる(行かす、行かさす)。<す>、<さす>は使役の助動詞ではないのか? <す>、<さす>は活用する。
<す>
行かさない
行かして
行かす
行かす時
行かせば
行かそう
みごとな五段活用だ。だがこれは<行かす>を一つの動詞と見た場合も成り立つ。
<さす>
行かささない
行かさして
行かさす
行かさす時
行かさせば
行かさそう
これまたみごとな五段活用で、これまたこれは<行かさす>を動詞と見た場合も成り立つ。
<行かさす>は独立した動詞というよりは
<行く>の未然形<行か>+使役の助動詞<さす>
とみるのがよさそうだが、<行かす>は三音節と短く、独立した動詞としてもよさそう。だが、いまのところ辞書にはのっていないだろう。<行かす>を 独立した動詞として辞書のせると、解説は
行かす: <行く>の使役形。
とでもなうか? だが、<行かす>を辞書にのせると、他の(それこそたくさんの)動詞の使役形も載せないといけなくなる。
またこれら<せる>、<させる>、<しめる>、<す>、<さす>は許可の意味にもなる。<xx さない、させない、しめない、さない、させない>は不許可。英語を引き合いに出すことになるが
You may go. 君は行ってもいい。君は行ける(可能にもなる)。
You can go. 君は行くことができる。(翻訳調) 君は行ける(許可ににもなる)
で英語の方も<可能-許可>は流動的だ。
使役は
I make you (him, etc) go.
だが
I let you (him) go.
が普通のようだ。使役と言うよりは許可か。日本語では
<私は君を行かせてやる>。 なぜか<私は君に行かせてやる>は少し変だが、まちがいではない。
こまかいことになるが、you (him) は直接目的語か、それとも間接目的語か? おそらく間接目的語だろう。そうだとすると、日本語の方は<私は君に行かせてやる>が相当する。<行く>は自動詞で、他動詞の場合はどうか。
私は君にテレビを見させる(見させてやる)。
で
私は君をテレビを見させる(見させてやる)。
は明らかにまちがい。<まちがい>というか、こうはいわなのだ。<xx を yy を> と<を>が重なるためだろう。他の例もあるが他動詞は基本的に直接目的語<yy を>とるので、<xx(だれだれ)に>となるようだ。
自動詞にもどって
私は太郎を花子に会わさせる。
はいいが
私は太郎に花子に会わさせる。
はダメだ。上記の例から太郎は間接目的語なので<に>をとるはずだが<花子に会わさせる>と<に>があるため、<<xx に yy に> と<に>が重なるのを避けるためだろう。少しもどって
<私は君を行かせてやる>。 (<私は君に行かせてやる>はなぜか少し変だが、まちがいではない。)
を考えると、
日本語では使役(許可)文(使役(許可)の助動詞を使った文)では<を>が間接目的語をとることになる。だが<行かす>を他動詞とみれば<私は君を行かせてやる>の<を>は直接目的語となる。なにかまやかしの説明のようだ。もっとも以上はもともとまやかしで、日本語らしくない。日本語では<わたしは>はほとんどの場合省かれる。省かれるのが普通なのだ。<わたしは>の<は>は主格を示す格助詞ではなく<主題>を示す係助詞で、以上の例は主語がない文なのだ。
<xx す>の<す>は五段活用動詞の未然形について(xxの部分)使役または許可の意味になるが<す>の一語(一音節)で簡潔だ。
<xx う>動詞の未然形<xx わ>について
会う(自動詞) - 会わす
買う(他動詞) - 買わす
以下同じように
<xx く>動詞の未然形<xx か>について<xx かす>
行く(自動詞) - 行かす
書く(他動詞) - 書かす
<xx す>動詞の未然形<xx さ>について<xx さす>
押す(他動詞) - 押さす
後で見るように、<す>は使役性、他動詞性があり、自動詞は少ないとうか、ないのだ。<増す>が例外で<xxを増す>(他動詞)とも<xxが増す>(自動詞)ともいう。先取りすることになるが、
<xxを増す>(他動詞)の使役は
太郎に xx を増させる
xxを増ささせる
xxを増さしめる
xxを増さす
xxを増さす
でいい。一方<xxが増す>(自動詞)には使役がなさそうだが、すこしひねって
太郎に xx が増すようにさせる
が考えられるが、これもごまかし、まやかしの類で直接的な使役ではない。他の自動詞は使役形が可能なのでこれは例外と言えそう。だが他の自動詞の使役は<xx(誰々) が+自動詞>を<xx誰々) を+自動詞の使役形>になるのだ。能動文を受動文にかえる場合と同じようなことがおこる。
太郎は花瓶をこわした。 -> 花瓶は太郎にこわされた。
<太郎が増す>は特別の場合を除きナンセンスな表現なので
川の水かさが増す -> 川の水かさを増さす、増させる、増ささせる
となる。太郎を加えてると
(なにかの方法で)太郎に川の水かさを増さす、増させる、増ささせる
となる。
太郎が花子に会う(自動詞) -> 太郎を花子に会わす。太郎に花子に会わす。(これはダメ)
太郎が行く(自動詞)。 -> 太郎を行かす。太郎に行かす。
太郎が富む。 -> 太郎を富ます、富まさせる。太郎に富ます(これは変だ)、太郎に富まさせる(これは少し変だ)、太郎に富まさす(これはよさそう)
<xx つ>動詞の未然形<xx た>について<xx たす>
立つ(自動詞) - 立たす
持つ(他動詞) - 持たす
太郎が立つ(自動詞)。-> 太郎を立たす、立たせる。太郎に立たす(これは変だ)、太郎に立たたたせる(これは少し変だ)、太郎に立たさす(これはよさそう)
<xx む>動詞の未然形<xx ま>について<xx ます>
富む(自動詞) - 富ます
編む(他動詞) - 編ます
太郎が富む。 -> 太郎を富ます、富まさせる。太郎に富ます(これは変だ)、太郎に富まさせる(これは少し変だ)、太郎に富まさす(これはよさそう)
<xx る>動詞の未然形<xx ら>について<xx らす>
なる(自動詞) - ならす <なる>は多義語。例えば、実がなる、実をならす。鳴る。
取る(他動詞) - 取らす
太郎が病気になる。-> 太郎を病気にする。(使役性は弱い)。太郎を病気にさせる。太郎を病気にさす。太郎に病気にする(ダメ)。太郎に病気にさせる(ほぼダメ)。太郎に病気にさす(ダメとは言いきれないようだ)
太郎が医者になる。。-> 太郎を医者にする。(使役性はやや弱い)太郎を医者にさせる。太郎を医者にさす。太郎に医者にする(ダメ)。太郎に医者にさせる(ほぼダメ)。太郎に医者にさす(ダメとは言いきれないようだ)。
さて話は少し戻って
<す>は五段活用動詞の未然形について(xxの部分)使役または許可の意味になるが<す>の一語(一音節)で簡潔だ。
の話だが、
会う(自動詞) - 会わす
買う(他動詞) - 買わす
行く(自動詞) - 行かす
書く(他動詞) - 書かす
増す(自他兼用) - 増さす
押す(他動詞) - 押さす
立つ(自動詞) - 立たす
持つ(他動詞) - 持たす
<xxふ>という動詞は現代語では文章語でもない。
富む(自動詞) - 富ます編む(他動詞) - 編ます
<xxゆ>という動詞は現代語では文章語やあらたっまときに稀に出てくるくらいで、省略。
なる(自動詞) - ならす <なる>は多義語。例えば、実がなる、実をならす。鳴る。
取る(他動詞) - 取らす
で文法的にみごとな規則だ。<す>以外の<せる>、<させる>、<しめる>、<さす>も
会う(自動詞) - 会わせる
会う - 会わさせる
会う - 会わしめる
会う - 会わさす
などとなる。他の動詞(五段活用)でも同じで規則的だ。さらに自動詞と他動詞の区別があるが問題はなさそう。
買う(他動詞) - 買わせる
買う - 買わさせる
買う - 買わしめる
買う - 買わさす
自発動詞というのはないが自発の助動詞に<れる>、<られる>というのがある。混乱要因として<れる>、<られる>が文脈により受身(被害)、可能、さらには尊敬もあらわしてしまうことがある。自動詞と他動詞、<使役>と<自発>、特に<自発>は日本語文法の特徴なので自動詞とのからみで文法的に少し掘り下げて検討した方がいいと思う。
以上は長い前置きで、冒頭にもどって<xx(動詞語尾)>シリーズを続けて<xx す>動詞を調べてみる。
二音節動詞
あす
いす
うす
えす
おす(押す) 他動詞 対応する自動詞はない。
かす(貸す) 他動詞 対応する自動詞はない。<貸す、借りる>のややこしい対応がある。
<貸す、借りる>も漢字を使わなければ<かす、かりる>となる。<貸す>は他動詞だが基本に使役性があるようだ。<貸さす>、<貸させる>、<貸させる>。<貸ささす>という使役形はほとんど聞かない。また<貸される>という受身もほとんど聞かない。一方<借りる>も他動詞だが、こちらは基本に受身性があるようだ。<借りす>、<借りせる>はないが<借りさす>、<借りさせる>は問題ない。だが<借りれる>、<借りられる>は可能で受身にならない。 受身はどういうのか?
太郎は花子に金を貸す。--> 花子は太郎から金を貸される。(これは変だが可能)
太郎は花子から金を借りる。--> 花子は太郎から金を借りられる。(これもかなり変だが可能。この<借りられる>は可能ではなく受身だ)
受身形にとらわれず、<貸す><借りる>を自由に使えば
太郎は花子に金を貸す。--> 花子は太郎から金を借りる。
太郎は花子から金を借りる。--> 花子は太郎に金を貸す。
となる。
きす(着す) 他動詞 <着せる>が普通。 <着る>の使役形だが使役性は薄い。
くす
けす(消す) 他動詞 自動詞: 消える(消ゆ)
こす(越す、超す) 他動詞 <越える(越ゆ)、超える(超ゆ)>も他動詞。(<を>をとる自動詞という見方もある)
こす(濾す) 他動詞。 対応する自動詞はない。
さす これはこれまでに幾度か述べているが、手元の辞書には載っていないが使役(許可)の助動詞候補でもある。分析すると、<する>の古語<す>の未然形<さ>+使役の<す>だ。<させる>が一般的だが、<さす>から<させる>はもっと一般的に<す>から<せる>への移行に関連しよう。
さす(指す) 他動詞 北を指す
さす(差す) 自他兼用 日が差す(射す)、 カタナを差す
さす(刺す) 他動詞 ナイフを刺す、 自動詞: 刺さる トゲが刺さる (この<刺さる>は変な動詞で、別のポストで調べたことがある。)
しす(死す) <死す>漢語由来で純やまとととばではないだろう。
すす
せす
そす
ざす <座す>は漢語由来で大和言葉ではない。
じす <辞す>も漢語由来で大和言葉ではない。以下煩雑になるのでいちいち書かない。末尾参照。
ずす
ぜす
ぞす
たす(足す) 他動詞 自動詞: 足りる(足る) <足す:足りる>は<加える:加わる>の対にならない。
ちす
つす
てす
とす
だす(出す) 他動詞 自動詞: 出る
ぢす
づす
です
どす
なす(為す、成す) <借金をなす(返す)>という言い方ある。他動詞。 自動詞: なる(成る)。
にす(似す) <xx に似す>なので自動詞のようだが、意味的には<yy を xx に似す>の省略で<似す>は他動詞だろう。<似せる>が一般的。 <似さす>それに<似る>の<似らす>という言い方がある。 自動詞: 似る
ぬす
ねす <寝かす>、<寝かせる>、<寝さす>が普通だろう。 自動詞: 寝(ね)る
のす(伸す) そのままではほとんど聞かないが、<のしていく、のし上がる、のさばる、>という言い方がある。<のる(伸る)>は<身をのりだす>、<のるかそるか>というのがある。<伸(の)す>は<伸(の)る>に、に対応するが、<のす>は<世界にのす>とも<世界をのす>(まれか)ともいうので自他兼用か?関連では<伸ばす>は<伸びる>の対応がある。そのままではほとんど聞かないが<身をのりだす>、<のるかそるか>という慣用的な言い方がある。伸(の)る>は<乗る>と関連があるか?
はす
ひす
ふす(伏す) 他動詞。 <身を伏す>だが<身を伏している>、<犬が伏している>とは言わないのだ<伏せる>が一般的だろう。。<伏せる>は自他兼用か? 犬が前方に伏せている。 犬が前方に身を伏せている。
へす
ほす(干す) 他動詞 自動詞なし。
ます(増す) 自他兼用 人口が増す、食料(給料)を増す
みす
むす(蒸す) 他動詞 ご飯(イモ)を蒸す。 <蒸せる>は可能以外に自発になるか?<ご飯(イモ)が蒸せる>。<胸がむせる>の<むせる>は関連動詞か。
めす(召す) 他動詞。 着物を召す。 何を召しあがりますか? xxに召し使わす(やや古語か)
もす(燃す) 他動詞。 自動詞: 燃える(燃ゆ)。 燃やす(他動詞)。 <燃す>と<燃やす>はどこが違う?
やす
ゆす
よす(寄す) 他動詞。 <寄せる>が普通。自動詞<寄る>の使役形だが、使役性は薄い。
よす 他動詞 <やめておく、しないでおく>といった意味だ。
わす
<濁音+す>は<出(だ)す>しかないようだ。
以上の例では、他動詞<x す>、自動詞<x る>の対応が見られる。
だす(出す) 他動詞 自動詞: 出る (語幹が<だ>から<で>へ移っている)
なす(為す、成す)他動詞。 自動詞: なる(成る)
伸(の)す 他動詞 自動詞: 伸(の)る
使役形の他動詞<x せる>、自動詞<x る>の対応が見られる。
きす(着す) 他動詞。 <着せる>が普通。 自動詞: 着る
にす(似す) 他動詞。 <似せる>が普通。 自動詞: 似る
よす(寄す) 他動詞。 <寄せる>が普通。 自動詞: 寄る
他動詞<x す>、自動詞<x える、せる>の対応が見られる。
けす(消す) 他動詞 自動詞: 消える (語幹が<け>から<き>へ移っている。だがこれは古語<消(き)ゆ>から<きやす>から<きえす>、<きえす>から<けす>になった可能性の方が高い。)
ふす(伏す) 他動詞。 <伏せる>は自他兼用。
むす(蒸す) 他動詞 ご飯(イモ)を蒸す。 <蒸せる>は可能以外に自発になるか?ご飯(イモ)が蒸せる。
もす(燃す) 他動詞 自動詞: 燃える(これは古語<燃ゆ>由来)。
以上から<す>、<せる>が他動詞にからみ、<る>、<れる>、<える>が自動詞にからんでいることがわかる。(ここがこのポストのポイント)。
<x す>の二音節動詞は多くない。(末尾注)
<す>の他動(他動詞化)、使役が明らかに出てくるのは三音節以上の動詞だ。
三音節動詞(四音節動詞)
xあす
xいす
xうす
かえす(返す) 他動詞 自動詞: かえる(返る)
たおす(倒す) 他動詞 自動詞: たおれる倒れる) <- たおる(倒る)
なおす(直す、治す) 他動詞。 自動詞: なおる(直る、治る)
あかす(明かす) 夜(秘密)を明かす 夜が明く(自動詞) 夜が明ける <秘密が明かる>とは言わない
あかす(開かす) <戸を開かす>とは言わない。<戸を開けさす>だ。 戸を開ける 他動詞戸があく(開く) 自動詞
あかす(空かす) <部屋を空かす>とは言わない。<<部屋を空けさす>だ。 部屋を空ける 他動詞 部屋があく(空く) 自動詞
いかす(行かす) <行く>(自動詞)の使役。
いかす(生かす) <生きる>は自動詞のようだが<長い一生を生きた>などともというので自他兼用。 生きる <- 生くる <- 生く。 <生かす>は使役形のようだだが、<生きる>の未然形は<生き>で上一段活用。<生きさす、生きさせる>はいいが<生きす>、<生きしめる>、<生きせる>はダメだ。<生きさしめる>は長いがよさそう。<生く>が五段活用(昔は四段)だと、未然形は<生か>で<生かす>、<生かさす>、<生かせる>、<生かさせる>、<生かさしめる>は長いがよさそう。かなり複雑でわけがわからなくなりそうだ。
いかす(活かす) 他動詞 <役立てる、有効に使う>の意がある。 自動詞: 活きる
うかす(浮かす) 他動詞 自動詞: 浮く(自動詞) 浮かべる(他動詞)。<浮かす>と<浮かべる>は違う。
おかす(犯す、侵す) 他動詞 自動詞はない。
おかす(置かす) 置く(他動詞)の使役。
かかす(欠かす) <xx を欠かす>、<xx を欠かさない>で他動詞、五段活用。 <xx を欠く>で<欠く>も他動詞。<xx が欠かせない>で<欠かせる>は自動詞、下一段活用のようだが<xx が欠かせる>は変だ。 欠ける(自動詞)。 かなり複雑。
きかす(聞かす) 聞く(他動詞)の使役。
さかす(割かす、裂かす) 割く、裂く(他動詞)の使役。 割ける、裂ける(自動詞、自発、可能)
さかす(咲かす) 咲く(自動詞)の使役。 <咲かせる>、<咲かさせる>もある。
しかす(敷かす) 敷く(他動詞)の使役。 <敷かせる>、<敷かさせる>もある。
すかす(梳かす) <(紙)を梳く>という他動詞があるが<紙を梳かす>も他動詞。<梳かせる、梳かさせる>が使役。<紙を梳く>と<紙を梳かす>は大差ないようだ。
すかす(透かす) 他動詞。 <透く>も他動詞のようだ。<透ける>は自動詞。意味は<視覚的にあるモノに光を当てて中身を見えるようにする、中身が見えるようになる>。<見る/見える>は別の動詞だが、<透かして見る>とか<透けて見える>とようく言う。<透かす>は<透く>の使役形のようだが、<透かさす>といえるので、他動詞。一方<xx を透いて見る>とはあまり言わない。したがって<透ける(自動詞)/ 透かす(他動詞)のペアか?
すかす(空かす) <空く>は<腹が空く>で自動詞、自発。<空かす>は<腹を空かす>で他動詞。<空かさす>は<腹を空かさす>で使役だが、変な使役だ。<腹を空かせる>という言い方もあるが、使役をすると、だれが<空かさせて>いるのか? これも変な使役だ。
せかす(急かす) 急く(自動詞)の使役。
たかす(焚かす) 焚く(他動詞)の使役。 焚ける(自動詞、自発、可能)
つかす(着かす) 着く(自動詞)の使役 <着ける>は着く(自動詞)の可能とも他動詞ともなる。時間までに車を着ける。
つかす(突かす) 突く(他動詞)の使役
とかす(溶かす) 溶く(他動詞)。<溶かす>は使役というよりは<溶く>と同じような他動詞。<溶かさす>が使役。 溶ける(自動詞、自発、可能)
とかす(解かす) 解く(他動詞)の使役。 解ける(自動詞、可能、自発)
とかす(梳かす) <(髪)を梳く>で<梳く>も他動詞。<梳かさす>は<梳かす>の使役。
どかす(どける) 他動詞 <どく>は自他両用。<ここからどく>。<ここをどく>。<どけさす>は<どける>の使役か。だが<ここからどける>とも言うようだ。<ここをどける>はダメか?
(とどかす、届かす) 届く(自動詞)の使役。 <届ける>は他動詞。
なかす(泣かす、鳴かす) 泣く、 鳴く(自動詞)の使役。
のかす(のける) <のく>は自他両用。<ここからのく>。<ここをのく>。<のけさす>は<のける>の使役か。だが<ここからのける>とも言うようだ。<ここをのける>はダメか?
はかす(履かす) 履く(他動詞)の使役。
はかす(掃かす、吐かす) 掃く、吐く(他動詞)の使役
ばかす(化かす) 他動詞。 化ける(自動詞)
ふかす(吹かす) <吹く>の使役。<吹く>は自他両用。 風が吹く。 笛を吹く。
ふかす 他動詞 芋をふかす 自動詞:ふける 芋がふける
まかす(負かす) 他動詞。 自動詞: 負ける。 <負けさせる>は<負ける>の使役。
まかす(任す) 他動詞。 対応する自動詞はない。
むかす(向かす) 向く(自他両用) コンパスは北を向く、 コンパスは北に向く。<向ける>という他動詞もある。さらには<向かわす>という使役がある。
めかす(めかしこむ)
わかす(沸かす) 他動詞。 自動詞: 沸く(湧く)
<x かす>だけでかなり長くなったので、解説を加えておく。(ここが肝心というか、このポストの主旨) <x かす>動詞が多いのは
1)<x x かす>は五段活用<xx く>動詞の未然形<xx か>+<す>で使役をあらわす(ことが多い)。 マトリックス的になるが自動詞の使役と他動詞に使役があることに注意。
これははじめに書いた
使役の助動詞に<せる>、<させる>(私の手元にある三省堂の辞書による)がある。さらには文語的な<しめる>といのがあるが、ややこしくなるので<しめる>は基本的に取り上げない。
と書いたが、この<さ>はなにか? たとえば
いかす(行かす) <行く>(自動詞)の使役だが、使役性が薄いようだ。<行かす>は他動詞か? あるいは<行く>(自動詞)の使役形にとどまるのか? さらには<行かせる>、<行かさす>、<行かさせる>という使役形がある。<を>取れば他動詞。<を>を取らなければ自動詞とすると、<行かす>は
<太郎を行かす>であれば<行かす>は他動詞。 <行かせる>、<行かさす>、<行かさせる>でも同じ。
<太郎に行かす>であれは<行かす>は自動詞。<行かせる>、<行かさす>、<行かさせる>でも同じ。
他動詞の場合はどうか?
かかす(書かす) <書く >(他動詞)の使役だが、、使役性が薄いようだ。<書かす>は独立した他動詞か? あるいは<書く >(他動詞)の使役形にとどまるのか?
<太郎を書かす>はダメで、
<太郎に書かす>、あるいは<太郎に xx を書かす>になる。<書かせる>、<書かさす>、<書かさせる>でも同じ。
つかす(着かす) <着く>(自動詞)の使役とも他動詞ともなるようだ。 <着ける>は<着く>(自動詞)の可能とも他動詞ともなる。他動詞として<時間までに車を着ける>。
だが、、<着かさす>、<着かさせる>はいいが、<着かささす>、<着かささせる>はおかしい。<着けさせる>はいい。
時間までに車が着く。
時間までに車が着ける。 (可能)
時間までに車を着ける。(他動詞、使役性はない)
使役形は
時間までに車を着かす。
時間までに車を着かさす。
時間までに車を着かさせる。
時間までに車を着けさす。
時間までに車を着けさせる。
といろいろあり、どれも可能のようだ。重箱の隅をつつけば、微妙な違いがあるようだ。
使役の定義、さらには使役形と他動詞の違いを明確にしないといけないのだが、実際には明確でなく、かなり使役的なものと、使役性(使役度)が薄いもの、はたまたその中間の動詞といった具合なのか?
使役の定義はなにか? 使役とはなにか? 簡単のようだが、そう簡単ではない。
文法的には
yy(誰々、何々) に xx さす、(さ)せる (す、せる)
yy(誰々、何々) に xx を zz さす、( さ)せる (す、せる) これは他動詞の場合。ただし<yy を>の目的語はしばしば省かれることがある。 例: 太郎に読まさす。
日本語の場合主語も往々にして省かれてしまう。
太郎に読まさす。
は普通
私は太郎に読まさす。
だが状況により
先生は太郎に読まさす。
にもなる。
英語では
to make yy(誰々、何々)+ 動詞原形
to let yy(誰々、何々)+ 動詞原形 (使役よりも許可の意が強い)
ミソは<動詞原形> で
to ask yy(誰々、何々)+ to 動詞原形 (to infinitive)
は文法上は使役形ではない。使役の意味が強い to force を使って
to force yy(誰々、何々)+ to 動詞原形
あるいは許可の意味が強い to permit を使って
to permit yy(誰々、何々)+ to 動詞原形
でも 動詞原形ではなくto 動詞原形のため文法上は使役形ではないようだ。日本語文法もこの英語の使役の影響を受けているようだ。
太郎に銀行へ行かす、行かさす、行かせる、行かさせる。 <行く>は自動詞
ところで
太郎を銀行へ行かす、行かさす、行かせる、行かさせる。
と<太郎に>ではなく<太郎を>とした場合も使役になるのか?
歩く - 歩かす <歩く> 自動詞 また<歩く>は<を>をとる自動詞でもある。
太郎に道を歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
は使役性があきらかだが
太郎を道を歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
はダメだ。 <を>が重なるためだろう。
太郎を道の上で歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
は同じような意味だが、<を>で問題ない。
太郎に道の上で歩かす、歩かさす、歩かせる、歩かさせる
でも問題はない。
<歩かす>が一番短い(効率的な)言い方だ。これ(動詞未然形+す)は <xx う>、<xx す>、<xx つ>、<xx む><xx る>の五段活用動詞でも同じ。自動詞、他動詞を問わない。
言う - 言わす <xx を言うで他動詞>、<xx と言う>で自動詞か? 言わさす、言わせる、言わさせる。
太郎を言わす、 言わさす、言わせる、言わさせる
はダメで
太郎に言わす(太郎にyyを、yyと)、 言わさす、言わせる、言わさせる
以下他動詞では<太郎を>は具合がわるい。
買う - 買わす <買う> 他動詞 買わさす、買わせる、買わさせる
歩く - 歩かす <歩く> 自動詞 - 上記参照
貸す - 貸さす <貸す> 他動詞 貸ささす、貸させる、貸ささせる
持つ - 持たす <持つ> 他動詞 持たさす、持たせる、持たたせる
立つ - 立たす <立つ> 自動詞 立たさす、立たせる、立たさせる
太郎を廊下に立たす、立たせる、立たさせる
はいいが
太郎に廊下に立たす、立たせる、立たさせる
はダメだ。今度は<に>が重なるためだろう。
廊下に<立たされた>経験があるが <立たさせられた>、<立たせられた>でもいい。
飲む - 飲ます <飲む> 他動詞 飲まさす、飲まさせる、飲ませる
<富む>は自動詞。
富む - 富ます <富む> 自動詞 富まさす、富まさせる、富ませる
太郎を富まさす。
は簡単だがこのままで意味のある文章になる。これは使役のようだが<富まさす>、<富まさせる>は<富む>に未然形<富ま>+助動詞<さす>、<させる> と解釈できるが、<富ます>を他動詞として<富ます>の未然形<富まさ>+<す>、<せる>でもいい。だが<<富まさ>+<させる>の<富まささせる>はおかしい。<富ます>自体に使役のニュアンスがあり。 to make Taro rich. だ。 to make rich が<富まさす>にあたる。
花子に太郎を富まさす。
とはあまり言わないが可能で、これは
to make Hanako to make Taro rich に相当。 (むかし意味ありげな<あげまん>というのがあった)
売る - 売らす <売る> 他動詞 売らさす、売らさせる、売らせる
冒頭でもふれたが
使役<す>の活用は
行か(未然形)さ(未然形)ない
行か(未然形)し(連用形)て、ながら
行か(未然形)す(終止形)
行か(未然形)す(連体形)時
行か(未然形)せ(仮定形)ば
という五段活用になる。
<せる>は
行か(未然形)せ(未然形)ない
行か(未然形)せ(連用形)て、ながら
行か(未然形)せる(終止形)
行か(未然形)せる(連体形)時
行か(未然形)せれ(仮定形)ば
という下一段活用になる。
ところで、繰り返しになるが
行かさない(せない)
行かして(せて)
行かす(せる)
行かす(せる)時
行かせ(せれ)ば
上の例文だけを読むと<使役>というよりは<許可>の意味のほうが強くないだろうか?特に否定の
太郎を行かさない
太郎は行かせない
太郎には行かさせない
は<不許可>と言える。
太郎に行かせることはない
太郎を行かせることはない
太郎は行かせることはない
太郎には行かせることはない (これは変だ)
で使役の意味が少し出てくる。
さて使役語がつく動詞が五段活用以外はどうか?
上一段活用
<見る>
太郎にこの写真を見す。 <見る>は他動詞。 <見す>は(少なくとも現代の日本語では)ダメで、<太郎にこの写真を見さす、見させる>となる。この場合使役というよりは許可のニュアンスが強い。<太郎にこの写真を見さしめる>とでもなるか。だがこれらの場合<見さ>の<さ>は何か?<見す>(五段活用)の未然形<見さ>ではないか?手もとの辞書では<さす>、<させる>にくわえて<しめる>が使役の助動詞としてあげられている。<さしめる>ではない。どうも混乱があるようだ。<見す>(五段活用)があったとすると
<見す>の未然形<見さ>
見さ す
見さ せる
見さ しめる
となりすっきりする。
<起きる>
太郎に朝早く起きす。 <起きる>は自動詞。 <起きす>はダメで、<太郎に朝早く起きさす、起きさせる>となるがややおかしい。 実際には<太郎を朝早く起こす>というようだ。<起こす>は他動詞。<起こす>は他動詞だが<起きさせる>と使役の意味が含まれているようだ。そして<起きさせる>とはあまり言わないようだ。<太郎を朝早く起こさす>、<太郎を朝早く起こさせる>もややおかしいがまったくダメというわけでもないがかなり冗長だ。
<xxを悔いる> 他動詞
<悔いる>はもともと(悔ゆ>のようで未然形は<悔わ>であったが、その後上一段に変わっていた可能性がある。
太郎にxxを悔いさす、悔いさせる。<悔いす>、<悔いせる>、<悔いしめる>はダメ。<悔いさしめる>ならいい。
<xxに飽(あ)きる> 自動詞
<飽(あ)きる>はもともと(飽く>(五段活用)で未然形は<飽か>であったが、その後上一段に変わって行った可能性がある。
太郎にxxに飽きさす、飽きさせる。<飽きす>、<飽きせる>、<飽きしめる>はダメで<飽きさしめる>ならいい。
上記の四例だけだが、上一段はややこしいようだ。話がながくなりそうなので別途検討。
下一段活用
太郎に家を建てす。 <建てる>は他動詞。 <建てす>、<建てせす>はダメで、<太郎に家を建てさす、させる>となる。<(太郎をして)家を建てさしめる>は文語調だがよさそう。
太郎に運動場で駆(か)けす。 <駆ける>は自動詞。 <駆けす>、<駆けせす>はダメで、<太郎に運動場で駆(か)けさす、させる>となる。 <(太郎をして)動場で駆(か)けさしめる>は文語調だがよさそう。
したがって、上一段活用、下一段活用の動詞では<動詞未然形+<す>で使役を表わす>(動詞未然形<せる>で使役を表わすも)の法則が成り立たない。
話は<x かす>動詞からさらにずれてしまうが<自発の使役>にふれておく。おもしろい問題で別途検討予定。
水を流がす。 <流がす>は他動詞。 <水を流がす>は使役性が弱い。 水を流がさす。 水を流がさせる。
水が流がれる。 <流がれる>は自動詞。 水を流がれす。(ダメ) 水を流がれさす。 水を流がれさせる。(冗長)
<水を流がさす>と<水を流がれさす>は使役性があるが同じではない。
<水を流がさす> - 誰々に<水を流がさす、流させる>の<誰々に>が省かれている可能性がある。だがこれは暗黙の了解ともいえるが、なぜ<暗黙の了解>かというと、<誰々に>を不定(不特定)としているのだ。ここはわかりにくいかも知れないが、文法上は大事なところ。繰り返しのようになるが
太郎に水を流がさす(させる)。
で使役性がはっきりする。だが<太郎に>がない場合の
水を流がさす(させる)。
は
<誰々に>が省かれている
とも言い切れないのだ。 <太郎に>の場合は使役性が高いが、
私に水を流がさす(させる)。(流がさせてください) - 許可
あなたに水を流がさす(させる)。(流がさしてやる) - 許可
さらには
水が流がれていないので(つまっているので)、 水を流がさす(させる)。
ともなる。 この場合<水>が使役の対象になっているとも考えられる。ここがポイントで、
水を流がさす(させる)
のような自動詞さらには自発的な自動詞の使役形とは自動詞も意味(流れる)を<助ける、助長する>ことなのだ。
落ちる - 木のは葉が落ちる 。
木の葉を落とす。(他動詞)
木の葉を落とさす、落とさせる。
木の葉を落ちさす、落ちさせる。 (自動詞の使役)
はげる - 壁のペンキがはげる。
壁のペンキをはがす。(他動詞)
壁のペンキをはがさす、はがさせる。
壁のペンキをはげさす、はげさせる(自動詞の使役)
動く - おもちゃの自動車が動く。
おもちゃの自動車を動かす。(他動詞)
おもちゃの自動車を動かさす、かさせる。
<動かす>は使役性が薄い他動詞。
<おもちゃの自動車を動かさす、かさせる。>はなぜか<自動詞(動く)の使役>の意が薄く他動詞<動かす>の使役のニュアンスが濃い。(別途検討予定)
このポストの書き出しでの ” 自動詞、他動詞-6 日本語の他動詞、自動詞の作られ方 ” からの引用で ” <xxれる-xxる>、<xxれる-xxす>の形式の自動詞-他動詞のペア ” と書いたが、書き直せば
1)<xx る-xxれる>の形式の他動詞-自動詞のペア、がある。
2)<xxす-xxれる>の形式の他動詞-自動詞のペア、がある。
さらには上で述べた
以上から<す>、<せる>が他動詞にからみ、<る>、<れる>、<える>が自動詞にからんでいることがわかる。(ここがこのポストのポイント)。
を念頭に置いておこう。
さてかなり横道にそれたが、<xx す>動詞に戻って続ける。
xきす
xくす
xけす
おこす(起こす) 起きる(自動詞)
のこす(残す) 残(のこ)る(自動詞)
けがす(汚す) 汚れる(自動詞)
さがす(探す) 探(さぐ)る(他動詞)
ながす(流す) 流れる(自動詞)
とがす(とがらす) とがる(自動詞)
にがす(逃がす) 逃げる(自動詞)
のがす(逃がす) 逃がれる(自他両用)
はがす(剥がす) 剥げる(自動詞、自発、可能) 禿げる(自動詞)
xぎす
ほぐす
xげす
すごす(過ごす) 過ぎる(自動詞)
にごす(濁す) にごる(自動詞)
おさす(押さす) 押す(他動詞)の使役
けさす(消さす) 消えさす <消す>が一般的。 消える(自動詞)
こさす(来さす) 来(こ)らす 来る(自動詞)
こさす(越さす) 越えさす 越える(他動詞、あるいは<を>をとる自動詞)
ささす(させる) する(他動詞)
ささす(刺さす、差さす、指さす) 刺す、差す、指す (他動詞)
なさす(為さす、成さす) なす(他動詞)
にさす(似さす) 他動詞 自動詞<似る>だが、<xx に似さす>は上一段活用の<似る>の未然形<似(に)+さす>で自動詞)<似る>の使役形でもいい。
にさす(煮さす) 煮る(他動詞) <煮える>は自動詞で自発の意がある。受身は<煮られる>。これは他動詞<煮る>の未然形<煮(に)>+られる。ややこしいが<煮れる>は可能。
まさす(増さす) 増す(自他両用)
みさす(見さす) 見る(他動詞)の使役。<見させる>でもいい。見える(自動詞)。<見せる>は他動詞。用法は複雑。
もさす(燃さす)、燃えさす <燃す>他動詞、 燃える(自動詞、自発、可能)
よさす(寄さす)、寄せさす <寄す><寄せる>他動詞、 寄る(自動詞)
<xさす>動詞が多いのは<xす>の動詞が多いため。上で見た<x く>由来の<x かす>動詞が多いのと同じ。
xしす
xすす
xせす
xそす
かざす(かざす)
とざす(閉ざす) 閉じる(自動詞)
めざす(目指す)
xじす
くずす(崩す) 崩れる(自動詞)
xぜす
xぞす
いたす(致す) 他動詞 <する>のかしこまった言い方。 関連語と思われるが<xx に至(いた)る、到(いた)る>という自動詞がある。
たたす(立たす) 他動詞。 自動詞<立つ>の使役。 <立てる>という他動詞がある。
はたす(果たす) 他動詞。 自動詞は<果てる>。<果たす>と<果てる>では意味にズレがある。
またす(待たす) 待つ(自動詞) 使役形では<待たせる>、<待たさす>、<待たささせる>がある。
xちす
xつす
xてす
さとす(諭す) <xxを諭す>で他動詞となるが<xx と諭す>は自働詞か他動詞か? <さとる>も他動詞で<悟る>と書くと意味が相当違ってくるが関連語だろう。
ただす(正す)
ほだす <ほだす>は他動詞だがほとんど聞かない。普通は<ほだされる>と受身で使う。
xぢす
xづす
xです
やどす(宿す) 宿る(自動詞)
こなす こなれる(自動詞)
みなす(見なす)
xにす
xぬす
xねす
xのす
xはす
xひす
xふす
xへす
xほす
<は行>音は古語ではあったよだが、現代語では<あ、わ、い、う、え、お)。
(あそばす) あそぶ(遊ぶ、自他動詞)の使役)
(ころばす) ころぶ(自動詞))
とばす(飛ばす) 飛ぶ(自動詞) <空を飛ぶ>というので<を>をとる自動詞か?
のばす(伸ばす、延ばす) 伸びる、延びる(自動詞)
(はこばす) はこぶ (運ぶ)(他動詞)の使役
(よろこばす) よろこぶ( 自他動詞)の使役)
xびす
かぶす かぶる(他動詞)の使役
つぶす つぶれる(自動詞) (破壊)自発
xべす
(およぼす、及ぼす) 及ぶ(自動詞)
(ほろぼす、滅ぼす) 滅びる(自動詞)(消滅)自発
あます(余す) 余る(自動詞)
あます(編ます) <編む>(他動詞)の使役
うます(生ます) 生まれる(自動詞) (発生)自発 <生む>は他動詞
かます(くさびをかます)
かます(噛ます) <噛む>(他動詞)の使役
くます(組ます) <組む>(他動詞)の使役
こます(込ます) <込む>(他動詞)の使役
さます(覚ます) <目をさます>の<さます>は他動詞。覚める(自動詞)。使役は<目をさまさす>、<目をさめさす>で意味が少し違う。
さます(冷ます) 冷める(自動詞) 暖(あたた)まる- 暖/温(あたた)める
(からます、絡ます) 絡む(自動詞) 絡まる- 絡める
すます(済ます) 済む(自動詞)
とます(富ます) 富む(自動詞)
のます(飲ます) <飲む>(他動詞)の使役
よます(読ます) <読む>(他動詞)の使役
xみす
xむす
しめす(示す)
ためす(試す)
のめす(たたきのめす)
かもす(醸す)
ともす(灯す) 灯る(自動詞)
あやす 赤ん坊をあやす
いやす(癒す) 癒える(自動詞)
こやす(肥やす) 肥える(自動詞)
たやす(絶やす) 絶える(自動詞)
(ついやす、費やす) 費える(自動詞)
はやす(生やす) 生える(自動詞)
はやす(囃す)
ひやす(冷やす) 冷える(自動詞)
ふやす(増やす) 増える(自動詞)
もやす(燃やす) 燃える(自動詞)
少し例外があるが<やす-える>の対応がある。この対応がある<x やす>は<x ゆ>由来だ。 <x ゆ>の五段活用の未然形+<す>。<x ゆ>動詞は自働詞。したがって<x ゆ>-><x える>と変わったものだろう。
xゆす
xよす
あらす(荒らす) 荒れる(自動詞)の使役 <荒れる> (荒廃)自発
おらす(折らす) 折る(他動詞)」の使役。 自動詞<折れる> (破壊)自発
からす(枯らす) 枯れる(自動詞)の使役 <枯れる> (衰退)自発
きらす(切らす) 切る(他動詞)」の使役。 自動詞<切れる>は可能、(破壊)自発
くらす(暮らす)
(こまらす、困らす) こまる(困る)(自動詞)の使役
こらす(凝らす) 凝る(自動詞)の使役
さらす(去らす) 去る(自他動詞)の使役
さらす(晒す)
しらす(知らす) 知る(他動詞)の使役。<知らせる>とほぼ同じ。 <知れる>、<知られる>
すらす(擦らす) 擦る(他動詞)」の使役。 自動詞<擦れる>は可能、許可 (破壊)自発
せらす(競らす、せらせる) 競る(自動詞)の使役
そらす(逸らす) 逸れる(自動詞)
そらす(反らす) 反る(自動詞)の使役
そらす(剃らす) 剃る(他動詞)」の使役。 自動詞<剃れる>は可能。このカミソリはひげがよく剃れる。 受身は<剃られる> ひげを剃られる。
たらす(垂らす) 垂れる(自動詞)
ちらす(散らす) 散る(自動詞)
(つまらす、詰まらす) 詰まる(自動詞)
つらす(吊らす) 吊る(他動詞)」の使役。
つらす(釣らす) 釣る(他動詞)」の使役。
てらす(照らす) 照る(自動詞)
とらす(取らす) 取る(他動詞)」の使役。
ならす(慣らす) 慣れる(自動詞)の使役
ならす(鳴らす) 鳴る(自動詞)
にらす(似らす) 似る(自動詞)の使役
ぬらす(濡らす) 濡れる(自動詞)
ねらす(練らす) 練る(他動詞)」の使役。
ねらす(寝らす、寝さす) 寝る(自動詞)の使役
(はまらす、嵌らす) 嵌(はま)る(自動詞)の使役。 <嵌める>他動詞
はらす(晴らす)
(はらます、孕ます) はらむ(孕む)(他動詞)の使役。
ふらす(降らす) 降る(自動詞)の使役。
ふらす(振らす) 振る(他動詞)の使役。
ふらす(触れさす)
へらす(減らす) 減る(自動詞)の使役。
ほらす(掘らす) 掘る(他動詞)の使役。
(よわらす、弱らす) 弱(よわ)る(自動詞)の使役形
わらす(割らす) 割る(他動詞)の使役。 自動詞<割れる>の使役は<割れさす>だがかなり特殊な状況だ。
ばらす(バラバラにする、秘密を漏らす、殺す(俗口語)) 自動詞<ばれる>は<秘密が漏れる>に限定されるようだ。
(あらわす、表す、現す) 現(あらわ)る、 現れる(自動詞)
(あらわす、洗わす) 洗う (他動詞)
あわす(合わす、会わす) 会う(自動詞)
(おわらす、終わらす) 終わる(自動詞)の使役形、 終える(他動詞)
いわす(言わす)
おわす(負わす、負わせる) 負う(他動詞)の使役形
おわす(追わす、追わせる) 追う(他動詞)の使役形
かわす(交わす)
かわす(<避ける>の意)
かわす(買わす) 買う(他動詞)の使役形
かわす(飼わす) 飼う(他動詞)の使役形
(かわらす、代(変、替)わらす) 代(変、替)わる(自動詞)の使役形
(かどわす)
くわす(食わす) 食う(他動詞)の使役形
(こまらす、困らす)
こわす(壊す) 壊れる(自動詞) (破壊)自発の使役形
すわす(吸わす) 吸う(他動詞)の使役形
そわす(沿わす) 沿う(自動詞)の使役形
そわす(添わす) 添える(他動詞)がある。
とわす(問わす) 問う(他動詞)の使役形
(におわす、匂わす) 匂う(自動詞)の使役形
ぬわす(縫わす) 縫う(他動詞)の使役形
はわす(這わす) 這う(自他動詞)の使役形
(まどわす、惑わす) 惑う(自動詞)の使役形
まわす(回す) 回(まわ)る(自動詞)の使役形
よわす(酔わす) 酔う(自動詞)の使役形
(よわらす、弱らす) 弱(よわ)る(自動詞)の使役形
-----
(末尾注)
ある意味では<x す>の二音節動詞は多くないため、次のような輸入漢語に<す>を付けた<半漢半やまとことば動詞>の製造に問題が少なかったと言える。
かす - 化す
がす - 賀す
きす - 帰す
ぎす - 擬す
しす - 死す
じす - 辞す
とす - 賭す
はす - 覇す
ひす - 秘す
もす - 模す
わす - 和す
なぜか促音便(つまる音)が多い。
あっす - 圧す
いっす - 逸す
うっす - 鬱す
きっす - 喫す
くっす - 屈す
けっす - 決す
さっす - 察す
しっす - 失す
せっす - 接す
ぜっす - 絶す
たっす - 達す
だっす - 脱す
てっす - 徹す
ねっす - 熱す
はっす - 発す
ばっす - 罰す
ほっす - 欲す
ぼっす - 没す
めっす - 滅す
りっす - 律す (なんと<ラ行音>が頭にある)
れっす - 列す (これまた(<ラ行音>が頭にある)
なぜ促音便(つまる音)が多いかというと、これは広東語が参考になる。北京語は関西弁と同じく促音便がないが広東語には多い。上記の促音便の漢字は広東語では例外なくすべて促音便で発音される。広東語が嫌いなひとは少なくないが、すでになくなってしまっている<はぎれのいい>江戸弁とともに私が好きな言葉だ。
sptt
なぜか以外に少ない<xx つ>動詞
<xx(動詞語尾)>シリーズの続きで<xx つ>動詞に挑戦。前回の ”日本語動詞の基本、<xx る>動詞” ですこしふれたが課題にしておいた。
”
おちる(落ちる、落つ)
くちる(朽ちる、朽つ)
さちる(to saturate の和語化動詞)
とちる(俗口語、とつ(?))(注)
みちる(満ちる、満つ)
<おちる(落ちる、落つ)>、<くちる(朽ちる、朽つ) >、<みちる(満ちる、満つ)>は上一段活用。 <さちる>、<とちる>は五段活用。これは<さちる>、<とちる>が新語、造成語のためだろう。
うつる(移る、写る、映る) 漢字の動詞はいづれも関連語。<うつす>も同じ)
ほつる(?)(ほつれる、ほつ(?))
まつる(祭る)
みつる(満つる)
あてる(当てる、充てる、当つ、充つ)
すてる(捨てる、捨つ)
はてる(果てる、果つ)
みてる(満てる、満つる、満つ)
すべて下一段活用。だが<みてる(満てる)の活用がしっくりいかない。
<当たる>は五段活用。 <充たる>は<当たる>で間に合うようだ。いずれにしても大和言葉は<あたる>だ。
満たない、満ちない、満てない(満たず、満ちず、満てず)
満ちながら、満てながら、満てて、満ちて
満つ、満ちる、満てる
満つる時、満てる時、満ちる時
満つれば、満てれば、満ちれば
以上の<xちる>、<xつる>、<xてる>動詞は元来<xつ>動詞と思われる。別途<xxつ>動詞として検討予定。
”
(注)とちる(俗口語、とつ(?))
手もとの辞書には<とちめる>という動詞の解説があるが、それは<とちめんぼう>という語の解説としてだ。 <とちめんぼう>は漱石の<吾輩は猫である>に出てくる怪しげなフランス料理の名前で、意味がわかれば、漱石のユーモアが出ているのがわかる。
さて、調べてみたが<xx つ>動詞はなぜか意外と少ない。
二音節動詞
あつ
いつ
うつ(打つ)
えつ
おつ(落つ) -> 落ちる(自動詞)、 落とす(他動詞)
かつ(勝つ) <xx に勝つ>で自動詞
きつ
くつ
けつ
こつ
がつ
ぎつ
ぐつ
げつ
ごつ
さつ
しつ
すつ (捨つ) -> 捨てる
せつ
そつ
ざつ
じつ
ずつ
ぜつ
ぞつ
たつ (立つ) 自動詞 他動詞: 立てる
たつ(絶つ、断つ) 他動詞
たつ(経つ) 自動詞
たつ(発つ) 他動詞
ちつ
つつ
てつ
とつ
だつ
ぢつ
づつ
でつ
どつ
なつ
につ
ぬつ
ねつ
のつ
はつ(果つ) -> 果てる(自動詞)、 果たす(他動詞)
ひつ
ふつ
へつ
ほつ
ばつ
びつ
ぶつ (打つ、なぐる)
べつ
ぼつ
まつ (待つ)
みつ (満つ) -> 満ちる(自動詞)、 満たす(他動詞)
むつ
めつ
もつ (持つ)
やつ
ゆつ
よつ
わつ
三音節動詞(四音節動詞)
xあつ
xいつ
xうつ
xえつ
xおつ
わかつ (分かつ)
xきつ
xくつ
xけつ
かこつ
xがつ
xぎつ
xぐつ
xげつ
xごつ
xさつ
xしつ
xすつ
xせつ
xそつ
xざつ
xじつ
xずつ
xぜつ
xぞつ
xたつ
xちつ
xつつ
xてつ
xとつ
そだつ(育つ)
xぢつ
xづつ
xでつ
xどつ
はなつ(放つ)
xにつ
xぬつ
xねつ
xのつ
xはつ
xひつ
xふつ
xへつ
xほつ
xばつ
xびつ
xぶつ
xべつ
xぼつ
xまつ
xみつ
xむつ
xめつ
たもつ(保つ) これは元来<手(て)がなまった<た>あるいは接頭語の<た>+持つ>だろう。
xやつ
xゆつ
xよつ
xらつ
xりつ
xるつ
xれつ
xろつ
xわつ
かなり時間を費やしてさがしたがなかなか見当たらない。鋭意継続調査(これは中国語式のいいかただ。日本語は調査継続か)。これは謎といえる。どうしたことか?(原因の一つは<つ(tsu)が発音しずらいことだが、他に原因がありそう。)
少ないが、そのためか特徴がつかみやすい。
<xx つ>のままの動詞。
うつ(打つ)、 ぶつ
かつ(勝つ)
たつ(立つ、建つ)、たつ(絶つ、断つ)、たつ(経つ)、たつ(発つ)
まつ(待つ)
もつ(持つ)
わかつ(分かつ)
かこつ
はなつ(放つ) - <離(なな)れる、離(はな)す>関連だろう。
たもつ(保つ)
三音節動詞はよく使われるというわけではない。
<xx つ>が変化している(変化したと思われる)動詞。
いづ - 出でる 出雲(いづも、いずも)
おつ - おちる(落ちる)
くつ - くちる(朽ちる)
すつ - すてる(捨てる)
はつ(果つ) 果てる
めづ(愛づ) 愛でる
すつ(捨つ) 捨てる
四音節動詞
あやまつ - あやまる(誤る、謝る)
<道をあやまる>と言う表現があるが受動、自発的な感じだ。一方<<道をあやまつ>とはあまり言わないが、能動的、行動的な感じだ。<道をあやまった>というのはよく聞くが、<道をあやまる>も<道をあやまつ>も撥音便では<道をあやまった>になってしまうか?
sptt
日本語動詞の基本、<xx る>動詞
<xx る>動詞は言うまでもなく日本語動詞の基本で数も格段に多い。<ら、り、る、れ、ろ>が言葉の頭に来ないのがやまとことばの一大特徴であることを考えると、<る>は動詞を作るために使われる専用音と言える。発音については、<る>は<ru>でよさそうだが、日本語を習いたての、<L>と<R>の区別が明確な西洋人がしゃべる<る(ru)>は<u>が強調されたいわば<るゥ>で普通の日本人の<る>とはかなり違って聞こえる。<L>と<R>については、どちらかというと<る>は<ru>に近いが、<L>音がわずかながら関係しているようだ。<ru>が80%、<lu>が20%といったところか。
ところで、私が住む香港人(広東語をしゃべる)は、<L>と<N>の区別をしないというか、<L>と<N>の中間を行ったり来たりしている。人によりけり、時によりけりで流動的なのだ。<L>と<N>舌の位置や動きはかなり似ている。<ru>と<lu>の関係も似たようなところがある。学校の国語の授業で<る>の発音を注意された人はまれだろう。また香港人の<L>と<R>の区別については、元来広東語には<R>音はないようだが、香港人の英語の<R>はかなり正しい<R>になっているようで、これは教育の成果か。
さて<xx る>動詞を調べてみる。何事も調べてみないとわからない。言い換えると、実際に調べてみてはじめてわかる。
二音節動詞
ある(在る、有る)
いる(入る、射る、煎る、炒る、鋳る)
いる(居る、要る)-上の<いる>とイントネーションが違う。
うる(得る)
うる(売る)-上の<うる>とイントネーションが違う。
える(得る、選る)
おる(折る、織る、居る)
かる(刈る、駆る、狩る)
きる(切る)
きる(着る)-上の<きる>とイントネーションが違う。
くる(来る)
くる(繰る)-上の<くる>とイントネーションが違う。
ける(蹴る)
こる(凝る)
さる(去る)
しる(知る)
する(擦る)
する(する)-上の<する>とイントネーションが違う。
せる(競る)
そる(剃る、反る)
たる(足る)
ちる(散る)
つる(吊る、釣る)
てる(照る)
とる(取る)
なる(成る)
なる(鳴る)-上の<なる>とイントネーションが違う。
にる(煮る、似る)
ぬる(塗る)
ねる(練る)
ねる(寝る)-上の<ねる>とイントネーションが違う。
のる(のる:<のるかそるか>の<のる>)
のる(乗る)-上の<くねる>とイントネーションが違う。
はる(張る、貼る)
ひる(くそを<ひる>)
ふる(降る)
ふる(振る)-上の<くふる>とイントネーションが違う。
へる(経る)
へる(減る)-上の<くへる>とイントネーションが違う。
ほる(掘る、彫る)
まる
みる(見る)
むる(<水がむる>は<みずが漏(も)る>のなまりか?)
める
もる(漏る)
もる(盛る) -上の<くもる>とイントネーションが違う。
(注)<まる>、<める>はそのままでは二音節動詞にはないが<xxまる>(自動詞)、<xxめる>(他動詞)の動詞製造語尾で活躍する。<まる><める>動詞ということで別のところで調べてポストを書いたことがある。 そのままでは動詞にならないので助動詞候補だ。
赤まる-赤める、白まる-白まる、薄まる-薄める、清まる-清める、高まる-高める、
広まる-広める、狭(せば)まる-狭める、固まる-固める、丸まる-丸める、
暖(温)まる-、暖(温)める、ぬくまる-ぬくめる
形容詞がらみだけではない。
からまる-からめる、貯まる-貯める、止まる-止める、はまる-はめる、休まる-休める
といくらでもある。
やる(やる:<する>の意の<やる>と与える>の意の<やる>がある。さらに<遣る>がある)
ゆる(揺る) <揺る>は古語か?
よる(撚る、糸を撚る)
よる(寄る、依る、拠る、因る) -上の<くよる>とイントネーションが違う
わる(割る)
<xる>動詞はさすがに多い。同音多義語が多いので、イントネーションの違いは区別のためだろう。上記のイントネーションの同じ、違いは関東方言による。大きな特徴は二音節動詞に
ある(在る、有る)
いる(居る、要る)
する(する)
なる(成る)
やる(=する)
の超一般(汎用)動詞が含まれていること。<る>には抽象化した動詞を作る働きがあることになるが、これははじめにのべた<<る>は動詞を作るために使われる専用音と言える>に関連する。いいかえると<る>はとりたてて音からくる(音による)意味をもっていないのだ。動詞を作る機能に特化している、と言える。また二音節ということは省力化が進んでいること。発音するのに時間も労力もかなり省(はぶ)けるということだ。省けるが<る>、<ら>、<り>、<れ>などの存在によって動詞であることが即座にわかる。もっともこれは三音節以上の動詞でもいえる。
三音節動詞(四音節動詞)
xある 三音節動詞が見つからない。二音節動詞<ある>が多用されるため混同をさけるためか?
おいる(老いる、老ゆ) - 上一段活用
くいる(悔いる、悔ゆ) - 上一段活用
しいる(強いる) - 上一段活用
はいる(入る、這入る)
まいる(参る)
xうる 可能をあらわす接尾語的な<うる>がついた<xうる>(しうる、耐うる、見うる)以外の純三音節動詞が見つからない。二音節<うる>は<売る>と<得(う)る>があるが<得(う)る>は<得(え)る>に取って代わられている。接尾語的な<xうる>も同じでおおかた<xえる>に代わってしまっている(しえる、耐える、見える)。<うる(uru)>はやや発音しにくい。
おえる(終える)
かえる(変える、替える、代える)
かえる(帰る、返る)-上の<くかえる>とイントネーションが違う。
きえる(消える、消ゆ)
こえる(越える、超える、越ゆ)
さえる(冴える、冴ゆ)
すえる(据える、据ゆ)
そえる(添える)
たえる(耐える、絶える、絶ゆ)
なえる(萎える、萎ゆ)
にえる(煮える、煮ゆ)
はえる(生える、生ゆ、映える、映ゆ)
ひえる(冷える、冷ゆ)
ふえる(増える、増ゆ)
ほえる(吠える、吠ゆ)
もえる(燃える、萌える、燃ゆ、萌ゆ)
<かえる(帰る、返る)>以外は 下一段活用。これはどういうわけか?
<うる>とは対照的に<える>はきわめて多用される。上記はに他動詞以外は自発的な自動詞で多くはもともと<xxゆ>だ。<xxゆ>動詞については別のところで検討した。<xxえる>で多いのは<可能>で、会える、追える、買える、食える、吸える、縫える、見える などがある。もともとは、会いえる、追いえる、買いえる、食いえる、吸いえる、縫いえる。これらは上記に含めていない。四音節動詞で<可能>の意がないまたは薄いものをいくつか挙げると、
あたえる(与える)
あまえる(甘える、甘ゆ)
おさえる(押さえる)
おしえる(教える)
おぼえる(覚える、覚ゆ)
かかえる(抱える)
かぞえる(数える)
かなえる(叶える)
かまえる(構える)
きたえる(鍛える)
くわえる(加える、犬が骨をくわえる)
こさえる(こしらえる)
こたえる(答える)
こらえる
さかえる(栄える、栄ゆ)
ささえる(支える)
そなえる(備える)
そびえる(聳える、聳ゆ)
たがえる(違える)
たたえる(称える)
たとえる(例える)
ちがえる(違える)
つかえる(ものがのどにつかえる)
つがえる(番える、鳥のつがい)
つたえる(伝える)
とだえる(途絶える、途絶ゆ)
とらえる(捉える)
ひかえる(控える)
ふまえる(踏まえる)
ふるえる(振るえる)
まじえる(交える)
まよえる(迷える) - 連体形だけか? 普通は<迷う>の五段活用。<さまよえる>も同じ。
むかえる(迎える)
もだえる(悶える、悶ゆ)
以上すべて - 下一段活用。
まだまだだあるだろう。<xxえる>に関しては長くなるので別途調査。
あおる(煽る)
かおる(香る)
こおる(凍る)
とおる(通る)
なおる(治る、直る)
いかる(怒る)
かかる(掛かる)
さかる(盛る)
しかる(叱る)
たかる(ハエがたかる)
つかる(浸かる)
ぬかる(ぬかることがあってはならぬ、という言い方ある。<ぬかるみ>はどの<ぬかる>からか?>
はかる(測る、図る)
ひかる(光る)
まかる(罷る、まかる:値段を<まける>の自動詞)
わかる
あきる(飽きる)
いきる(生きる)
しきる(<仕切る>は<切る>由来だが、<取りしきる>は<とりしく>由来か?
おきる(起きる)
つきる(尽きる)
<しきる>以外は上一段活用。
あくる(あくる年、<明けた年>の意か?)
おくる(送る)
くくる(括る)
あける(空ける、開ける、明ける)
いける(活ける)
うける(受ける)
かける(駆ける、掛ける)
かける(欠ける)-上の<かける>とイントネーションが違う。
こける
さける(裂ける、避ける)
しける
すける(透ける)
つける(付ける、着ける)
つける(漬ける)-上の<つける>とイントネーションが違う。
とける(解ける)
ぬける(抜ける)
のける
ひける(仕事が<ひける>)
まける(負ける、まける:値段をまける)
むける(向ける、剥ける)
やける(焼ける)
よける
わける(分ける)
以上すべて - 下一段活用。
<xxける>は多いが、もともとは
他動詞については
いける(活ける) - 活く
うける(受ける) - 受く
かける(駆ける、掛ける) - 駆く、掛く
つける(漬ける)- 漬く
のける - のく
まける(まける:値段をまける) - まく
むける(向ける、剥ける) ‐ 向く
よける - よく
わける(分ける) - 分く
などで二音節動詞でかつ四段活用であったろう。この<xく>から<xxける>(下一段活用)への変化は大きな変化で<る>の動詞化能力が関係していると思われる。
一方自発的な自動詞
かける(欠ける) - 欠く
すける(透ける) - 透く (梳く)
とける(解ける、溶ける) - 解く、溶く
ぬける(抜ける)- 抜く
やける(焼ける) - 焼く
の自他の対応があるものと
こける - こく(?)
しける - しけ(?) これは<湿気(しっけ)由来だろう。
の自他の対応が考えにくいものがある。 さらには自他が逆転している動詞がある。
あける(空ける、開ける) - 空(あ)く、開(あ)く(自動詞)。<明ける、明く>は自動詞。<開(ひら)く>は自/他両用。
つける(付ける、着ける) - 付く、着く(自動詞)
おこる(起る、怒る)
しこる
のこる(残る)
ほこる(誇る)
あがる(上がる)
さがる(下がる)
すがる
とがる(尖る)
まがる(曲がる)
よがる
形容詞について<xxがる>という慣用的な動詞群がある。
うるさがる、うれしがる、えらがる、かなしがる、さみしがる
かぎる(限る)
くぎる(区切る。<区切る>は当て字だろう)
(さえぎる)
すぎる(過ぎる、過ぐ)
たぎる
ちぎる(千切る、契る。<千切る>は当て字だろう)
(とぎれる)
にぎる
ねぎる(値切る)
(みなぎる)
よぎる
<すぎる(過ぎる、過ぐ) >は上一段。それ以外は五段活用。したがって<切る>由来か。<か、た、ち、に、よ>は接頭辞か?
くぐる
さぐる(探る)
たぐる
なぐる
めぐる(巡る)
もぐる(潜る。水に潜るのはこれでいいが、土に<もぐる>モグラは<潜ら>ではない)
あげる(あげる、上げる、挙げる、揚げる)
かげる(影る、陰る、翳る)
こげる(焦げる)
さげる(下げる)
しげる(繁る)
そげる(削げる)
つげる(告げる)
とげる(遂げる)}
なげる(投げる)
にげる(逃げる)
ぬげる(脱げる)
はげる(禿げる)
まげる(曲げる)
もげる
<かげる>、<しげる>は五段活用。それ以外は下一段活用。これは<かげる>、<しげる>は<かげ>、<しげ(み)>由来のためか?
<xxける>とおなじく<xxげる>はもともと
他動詞については
あぐ(上ぐ〉
さぐ(下ぐ)
つぐ(告ぐ)
とぐ(遂ぐ)
なぐ(投ぐ)
にぐ(逃ぐ)
まぐ(曲ぐ)
であったと考えらる。 一方自発的な自動詞
そげる(削げる) - 削ぐ
ぬげる(脱げる) - 脱ぐ
はげる(禿げる) - 剥ぐ
もげる - もぐ
の自他の対応があるものと
かげる(影る、陰る、翳る) - かぐ(?)
こげる(焦げる) - こぐ (?)
しげる(繁る) - しぐ(?)
の自他の対応が考えにくいものがある。これらは<かげ>、<こげ>、<しげ(み)>の名詞(体言)由来の動詞か?
おごる(おごる:食事をおごる、驕る)
にごる
あさる(漁る)
くさる(腐る)
ささる(刺さる)
まさる(勝る)
(ののしる)
はしる(走る)
むしる
かする(地面をかする、かすめる)
こする
さする
なする
ゆする
いずれも<擦(す)る>由来。<か、こ、さ、な>は接頭辞のようだ。 <ゆする>は<揺り擦る>か?
あせる(焦る)
うせる(失せる)
のせる(乗せる) 乗る(自動詞)
ませる(ませた子)
ふせる(伏せる) 伏す(他動詞)
むせる(咽る)
やせる(痩せる)
<あせる(焦る)>は五段活用。それ以外は下一段活用。
<せる>は使役の助動詞。<着せる>、<させる> 、<ねせる(寝せる、寝かせる)>、<見せる>。
そそる
ほそる(細る)
よそる(ご飯をよそる)
かざる(飾る)
まざる(混ざる)
いじる
かじる
くじる (くじく)
こじる(こじれる)
とじる(閉じる)
どじる(俗口語、ドジなことをする)
なじる
ねじる
はじる(恥じる)
ほじる
まじる(混じる)
もじる
やじる
よじる
<xxじる>はおもしろい動詞グループだ。<とじる(閉じる)> 、<はじる(恥じる)>は下一段活用、それ以外は五段活用だ。
ぐずる(俗口語、ぐずぐずする)
まずる(俗口語、まずいことをする)
ゆずる(譲る)
はぜる(栗のみがはぜる)
まぜる(混ぜる)
下一段活用。
なぞる
あたる(当たる)
かたる(語る)
すたる
たたる(祟る)
ひたる(浸る)
わたる(渡る)
おちる(落ちる、落つ)
くちる(朽ちる、朽つ)
さちる(to saturate の和語化動詞)
とちる(俗口語、とつ(?))
みちる(満ちる、満つ)
<おちる(落ちる、落つ)>、<くちる(朽ちる、朽つ) >、<みちる(満ちる、満つ)>は上一段活用。 <さちる>、<とちる>はは五段活用。これは<さちる>、<とちる>が新語、造成語のためだろう。
うつる(移る、写る、映る) 漢字の動詞はいづれも関連語。<うつす>も同じ)
ほつる(?)(ほつれる、ほつ(?))
まつる(祭る)
みつる(満つる)
あてる(当てる、充てる、当つ、充つ)
すてる(捨てる、捨つ)
はてる(果てる、果つ)
みてる(満てる、満つる、満つ)
すべて下一段活用。だが<みてる(満てる)の活用がしっくりいかない。
満たない、満ちない、満てない(満たず、満ちず、満てず)
満ちながら、満てながら、満てて、満ちて
満つ、満ちる、満てる
満つる時、満てる時、満ちる時
満つれば、満てれば、満ちれば
以上の<xちる>、<xつる>、<xてる>動詞は元来<xつ>動詞と思われる。別途<xxつ>動詞として検討予定。
おとる(劣る)
さとる(悟る)
ふとる(太る)
もとる
うだる(ゆだる)
xぢる
xづる
うでる(ゆでる)
なでる
下一段活用。
おどる(踊る)
たどる
もどる(戻る)
やどる(宿る)
うなる
がなる(俗口語)
しなる(しなう)
どなる
xにる
xぬる
うねる
(おもねる)
かねる(兼ねる)
(くすねる)
くねる
すねる
(たばねる)
つねる
まねる
<うねる>、<くねる>、<つねる>は五段活用。<おもねる>、<かねる>、<くすねる>、<たばねる>、<まねる>は下一段活用。どういうわけか?
<xxじる>とならんで<xxねる>はおもしろい動詞たちのグループだ。
いのる(祈る)
つのる(募る)
みのる(実る)
xはる
xひる
xふる
xへる
xほる
昔の書き言葉(文語)では<ある、いる、うる、える、おる>相当。
いばる
くばる(配る)
えばる
ねばる
(のさばる)
あびる
いびる
おびる(帯びる)
かびる
(くびれる)
こびる
さびる(錆びる)
せびる
(そびれる)
ちびる
のびる
わびる
<いびる>、<せびる>、<ちびる>は’五段活用。新語、造語の類だろう。その他は上一段活用。 <xxびる>もおもしろい動詞たちのグループだ。
あぶる(炙る)
いぶる(燻る)
かぶる(被る)
つぶる
なぶる(嬲る)
にぶる(鈍る)
やぶる(破る)
くべる(マキをくべる。すでに古語か)
すべる(滑る、統べる)
たべる(食べる)
のべる(述べる)
はべる(侍る)
<くべる>、<統べる>、<たべる>、<のべる> は下一段活用。<すべる(滑る)>、<はべる>は五段活用。
(おぼれる)
(こぼれる)
さぼる(サボタージュの<サボ>だろう)
あまる(余る)
うまる(埋まる)
きまる(決まる)
こまる(困る)
しまる(閉まる、締まる)
せまる(迫る)
そまる(染まる)
たまる(貯まる)
つまる(詰まる)
とまる(止まる、泊まる)
なまる
はまる(嵌る)
しみる(沁みる)
上一段活用。
(こうむる(被る))
うめる(埋める)
きめる(決める)
こめる(込める)
さめる(冷める、覚める)
しめる(締める、占める)
せめる(攻める)
そめる(染める)
ためる(貯める)
つめる(詰める)
とめる(止める)
なめる(舐める)
のめる(のめり込む)
はめる(嵌める)
ひめる(秘める)
ほめる(褒める)
もめる(もめごと)
やめる
<のめる(のめり込む)>は五段活用。その他はすべて下一段活用。
くもる(曇る)
こもる(籠る)
つもる(積る)
ともる(灯る)
まもる(守る)
xやる
くゆる(薫る 薫ゆ、燻る、燻ゆ)
たよる(頼る)
xらる
かりる(借りる)
こりる(懲りる)
たりる(足りる)
すべて上一段活用。
xるる
あれる(荒れる) - 荒らす
いれる(入れる)
おれる(折れる) - 折る
かれる(枯れる) - 枯らす
くれる(暮れる) - 暮らす (日を暮らす)
すれる(擦れる) - 擦る
それる(逸れる、反れる) - 反らす
たれる(垂れる) - 垂らす
つれる(連れる)
とれる(取れる、採れる) - 取る、採る
なれる(慣れる) - 慣らす
ぬれる(濡れる) - 濡らす
はれる(晴れる) - 晴らす
はれる(腫れる) -上の<くはれる>とイントネーションが違う。
ふれる(触れる、振れる) - <触れる>は自他両用。 振る
ほれる(惚れる) - <xxに惚れる>で自動詞だが<xxに惚れられる>という受身形がある。
もれる(漏れる) - <漏る>も自動詞。 漏らす
ゆれる(揺れる) - 揺らす
よれる(撚れる) - 撚る
われる(割れる) - 割る
すべて下一段活用。
<xれる>は自働詞が多い。これは<れる>が助動詞として<自発>の意があるのに関連する。対応する他動詞を加えておいた。<れる>は自発以外でが可能、受身、被害、尊敬をあらわし、基本的にどの動詞にもつく。
とれる - 取れる、採れる、捕れる
ボタンがとれる(取れる)(ボタンに意思はないが一応自発)
さかながよくとれる(採れる、捕れる) (可能)
される(受身、尊敬)
xろる
かわる(変わる、替わる、代わる)
さわる(触る)
すわる(座る)
まわる(回る)
sptt
<xx う(u)>動詞と<xx ふ>動詞、衰退、成長の<xx ゆ>動詞
<xx ぶ(bu)>動詞、<xx む(mu)>、<xx く(ku)>動詞に続いて<xx う(u)>動詞に挑戦しようとして調べはじめたが、どうも様子が違い具合が悪い。原因は古語の<xx ふ(fu)、むかしは<f>発音があったという>動詞、さらには<xx ゆ(yu)>動詞がからんでいるようだ。戦後の国語口語化で文語の<xx ふ>動詞が<xx う>動詞になってしまっているのだ。戦後生まれの私が<xx ふ>動詞を調べてみる気になった。理由は、もともとこのシリーズは動詞の終止形の語尾音に音の特徴が意味に反映しているのではないかとうことを調べるためにやっているが、<xx う>動詞がかなり多く、昔は<xx ふ>動詞であったものが少なくないようだと感じ、<xx う>動詞と古語、文語の<xx ふ>動詞にどのような違いがあるか(あったか)、さらには調べているうちに<xx ゆ(yu)>動詞もでてきたので、これもあわせて調べることにした。
あう(会う) - 会ふ
いう(言う) - 言ふ
いゆ(癒ゆ) - 癒える
うう
うゆ(植ゆ)- 植える <飢える>は<うへる>)
えう
おう(追う、負う) - 追ふ、負ふ
おゆ(老ゆ) - 老いる
かう(買う、飼う) - 買ふ, 飼ふ
きう
きゆ(消ゆ) - 消える
くう(食う) - 食ふ
くゆ(悔ゆ) - 悔いる
けう
こう(乞う) - 乞ふ
こゆ(越ゆ,、超ゆ)- 越える、超える
こゆ(肥ゆ) - 肥える <馬肥ゆる秋>というのがある。
さう
しう ->しいる(強いる) - 強ふ - 強ひる
すう(吸う) - 吸ふ
すゆ(据ゆ)- 据える
せう
そう(沿う) - 沿ふ
そう(添う) - 添ふ -> 添える - 添へる
たう(耐う) -耐ふ -> 耐える - 耐へる
たゆ(絶ゆ) - 絶える
ちう
つう
てう
とう(問う) - 問ふ
なう(縄をなう) - なふ
なゆ(萎ゆ) - 萎える
にう
にゆ(煮ゆ) - 煮える(自動詞)、 煮る(他動詞)
ぬう(縫う) - 縫ふ
ねう
のう
はう(這う) - 這ふ
はゆ(映ゆ、生ゆ)- 映える、生える
ひう
ひゆ(冷ゆ) - 冷える
ふう
ふゆ(増ゆ) - 増える
へう
ほう
ほゆ(吠ゆ) -吠える
まう(舞う) - 舞ふ
みう
みゆ(見ゆ)-見える <聞こゆ-聞こえる>も 同類
むう
めう
もう
もゆ(燃ゆ) - 燃える
らう
りう
るう
れう
ろう
やう
ゆう(結う、髪を結う) - 結ふ
よう(酔う) - 酔う
わう
つまりは、基本的に<xx う>は昔は<xx ふ>だった。大昔は<ふ、fu>と言っていたらしいが、その後しばらくして<う>に代わったが、書き言葉では<ふ>と書いていた。むしろ示唆するとこころが大きいのは<xx ゆ>動詞だ。
二音節の<x ゆ>動詞
いゆ(癒ゆ) - 癒える
うゆ(植ゆ) - 植える
おゆ(老ゆ) - 老いる
きゆ(消ゆ) - 消える
くゆ(悔ゆ) - 悔いる
こゆ(越ゆ)- 越える、超える
すゆ(据ゆ)- 据える
たゆ(絶ゆ) - 絶える
なゆ(萎ゆ) -萎える
はゆ(映ゆ、生ゆ)- 映える、生える
ひゆ(冷ゆ) - 冷える
ふゆ(増ゆ) - 増える
ほゆ(吠ゆ) - 吠える
みゆ(見ゆ) - 見える <聞こゆ-聞こえる>も 同類
もゆ(燃ゆ、萌ゆ) - 燃える、 萌える
上の内
おゆ(老ゆ) - 老いる
きゆ(消ゆ) - 消える
たゆ(絶ゆ) - 絶える
なゆ(萎ゆ) - 萎える
三音節動詞では
ついゆ(費ゆ、つひゆ) - 費える(自動詞)、費やす(他動詞)
とだゆ(途絶ゆ)-途絶える
もだゆ(悶ゆ) - 悶える(古語は<気絶する、気を失う>の意。
はかなりの同類で偶然の一致とは思えない。< いゆ(癒ゆ>も<病(やまい)が<消ゆ>ることだ。<冷ゆ>も暑さ、熱がなくなっていくことだ。モノは<燃ゆ>れば<消え>てなくなる。その他は残念ながら、この類にはいらない。<ふゆ(冬)>も関連語ではないか?
いわば衰退の<xx ゆ>動詞
もう一つの同類意味グループがある。
二音節動詞では
うゆ(植ゆ) - 植える
はゆ(生ゆ) - 生える
ふゆ(増ゆ) - 増える
もゆ(燃ゆ、萌ゆ) - 燃える、 萌える
<燃える>はモノの消滅につながるが、<盛(さか)んに燃える>ともとらえられる。 一方<萌える>は<草が萌え出る>。もっとも<燃える>も<萌える>ももともとは<もゆ>の一語で、掛詞のように両義で使われていたとみた方がいい。
三音節動詞では
さかう(栄ゆ) - 栄える
そびゆ(聳ゆ) - 聳える
いわば成長の<xx ゆ>動詞。
衰退と成長の相反する意味の動詞に<xx ゆ>があるのがおもしろい。
三音節の<xx ゆ>動詞
にあう(似合う) 合成語 似合ふ
みあう(見合う) 合成語 見合ふ
いう
ついゆ(費ゆ、つひゆ) - 費える(自動詞)、費やす(他動詞)
うう
えう
におう(匂う) - 匂ふ
むかう(向かう) - 向かふ
さかゆ(栄ゆ) - 栄える
きう
くう
けう
かこう(囲う) - 囲ふ
きこゆ(聞こゆ) - 聞こえる
濁音
たがう(違う) - 違ふ
ちがう(違う) - 違ふ
つがう(鳥のつがい) - つがふ
ねがう(願う) - 願ふ
まがう(紛う) - 紛ふ
ぎう
ぐう
げう
ごう
おさう ->おさえる(押さえる、抑える) 押(抑)ふ - 押(抑)へる
こさう ->こさえる こさふ - こさふる
ささう ->ささえる(支える) 支ふ - 支へる
しう
すう
せう
おそう(襲う) - 襲ふ
きそう(競う) - 競ふ
さそう(誘う) - 誘ふ
ざう
じう
ずう
ぜう
ぞう
あたう(与う)->与える 与ふ->与へる
うたう(歌う) - 歌ふ
きたう->きたえる(鍛える) - 鍛へる
こたう(答う) - 答ふ、答える - 答へる
したう(慕う) - 慕ふ
たたう(讃う) -> たたえる(讃える)、 讃たふ -> 讃へる
つたう(伝う) -> 伝える、 伝ふ - 伝へる
ちう
つう
いとう(厭う) - 厭ふ
だう
とだゆ(途絶ゆ)-途絶える
もだゆ(悶ゆ) - 悶える。 辞書によると、古語は<気絶する、気を失う>の意。
ぢう
づう
でう
つどう(集う) - 集ふ
まどう(惑う) - 惑ふ
かなう(叶う) - 叶ふ
しなう(しなる)
そなう -> そなえる(備える) 備ふ -> 備へる
となう - 唱える(称える) - 唱へる(称へる)
になう(担う) - 担ふ
にう
ぬう
ねう
のう
はう
ひう
ふう
へう
ほう
うばう(奪う) - 奪ふ
かばう(庇う) <かばう>は英語の to cover 由来か?
びう
おびゆ(怯ゆ)- 怯える
そびゆ(聳ゆ) - 聳える
ぶう
べう
ぼう
おぼゆ(覚ゆ) - 覚える
かまう(女子をかまう) - かまふ
かまう(構う)->構える - 構ふ - 構へる
しまう(仕舞う) 合成語 仕舞ふ
すまう(住まう) - 住まふ
たまう(給う) - 給ふ
みまう(見舞う) 合成語 見舞ふ
みう
むう
めう
おもう(思う) - 思ふ
やう
ゆう
よう
あらう(洗う) - 洗ふ
きらう(嫌う) - 嫌ふ
くらう(食らう) - 食らふ
こらう -> こらえる(堪える)、堪ふ -> 堪へる
さらう(どぶ、こどもをさらう) さらふ
てらう(衒う) - 衒ふ
ならう(習う) - 習ふ
ねらう(狙う) - 狙ふ
はらう(払う) - 払ふ
もらう(貰う) - 貰ふ
わらう(笑う) - 笑ふ
りう
うるう(閏う) - 閏ふ
くるう(狂う) - 狂ふ
ふるう(振るう) - 振るふ(他動詞)、 震るえる(へる)(自動詞)。<震るわす>という他動詞もある。
れう
そろう(揃う) - 揃ふ(自動詞)、揃える(へる)(他動詞)
ひろう(拾う) - 拾ふ
いわう(祝う) - 祝ふ
くわう(加う) - 加ふ、加へる
四字音節
<xxえる>
あたえる(与える) - 与う、 与ふ-与へる
おびえる(怯える)
おぼえる(覚える) - 覚ゆ ->覚える
かまえる(構える) - 構う、 構ふ-構へる
きたえる(鍛える) - 鍛う、 鍛ふ-鍛へる
さかえる(栄える)
ささえる(支える) - 支う、 支ふ-支へる
そろえる(揃える) - 揃う、 揃ふ-揃へる
たたえる(称える))- 揃う、 揃ふ(自動詞)-揃へる(他動詞)
つかえる(仕える) - 称う、 称ふ-称へる
つかえる(前がつかえる) - つかう、 つかふ-つかへる
とらえる(捉える) - 捉う、 捉ふ-捉へる
もだえる(悶える) - 悶う、 悶ふ-悶へる
<xx なう(なふ)>動詞(これは以前に調べたことがあるが、似たような意味グループの動詞多く、おもしろい言語現象だ。
あがなう (贖う)
あきなう (商う)
うしなう (失う)
うらなう (占う)
おぎなう (補う)
ともなう (伴う)
まかなう (賄う)
やしなう (養う)
-----
あてがう
うたがう(疑う) - 疑ふ
まちがう(間違う) -間違ふ(合成語、<ま>は接頭辞)
たずさう(携う) - 携ふ (たずさえる、携える)
つくろう(繕う)- 繕ふ
(追加予定)
さて自動詞、他動詞の区別に注目してみると
いゆ(癒ゆ) - 癒える (自動詞)
うゆ(植ゆ) - 植える (他動詞)
おゆ(老ゆ) - 老いる (自動詞)
きゆ(消ゆ) - 消える (自動詞)
くゆ(悔ゆ) - 悔いる (自動詞)
こゆ(越ゆ)- 越える、超える (他動詞)
すゆ(据ゆ)- 据える (他動詞)
たゆ(絶ゆ) - 絶える (自動詞)
なゆ(萎ゆ) -萎える (自動詞)
はゆ(映ゆ、生ゆ)- 映える、生える (自動詞)
ひゆ(冷ゆ) - 冷える (自動詞)
ふゆ(増ゆ) - 増える (自動詞)
ほゆ(吠ゆ) - 吠える (自動詞)
みゆ(見ゆ) - 見える (自動詞)
もゆ(燃ゆ、萌ゆ) - 燃える、 萌える (自動詞)
聞こゆ-聞こえる (自動詞)
さかゆ(栄ゆ) - 栄える (自動詞)
ついゆ(費ゆ、つひゆ) - 費える(自動詞) 費やす(他動詞)
おびゆ(怯ゆ)- 怯える (自動詞)
そびゆ(聳ゆ) - 聳える (自動詞)
とだゆ(途絶ゆ)-途絶える (自動詞)
もだゆ(悶ゆ) - 悶える (自動詞)
おぼえる(覚える) - 覚ゆ ->覚える(他動詞)
で圧倒的に自動詞が多い。つぎに対応する他動詞、自動詞を調べて見る。自動詞、他動詞の区別に注目してみると
いゆ(癒ゆ) - 癒える (自動詞) - 癒(いや)す(他動詞)
うゆ(植ゆ) - 植える (他動詞) - 植(う)わる(自動詞) 庭に xx が植わっている
おゆ(老ゆ) - 老いる (自動詞)) - 他動詞無し。 老いさす/老いさせる、老いらす/老いらせる(使役)
きゆ(消ゆ) - 消える (自動詞) - 消す(他動詞)
くゆ(悔ゆ) - 悔いる (他動詞) - 自動詞なし。<xx が悔やまれる>という言い方がある。<悔やむ>も他動詞。 悔いらす/らせる(使役)
こゆ(越ゆ) - 越える、超える (他動詞)
こゆ(肥ゆ) - 肥える (自動詞) - 肥やす(他動詞)
すゆ(据ゆ) - 据える (他動詞) 据わる(自動詞) 部屋の隅の古い家具が据(すわ)っている。 <据わりが悪い>の<据わり>はこの<据わり>だろう。居座るは<居据わる>か?
<植える-植わる>参照。
たゆ(絶ゆ) - 絶える (自動詞) - 絶やす(他動詞)
なゆ(萎ゆ) - 萎える (自動詞) - 他動詞なし。 萎えさす/させる、萎えらす/らせる(使役)
はゆ(映ゆ))- 映える (自動詞) - 他動詞なし。 映えさす/させる、映えらす/らせる(使役)
はゆ(生ゆ) - 生える (自動詞) - 生やす(他動詞)
ひゆ(冷ゆ) - 冷える (自動詞) - 冷やす(他動詞)
ふゆ(増ゆ) - 増える (自動詞) - 増やす(他動詞)
ほゆ(吠ゆ) - 吠える (自動詞) - 他動詞無し。 吠えさす/吠えさせる(使役)
みゆ(見ゆ) - 見える (自動詞) - 見る(他動詞) 見さす/させる(使役)。 <見せる>は<xx に yy を見させる/見てもらう>になる。
もゆ(燃ゆ) - 燃える (自動詞) - 燃(も)す、燃やす(他動詞)
もゆ(萌ゆ) - 萌える (自動詞) - 他動詞なし。
聞こゆ - 聞こえる(自動詞) - 聞く(他動詞) 聞かす、聞かせる、聞かさせる(使役)。 ややこしいが<聞かさせる>は<zz をして xx に yy を聞かせる>になる。
さかゆ(栄ゆ) - 栄える (自動詞) - 他動詞なし。 栄えさす/させる(使役)
ついゆ(費ゆ) - 費える(自動詞) - 費やす(他動詞)
おびゆ(怯ゆ) - 怯える (自動詞) - 他動詞なし。 怯えさす/させる(使役) <おびやかす>という動詞がある。
そびゆ(聳ゆ) - 聳える (自動詞) - 他動詞なし。 聳えさす/させる(使役) <聳やかす>という動詞がある。
とだゆ(途絶ゆ)- 途絶える (自動詞) - 他動詞なし。 途絶えさす/させる(使役)。<途絶やす>とは言わないようだ。
もだゆ(悶ゆ) - 悶える (自動詞) - 他動詞なし。 悶えさす/させる(使役)
おぼえる(覚える) - 覚ゆ ->覚える(他動詞) - 自動詞なし。 覚えさす/させる(使役)
少し整理すると、
いゆ(癒ゆ) - 癒える (自動詞) - 癒(いや)す(他動詞)
こゆ(肥ゆ) - 肥える (自動詞) - 肥やす(他動詞)
たゆ(絶ゆ) - 絶える (自動詞) - 絶やす(他動詞)
はゆ(生ゆ) - 生える (自動詞) - 生やす(他動詞)
ひゆ(冷ゆ) - 冷える (自動詞) - 冷やす(他動詞)
ふゆ(増ゆ) - 増える (自動詞) - 増やす(他動詞)
もゆ(燃ゆ) - 燃える (自動詞) - 燃(も)す、燃やす(他動詞)
は規則的な対応だ。
sptt
動きの<xx く(ku)>動詞
<xx ぶ(bu)>動詞、<xx む(mu)>動詞に続いて<xx く(ku)>動詞を調べてみる。趣旨はこれまでと同じで、<xx く(ku)>音の特徴がでている意味の動詞が多いのではないかとうことを調べるためだ。
二音節の動詞
あく(空く、開く)
あく(飽く)-上の<あく>とイントネーションが違う。->飽きる
いく(行く)
うく(浮く)
うく(憂く)-これも上の<うく>とイントネーションが違う。
えく
おく(置く)
かく(書く、掻く) 書く、掻くは違うようだが、<書く>はもともと<引っかく>だ。
かく(欠く)-これまた上の<かく>とイントネーションが違う。 ->欠ける(自動詞)
きく (聞く)
きく (効く)-これは上の<きく>とイントネーションは同じ。語源も同じか?
くく
けく
こく
さく(割く、裂く) 割ける、裂ける(自動詞)
さく(避く)-> 避ける(他動詞)
さく(咲く)-同じ語源と思われるが、この<咲く>は上の<割く、裂く>とイントネーションが違う。
しく(敷く)
すく(好く)
すく(梳く)-上の<すく(好く)>イントネーションは同じだが、語源は下の二つの<すく>と同じと思われる。
すく(空く)-上の<好く>、<梳く)>とイントネーションが違う。
すく(透く)-上の<すく(空く)>同じ語源と思われる。イントネーションも同じ。->透ける(自動詞)
せく(急く)
そく
たく(炊く、焚く) - 炊ける(自動詞)
ちく
つく(着く、付く)
つく(尽く) ->尽きる、尽くす
つく(突く)-上の<つく>とイントネーションが違う。
てく
とく(解く、説く)
なく(泣く、鳴く)
にく
ぬく(抜く)
ねく
のく - のける(除ける、退ける)<どく、どける>という言い方がある。
はく(吐く)
はく(掃く〉-上の<はく>とイントネーションは同じ。語源は同じようでもある。
はく(履く〉-上の<はく>とイントネーションが違う。
ひく (引く、弾く)
ふく(吹く)
ふく(拭く)-上の<ふく>とイントネーションが違う。
へく
ほく
まく(巻く)
まく(撒く、蒔く、播く)-上の<まく>とイントネーションが違う。
みく
むく(向く)
むく(剥く)-上の<むく>とイントネーションは同じだが語源は関連がなさそう。
めく -春めく、うごめく、などの慣用的な言い方の一部。
もく
やく(焼く)
ゆく(行く)
よく
わく(沸く、湧く)
わく(分く)- 上の<わく>とイントネーションが違う。 -> 分ける
相当多いが、意味上の特徴は特にないようだ。同音多義語が多い(これは特徴か)。上記のイントネーションの同じ、違いは関東方言による。
三音節動詞
xあく
xいく
xうく
xえく
xおく
xかく
xきく
xくく
xけく
xこく
xさく
xしく
xすく
xせく
xそく
たたく
xちく
つつく
なつく
xてく
xとく
xなく
xにく
xぬく
まねく
xのく
xはく
xひく
xふく
xへく
xほく
xまく
xみく
そむく(背く)
うめく
(うごめく、蠢く)
xもく
xやく
xゆく
xよく
ひらく(開く)
あるく(歩く)
かわく(乾く)
おどろくほど少ないと言える。
<xxぶ(bu)>動詞では少し調べてみたが<濁音+ぶ>が見つからなかったが、<xx む(mu)>動詞ではなぜかたくさんああった。<濁音+く>も調べてみる。
濁音
えがく(描く、え書く)
あがく(足掻く?)
みがく(磨く)
もがく
ゆがく(湯がく) これは合成語と言える。
xぎく
xぐく
なげく(嘆く)
うごく(動く) 自動詞 動かす(他動詞)
しごく
ほざく (俗語)
くじく
はじく
うずく(疼く)
xぜく
のぞく(除く、覗く)
いだく(抱く)
くだく(砕く) 他動詞 くだける(自動詞)
xぢく
こづく - <小突く>で合成語。
xでく
くどく(口説く)
ほどく(他動詞) - ほどける(自動詞)
あばく(暴く)
さばく(裁く、捌く)
なびく
ひびく(響く)
うぶく うぶきごえ
はぶく(省く)
ふぶく(吹雪く)
めぶく - <芽吹く>で合成語。
やぶく(破く) 他動詞 破ける、破れる(自動詞)
xべく
xぼく
<xx ぐ(gu)>動詞 も調べておく。
二音節動詞
あぐ (上ぐ) ->上げる(他動詞)、上がる(自動詞)
かぐ(嗅ぐ)
こぐ(漕ぐ)
さぐ(下ぐ) ->下げる(他動詞)、下がる(自動詞)すぐ(直ぐ)
すぐ(過ぐ) ->過ぎる
そぐ(削ぐ) ー> 削げる(自動詞)
つぐ(継ぐ、接ぐ、次ぐ、注ぐ)
つぐ(告ぐ) -> 告げる
とぐ(研ぐ)
なぐ(凪ぐ)
ぬぐ(脱ぐ) 他動詞 - 脱げる(自動詞)
はぐ(剥ぐ) ー> 剥げる(自動詞)。 禿(は)げる>は同源
ほぐ -> ほげる
もぐ(もぎ取る) -> もげる(自動詞)
三音節
あえぐ(喘ぐ)
あおぐ(仰ぐ)
ささぐ(捧ぐ)->捧げる
ひさぐ
ふさぐ(塞ぐ)
かしぐ
すすぐ
いそぐ(急ぐ)
そそぐ(注ぐ)
しのぐ(凌ぐ)
またぐ
かつぐ
みつぐ
とつぐ(嫁ぐ)
みつぐ
つなぐ(繋ぐ)
つむぐ(紡ぐ)
そよぐ
およぐ(泳ぐ)
からぐ(自動詞) - からげる(他動詞) からがる(自動詞)
ゆらぐ(揺らぐ)
ゆるぐ(揺るぐ) 自動詞 揺るがす(他動詞)
さわぐ (騒ぐ)
四音節
いななく
うそぶく(<嘯く>とでてくるが、<ウソ(嘘)吹く>だ
うろつく
おどろく(驚く)
おののく
かがやく(輝く)
とどろく(轟く)
<xxxぐ(gu)>
くつろぐ
ことほぐ
たじろぐ
はなやぐ
やすらぐ
(追加予定)
<xx く(ku)>動詞では<うごく(動く)>を代表とみる。動き、動作関連の動詞が目立つ。動作動詞とすると広がりすぎるので<動き動詞>とする。
おく(置く)
さく(割く、裂く)
せく(急く)
つく(着く、付く)、つく(突く) <つく>から複合動詞がたくさん出て来る。
ひく (引く)も複合動詞が多い
たたく
つつく
ひらく(開く)
あるく(歩く)
うごく(動く)
しごく
くじく
はじく
くだく(砕く)
ひびく(響く) - これは目に見えないがモノの振動(振るえ)によって出てくる。世の中のほとんどすべては振動から成り立っていると言えるので<動き(うごく)>とともに<響き(ひびく)は重要な言葉だ。<び>はくちびるを震わす有声音でよく<ひびく>音だ。
なびく - これも響きのいいやまとことばだ。
こぐ(漕ぐ)
そぐ(削ぐ) ー> 削げる(自動詞)
つぐ(継ぐ、接ぐ、注ぐ)
とぐ(研ぐ)
ぬぐ(脱ぐ) - 脱げる(自動詞)
はぐ(剥ぐ) ー> 剥げる(自動詞)
およぐ(泳ぐ)
ゆらぐ、ゆるぐ(揺らぐ、揺るぐ)
<うごめく>は漢字では<蠢く>と書くようだが、元来は<うごく>+<めく>だ。
sptt
うらみ、つらみの<xx む(mu)>動詞
<xx ぶ(bu)>動詞につづいて数の多い<xx む(mu)>動詞を調べてみる。趣旨は<xxぶ(bu)>動詞と同じで、<xxむ(mu)>音の特徴がでている意味の動詞が多いのではないかとうことを調べるためだ。<ぶ(bu)>動詞ではややうらぎられた感じだが、それなりの成果はあった。
二音節の動詞
あむ(編む)
いむ(忌む)
うむ(生む、倦む)
えむ(笑む、ほほ笑む)
おむ
かむ(噛む)
きむ ->きめる(決める)
くむ(組む、汲む)
けむ <けむる(煙る)は<けめ>(五段活用動詞の連用形の体言用法)という語がないので<けむり>由来か。
こむ(込む、混む) -こむ(込む、混む)は複合(合成)動詞で大活躍する。入りこむ、売り込む、etc.
さむ -> さめる
しむ(染む) ->染みる (閉める、締める、占めるは関連語か)
すむ(住む、澄む、済む)
せむ -> 攻める、責める
そむ -> そめる(染める)
たむ -> ためる(貯める、矯める)
ちむ
つむ(積む、摘む、詰む)- つめる(詰める)
てむ
とむ(富む)
なむ -> なめる(舐める)
にむ
ぬむ
ねむ <ねむる(眠る)>は<ねめ>という語がないので<ねむり>由来か。
のむ(飲む)
はむ -> はめる - はまる
はむ(食む) ついばむ、むしばむ
ひむ -> ひめる(秘める)
ふむ(踏む)
へむ
ほむ ->ほめる(褒める、誉める)
まむ
みむ
むむ
めむ
もむ(揉む)
やむ(病む)
やむ(已む)-> やめる(止める、已める)
ゆむ
よむ(読む)
わむ
<xx ぶ>動詞が調べた限り<とぶ>、<よぶ>のわずか二つに比べると相当多い。
きむ ->きめる(決める)
さむ -> さめる
しむ(染む) ->染みる
せむ -> 攻める、責める
そむ -> そめる(染める)
たむ -> ためる(貯める、矯める)
つむ(詰む)- つめる(詰める)
はむ -> はめる - はまる
ひむ -> ひめる(秘める)
ほむ ->ほめる(褒める、誉める)
やむ(已む)-> やめる(止める、已める)
の左側の二音節動詞は古語(あるいは想定古語)だ。 <xx む>動詞の二音節動詞数は多いがとりたてて特徴はない。三音節動詞を調べてみる。これは<xx ぶ>動詞にくらべはるかにたくさんある。機械的な作業だがやってみた。
三音節動詞
xあむ
xいむ
xうむ
xえむ
xおむ
つかむ(掴む)
しかむ -> しかめる
xきむ
すくむ (足がすくむ) すくめる(他動詞)
たくむ ->たくらむ(企む)
にくむ(憎む) <にくい(形容詞)>+<む>の合成語
ぬくむ -> ぬくまる(自動詞) ぬくめる(他動詞) ぬくい(形容詞)、 ぬくみ(名詞)
ふくむ(含む) -> ふくめる
むくむ 足のむくみ
xけむ
かこむ(囲む)
しこむ(仕込む)- これは<する>+<込む>の合成語。<し>は<仕>とかくと漢語のようだが<しごと>は<仕込む>、<仕事(しごと)>は純大和言葉だろう。<する>は<しない、して、する、する、すれ>と活用する。
へこむ
いさむ ->いさめる(諫める)
いさむ ->勇んで、勇み足の<勇む>
おさむ(治む、修む、収む、納む)ー> 治める、修める、収める、納める
かさむ
すさむ (すさぶ)
はさむ
おしむ(惜しむ)-<おしい(形容詞)>+<む>の合成語
きしむ
かすむ(霞む)
くすむ
すすむ(進む)
ぬすむ(盗む)
やすむ(休む)
xせむ
ひそむ(潜む)
いたむ(痛む) -<いたい(形容詞)>+<む>の合成語
(いたむ) - 炒める
たたむ(畳む)
ねたむ(妬む)
xちむ
あつむ -> あつめる(集める)
つつむ(包む)
みつむ ->みつめる (見詰める)
xてむ
うとむ(疎む)
(しとむ) - しとめる (し+とめる)
つとむ - つとめる(務める、努める)
まとむ -> まとめる
みとむ -> みとめる(認める)
もとむ -> もとめる(求める)
いなむ(否む)
ちなむ(因む)
xにむ
xぬむ
そねむ - 嫉(そね)み
このむ(好む)
たのむ(頼む)
xはむ
xひむ
xふむ
xへむ
xほむ
つまむ(摘まむ)
xみむ
xむむ
xめむ
xもむ
なやむ(悩む)
あゆむ(歩む) <歩>の字は普通<歩(ある)く>だ。
たゆむ <たゆまず>という言い方がある。<絶ゆ(絶える>関連動詞。
xよむ
うらむ(恨む)
からむ(絡む)
くらむ(眩む) - これは<くらい(形容詞)>+<む>の合成語
つらむ - 恨み辛(つら)み。 <つらむ>という動詞はないようだがが<つらい>+<む>で<つらく思う>、他人からみれば<つらがる>か?
にらむ(睨む)
はらむ(孕む)
xりむ
うるむ(潤む、目がうるむ)
くるむ
たるむ
つるむ
ぬるむ
ひるむ
ゆるむ
xれむ
とろむ(?) - とろみ
まろむ(?) - まろみ
きわむ(極む) - きわめる、きわまる
<xx ぶ(bu)>動詞では少し調べてみたが<濁音+む>が見つからなかったが、<xx む(mu)>動詞ではたくさんある。これは<ぶ(bu)>が濁音のせいか?
あがむ -> あがめる(崇める)
いがむ(?)
おがむ(拝む)
かがむ
しがむ - しがみつく
せがむ
とがむ ->とがめる(咎める)
ながむ -> ながめる
はげむ
ひがむ
ゆがむ(歪む)
xぎむ
あぐむ(言いあぐむ)
つぐむ(口をつぐむ)
はぐむ -> はぐくむ
めぐむ(恵む)
はげむ
こごむ
すごむ
なごむ
きざむ
いじむ ->いじめる
しずむ(沈む)
しずむ(静む)(これはイントネーションが違う)-> 静まる(自動詞)、静める(他動詞)
かじむ
なじむ
にじむ
すずむ(涼む) <すずしい(形容詞)>+<む>の合成語
なずむ(泥む) - これはどういう意味か?
はずむ(弾む)
ひずむ(歪む)
xぜむ
おぞむ (?) (おぞましい)
のぞむ(望む)
さだむ -> 定める
なだむ -> なだめる
ちぢむ(縮む)-縮まる(自動詞)、縮める(他動詞)
なづむ(<なじむ>のなまりか?)
xでむ
いどむ(挑む)
とどむ(止む) -> 留(止)まる(自動詞)、 留(止)める(他動詞)
よどむ
き(黄」ばむ
こばむ
はばむ(阻む)
xびむ
xぶむ
xべむ
しぼむ
すぼむ
つぼむ
下線をひいた動詞をみれば簡単にわかるが、<xx む>動詞には<恨(おら)み、妬(ねた)み><恨み、妬み>の意味がある動詞が多い。<恨み、妬み>は心の<ゆがみ、ひずみ>が関連している。さらに一般化して<xx む>動詞には否定的(negative)な意味をもつ動詞が多いと言える。こういう の(言語現象)は他の言語でもあるが、やまとことばでも大きな一つの特徴(特徴の一つ)と言える。
これが結論。ただし何ごとも例外があり、
えむ(笑む、ほほ笑む)
ほむ ->ほめる(褒める、誉める)
このむ(好む)
めぐむ(恵む)
なごむ
のぞむ(望む)
などの肯定的(positive)な意味の動詞もあるが多くはない。
-----
さて上でいくつかとりあげたが
<形容詞>+<む>は一般化できる。
高む - 高まる(自動詞)、高める(他動詞)
低む - 低まる(自動詞)、低める(他動詞)
広む - 広まる(自動詞)、広める(他動詞)
狭む - 狭まる(自動詞)、狭める(他動詞)
白む(白む) - 白まる(自動詞)、白める(他動詞)
黒む - 黒まる(自動詞)、黒める(他動詞)
赤む - 赤まる(自動詞)、赤める(他動詞)
薄む - 薄まる(自動詞)、薄める(他動詞)
丸む - まるまる (自動詞)、まるめる(他動詞)
いわゆる形容動詞の場合は
静かだ(静かな)
静(しず)む-> 静まる(自動詞)、静める(他動詞)
が参考になる。
これ以上追及しないが<まる、める>動詞ということで別のところで書いた。
四音節動詞
あやぶむ
あわれむ
かなしむ
こらしむ -> こらしめる
たくらむ
たたずむ
ついばむ <ばむ>は<食(は)む>だ。
はぐくむ
ほほえむ <えむ>は<笑(え)む>だ。
まどろむ
むしばむ <ばむ>は<食(は)む>だ。
五音節動詞
いとおしむ
けしき(気色)ばむ
(追加予定)
sptt
わび、さびの<xx ぶ(bu)>動詞
<xx ぶ(bu)>動詞は、圧倒的に多い<xx る>動詞、<xx す>動詞、<xx む>動詞に比べ、数はすくないが、<ぶ(bu)>という唇をふるわせ(振動)させ、かつまた有声音で耳にひびく。好き嫌いもあるが、わたしの好きなこの音が終止形(連体形)では最後にくる動詞だ。この音の特徴がある意味の動詞が多いのではないかと思い調べてみた。あいうえお順。
二音節の動詞
とぶ(飛ぶ、跳ぶ)
よぶ(呼ぶ)
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三音節の動詞
あそぶ (遊ぶ)
うかぶ(浮かぶ) - うく(浮く)の関連語。
えらぶ (選ぶ)
およぶ(及ぶ)
ころぶ
さけぶ(叫ぶ)
しのぶ(忍ぶ、偲ぶ)
すさぶ
ならぶ(並ぶ) 自動詞 他動詞: 並べる
はこぶ(運ぶ)
ほろぶ (滅ぶ、亡ぶ)
まなぶ (学ぶ)
まろぶ(古語) - ころがる、ころぶ。
むすぶ(結ぶ)
むせぶ(咽ぶ)- めったに使わない動詞。むせる(咽る)が一般的か。<霧が咽ぶ>という表現が あるがどういう意味か?
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四音節の動詞
ほころぶ
よろこぶ(喜ぶ)
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いならぶ(居並ぶ、合成語)
ねころぶ (寝ころぶ、合成語)
調べたりないせいか思った以上に少ない(追加予定)。二音節動詞については、
とぶ(跳ぶ、飛ぶ)
よぶ(呼ぶ)
の二語というのはあまりにも少なすぎる。以下の古語または古語らしい動詞がある。
あぶ -> あぶる(炙る)、あぶす(炙す)、あぶれる、あびる(浴びる)
いぶ -> いぶる(燻る)、いぶす(燻す)、いびる
おぶ -> おびる(帯びる、佩びる)
かぶ -> かぶる(被る)、かぶす(被す)
くぶ -> くびる(縊る)、くびれる(縊れる)
けぶ -> けぶる(けむる、煙る、のナマリか?)
こぶ -> こびる(媚びる)
さぶ -> さびる(錆びる)
しぶ -> しぶる(渋る)、しびる -> しびれる
すぶ -> すべる(統べる)、すべる(滑る)
せぶ -> せびる
そぶ -> そびる -> そびれる(言いそびれる)
つぶ -> つぶす(潰す)、つぶる(目をつぶる、<つむる>とも言う)
なぶ -> なぶる(嬲る、弄る)、なべる(押しなべて)
にぶ -> にぶる(鈍る)
のぶ -> のびる(伸びる)、のべる(述べる)
はぶ -> はべる(侍る)
まぶ -> まぶす
やぶ -> やぶる(破る) 他動詞 自動詞: 破れる、 敗れる、
わぶ -> わびる(詫びる、侘びる)
調べてはいないが、上記のうちかなり正規の古語動詞と思われるのは
おぶ -> おびる(帯びる、佩びる)
すぶ -> すべる(統べる)
のぶ -> のびる(伸びる)、のべる(述べる)
わぶ -> わびる(詫びる、侘びる)
その他は右側の現代の動詞は名詞由来、形容詞由来のものがあるが調べないとよくわからない。
-----
三音節動詞の古語(?)
うかぶ -> うかべる(浮かべる)
くらぶ -> くらべる(比べる)
しらぶ -> しらべる(調べる)
くすぶ -> くすぶる
さて<xxぶ(bu)>動詞の意味上の特徴だが、
あそぶ (遊ぶ) - まなぶ (学ぶ)
はおもしろい対照だ。
ならぶ(並ぶ)-くらぶ(比べる)-えらぶ (選ぶ)
は<並べて、比べて、選ぶ>でもおもしろい。
だが以上はたまたまこうなったのだろう。
あぶ -> あぶる(炙る)、あぶす(炙す)
いぶ -> いぶる(燻る)、いぶす(燻す)
けぶ -> けぶる(けむる、煙る、のナマリか?)、けぶす(方言か)
くすぶ -> くすぶる
は関連がありそう。
わぶ -> わびる(詫びる、侘びる)
さぶ -> さびる(錆びる)
すさぶ
は日本文化の<わび>、<さび>、<すさび>は関連がありそう。<あそび>を加えた方がよさそう。<xx ぶ(bu)>動詞の数は多くはないが、大和言葉への貢献度は小さくない。
sptt
Friday, May 4, 2018
<xxえる>動詞-2 下一段活用
かなり前に ”自動詞、他動詞-9 <xxえる>動詞、可能動詞” というタイトルで "<xxえる>動詞" について書いたことがある。読みにくいところがあったので追加、訂正しておいた。今回<sptt やまとことばじてん>の方で<xx(動詞語尾)>シリーズを書いており(注)、そのなかで五段活用(古語は四段活用)から下一段活用(古語は下二段活用か)への大きな変化に少しふれた。文法事項であるので、sptt Notes on Grammar の方で少し詳しく検討することにした。”自動詞、他動詞-9 <xxえる>動詞、可能動詞” と<sptt やまとことばじてん>の <xx(動詞語尾)>シリーズのコピーにさらに解説をこわえた。
(注) <sptt やまとことばじてん>の方の<xx(動詞語尾)>シリーズは文法にあまり関係しない大和言葉関連をのこし、文法関連は sptt Notes on Grammar の方に移す予定。
二音節の<える>動詞
える(得る、選る)
<える(得る)は<うる(得る】>ともいう。
<える(選る)>は<よる(選る)>ともいうが、ここでは関係ない。
三音節の<xうる>、<xえる>動詞
xうる 可能をあらわす接尾語的な<うる>がついた<xうる>(しうる、耐うる、見うる)などをのぞくと純三音節動詞が見つからない。二音節<うる>は<売る>と<得(う)る>があるが<得(う)る>は<得(え)る>に取って代わられている。<得(う)る>の活用が’よくわからないので逆に<える>のなまったのが<うる>かもしれない。接尾語的な<xうる>も同じで、おおかた<xえる>に代わってしまっている(しえる、耐える、見える)。<うる(uru)>はやや発音しにくい。
xえる
おえる(終える) (終へる)
かえる(変える、替える、代える) (変へる、替へる、代へる)
かえる(帰る、返る)-上の<くかえる>とイントネーションが違う。 (帰(かへ)る、(返(かへ)る)(*)
きえる(消える、消ゆ)
こえる(越える、超える、越ゆ、超ゆ)
さえる(冴える、冴ゆ)
すえる(据える、据ゆ)(**)
そえる(添える) (添へる)
たえる(耐える、絶える、絶ゆ)
なえる(萎える、萎ゆ)
にえる(煮える、煮ゆ)
はえる(生える、生ゆ、映える、映ゆ)
ひえる(冷える、冷ゆ)
ふえる(増える、増ゆ)
ほえる(吠える、吠ゆ)
もえる(燃える、萌える、燃ゆ、萌ゆ)
(*)」<かえる(帰る、返る)>は五段活用。その他はすべて<xえる>で下一段活用。
(**)<すえる(据える、据ゆ)>は<腰を据える>の<据える>。<すわる>は<座る、坐る>と書くが<据える>の関連語だろう。日本では<腰をかける>のが(椅子に、腰かけに)<すわる>だが<腰をかける>とは腰をどこに、どのように<かける>のか?
特徴的なのは三音節<xえる>動詞の <xゆ>-><xえる>変換 だ。<xゆ>と可能の<xえる>は基本的に関係ない。<xゆ>動詞は元来下一段活用か。
ここにはあえて示さなかったが、<xえる>は<可能>を示す動詞語尾のようなもので、会える、言える、追える、買える、食える、吸える、問える、縫える、見える などがある。もともとは、会いえる、言いえる、追いえる、買いえる、食いえる、吸いえる、問いえる、縫いえる、でこれらが短縮したものと考えられる。
四音節動詞でも<xxえる>(可能)がすくなくないのでやっかいだが、可能の意がないまたは薄いものをいくつか挙げると、
あたえる(与える) 与ふ -> 与へる
あまえる(甘える、甘ゆ)
おさえる(押さえる) 押さふ -> 押さへる
おしえる(教える) 教ふ -> 教へる
おぼえる(覚える、覚ゆ)
かかえる(抱える) 抱ふ -> 抱へる
かぞえる(数える) 数ふ -> 数へる
かなえる(叶える) 叶ふ -> 叶へる
かまえる(構える) 構ふ -> 構へる
きたえる(鍛える) 鍛ふ -> 教=鍛へる
くわえる(加える、犬が骨をくわえる) 加ふ -> 加へる、くわふ -> くはへる
こさえる(こしらえる) こさふ、こしらふ -> かさへる、こしらへる
こたえる(答える) 答ふ -> 答へる
こらえる こらふ -> こらへる
さかえる(栄える、栄ゆ)
ささえる(支える) 支ふ -> 支へる
そなえる(備える) 備ふ -> 備へる
そびえる(聳える、聳ゆ)
たがえる(違える) 違ふ -> 違へる
たたえる(称える) 称ふ -> 称へる
たとえる(例える) 例ふ -> 例へる
ちがえる(違える) 違ふ -> 違へる
つかえる(ものがのどにつかえる) つかふ -> つかへる
つがえる(番える、鳥のつがい) つがふ -> つがへる
つたえる(伝える) 伝ふ -> 伝へる
とだえる(途絶える、途絶ゆ)
とらえる(捉える) 捉ふ -> 捉へる
ひかえる(控える) 控ふ -> 控へる
ふまえる(踏まえる) 踏まふ -> 踏まへる
ふるえる(振るえる) 振るふ -> 振るへる
まじえる(交える) 交ふ -> 交へる
まよえる(迷える) - 連体形だけか? 普通は<迷う>の五段活用。<さまよえる>も同じ。 -> まよへる
むかえる(迎える) 迎ふ -> 迎へる
もだえる(悶える、悶ゆ)
以上すべて下一段活用。
四音節動詞も特徴的なのは四音節<xxえる>動詞の <xxふ(う)>-><xxえる>変換 だ。<xxふ(う)>と可能の<xxえる>は基本的に関係ない。さらにはここでは 五段活用の<xう>(古語では<xふ>で四段活用)-> 下一段活用変換 だ。
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