Wednesday, November 29, 2023

even if, even though の日本語訳で使われる副詞、接続詞、接続助詞


even if, even though

英語の even は副詞, 形容詞、まれだが動詞としての使い方がある。if は仮定、条件の接続詞。 although は逆接、譲歩の接続詞だが、though は逆接、譲歩の接続詞と逆接の副詞としての使い方がある。以上は大きな間違いなく使えればよく、別に覚えなくてもいいのだが、これらに相当する日本語の副詞、接続詞、接続助詞との関係を調べてみる。

if は仮定、条件の接続詞で、日本語では普通

もし xx ならば

と訳されるが、<もし>は副詞で<もし>自体に仮定の意味はなさそう。仮定の意があるのは<ならば>、さらには<ならば>以外に<すれば>、<あれば>も<もし>と組み (ペア)で使われるので仮定の意があるのは一音節の<ば>のようだ。一音節の語で仮定の意をあらわせるのはすごいことではないか。もっとも if も一音節の語だ。<ば>は英語にはない接続助詞。したがって、図式化するほどのことはないが

仮定法従属節に関しては

英語

if (仮定の) 接続詞 + 仮定法従属節用に活用した動詞

日本語

もし xx ならば

もし 副詞 +xx<なら、すれ、あれなどの>動詞の仮定形 + ば 接続助詞

英語の方が少し簡単だ。<ば 接続助詞>相当の語がいらない。そもそも英語には助詞がないのだ。一方日本語の方には接続詞がない。動詞が仮定法従属節用に活用すところは似ている。ここがポイントの一つなのだが、ややこしいのでここでは深入りしない。また英語では仮定法従属節と並行して使われる主節の助動詞がこれまたややこしいが、これまたここでは深入りしない。

<仮 (かり) に>も副詞だが、こちらの方は字ずらに<仮定>の意がある。<仮定>の意があるので、聴き手は<仮に>を聞けば<仮の話だ>と準備する。だが

仮に金がある、仮に太郎がくる、仮に雨がふる、仮に雨になる

で十分仮定の意がくみとれるのだが

仮に金があれば、仮に太郎がくれば、仮に雨がふれば、仮に雨になれば

という言い方になる。一方<もし>の方はどうか?

もし金がある、もし太郎がくる、もし雨がふる、もし雨になる

こちらの方も<もし>は<仮り>と字ずらは全く関係ないが、十分仮定の意がくみとれる。そして、<仮に>と同じように

もし金があれば、もし太郎がくれば、もし雨がふれば、もし雨になれば

という言い方になる。 

日本語では仮定を強調した<もし仮に>という言い方もよく使われる。

 

<もし>wiktionary の解説は


副詞

もし【し】

1)接続助詞のたらならなどとともに用い、文の内容を実現可能性の低い仮定のものとして伝えるために使う。に。 たらならならば・ときは・場合は、などが従属節の接続助詞となる場合は、仮定内容から自然に想定されると考えられる事態の内容が主節で示される。

2)ても・ときでも・場合でも、などが従属節の接続助詞となる場合は、仮定内容から想定されるのとは異なると考えられる事態の内容が主節で示される。譲歩



2)の最後に譲歩というのが出てくるが、譲歩と逆接は境い目がはっきりしておらず

1)仮定内容から自然に想定されると考えられる事態の内容が主節で示される。ので

仮定を受けての順接

2)仮定内容から想定されるのとは異なると考えられる事態の内容が主節で示される。ので

仮定を受けての逆接

と対比させてもいいだろう。譲歩を一種の逆接とみなす。

even if 、even though は2)の譲歩だ。though、although には譲歩の意味があるが、if にはない。even 自体に仮定や譲歩の意味はなさそうだ。

even a child can do

子供でもできる ー> 子供ではあるが、それでもできる

で譲歩になりそうだが、これはトリッキーで

<子供でもできる>は<子供でさえできる>の意。<子供でさえできる>は<子供ではあるが、それでもできる>の意にならない。

 
wiktionary の解説のなかで

1)たらならならば・ときは・場合は、などが従属節の接続助詞となる場合は 2)ても・ときでも・場合でも、などが従属節の接続助詞となる場合は

とあるので

たら、なら、ならば、ば、ときは、場合は;ても、ときでも、場合でも

は接続助詞となるが

<たら>、<なら>は動詞、助動詞だかの活用(仮定形か)。<とき、時>、<場合>は独立して意味がある名詞で

とき+は、とき+でも、場合+は、場合+でも

となるので、以上の中で、純接続助詞は<ば>、<は>、<でも>だけではないか。もっとも wiktionary の解説では<など>とあるので、他にも接続助詞があることになる。



sptt

 

 


Tuesday, November 28, 2023

トリッキーな only if

 
前回のポストで少しだけふれたが、only if は<でさえあれば、でさえすれば>にならない。 前回のポストのこの部分を抜き出すと
 
 前回のポスト
 
Title:  even は<さえ>、<でも>の意味だけか? これさえあれば、鬼に金棒。
 
 " 
(これさえあれば、鬼に金棒。の<これさえあれば>について)
 
even の代わりに only を使うと

Only if you have this, 

になるが

<これがありさえすれば>の意味にはならならないだろう。多分<これがある場合だけ、のみ、に限り>の意になる。
 
 
おもしろいので、少し良く調べてみた。大いに参考になるのは手元にある Cambridge Advanced 英漢辞典 (解説,は英語と中国語でされており英英辞典でもある) で、その箇所を抜き出すと
 
In formal written English, only or only if and its clause, can be placed first in the sentence. In the second part of the sentence , be , do, have. etc, come before the subject and the main part of the verb:
 
Only in Paris do you find the bars like this.
Only if these conditions are fulfilled can the application proceed to the next stage.
 
二番目は
 
これらの条件が満たされた場合にのみ、次の手続きに進むことができる。
 
の意で<これらの条件が満たされさえすれば>の意ではない。また、おそらく
 
 If only these conditions are fulfilled can the application proceed to the next stage.
 
も<これらの条件が満たされさえすれば>の意にはならないだろう。内容は、if が使われてれているが仮定ではなくある条件のもとでの話だ。<これらの条件>の<条件>のことではない。だから
 
これらが満たされた場合にのみ、次の手続きに進むことができる。
 
としても、ある条件のもとでの話であることに変わりはない。
 
注)冒頭にに In formal written English とあるので、口語では語順が変わる、または別の言い方をするのでないか。
 
数学だか論理学だか忘れたが、if and only if (iff) というのがあり、これも参考になる。
 
 
sptt

 

 

 

Sunday, November 26, 2023

even は<さえ>、<でも>の意味だけか? これさえあれば、鬼に金棒。


even と<さえ>、<でも>の比較は最近いろいろやっているが、一筋縄ではいかない。even は副詞。一方<さえ>、<でも>は副詞ではなく副助詞。副助詞にもいろいろあるが<さえ>、<でも>は類推の副助詞と言うことになっている。<さえ>、<でも>に似たのでは、使用頻度は落ちるが<すら>、<ですら>がある。よく見る例文は
 
子供さえ、子供でさえわかるのに、できるのに
子供でも、子供にでもわかるのに、できるのに
子供すら、子供ですらわかるのに、できるのに

<さえ>と<すら>は<でさえ>、<ですら>ど<で>がつくが<でも>は頭に<で>があるためか<ででも>とは言わず<にでも>となる。この<で>はクセモノだ。

次の例文はどうか。

これさえあれば、鬼に金棒。

これはどう英語に訳せばいいか? ネット検索すると(今はネット検索で森羅万象、ほとんどなんでもとにかく回答がでてくる)自動翻訳で

If you have this, you'll be able to beat the devil.


と出てくる。これは、おもしろいが、自動翻訳機の不十分さを示している。だが、新解釈として将来こういう意味になるかもしれない。<鬼に金棒>だけだと

Demons with gold sticks

で少しマシだが、なぜか複数になっている。また金=gold となっていて変な直訳だ。

<これさえあれば、鬼に金棒>の<
鬼に金棒>は、いまのところ
 
鬼に金棒:ただでさえ強い鬼に金棒を持たせる意から、 強いものがさらに強さを加えること。

というのが一般的だ。これに沿った英語訳では


"
https://nativecamp.net/heync/question/13692

・the more Moors, the better victory
・decisive advantage 「鬼に金棒」は英語では the more Moors, the better victory というフレーズや decisive advantage などを使って表現することができると思います。

Even if you get lost, as long as you have a smartphone, it's the more Moors, the better victory.
(道に迷っても、スマホさえあれば鬼に金棒だ。)

If he joins our team, it would give us a decisive advantage.
(彼が私たちのチームに加入すれば、鬼に金棒になる。)

"
というのがある。一番目も二番目も<鬼に金棒だ>はやや唐突で、特に一番目はこの短い文例では文脈にそわない。

the more Moors, the better victory

はことわざのようだが、知っている人、使ったことのある人はいないだろう。下記の解説が必要だ。


ムーア人◆8世紀にアフリカ北西部からスペインに侵入し、1492年まで支配したイスラム教徒
・The more Moors, the better victory. : 鬼に金棒。◆【直訳】(最強の戦士である)ムーア人が多いほど、勝ちやすくなる。


したがって、これは知っていなくてもいいし、 使わない方がいい。わかる人がいないに等しいのだ。死語 (死諺) だろう。だが、ここで、ことわざ表現でときどき出てくる

The more Moors, the better victory.

の比較級を使ったへんてこな英語の言い回し、英語構文は even と関係があるかもしれない。というのは、類推では比較が重要な働きをするからだ。

子供 (で) さえ、でも、(で、に) すらわかる(のに)

の英語は

Even a child understands
Even a child can understand

で even が使われる。一方<これさえあれば>は難しい。はじめの自動翻訳では

If you have this, (you'll be able to beat the devil.)

では<さえ>が訳されておらず<これがあれば> 、even を頭に加えると

Even if you have this, になるが、これは

(もし)これがあったとしても If you have even this, もなぜか

<(もし)これがあったとしても>になり<これさえあれば>にならない。even の代わりに only を使うと

Only if you have this, 

になるが

<これがありさえすれば>の意味にはならならないだろう。多分<これがある場合だけ、のみ、に限り>の意になる。

If you have only this, 

も<これがありさえすれば>の意味にはならなず<これしかないとすると>の意味になってしまう。いろいろ探してみたが、上にある as long as を使った

as long as you have this (これがある限り)

がつかえそう。したがって上の<これさえあれば、鬼に金棒だ>は

As long as you have this, you will have a decisive advantage.

が候補だが、a decisive advantage はかなりの意訳だ。

As long as you have this, you will become even stronger.

と、even を使って強さを強調したのはどうか。

さて、<これさえあれば、鬼に金棒>が取り合えず片付いたところで、本題ににはいる。even を辞書でチェックしてみると、いろいろおもしろい。副詞としての even の一番目に出て来る説明は

Google
used to emphasize something surprising or extreme.

"they have never even heard of the United States"

synonyms: surprisingly, unexpectedly, paradoxically, though it may seem strange, believe it or not, as it happens

Merriam-Webster

used as an intensive to stress an extreme or highly unlikely condition or instance
so simple even a child can do it

Cambridge
used to show that something is surprising, unusual, unexpected, or extreme:

I don't even know where it is.

Collins

You use even to suggest that what comes just after or just before it in the sentence is rather surprising.


で<類推>を使った説明がない。大体は<おどろくべきことに>、<異常なことに><予期せぬことに>、<極端な例をあげると>と言った意味の副詞 (句) 相当だ。

Merriam-Webster の

used as an intensive to stress an extreme or highly unlikely condition or instance
 
so simple even a child can do it

<さえ>、<でも>の例文でよくでてくる

子供さえ、でさえできる
子供でも、にでもできる

に似ている文例だ。
an intensive (名詞) というのは他の辞書では even の説明として出てこない。普通は形容詞で ICU = Intensive Care Unit のような使われ方だ。名詞としての intensive は強調だろう。
 
<さえ〔さへ〕>の解説の例では、例えば
 
デジタル大辞泉 (小学館)

2 ある事柄強調的に例示し、それによって、他の場合は当然であると類推させる意を表す。…だって。…すら。「かな文字読めない

に似たところがあるが、英語の even の解説は前半部だけで後半部の<類推>が欠けている。後半部のある日本語の解説の方が進んでいるのではないか。

ところがである。少しよく考えてみると<他の場合は当然である>と考えることは<類推 (analogy)>だろうか? 類推というのは、analogy の訳語と思うが、

<類推(する)>とは
https://kotobank.jp/word/%E9%A1%9E%E6%8E%A8-150606

日本国語大辞典 「類推」の意味・読み・例文・類語

① 同じたぐいの事、または類似の点をもとにして他の事を推しはかること。アナロジー。類測。
論理学で、二つの物事の間のある点の類似性から、他の点での類似性を推理すること。アナロジー。類比類比推理

なので

ある事柄強調的に例示し、それによって、他の場合は (その内容は) 当然であると<考えさ、思わ>せる意を表す。

とはズレがある。さらに英語辞書をチェックしてみた。手元にある使い古したぶ厚い Cambridge Advanced 英漢辞典では丁寧に<他の場合は当然であると<考えせる、思わ>せる内容の部分が出てくる。

1)to emphasize sth unexpected or surprising

He never even opened the letter (= so he didn't read it)
It was cold there even in summer (= so it must have been very cold in winter)
Even a child can understand it (= so adults certainly can)

カッコ内の例文は<他の場合は当然であると<考えさ、思わ>せる内容の部分なのだが、初めの解説に analogy は出てこない。なぜなら analogy (類推) ではないからだ。特に説明はないのだが、unexpected or surprising な例を示して、その対比である expected or not-surprising なこと (当然なこと) を<考えさ、思わ>せるレトリックといえる。レトリックは主に強調にため使われる。したがって、古くさい言い方もあるが

He never even opened the letter (= so he didn't read it)
彼は手紙を読みさえしなかった(だから、ましてや読んではいない (のは当然だ) )

It was cold there even in summer (= so it must have been very cold in winter)
そこは夏でも寒かった(だから、(いわんや) 冬はとてつもなく寒かったに違いない)

Even a child can understand it (= so adults certainly can)
これは子供ですらわかる(だから、
(いわんや) おとななら、(もちろん) まちがいなくわかる)
 
したがって、類推と言うよりはかなり確かな推定、推測 (当然なこと) を<考えさ、思わ>せる助詞と言えないか。もちろん副詞と違って助詞自体に意味はないので、このような働きをする助詞ということになる。レトリック用助詞なのだ。ここがポイント。
 
類推にこだわれば
 
子供さえできる 
若者さえできる
老人さえできる
だから中年できえる、だろう、に違ない。

が類推論法だ。<でも>は<も>があるのでさらに類推的になる。
 
子供でもできる
若者でもできる
老人でもできる
だから中年でもできる、だろう、に違ない。
 
<さえ>と<でも>は微妙に違う。
 
 
副詞としての even の二番目に出て来る説明は

比較級の強調、これまた強調だ。たとえば

Merriam-Webster の

—used as an intensive to stress the comparative degree

she did even better

more better と言う和製英語があるが、これはもちろん間違い。普通は much better、even better。個人的には私は、むかしは much better 一本やり。というのは even better が<よりよくさえある>の意と思っていたからだ。だが even better、even taller、even stronger というのをしばしば耳にし<よりよく、
より高く、より強くさえある>の意味ではないとわかってからは even better, etc を使うようになっている。

副詞としての even の三番目に出てくる説明はいくつかある。
 
手元の Cambridge Advanced 英漢辞典では

used to introduce a more exact description of sb/sth

It's an unattractive building, ugly even.

それは魅力のない建物、醜いとさえ言える。

even ugly でもよさそうだが、ugly even の方が強調度が高いようだ。この言い方はときどき耳にする。また一人で言ってもってもいいが

A:  It's an unattractive building.
B:  Ugly even.

のように相づちのようにもよく使われる。

Merriam-Websterでは

c
—used as an intensive to indicate a small or minimum amount

didn't even try (やってみることさえしなかった)

が三番目にきている。これは
 
小さい、または最小の量を示唆する強調として使われる。
 
何だかよくわからないが、小さい、または最小の量、程度の例を示して、それ以上のもの(当然それ以上になる)が当然予想される量、程度を<考えさ、思わ>せるレトリックのことを言っているのだろう。説明不足だ。

Merriam-Websterでは、さらに四番目があり

d
—used as an intensive to emphasize the identity or character of something
forgot his car keys and even left the engine running

説明が難しいが、例文は

彼は車のキー(複数) をわすれたが、エンジンをかけたままでさえだ。

これは彼の不注意さ加減を揶揄、強調したものだろう。(
to emphasize the identity or character of something

Merriam-Websterでは、以上の4点から独立させて、上ですでに取り上げ三番目の

used to introduce a more exact description of sb/sth

を別にとりあげている。

 
2
a
: to a degree that extends : fully, quite
 
faithful even unto death

死さえもいとわないほど忠実な

言い換えると

very faithful, unto death even

とでもなるか。だがこれは

used to introduce a more exact description of sb/sth とはやや違う。むしろ

—used as an intensive to indicate a big or maximum amount

even は以上の副詞としての単独使用のほかによく聞く、使われる even if, even though の熟語使用がある。この二つは複文で出てくる。日本語の副詞、副助詞以外に接続詞、接続助詞が絡んでくるので、別途検討。

参考

https://www.merriam-webster.com/dictionary/even adverb

1
a
—used as an intensive to stress an extreme or highly unlikely condition or instance
 
so simple even a child can do it

b
—used as an intensive to stress the comparative degree
 
she did even better

c
—used as an intensive to indicate a small or minimum amount
 
didn't even try

d
—used as an intensive to emphasize the identity or character of something
 
forgot his car keys and even left the engine running

2

a
to a degree that extends : fully, quite
 
faithful even unto death

b
: at the very time
 
raining even as the sun came out

c
: exactly, precisely


 
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/even

used to show that something is surprising, unusual, unexpected, or extreme

I don't even know where it is.
Everyone I know likes the smell of bacon - even Mike does and he's a vegetarian.
We were all on time - even Chris and he's usually late for everything.
It's a very difficult job - it might even take a year to finish it.
"I never cry." "Not even when you hurt yourself really badly?"
Even with a load of electronic gadgetry, you still need some musical ability to write a successful song.


https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/even


1. adverb [ADVERB before verb]

You use even to suggest that what comes just after or just before it in the sentence is rather surprising.
 
He kept calling me for years, even after he got married.
Some of my remarks were so scathing that even Jane was surprised.
I cannot come to a decision about it now or even give any indication of my own views.
He didn't even hear what I said.
Synonyms: despite, in spite of, disregarding, notwithstanding More Synonyms of even

adverb
You use even with comparative adjectives and adverbs to emphasize a quality that someone or something has. [emphasis]
 
It was on television that he made an even stronger impact as an interviewer.
During his second day Edward looked even more pale and quiet than on his first.
Stan was speaking even more slowly than usual.
Synonyms: all the more, much, still, yet More Synonyms of even



sptt
 

 

Saturday, November 25, 2023

as son as possible の日本語訳

 

as soon as possible という熟語は日本人には相当知れ渡っている。訳は<出来るだけ早く>でこれだけでも使える。ところが soon だけで訳すと、まもなく、じきに、ほどなくして、で<早さ>は全面に出てこない。実際英語圏ではあまり聞かない。よく聞くのは shortly, immediately.

as soon as xx は<xxするやいなや>というやや古くさい言い方で訳される英熟語で

I will be back home as soon as I finish my work.

のように使えると思うが、これも実際英語圏ではあまり聞かない。immediately after I finish my work が普通だろう。

ただちに帰る
すぐに帰る
急いで帰る 

漢語では

即刻、即帰る

事態がそれほど急ぎでない場合は as soon as I finish my work がいいだろうが、すぐに家に帰ってくることは期待しない方がいい。これはどう日本語に訳したらいいか。

じき帰る
まもなく帰る
早めに帰る
ほどなくして帰る 

漢語では

早々帰る

が候補だ。

さて、<xxしてからすぐに>の意味では日本語にはおもしろい言葉がある。

xxする (した) 端 (はし) から
xxする (した) そばから
xxする (した) 先から  

<端 (はし) ><そば>は元来名詞だ。

<舌の乾かぬうちに>が常套句のようだが

舌の乾かぬはしから
舌の乾かぬそばから
舌の乾かぬ先に

からでもいいだろう。 

ところで<端 (はし) ><そば>は元来名詞なので形式名詞かどうかチェックしてみる。

xxする 端 (はし) から
xxする (した) そばから

この 端 (はし) から、このそばから
その端 (はし) から、そのそばから
あの端 (はし) から、あのそばから
どの端 (はし) から、どのそばから

まったくダメだ。

そのそばから

言った 、したそのそばから

とはいえる。

 <端 (はし) ><そば>は名詞なので主語になれるが、元来の意味で

xxする 端 (はし) から
xxする (した) そばから

の意味はない。したがって、この用法は元来の意味からずれているが、これだけで形式名詞に変身していない。

 

sptt

 

 

 


Friday, November 24, 2023

”only の意味は<だけ>だけか?“ー2



だいぶ前に ”only の意味は<だけ>だけか?” というポストを書いたことがある。主旨は Carpenters の歌の題名 Only Yesterday の <Only>は<だけ>でないことを北京語の相当語<才>、広東語の相当語<先至>を使って説明した。

さて今回の ”only の意味は<だけ>だけか?ー2” は立場を変えて、<only>は<だけ>だけでないことを日本語の副詞、副助詞を使って説明する。英語の only は副詞だが(英語には副助詞がない)、日本語の<だけ>は副詞ではなく副助詞のなかまだ。副助詞にはいろいろおもしろいのがあるが、<だけ>は副助詞の代表といっていい。というのは副助詞と言うのは用言を修飾するのだが、修飾の意味内容でグループ化すると

限定:だけ、のみ、ばかり、しか (ない)、きり

不定限定:など、やら、ほど(程度)、くらい (<不定限定>は正式文法用語ではない)

Even 相当:さえ、でも、すら

強調:こそ (昔は<かかり助詞>が強調担当だったが、残念ながら係り結びの法則がなくなってしまったので、<こそ>は副助詞あつかいのようだ。<係り結び>に未練があるひとには、<こそ>は<かかり助詞>でもいいだろう。

一番目の

限定:だけ、のみ、ばかり、しか (ない)、きり

これだけ、これのみ、こればかり、これしか (ない)、これきり

日本語ではいろいろあるが、英語ではおそらくonly this >だけ、のみ、きりだろう。

これらの副助詞は<ただ>と相性がよく

ただこれだけ、ただこれのみ、ただこればかり、ただこれしか (ない)、ただこれきりただ寝るだけ。
ただあきれるばかり (だけ、のみ) だ。ただあきれるばかりしかない。

<ただ>は副助詞でなく、副詞。 <ただこれだけ>は英語では just only this 。only just this とも言えそうで、これだと、only = just になる。

副詞と副助詞の違いは、副助詞は助詞なので、独立性がない。他の語が必要という定義で、<これだけ>の<これ>が必要ということになるが

ただ寝る。

の<ただ>は副詞で

寝るだけ。

の<だけ>は副助詞

と言ってもすぐにはピンとこない。

注)上で

Even 相当:さえ、でも、すら

と書いたが、調べてみたら

ttps://www.kokugobunpou.com/助詞/副助詞の働き/#gsc.tab=0

副助詞の働き


■ 副助詞とは

副助詞 … いろいろな語に付ついて、さまざまな意味をそえる働きをする。

■ 副助詞の働き

副助詞は、強調・類推・並立・限定・添加・程度・例示・不確 (ふたしか) などの意味をそえる。 

(例) これこそ芸術だ。(強調)
(例) 歩くことさえできない。(類推)
(例) 右も左もわからない。(並立)
(例) 遊んでばかりいる。(限定)
(例) 雨が降り、雷まで鳴りだした。(添加)
(例) 1時間ほどかかる。(程度)
(例) お茶などを用意する。(例示)
(例) どこかに置き忘れる。(不確か)


と言う解説があり

(例) 歩くことさえできない。(類推)

で<類推>となっている。さらに


類推るいすい : 一つの極端な例をあげて、他も当然そうであると推測させます。


という解説がある。さらに、類推は

類似の点をもとにして、他を推しはかること。「過去事例から—する」

ということだ。類推の英語を analogy とすると

一つの極端な例をあげて、他も当然そうであると推測させます。

は単純な analogy 、analogical reasoning.ではない。

歩くことさえできない。

は英語では

even cannot walk

で <さえ>は even が相当する。even = 類推 ( analogy) ではピンとこない。even は高使用頻度で以前にポストを書いたことがある。これは別課題であるにので、even と<さえ><でも>などの類推副助詞 (さらにはあれば類推副詞) との比較を別のポストでする予定。




sptt

Wednesday, November 22, 2023

形式名詞と副助詞、「ほど」「くらい」「だけ」「ばかり」



副助詞とは何か自体はっきりしないところがあるが、日本語ではおもしろい表現で活躍する。 ネットで調べてみると、簡単なのでは デジタル大辞泉 「副助詞」の意味・読み・例文・類語
ふく‐じょし【副助詞】

助詞の一。種々の語に付き、それらの語にある意味を添えて、副詞のように下の用言活用連語修飾・限定する類の助詞。現代語では「さえ」「まで」「ばかり」「だけ」「ほど」「くらい(ぐらい)」「など」「やら」など、(古語略)

と言うのがある。活用連語という見慣れない文法用語がでてくるが、用言の一種。副詞、副助詞は用言を修飾する、が原則だ。

この中で名詞でもあるのは<ほど (程) >、<くらい (位) >で、その他は純副助詞で名詞として独立していない。この独立だが、度合があり、独立度が高いと主語になれるが、低いと主語になれない。この判断基準は下記の形式名詞の定義による。もっとも、この形式名詞の定義もはっきりしないところがある。また上の簡単な解説では最後に<など>とあるので、多いのか少ないのかわからないが、他の副助詞があることになる。比較の対象とする形式名詞は

niwa saburoo の日本語文法概説


14. 形式名詞 https://niwasaburoo.amebaownd.com/posts/5733468/

には相当詳しい説明がある。聞きなれない文法用語があるが、わからないまま引用する。



名詞の中に、「形式名詞」と呼ばれるものがあります。「形式名詞」の範囲は説によってずいぶん違いますが、その中の主なものをあげておきます。

A こと、もの、ところ、わけ、はず、つもり / よう、の


B ため、とおり、まま、おかげ、せい、くせ、かわり、ほう・・・

これらは、独立した名詞としての用法のほかに、実質的な意味が薄まって、常に他の言葉によって修飾される用法でも使われるようになったものです。

その用法では、補語・連用修飾語になったり、複合述語を形成したり、また複文を作る要素としてもよく使われます。ここでは、単文の中で連用修飾の働きをする形をとりあげます。他の用法は、それぞれ「複合述語」「複文」のところを見てください。

上のAのグループは、述語を受ける用法が重要なもので、特に「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法があるものです。その場合、本来の名詞としての意味は希薄になり、用法も広く、いかにも機能的な語になります。それらの中で微妙な使い分けがあり、学習者には習得しにくく、日本語教師にとっても難しいものです。



上で

上のAのグループは、述語を受ける用法が重要なもので、特に「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法があるものです。

とあるが、Bのグループでもxxのためだ、xxするためだ
xxのとおりだ、xxするとおりだ
etc

で,「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法がある。

さて上の<ほど (程) >、<くらい (位) >は形式名詞あつかいにならないか。これまでの形式名詞ポストで形式名詞かどうかチェックする方法 (形式名詞リトマス試験) を使っているが、これを使うと

xxするほど(のことはない)
このほど ー <このほど>は慣用句になっていて、意味が大きくずれている。元の意味があるのは<これほど>。
そのほど ー <そのほどが知れない>という言い方がある。だが普通は<それほど>。
あのほど ー これはほとんど聞かない。普通は<あれほど>。
どのほど ー これもほとんど聞かない。普通は<どれほど>。

ほどが / はいい、わるい。
ほどが / は重要だ。

はダメで、単独で主語になれないようだが

xxするにもほどがある

で主語になる。この<ほど>は抽象化、一般化している。

一方<こと、もの、ところ、わけ、はず etc >の形式名詞は、少しバリエーションがあるが

この、その、あの、どの<こと、もの、ところ、わけ、はず etc>となる。名詞の特徴か。

<ほど>は漢語の<程度 (ていど) >に似ている。

xxする程度だ。
この程度、その程度、あの程度、どの程度

は問題ない

程度が / はいい、わるい。

で、単独で主語になれそうだが、この<程度>は日本語では言葉に出てこないが、 the つき、特定の程度だ。一方

程度が / は重要だ。
xxするにも程度がある

の程度は抽象化された、一般的な程度と言え、単独で主語になれる。

くくらい>は

xxするくら(のことは簡単だ)(なら . . . )
このくらい、そのくらい、あのくらい、どのくらい

は問題ない。だが

これくらい、それくらい、あれくらい、どれくらい

ともいう。ほぼ同じような意味だが、上の判断基準からすると 

このくらい、そのくらい、あのくらい、どのくらい

の<くらい>は名詞。

これくらい、それくらい、あれくらい、どれくらい

の<くらい>は助詞となる。

これ、それ、あれ、どれ+「さえ」「まで」「ばかり」「だけ」「ほど」「など」「やら

は例外はなくOKだが

この、その、あの、どの+「さえ」「まで」「ばかり」「だけ」「ほど」「など」「やら

は例外はなくダメだだ。

くらいが / はいい、わるい。
くらいが / は重要だ。

はダメで、 単独で主語になれない。単独で主語になれるのは位置の意味の<位 (くらい) だ。

位が高い、低い。

したがって程度の意の<くらい>はかなりの形式名詞といえる。さらには

太郎ができるくらいだ。

で 、「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法がある。

さて、おもしろいのは 「だけ」で、だいぶ前に ”only の意味は<だけ>だけか?” と言うポストを書いた。このなかで Carpenters の歌の題名 Only Yesterday を取り上げて <Only=だけ>でないことを詳しく説明した。

上の副助詞例では<ばかり>も only 相当になる。<ばかり>もおもしろい。上の副助詞例にはないが<のみ>、<しか>も only 相当だ。これらはまさに<限定する類の助詞>だ。一方「ほど」「くらい(ぐらい)」「など」「やら」は<不限定する類の助詞>と言えそう。

<だけ>の用法として

ことがことだけに
ものがものだけに
場所が場所だけに(ところがところだけに)
ときがときだけに
場合が場合だけに
人物が人物だけに(ひとがひとだけに)
事情が事情だけに
条件が条件だけに

というのをよく聞く。

上にあるように<こと、もの、ところ>は形式名詞の代表だ。<とき>も形式名詞のリストに入っている。<場所、場合、人、人物、事情>も形式名詞的な見方ができる。

上の言い方ができないのを探してみると

ものごとがものごだけに
ひとびとがひとびとだけに (これはなんとかなる)
人類が人類だけに (これはダメ)
諸事情が諸事情だけに
諸条件が諸条件だけに

美が美だけに (美は抽象名詞)
善が善だけに (善は抽象名詞)

全部が全部だけに 
すべてがすべてだけに

この言い方ができる / できないはもちろん名詞の意味内容によるのだ。どこが、何が違うかと言うと、抽象度合といえる。これはおもしろい課題だが、ここでは深入りしない。

<ばかり>はおもしろい。<ばかり>は<だけ>、<のみ>、<しか>、さらには only で置き換えられるのだが、ニュアンスが違う。

言うばかりで、何もしない。
遊んでばかりいないで、たまには勉強したらどうだ。
遊ぶばかりいないで、ちっとも勉強しない。

ウソばっかり(ばかり)。
こればかりはなんとか勘弁してほしい。

花子ばかりが女じゃない。(花子にふられた太郎への慰安の言葉)
桜ばかりが花じゃない。

 

sptt

Sunday, November 19, 2023

和製英語の形式名詞、ケース、etc.

 

前回のポスト " 漢語由来の形式名詞、様(よう)、段(だん)、etc." を書いているうちにおもしろい発見した。その箇所をコピー。ペイストする。 


<場合>の英語は case で、これは<ケース>と和製英語化して、よく使われている。<ケース バイ ケース>>もよく使われる。この和製英語化した<ケース>は<場合>と同じく純形式名詞なのだ。

xxするケースでは
このケースでは、<このケースの場合>とも言う
これはどのケースに相当するか?
 
で問題ない。また
 
ケースが / はいい、わるい。
ケースが / は重要だ。

はダメで、単独で主語になれない。まさしく純形式名詞だ。これは大発見ではないが、忘れないうちに、次のポストで、もう少しチェックして、もっと詳しく書く予定。

さっそくもっと詳しく書くことにする。上の形式名詞かどうかをチェックする方法は、簡単だが有効と思われる。もっとも、形式名詞の定義が定かではないのは問題だが。形式名詞は非常におもしろく、見方によっては名詞の抽象化 (言い換えると、大雑把化) による変身 (metamorphosis) と言える。
 
ケース以外では漢語の形式名詞が参考になる。
 
段、とき:タイム、タイミング 

和製英語のタイムはスポーツ用語から来ているようで<中断 (する)>相当。この意味で<タイムにする>はいいが、
 
xxするタイム、このタイム、どのタイム、 タイムは/が xx

はいずれもダメ。だがタイミングは
 
xxするタイミング
このタイミング
どのタイミング
 
とは言える。だが 
 
タイミングが / はいい, 悪い
 
と単独で主語になれる、準形式名詞だ。だが上の4例の意味をチェックしてみると
 
xxするタイミングを逃がしてはいけない
xxする機会を逃がしてはいけない
 
うまく料理するにはこのタイミングが重要
 うまく料理するにはこ頃 (ころ) 合いが重要
 
どのようなタイミングに返事をしたらいいものか?
どのようなとき時間的な都合の時)に返事をしたらいいものか?
 
タイミングがいいときにやってきた
時間的に都合のいいときにやってきた
 
のようになり、それぞれ時 (とき) に関連はしているが 、意味合いが違う。抽象化 (大雑把化)してみると、<時間的な都合、良し悪し (具合) >と言えそう。だが一番目では<よい時間的な都合>で<良い>がすでに含まれている。四番目の
 
タイミングが / はいい、悪い
 
タイミングも時間的な都合、良し悪し (具合) >だので、意味が大きく違っているわけではない。。
 

点:ポイント
 
xxするポイント(では)
xxするポイント(は)
このポイント(に関しては)
どのポイント(が重要かというと)
 
とは言える。さらに
 
ポイントが / はいい
 
はダメだが
 
ポイントが少しずれている
 
とはいう。 これも意味をよくチェックしてみると、一番目の
 
xxするポイント(では)
 
 
 
xxするところ(では)、とき(には)
 
二番目の
 
xxするポイント(は)
 
 は<重要なところ>の意だ。
 
三番目、四番目は<点>を流用して
 
このポイント(に関しては) ー この(に関しては)、この箇所(に関しては)でもいい
どのポイント(が重要かというと)ー どの(が重要かというと)どの箇所(が重要かというと)
 
最後の
 
ポイントが少しずれている


焦点、意味するところが少しずれている
 
で言い換えできる。いろいろおもしろい。
 
 
段階:ステップ
 
xxするステップ(では)
このステップ(に関しては)
どのステップ(が重要かというと)
 
とは言える。段階で置き換えられる。
 
ステップが / はいい
 
は、ダンスのステップならいが、段階のステップではダメだ。
 
うまくやるにはステップにしたがってやることだ。
免許を取るには正規のステップを踏む必要がある
 
とはいう。 ステップは段階の意味からからあまり派生していない。

場面:シーン

xxするシーン(では)
xxするシーン(は)
このシーン(に関しては)
どのシーン(が問題かというと)
 
単独用法の

シーンが / はいい、悪い

はダメ。 相当する<場面>も同じだ。


状況:シチュエーション

シチュエーションはまだ半和製英語だろう。

xxするシチュエーション(では)
xxするシチュエーション(は)
このシチュエーション(では)
どの、どんなシチュエーション(でも)
 
単独用法では 
 
シチュエーションが / はいい、悪い

とは言う。 だがシチュエーションの意味は変わっていない。さらに、言葉には出てこないが<今のシチュエーション>の意だろう。したがって抽象化が進んでいるわけではない。相当する<状況>も同じだ。もっとも<シチュエーション、状況>はかなり抽象化された言葉とも言える。これは、逆に<個々のシチュエーション、状況>で個別化される。


sptt

 

Saturday, November 18, 2023

漢語由来の形式名詞、様(よう)、段(だん)、etc.

 

大和言葉の形式名詞の代表は<こと><もの><ところ>だが、いろいろあり、形式名詞もどきのものを加えると相当ある。さらに漢語由来の形式名詞もいろいろある。ネットで調べてみると


精選版 日本国語大辞典 「形式名詞」の意味・読み・例文・類語

けいしき‐めいし【形式名詞】

〘名〙 国文法で、名詞下位分類の一つ。松下大三郎用語。それ自体には実質的意義が薄く連体修飾語を受けて名詞句を作る。和語では「こと・もの・あいだ・うち・とおり・とき・せい・はず・かた・ほど・よし・ふし・ところ・ゆえ」など、漢語では「件・儀・体(てい)・方(ほう)・点・段・分」などがある。「事(こと)重大である」「そんなことをいうと為(ため)にならぬぞ」など、単独に用いられる場合は特に「実質名詞」として区別される。〔標準日本口語法(1930)〕
 
1930年はかなりな昔で、 
 
件・儀・体(てい)・方(ほう)・点・段・分」などがある。
 
となっている。
 
上記の中で
 
「そんなことをいうと為(ため)にならぬぞ」
 
と言うのがあるが、これは<そんなこと>の<こと>を言っているとすると、これは単独で用いられているわけではない。単独使用の場合は
 
 「ことをいうと為(ため)にならぬぞ」
 
になるが、これは意味をなさない。<こと>は基本的に主語になれないのだ。だから形式名詞なのだ。だが
 
ことは急ぎだ。ことがことだけに、
 
という言い方があるが、これは例外扱い。あるいは <そのこと>の<その>、英語の the 相当が省略されているとみれば、やはり<こと>は基本的に単独では主語になれないのだ。
 
一方、例にはないが為 (ため) のことを言っているとすると、<為 (ため) にならぬぞ>となるが、この為 (ため) は頭にきているが主語ではない。<xxは為 (ため) にならぬぞ>の<xxは>が省略されているとみなせる。つまりは
 
「そんなことをいうと、それは為 (ため) にならぬぞ」
 
がフルセンテンスだ。
 
さて、上記の解説の<など>がくせもので、他にも少しあるのか、あるいはもっとたくさんあるのか不明なので調べてみた。おもしろいのがたくさんある。また上では一語の漢語の例しか挙げていないが、二語の漢語の形式名詞、形式名詞もどきもけっこうありそう。漢語の、漢語由来の形式名詞をチェックしてみる。
 
件:ほぼ<こと>相当。
 
明日行く件については
その件につては佐藤君に聞いてくれ。
<くだんの件>とは何の件か。
 
儀:これは古語っぽいがまだ聞く。ほぼ<こと>相当。
 
体 (てい):ほうほうの体 (てい)で、様子
 
方(ほう):
 
xxする方がいい。
その方、この方がいい
どっちの方がいい?
 
でいづれも問題ない。<方>は
 
方はxxx、方がxxx
 
と言えず、そのままでは主語になれないので’純形式名詞だ。<方>は他の言葉では何に相当するか? 上の例文からすると、選択がらみのモノ、コトだ
 
xxする方がいい。
その方、この方がいい
 
は選択後のあるもの、あること。
 
どっちの方がいい?
 
は選択前のあるもの、あること。これは英語の which thing 相当か。
 
選択後のあるもの、あること。
 
は something selected になるが、日本語では<選ばれた何か>、<選ばれたモノ>、<選ばれたコト>になるが、<方 (ほう)>の一語に比べてとんでもなく長い。<方 (ほう)>は形式名詞のチャンピオンではないか。
 
<方 (ほう) を使った二字漢語では
 
方法、方角、方便がある。
 
方法>は 

xxする方法、方角、方便
この方法、方角、方便
どの方法、方角、方便

いずれも問題ない。
 
方法、方角、方便はある。 
 
と、いずれも主語になれる。 だが<方便>は少し違うようだ。
 
方法、方角が違う。

はいいが

方便が違う。
 
とはまず言わない。<やり方 (かた)、し方 (かた)>というのがある。
 
xxするやり方
このやり方
どのやり方
 
やり方が違う。
 
とそのままで主語になれるので<やり方 (かた) >、<し方 (かた) >は形式名詞もどきだ。だが <やりかた>の<やり>は<やる>の連用形の名詞詞用法で<名詞+名詞>の造語。<方>だけで独立させないいけない。<し方 (かた) >も同じ。

xxする方 (かた)
この方 (かた)
どの方 (かた)
 
は方法の意味<かた>はダメだ。<か>だけでは方法の意味にならない。だが人の場合は問題ない。 だが

方がいる
方が違う
 
はダメで、 人の<方>は単独では主語になれない。一方<人 (ひと) >は単独で主語になれる。
 
人がいる
人が違う
 
この<人 (ひと) >は抽象化が進んでいる。<人 (ひと) >は形式名詞だ。
 
  
 
点:ほぼ前に出てきた<ところ>相当。<箇所><そのところ>
 
いつもさぼりたがる点が問題だ。
その点がよくのみ込めない。よくのみ込めないのはその点だ。 
 
 <点>かなり具体化されている。 <その点だ>の言い方に注目。
  
<箇所>は<そのところ>相当で、<その>があるため抽象化が十分進んでいない。そのためか
 
いつもさぼりたがる箇所が問題だ。
 
はいいが
 
問題はいつもさぼりたがる箇所だ。
 
は変だ。一方
 
問題はいつもさぼりたがる点だ。
 
は問題なく> の方が抽象化、形式名詞が進んでいる。さぼりたがる>の言い方に注目。だが

よくのみ込めないのはその箇所だ。

は問題ないが、<その>がついて特定化されている。
 
段: <こと>相当、<とき>相当。
 
金を払う段になると、いつもどこかにいなくなる。
 
段階
 
xxする段階
この段階
どの段階
 
は問題ない。段階はそのままでは主語になれない。
 
段階は言い、わるい。(ダメ)
段階は重要だ。(ダメ)
 
従って<段>と同じく純式名詞名詞と言える。
 
 
(ぶん):これはいろいろある。おもしろい漢語由来の形式名詞の一つ。
 
花子がする分にはいいが、おまえだと .....
この分だと、太郎は時間通り来そうにもない
どの分が欲しい? 
 
(ぶん)は単独で主語になれない。
 

ーーーーー

< 様>は<よう>と書くと形式名詞あつかいになるようだが、漢語由来だ。
 
 
するようだ
このように
どのように
 
は問題ない。
 
ようが/はxx
 
はダメで主語になれない。純形式名詞だ。
 
様子 (ようす) は現代中国語でも<这样子 >はよく使われる。

する様子
この様子だと
どんな様子だ?

だが
 
どうも様子がおかしい。

で主語になれるので 形式名詞もどきだ
 
<様子>に似たのに<具合>がある。
 
具合 (ぐあい) は重箱読みだ。 

今は具合が悪い。
 
で主語になるので純形式名詞ではない。だが
 
そんな具合だと
どういう具合で、どんな具合だ? 

だが、<xxする具合>とは言わず<xxし具合>、<乗り具合>、<取り組み具合>、<戦い具合>と連用形になるが
 
xxしている具合
乗っている具合
取り組んでいる具合
戦っている具合
 
とは言う。これはどうしたことか? 
 
<xxし具合>、<乗り具合>などの連用形は<連用形の名詞化>で
 
名詞+具合 (名詞)
 
の組み合わせ。 

<xxしている具合>、<乗っている具合>などとどこがちがうか? これは少し前の<補助動詞>シリーズで検討してあるのを流用すると


 
<xxている>という表現は
 
1) 動作、行為が進行形可能の場合 ー>現在進行形
 
例)食べている
 
2) 動作、行為が進行形可能でない場合 一時的な動作、行為の場合
 
例)カギがかっている、メガネをかけている。  
 
3) a )現在進行形、そして場合によっては b )習慣的行為(いろいろな絵を壁にかける)の結果の状態をあらす。
 
例)壁に絵をかけている


と書いている。<xxしている具合>、<乗っている具合>などは現在進行とみなせる。
 
 
<様>は訓読みでは<さま>になる。殿様、佐藤様の使い方、<様になる>という言い方がある。
 
様になる
 
の<様>は主語ではない。
 
様変わり
 
 
様が変わる
 
で<様>は主語だが、<様が変わる>、<様が変わった>とはまず言わない。
 
 <様 (さま) >は大和言葉で横道にそれるので、これ以上追及しない。
 

<気>はおもしろい

する気がない。
その気になる。
どんな気でいるんだ?
 
<気が変になる>、<気が変わる>という言い方があるので形式名詞もどきだ。<気>に上の<分>を加えると<気分>になる。<気持ち>に似ているが、<気持ち>は重箱読み。<気分>は二字とも音読みだが、和製漢語のようだ。
 
する気分になる。する気分にならない。
その気分なる。
どんな気分だ? 
 
今日は気分が悪い。
 
で主語になるので純形式名詞ではない。
 
気持ち
 
する気持ちがない
その気持ちが大切だ。
どんな気持ちだ?
 
気持ちが悪い。
 
で主語になるのでこれも形式名詞もどきだ。<気>、<気分>、<気持ち>それぞれ意味が似ている場合と違う場合がある。詳細はここでは省く。
 
場合

<場合>もおもしろい。<場合>は二字とも訓読みで純大和言葉だが、大和言葉らしくない。二字でわずか三音節だからだろう。
 
xxする場合
この場合
これはどの場合に相当するか?
 
で問題ない。さらに基本的に主語にならない。
 
場合が場合だけに

と言う変な言い方があり、この場合、初めの<場合>は単独で主語だが、これは例外としていいだろう。

場合が / はいい、わるい。
場合が / は重要だ。
 
とは言わない。
 
したがって<場合>は純形式名詞と言える。今回発見したが、<場合>の英語は case でこれは<ケース>として和製英語化して、よく使われている。<ケース バイ ケース>>もよく使われる。この和製英語化した<ケース>は<場合>と同じく純形式名詞なのだ。
 
xxするケースでは
このケースでは、このケースの場合、ともいう
これはどのケースに相当するか?
 
で問題ない。また
 
ケースが / はいい、わるい。
ケースが / は重要だ。
 
はダメで、単独で主語になれない。まさしく純形式名詞だ。これは大発見ではないが、忘れないうちに、次のポストで、もう少しチェックして、もっと詳しく書く予定。
 
<立場>は<場合>と同じく二字とも訓読みで純大和言葉で、三音節だが、なぜか大和言葉らしく聞こえる。
 
 xxする立場になると
この立場から見ると
どっちの立場に立ってものを言っているんだ? 
 
立場がいい / 悪い
 
とはあまり言わないが
 
立場が違う
 
とはいうので主語になれる。
 
似たような意味で純漢語に近いのに<状況>、<事情>がある。
 
この複雑化する状況では
その状況から判断すると
どんな状況になっても
 
状況がいい / 悪い
 
は問題なく、主語になれる。
 
似てはいるが<事情>と言うのがあり、これは大和言葉がかっている。
 
 xxする事情を聞いてみると
 
この<事情>は<分け>、<理由>に近い。
 
この事情 (から) 、その事情、あの事情
 
とはあまり言わない
 
どんな事情があっても

とは言うが
 
事情がいい / 悪い
 
とは言わない。
 
事情が許さない

とは言うが、ここで気をつけないといけないのは、この<事情>は独立し<事情>ではないことだ。どんな事情かと言うと、言葉には出てこないが、the つき、特定の事情だということだ。一般的、不特定、さらには抽象化された事情ではないのだ。言葉には出して言えば
 
この事情が許さない(のだ。)
 
ここが肝心。
 
これも<場合が場合だけに>同じように<事情が事情だけに>という。この言い方はおもしろい。形式名詞の判断のモノサシにならないか?
 
コトがコトだけに
モノがモノだけに
人が人だけに、人物が人物だけに
時が時だけに
場所が場所だけに
 
はよく聞く
 
話はややこしくなるが  
 
事情が事情だけ
 
の前の事情は一般的な、不特定の、抽象化された<事情>。後の事情は特定の<事情>でそのあとに<だけ>があるので特定が強調されている。例文の<コトがコトだけに>以下も同じ。さらにおもしろいのは抽象化が進み過ぎると、この言い方ができないのだ。
 
モノゴトがモノゴトだけに
諸事情が事情だけに
 
はまずダメだ。 

このところは新発見、新しい見方ではないか? 後日再検討。
 
 まだありそうだが、長くなってきたのでこれまで。いくつかおもしろい課題が残った。
 
 
 
sptt