副助詞とは何か自体はっきりしないところがあるが、日本語ではおもしろい表現で活躍する。 ネットで調べてみると、簡単なのでは デジタル大辞泉 「副助詞」の意味・読み・例文・類語
ふく‐じょし【副助詞】
助詞の一。種々の語に付き、それらの語にある意味を添えて、副詞のように下の用言や活用連語を修飾・限定する類の助詞。現代語では「さえ」「まで」「ばかり」「だけ」「ほど」「くらい(ぐらい)」「など」「やら」など、(古語略)
と言うのがある。活用連語という見慣れない文法用語がでてくるが、用言の一種。副詞、副助詞は用言を修飾する、が原則だ。
この中で名詞でもあるのは<ほど (程) >、<くらい (位) >で、その他は純副助詞で名詞として独立していない。この独立だが、度合があり、独立度が高いと主語になれるが、低いと主語になれない。この判断基準は下記の形式名詞の定義による。もっとも、この形式名詞の定義もはっきりしないところがある。また上の簡単な解説では最後に<など>とあるので、多いのか少ないのかわからないが、他の副助詞があることになる。比較の対象とする形式名詞は
niwa saburoo の日本語文法概説
14. 形式名詞 https://niwasaburoo.amebaownd.com/posts/5733468/
には相当詳しい説明がある。聞きなれない文法用語があるが、わからないまま引用する。
”
名詞の中に、「形式名詞」と呼ばれるものがあります。「形式名詞」の範囲は説によってずいぶん違いますが、その中の主なものをあげておきます。
A こと、もの、ところ、わけ、はず、つもり / よう、の
B ため、とおり、まま、おかげ、せい、くせ、かわり、ほう・・・
これらは、独立した名詞としての用法のほかに、実質的な意味が薄まって、常に他の言葉によって修飾される用法でも使われるようになったものです。
その用法では、補語・連用修飾語になったり、複合述語を形成したり、また複文を作る要素としてもよく使われます。ここでは、単文の中で連用修飾の働きをする形をとりあげます。他の用法は、それぞれ「複合述語」「複文」のところを見てください。
上のAのグループは、述語を受ける用法が重要なもので、特に「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法があるものです。その場合、本来の名詞としての意味は希薄になり、用法も広く、いかにも機能的な語になります。それらの中で微妙な使い分けがあり、学習者には習得しにくく、日本語教師にとっても難しいものです。
”
上で
上のAのグループは、述語を受ける用法が重要なもので、特に「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法があるものです。
とあるが、Bのグループでもxxのためだ、xxするためだ
xxのとおりだ、xxするとおりだ
etc
で,「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法がある。
さて上の<ほど (程) >、<くらい (位) >は形式名詞あつかいにならないか。これまでの形式名詞ポストで形式名詞かどうかチェックする方法 (形式名詞リトマス試験) を使っているが、これを使うと
xxするほど(のことはない)
このほど ー <このほど>は慣用句になっていて、意味が大きくずれている。元の意味があるのは<これほど>。
そのほど ー <そのほどが知れない>という言い方がある。だが普通は<それほど>。
あのほど ー これはほとんど聞かない。普通は<あれほど>。
どのほど ー これもほとんど聞かない。普通は<どれほど>。
ほどが / はいい、わるい。
ほどが / は重要だ。
はダメで、単独で主語になれないようだが
xxするにもほどがある
で主語になる。この<ほど>は抽象化、一般化している。
一方<こと、もの、ところ、わけ、はず etc >の形式名詞は、少しバリエーションがあるが
この、その、あの、どの<こと、もの、ところ、わけ、はず etc>となる。名詞の特徴か。
<ほど>は漢語の<程度 (ていど) >に似ている。
xxする程度だ。
この程度、その程度、あの程度、どの程度
は問題ない
程度が / はいい、わるい。
で、単独で主語になれそうだが、この<程度>は日本語では言葉に出てこないが、 the つき、特定の程度だ。一方
程度が / は重要だ。
xxするにも程度がある
の程度は抽象化された、一般的な程度と言え、単独で主語になれる。
くくらい>は
xxするくら(のことは簡単だ)(なら . . . )
このくらい、そのくらい、あのくらい、どのくらい
は問題ない。だが
これくらい、それくらい、あれくらい、どれくらい
ともいう。ほぼ同じような意味だが、上の判断基準からすると
このくらい、そのくらい、あのくらい、どのくらい
の<くらい>は名詞。
これくらい、それくらい、あれくらい、どれくらい
の<くらい>は助詞となる。
これ、それ、あれ、どれ+「さえ」「まで」「ばかり」「だけ」「ほど」「など」「やら」
は例外はなくOKだが
この、その、あの、どの+「さえ」「まで」「ばかり」「だけ」「ほど」「など」「やら」
は例外はなくダメだだ。
くらいが / はいい、わるい。
くらいが / は重要だ。
はダメで、 単独で主語になれない。単独で主語になれるのは位置の意味の<位 (くらい) だ。
位が高い、低い。
したがって程度の意の<くらい>はかなりの形式名詞といえる。さらには
太郎ができるくらいだ。
で 、「-だ」をつけて文末の「ムード」となる用法がある。
さて、おもしろいのは 「だけ」で、だいぶ前に ”only の意味は<だけ>だけか?” と言うポストを書いた。このなかで Carpenters の歌の題名 Only Yesterday を取り上げて <Only=だけ>でないことを詳しく説明した。
上の副助詞例では<ばかり>も only 相当になる。<ばかり>もおもしろい。上の副助詞例にはないが<のみ>、<しか>も only 相当だ。これらはまさに<限定する類の助詞>だ。一方「ほど」「くらい(ぐらい)」「など」「やら」は<不限定する類の助詞>と言えそう。
<だけ>の用法として
ことがことだけに
ものがものだけに
場所が場所だけに(ところがところだけに)
ときがときだけに
場合が場合だけに
人物が人物だけに(ひとがひとだけに)
事情が事情だけに
条件が条件だけに
というのをよく聞く。
上にあるように<こと、もの、ところ>は形式名詞の代表だ。<とき>も形式名詞のリストに入っている。<場所、場合、人、人物、事情>も形式名詞的な見方ができる。
上の言い方ができないのを探してみると
ものごとがものごだけに
ひとびとがひとびとだけに (これはなんとかなる)
人類が人類だけに (これはダメ)
諸事情が諸事情だけに
諸条件が諸条件だけに
美が美だけに (美は抽象名詞)
善が善だけに (善は抽象名詞)
全部が全部だけに
すべてがすべてだけに
この言い方ができる / できないはもちろん名詞の意味内容によるのだ。どこが、何が違うかと言うと、抽象度合といえる。これはおもしろい課題だが、ここでは深入りしない。
<ばかり>はおもしろい。<ばかり>は<だけ>、<のみ>、<しか>、さらには only で置き換えられるのだが、ニュアンスが違う。
言うばかりで、何もしない。
遊んでばかりいないで、たまには勉強したらどうだ。
遊ぶばかりいないで、ちっとも勉強しない。
ウソばっかり(ばかり)。
こればかりはなんとか勘弁してほしい。
桜ばかりが花じゃない。
sptt
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