Saturday, July 15, 2023

レトリック助詞についてー3、比較の助詞<より>


前回のポスト ” レトリック助詞についてー2 <さえ>、<でも> “ の最後で

 "

(それは) 子どもでさえ知っています。おとな(が知っているの)は言うまでもない。
(それは) 子どもでも知っています。おとな(が知っているの)は言うまでもない。

とすると、文が長くなってしまうが、これは前半部との対比があり、後半部が強調されているので、レトリックといえるだろう。対比、比較はレトリックだ。

 "

と書いた。長すぎるので短くすると

子どもでさえ知っています。おとなは言うまでもない。
子どもでも知っています。おとなは言うまでもない

で、これ<子ども>と<おとな>の対比からくるレトリックだ。では比較からくる、比較の助詞によるレトリックはあるか。前回と同じく中国語版Wikiの日本語の助詞をチェックしてみると

格助詞

比較

[より]接在體言後,表示肯定的比較對象,以為「比」

例: りんごはみかんより甘いです。/ 蘋果比橘子甜。

というのがある。

<です>のない

りんごはみかんより甘い。

が日本語らしいが、それは別として、中国語の比較文構造がおもしろい。英語では

Apple is sweeter than orange.

でこれまた文構造が違う。個人的には<蘋果比橘子甜>が簡潔で一番いいと思う。形容詞<>に英語の比較級変化はなく<原型>。動詞も基本的に動詞変化がない。形容詞、動詞に語尾変化がないのが中国語の大きな特徴だ。品詞は調べていないが<>という一語と語順で比較を簡潔に表している。さて日本語にもどると、

リンゴミカンより甘い。

とはいうが、教科書、外国人向け日本語文法書のなかの日本語だ。日常では

リンゴはミカンに比べて甘い。

で中国語のような言い方になる。例文を作ると

花子は太郎より背が高い。
次郎は太郎より速く走る。
A社はB社より業績がいい。

取り立ててレトリックではない。<より>は格助詞。

<もっと>という言葉あるが<もっと高い>、<もっと速い>、<もっといい>で形容詞の比較表現だが格助詞<より>が必要だ。特に比較対象がなければ<より>はいらない。

もっとくれ。
もっと早くこれないのか。
もっとゆっくり話してくれ。
もっと静かにしてくれ。 

日常では<より>に比べると<もっと>は多頻度使用語だ。 <より>を使ったレトリック表現は特にないようだ。

比較の否定は、英語では

Orange is no so sweet as apple.

以外に、なじみはないが

Orange is less sweet than apple.

 という奇妙ないいかたがある。慣れてしまうと便利な言い方だ。日本語では

ミカンはリンゴより甘くない。
ミカンはリンゴに比べて甘くない。

とはまず言わない。 

ミカンはリンゴほど甘くない。

で<xxほどyyない>となる。 <ほど>は程度に関した副助詞でこれも多頻度使用語だ。

学業では太郎は次郎ほどのことはないが、運動ではまけない。

それほどまでいうなら。
言えば言うほどボロが出てくる。
馬鹿を言うにもほどがある。
責めるのはほどほどにしておいた方がいい。

<より>の例文を作ってみると

こうなってはやるよりほかはない。
負けがわかっていても、経験のため、挑戦しないよりは挑戦した方がいい。

どうも比較だけではレトリックにならないようだ。


 

 sptt

 

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