Thursday, August 31, 2023

中国語と日本語の時制表現

 

前回のポスト<まだはもうなり、もうはまだなり ー3 (変化に目を向ける) >で 


行為動詞の場合、継続は何種類かある。

(中略)

これはおもしろい発見で、<まだ>がない場合、日本語の<現在形>は、太郎はする (一般叙述) 、太郎は毎日する (継続、習慣)、 太郎は明日する (未来) となる 。ー 別途検討  

と書いたので別途検討する。この時制表現 (どうも時制というよりはアスペクトのようだが、アスペクト自体私よくわかっていないのでこれもチェックしてみる) は、たまたま中国語の初級会話本を読み返していたら、中国語に似ているところがあり参考になる。このポストのタイトル<中国語と日本語の時制表現>からしてこれは大きな問題で、これまたシリーズになりそう。

中国語の初級会話本というのは<日本人のためのワンフレーズ中国語>(武永尚子監修、青春出版社、2004年)で、簡単だがよくまとめられている。最後の方におまけみたいな<第6章 押さえておきたい基礎文法>というのがあり、その初めの方に時制に関しておもしろいことが書いてあり、その部分をコピー / ペイストする。

過去、現在、未来について話す

時制表現

1)未来形  (これから) する

彼はもうじき帰ってきます。

他要回来了 

(*)<要 xx 了>は近い将来に起こることに使う。

2)現在進行形  xxしているところ

ご飯を食べているところです。

我在吃饭。

(*)<在xx>は<xxしている>と、現在進行形を表現する。

3)完了形 xxしました

彼女は着きました。

她到了。

(*)<xx了>は動詞の後ろにつき、完了形を表す。

她到了。

以上は日本語に似ているところもあるが、違うところもある。

1)未来形  (これから) する 

日本語の未来形は

太郎は明日来る。

でよく、これは<明日>がない

太郎は来る。(時が関係しない一般叙述) 

と同じで、動詞は語尾変化していない。見方を変えると、<明日>という<時 (とき) >関連の副詞が重要な働きをしている。一方中国語の方は

他要回来了 

は<要 xx 了>は近い将来に起こることとに使う、で純粋の未来ではない。しかも最後の<了>は、3番目の例文

 她到了。(彼女は着きました。)

のように一般に完了をあらわす。<要 xx 了>が未来形というのは適当でない。では中国語に未来形があるのか、というと<ない>が正しい。中国語の動詞は語尾変化しないので未来形はもちろん、現在形、過去形、完了形はない、というか区別がないのだ。

他明天回来。(ニュアンスは違うが<他明天回来了>でもよさそう。

でもっと純粋な未来を表す。これは日本語の<彼は明日来る>とほぼ同じ意味だ。

 

2)現在進行形  xxしているところ

ご飯を食べているところです。

我在吃饭。

まず日本語の<現在進行形 xxしているところ>は英語文法由来だ。こんな言い方は英語文法輸入以前はなかったのは間違いない。これは現在では定着していて、少し長いが

xxしている、xxている(寝ている、遊んでいる)

xxしているところだ、xxているところだ(寝ているところだ、遊んでいるところだ)

では区別がある。一方中国語の方は

我在吃饭。

の<在>がクセモノで、この<在>がない

我吃饭。

きわめて一般的な叙述で、動詞<吃>は時制変化しないため、他の語を加えて、未来、現在、現在進行、過去、完了を表すことになる。1)近未来形にならえば

我要吃饭了。 私はもうじきご飯をたべます。

となる。ところでここで使われている<もうじき>だが 、<まだ><もう>論議からすると

 私はもうご飯をたべます。

でもよさそうだが、<もう>の基本解釈


<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。  

ではどうも具合がわるそう。だが<まだ>の基本解釈

<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足

と対比させると

私はまだご飯をたべていませんでしたが、 もうご飯をたべます。

で何とかなりそう。そして<もうご飯をたべます>は<食べていない>状態から<食べる>状態への変化を示すと言えよう。前回のポスト<まだはもうなり、もうはまだなり ー3(変化に目を向ける)>参照。

 

3)完了形 xxしました

彼女は着きました。

她到了。 

<了>は超高頻度使用語で、これがないと中国語会話はスムーズにいかないだろう。またきわめて多義語で、同じ意味で高頻度で使われるのではなく、いろいろ違った意味で超高頻度に使われるのだ。1)の例文

他要回来了 

(*)<要 xx 了>は近い将来に起こることに使う。

はその一例に過ぎない。

だが<了>の 主要用途は完了だろろう。完了には<了>の字がある。時制だけでなく、アスペクトに言及した文法書では、<完了>は時制ではなくアスペクトだ。アスペクトはいろいろな定義があるようだが、中語語の中級文法書では時制よりもアスペクトの解説が長い。

上で書いたが、中国語の動詞は語尾変化しないので未来形はもちろん、現在形、過去形、完了形はない、というか区別がないのだ。ちなみに<やさしくわしい 中国語文法の基礎>(守屋宏則) (2000年版) ではアスペクトの解説が <了>,< 着>を中心に23ページ半もある。

 

 sptt


 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

太郎はする (一般叙述) 、太郎は毎日する (継続、習慣)、 太郎は明日する (未来) となる 。ー


     


 

 

 

Wednesday, August 30, 2023

まだはもうなり、もうはまだなり ー3(変化に目を向ける)


日本語では<まだ>と対比されるのは<もう>で、株式投資の極意とされる名言に

まだはもうなり、もうはまだなり。

というのがある。<まだ>と<もう>は、これまで<まだ><もう>論議で何度も使っているが

基本的には

<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在、不足示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。 


漢語を使ってみると

まだ継続、残存、存在する、している ー もう継続、残存、存在しない、していない
まだ未達、未完、不十分だ ー もう未達、未完、不十分ではない(達成、完了、十分)

でつじつまが合う。
 

まだはもうなり、もうはまだなり。

をこれで解釈すると

継続は終了、終了は継続なり。

続くは終わりなり、終わるは続くなり。

となる。

<まだ>と<もう>を対比させた例文を作ると(このポストでは煩雑になるので例文を少なくしてある)
 

<まだ>が肯定、<もう>は否定

(存在)
まだある ー もうない

(行為、動作) (状況)
まだする ー もうしない
まだしている ー もうしていない

(状況)
まだ忙しい ー もう忙しくない

<まだ>が否定、<もう>は肯定

(存在)
まだない ー もうある

(行為、動作) (状況)
まだしない ー もうする
まだしないでいる ー もうしている 

(状況)
まだ忙しくない ー もう忙しい

冒頭の基本的解釈にはでてこないが、重要な視点がある。それは<変化に目を向けた>言い方、ということだ。株式投資では、よく知らないが derivative 取引というのがあるようだ。 derivative は数学用語で<変化率>のことで、微積分の基本コンセプトだ。<まだ>と<もう>は多分に<変化に目を向けた>言い方だ。

(存在)
まだある ー もうない
まだない ー もうある

<まだある>は<ある>状態が継続していること (変化なし) を伝え、一方<もうない>は<ある>状態から<ない>状態への変化を伝える。

<まだない>はあまり使わないが、<ない>状態が継続していること (変化なし) を伝え、一方<もうある>は<ない>状態から<ある>状態への変化を伝える。

(行為、動作)
まだする ー もうしない
まだしない ー もうする

<まだする>は<する>状況が継続していること (変化なし) を伝え、一方<もうしない>は<する>状況から<しない>状態への変化を伝える。

<まだしない>は<しない>状況が継続していること (変化なし) を伝え、一方<もうする>は<しい>状態から<する>状況への変化を伝える。


行為動詞の場合、継続は何種類かある。

太郎はまだする (する状態が継続する、習慣) ー 太郎もうしない(未来、習慣)(継続してする状態は変化して終了する、している)
太郎はまだしいている (する状態が継続している) ー 太郎もうしていない(継続してする状態は変化して終了している)

太郎はまだしない (しない状態が継続している) ー 太郎もうする(未来)(しない状態は変化してする状態になる)
太郎はまだしていない (していない状態が継続している) ー 太郎もうしている(していない状態は終了して、している状態に変化している)

これはおもしろい発見で、<まだ>がない場合、日本語の<現在形>は、太郎はする (一般叙述) 、太郎は毎日する (継続、習慣)、 太郎は明日する (未来) となる 。ー 別途検討 

(状況)
まだ忙しい ー もう忙しくない
まだ忙しくない ー もう忙しい

<まだ忙しい>は<忙しい>状況が継続していること (変化なし) を伝え、一方<もう忙しくない>は<忙しい>状況から<忙しくない>状況への変化を伝える。

<まだ忙しくない>は<忙しくない>状況が継続していること (変化なし) を伝え、一方<もう忙しい >は<忙しくない>状況から<忙しい >状況への変化を伝える。


まだはもうなり、もうはまだなり。

を<変化に目を向ける>視点から言い換えると

続くと見えて終わりに変わり、終わると見えて続くに変わるのは常なり。


 

sptt


Saturday, August 26, 2023

<まだ>と<もう>、過ぎたるは及ばざるがごとし


<まだ>と<もう>については最近かなりしつこく書いているが、 調べてみると際限がない。前々回のポスト<まだはもうなり、もうはまだなり ー2>の最後のほうで


長くなってきたので、無限にある個々の<ややこしいもの、よくわからないもの>については別途検討する予定。

と書いた。

過ぎたるは及ばざるがごとし

過ぎているのは及ばないようなもの
過ぎているのは及ばないことと同じ

といった意味だ。 <過ぎたる>は too much、<及ばざる>は not enough といえる。

この意味での<過ぎる>は動詞にも形容詞にもつく。

動詞につく

行き過ぎる、飲み過ぎる やり過ぎる、勉強し過ぎる

形容詞につく

早すぎる ー 遅すぎる
若すぎる ー 老いていすぎる、年寄りすぎる
よすぎる ー 悪すぎる
新しすぎる ー 古すぎる

<すぎる>は

行く、飲む やる(する)、勉強する

早い ー 遅い
若い ー 老いている、年寄りだ
よい ー 悪い
新しい ー 古い

の一般叙述、状態に対して<好ましくないほど (行き) 過ぎている>ことを示す。言い換えると<好ましい程度を過ぎている>ことを表す。だが<過ぎる>は一般的には<目標を達成している>のだ。

一方<及ばざる>は未達のことで、この場合<未達>は<好ましい、望まれる、予期している程度に達していない>ことを表す。

これが<過ぎたるは及ばざるがごとし>を警句にしている。

 

<未達>と<達成>は最近の<まだ><もう>論議のなかで、まだxxない><もうxx>として幾度も出てきた。<まだ><もう>論議から引用すると


基本的には

<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在、不足を示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。 

さらに<過ぎる>の箇所を引用すると

まだ約束の時間は過ぎていない ー もう約束の時間は過ぎている
まだ約束の時間は過ぎている(ダメ) ー もう約束の時間は過ぎていない(ダメ)
まだ特急は通り過ぎていない ー もう特急は通り過ぎた、ている
まだ特急は通り過ぎている (ダメ) ー もう特急は通り過ぎていない (ダメ)

<過ぎる>は到達とみなせる。 <過ぎ続ける>は基本的にダメだ。だが上の<ダメ>も反例可能だろう。


ここの論議ではこれ以上進めていが、このポストで進めることにする。

まだxxすぎる ーもうxxすぎない
まだxxすぎない ー もうxxすぎる

の簡単なマトリクスだ。

動詞

行き過ぎる、飲み過ぎる、やり過ぎる、勉強し過ぎる

まだ行き過ぎだ ー もう行き過ぎでない
まだ行き過ぎている ー もう行き過ぎていない
まだ行き過ぎでない ー もう行き過ぎだ
まだ行き過ぎていない ー もう行き過ぎている

<飲み過ぎる>以下も同様で、問題ない。注意して見ると

<まだxx過ぎだ>は<好ましくない状態が終わっていない>、未達である
<まだxx過ぎている>は<好ましくない状態が終わっていない未達状態>が継続している
<もうxx過ぎ>は好ましくない状態が>達成する
<もうxx過ぎている>は<好ましくない状態が>が達成している

ことを示している。

形容詞

まだ早すぎる ー もう早すぎない (*)
まだ早すぎない(*) ー もう早すぎる(*)
まだ遅すぎる ー もう遅すぎない (*)
まだ遅すぎない(*)ー もう遅すぎる
まだ若すぎる ー もう若すぎない
まだ若すぎない(*) ー もう若すぎる(*)
まだ老いすぎている(*) ー もう老いすぎていない、もう年寄りすぎていない(*)
まだ老いすぎていない ー もう老いすぎている、もう年寄りすぎる
まだよすぎる ー もうよすぎない、もうよすぎていない
まだよすぎない (*) ー もうよすぎる (*)
まだ悪すぎる ー もう悪すぎない、もう悪すぎていない
まだ悪すぎない(*) ー もう悪すぎる
まだ新しすぎる ー もう新しすぎない
まだ新しすぎない(*)ー もう新しすぎる (*)
まだ古すぎる ー もう古すぎない
まだ古すぎない(*) ー もう古すぎる
まだ少なすぎる ー もう少なすぎない
まだ少なすぎない(*)ー もう少なすぎる(*)
まだ多すぎる ー もう多すぎない
まだ多すぎない(*) ー もう多すぎる
まだ小さすぎる ー もう小さすぎない
まだ小さすぎない(*)ー もう小さすぎる
まだ大きすぎる ー もう大きすぎない
まだ大きすぎない(*) ー もう大きすぎる

(*) はちょっと変な例文だが、チェックしてみる。 

一般的には<過ぎる><目標を達成している>、<過ぎない>は<目標が未達だ>。一方


<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在、不足示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。 

だ。

まだ早すぎる ー もう早すぎない (*)

約束の時間までに十分、十二分に時間がある場合に<まだ早すぎる>という。<もう早すぎない>はあまり聞かないが、<まだ早すぎる>時から時間がたって、具合のいい時間になれば<もう早すぎない>と言う。あるいは子供が酒を飲んだり、たばこを吸おうとする場合<まだ早すぎる>というが、成人に対しては<もう早すぎない>と言える。

まだ早すぎない(*) ー もう早すぎる(*)

これは以前に

まだ早くない(ダメ) ー もう早い(ダメ)

の反例として

英語に直すと

not yet early   -   already early

さらに直すと

not yet early enough   -   already early enough

回り道だが、これを日本語にもどすと

まだ十分早くない  ー もう十分早い

開始は午前十時だ。我々は到着まで、まだ十分早くない ー もう十分早い

だが翻訳調っぽいくて日本語らしくないが、これを

まだ早すぎない(*) ー もう早すぎる(*)

に応用すると

開始は午前十時だ。我々は到着まで、まだ十分早すぎない ー もう十分早すぎる

になるが、 翻訳調っぽく、かつ意味が通りにくい。

まだ十分早すぎない ー もう十分早すぎる

not yet too early enough   -   already too early enough

これは英語でもおかしい。<十分(好ましい状態、目的達成)>と<過ぎる(好ましい状態、目的未達)>が矛盾するためだろう。さて

まだ早すぎない(*) ー もう早すぎる(*)

に戻って

いずれもあまり聞かないが、

<早すぎる>が未達とはどういうことか。<早すぎる>は必ずしも悪いことではないが、<早すぎる>は好ましい、適当、適宜な程度を<過ぎる>ことで、これを目標、期待とするのは矛盾する。

一方<早すぎる>が達成する、達成しているとはどういうことか。好ましい、適当、適宜な程度を<過ぎる>ことを目標、期待として達成する、達成している、達成したということになり、好ましいことではない。

だが

<まだ早すぎない>は<早すぎる>状態が未達、<早すぎるになっていない>。一方<もう早すぎる>は<早すぎる>状態に達成している。一般に<早い>は<好ましい、望まれる状態>だ。<まだ早すぎない>は変な言い方だが、<もっと早くなるようにすべきだ>が内包されている (implied) いればOKか。一方<もう早すぎる>も変な言い方だが、<もっと早くなるようにする必要はない>が内包されていればOKか。かなりややこしくなってきている。例文が必要だ。

まだ早すぎない(*) ー もう早すぎる(*)

が使える場面、状況を考えてみる。

<早すぎない>は否定的な<早すぎる>の否定で肯定になる。つまりは<早すぎない>が好ましい場面、状況を考えればいい。<早すぎない>が好ましいものとしては早漏、早熟が思い浮かぶが、台風の接近を考えてみる。

まだ準備ができていないので台風の接近は<早すぎない>ほうがいい。<まだ>を加えると

さいわいまだ台風の接近は早すぎない、早過ぎていない。

で問題ない。 一方<もう早すぎる>はこの場合具合が悪い。

まだ準備ができていないのに、今晩来襲するのではもう早すぎる

で問題ない。もう一例、ガンの進行。

さいわいこのガンの進行はまだ早すぎない、早過ぎていない。
まだいい対処方法が見つかっていない状況で、このガンの進行はもう早すぎる。

まだ遅すぎる ー もう遅すぎない(*)

太郎は何とか3時に来るということだが、会議は2時に始まるので、3時に来るでは<まだ遅すぎる>、と言う。

<もう遅すぎない>はあまり聞かないが、

太郎はさらにやりくりして何とか1時50分までに来るということになった。この場合は<もう遅すぎない>と言うだろう。

まだ遅すぎない(*)ー もう遅すぎる 

<まだ遅すぎない> も変だが、上記の太郎の例で、太郎が1時50分までに来た場合には

まだ遅すぎない、 まだ遅すぎていない

と言える。

<まだ遅すぎない>は<遅すぎる>状態が未達、<遅すぎるになっていない>。一方<もう遅すぎる>は<遅すぎる>状態が達成している。問題は<遅い>が一般に<好ましい、望まれること>ではないことだ。<遅すぎない>はいいことで、<遅すぎる>はよくないことだ。これで意味は通る。

まだ若すぎる ー もう若すぎない
まだ若すぎない(*) ー もう若すぎる(*)

これは解決方法、というか<こじつけ解釈>を見つけた。

前々回のポスト<まだはもうなり、もうはまだなり ー2>でみつけたのだが

まだまだ若くない(ダメ) ー もうもう若い(ダメ)

強力な若返りの薬を毎日飲んでいるが

まだ若くない  ー もう若い

でOKだ。これを応用すると

まだ若すぎない(*) ー もう若すぎる(*)

強力な若返りの薬を毎日飲んでいるが

まだ若すぎない ー もう若すぎる

で何とかなる。もう一例 (反例) は、これまた<強力な若返りの薬>と同じく現実離れしていいるがタイムマシンを使うのだ。タイムマシンでは

老人 ー>中年 ー>青年 ー>子供 ー>赤ん坊

が可能だ。老人がタイムマシンに入ると、どんどん若くなる。したがって

まだ若すぎない ー もう若すぎる

と言うことができる。 このタイムマシンでは

まだ老いすぎている(*) ー もう老いすぎていない、もう年寄りすぎていない(*)

と言うこともできる。

  

まだよすぎる ー もうよすぎない、もうよすぎていない
まだよすぎない (*) ー もうよすぎる (*)

これは<よすぎない>状態を目的、好ましい状態すれば、問題ない。<カッコよすぎる>は常にいいとは限らない。

カッコよすぎると目立ってしょうがない。

それではまだカッコよすぎる。 ー それならもうカッコよすぎない、もうカッコよすぎていない。
まだカッコよすぎない (よすぎていない) からOKだ。 ー もうカッコよすぎるからダメだ。

これに関してはフアッション用語で sprezzatura というイタリア語がある。興味とひまのある人は調べてみるとおもしろい。イタリアフアッションは奥深い。

 

まだ悪すぎる ー もう悪すぎない、もう悪すぎていない
まだ悪すぎない(*) ー もう悪すぎる

これも<悪すぎない>状態を目的、好ましい状態すれば、問題ない 。たとえばドラマで悪人を作るときに<悪すぎない>悪人を作ろうとした時には<まだ悪すぎない>と言える。


まだ新しすぎる ー もう新しすぎない
まだ新しすぎない(*)ー もう新しすぎる (*)

以下も同じようにして説明ができる。

 

さて最初の方にもどって

まだ約束の時間は過ぎていない ー もう約束の時間は過ぎている
まだ約束の時間は過ぎている(ダメ) ー もう約束の時間は過ぎていない(ダメ)
まだ特急は通り過ぎていない ー もう特急は通り過ぎた、ている
まだ特急は通り過ぎている (ダメ) ー もう特急は通り過ぎていない (ダメ)

<過ぎる>は到達とみなせる。 これも<過ぎ続ける>はダメ。だが上の<ダメ>も反例可能だろう。

のダメの反例を探してみる。

まだ約束の時間は過ぎている(ダメ) ー もう約束の時間は過ぎていない(ダメ)

<約束の時間が過ぎている>状態を目的、好ましい状態すればいい。約束をした相手は以前に約束を破られた気に食わない人物で、機会があれば復讐したいと思っている。だいぶ待たせてある。

まだ約束の時間は過ぎている。いい気味だ。

もう約束の時間は過ぎていない(ダメ)  

の反例は難しい。英語でも already not yet passed で矛盾するいいかただ。上気に食わない人物の例で、タイムマシンを使って、様子を振り返ってみる。普通の時間軸で記録ビデオを見るのではない。

15分前 ー まだ約束の時間は過ぎている。いい気味だ。
30分まえ ― 約束の時間
45分前 ー もう約束の時間は過ぎていない。もう少し待たせよう。

何とかなるが、かなり非現実な設定だ。

まだ特急は通り過ぎていない ー もう特急は通り過ぎた、ている
まだ特急は通り過ぎている (ダメ) ー もう特急は通り過ぎていない (ダメ)

これは特急でもいいが、(普通) 列車にすると解決する。

まだ列車は通り過ぎている  ー もう列車は通り過ぎていない

この場合列車は特定の一台の列車ではなく、頻繁に通る過ぎる不特定の違った幾台もの列車だ。この場合断続的な<継続>になる。だが少し変に感じるのは<過ぎる>、<過ぎ去る>は普通一度きりだからだろう。

 

基本ルール

<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在、不足を示す。

にしたがう。

 

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Wednesday, August 16, 2023

中国語の大副詞< 还>ー3 <また、さらに>


以前に引用したネット辞典 白水社 中国語辞典の<还>の3番目解説。

3(ある事柄のほかに別の事柄つけ加わることを示し)また,更に,そのうえ,加えて

この<还>は中国語の初心者が使いこなすのはむずかしい。私も初心者なので、勉強を兼ねて検討してみる。なぜ難しいかというと<また,更に,そのうえ,加えて>に相当する中国語がいくつもあるからで、しかも<还>はそれほど頻繁に使わない (実際それほど頻繁には、聞かない、見ない) 。<また>は追加という意味では<xxもまた>になる。よく使う<また>、<xxもまた>相当の中国語は、ネットの記事から引用すると。

<また>

https://ryu-cha.com/chugokugo-mata-hyougenn/

本記事の重要点
  • 「また」の中国語は「再」「又」「还」の3つ
  • 「再(zài)」は、「未来にもう一度起きること」を表す
  • 「又(yòu)」は、「過去に起きた出来事の重複」と「ネガティブな感情」を表す
  • 「还(hái)」は、「動作が連続した未来」を表す

で、 中国語の教科書や参考書でも大体同じような解説になっている。ごく初級では<还>のないものが多い。つまりは<还>の頻度はさほど多くはないのだ。<还>に比べると再、又は使用頻度が格段に多い。よく聞くのは

再见 ー また会いましょう
又是你 ー またお前か

だがこの例は<追加>ではなく<繰り返し、ふたたび、再度>だ。もう少し例文をみてみる。上のネットの記事から引用。

 https://ryu-cha.com/chugokugo-mata-hyougenn/


请你明天再给我打个电话(明日また電話してください。)
你会再来吗?(またきますか?)
明年再去吧(来年また行こうよ)
你明天再去吗?(あなたはまた明日もいく?)

他又做错了(彼はまたミスをした。)
又失败了!(また失敗したのかよ!)
你前天也迟到,今早也又迟到了(彼は一昨日も遅刻、今朝もまた遅刻した)

他のネット上の例文

问题又出来了。 ー 問題がまた発生した。
小孩儿又哭了。 ー 子供はまた泣いた。
今天又下雨了。 ー また今日も雨が降っています。今日もまた雨が降っています。

<又>は例文のように非難口調が多い。すべて最後に<了>がついている。


今天下大雨,明天还会下雨呢?(今日は大雨だなぁ、明日も(引き続き)また雨ふるのかな?)
明天会再下雨呢?(明日も雨降るのかなぁ?

 <また>自体は基本的に<ふたたび>だ。<再び>と書き、読むと大和言葉の<ひとたび>、<ふたたび>、<みたび> . . . . からの連想が弱まる。

 

<さらに、xxもまた、追加>

<さらに>はいくつかの意味がある。(*)  追加ということでは<さらにまた>だろう。

上記の例では

今天下大雨,明天还会下雨呢?(今日は大雨だなぁ、明日も(引き続き)また雨ふるのかな?) 

今日に続いて (追加して) 明日もまた

明天会再下雨呢?(明日も雨降るのかなぁ?)

 は<もまた>のニュアンスはない。

追加の<xxもまた>の中国語は<也>が一般的だ。これはよく使う。

我很忙,他也很忙。 ー 私はとても忙しい,彼もまたとても忙しい。
这边今天也很闷热。 ー こちらはまた今日も蒸し暑いです。こちらは今日もまた蒸し暑い。
她也决定回去了。 ー 彼女もまた帰ることに決めた。
我也还那样想。 ー 私もまたそう思います。
她也决定回去了。 ー 彼女もまた帰ることに決めた。

だがネット上で< 还=また、もまた>の例文にあたってみると、<也 + 还>、<还 + 再>の例文が少なくない。

冒頭の例文

那个电影真好,我还想再看一遍。=あの映画はとてもよいから,もう一度見たい.

ネット上の例文

我还想要去。 ー また行きたいと思う。
我明年也想见你。 ー あなたとまた来年も会いたいです。あなたと来年もまた会いたいです。
我明年还想来这里。 ー 来年もまたここへ来たいです。
我曾经还想再去 ー また行きたいと思った。
明天也还要开会啊。ー 明日もまた会議ですね。

日本語訳からは<还>のニュアンスはよくわからない。

 

(*) <さらに>はいくつかの意味がある。

デジタル大辞泉 (小学館)

[副]

同じことが重なった加わったりするさま。重ねて加えてその上に。「さらに一年月日過ぎた」「さらにこういう問題もある」

今までよりも程度が増すさま。前に増して。いっそう。ますます。「さらにきれいになった」「事態はさらに悪くなった」

(あとに打消しの語を伴っていっこうに。まったく。少しも。「さらに覚えがない」「反省するようすはさらになく」

事新しく今さら

 

は中国語の<还>で、<xxも (また) ある>は普通<还有xx>。だが

さらに一年の月日が過ぎた
又一年过去了

さらにこういう問題ある
也有这个问题

さらにこういう問題ある
还有一个问题

で微妙にちがう。 

は中国語の<更>だろう。

 (物事程度が「もとの程度比較して…である」と言う場合)更に,いっそう,もっと.

产品质量更高了。=製品の質が更に高まった.

昨天很冷,谁知今天更冷。=昨日はたいへん寒かったが,どうしてどうして今日よりいっそう寒い.
 
広東語では<更加好>というのよく聞く。<もっといい>の意で、北京語では<更好>でいいか。英語では much better 相当だが、よく見れば中国語、日本語の<好>はすでに比較級になっていると思われる。

はあまり使わない。

<いまさら>はむずかしい。

中国語訳事已至此事到如今

中国語訳现在再…现在才…


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Tuesday, August 15, 2023

まだはもうなり、もうはまだなり ー2



最近レトリック副詞のポストをシリーズで書いているが、中国語の<还>、英語の still と比べて、これに相当する日本語<まだ>についていろいろ書いている。いろいろ書いているうちに、ある発見をしたので忘れないうちにまとめておく。

日本語では<まだ>と対比されるのは<もう>で、株式投資の極意とされる名言に

まだはもうなり、もうはまだなり。

というのがある。<まだはもうなり、もうはまだなり>は10年前に (2013年) このタイトルのポストを書いている。読み返してみたが文法的なことはあまり書いていない。

<まだ>と<もう>を対比させた例文を作ると

<まだ>が肯定、<もう>は否定

(存在)
まだある ー もうない
まだいる ー もういない
まだ半分ある - もう半分ない、もう半分しかない

まだ言いたいことがある ー もう言いたいことはない
期日までまだ日数がある ー もう期日まで日数がない
出発までまだ一時間ある ー  もう出発まで一時間しかない

(行為、動作)

まだする ー もうしない
まだしている ー もうしていない
まだ来る ー もう来ない
まだ行く ー もう行かない
まだ走る ー もう走らない
まだ走っている ー もう走っていない
未だ泣く ー もう泣かない
まだ泣いている ー もう泣いていない
まだ寝ている ー もう寝ていない
まだ動いている ー もう動いていない

(状況)
まだできる ー もうできない
まだ忙しい ー もう忙しくない
天気はまだいい ー 天気もうよくない
天気はまだ悪い ー 天気もう悪くない
まだ十分ある ー もう十分ない (不足だ)

(状態、形容)
まだ太っている ー もう太っていない、もうやせている
まだ強い ー もう強くない、もう弱い
まだ弱い ー もう弱くない、もう強い
まだ悪い ー もう悪くない、もういい
まだ具合が悪い  ー もう具合は悪くない、もう具合はいい
まだ劣っている ー もう劣っていない
まだ負けている ー もう負けていない

まだ生きてる ー もう生きていない (死んでいる)

まだ早い ー もう早くない、もう遅い。
まだ若い ー もう若くない、もう年寄りだ
まだ新しい ー もう新しくない、もう古い

まだゴールまで遠い ー もうゴールまで遠くない 


<まだ>が否定、<もう>は肯定

(存在)
まだない ー もうある
まだいない ー もういる

まだ半分ない - もう半分ある
まだ半分しかない - もう半分 (も) ある

(行為、動作) (状況)

まだしない ー もうする
まだしてない ー もうしている
まだ来ない ー もう来る
まだ来ていない ー もう来ている
まだ行かない ー もう行く
まだ行っていない ー もう行っている

まだたりない ー もうたりている
まだ飲みたりない ー もう飲みたりている
まだ不十分だ(否定内容)ー もう不十分でない
まだ十分でない ー もう十分だ
まだ始まっていない - もう始まっている
まだ終わっていない - もう終わっている
まだ雨はやんでいない ー もう雨はやんでいる
まだ日は昇っていない ー もう日は昇っている
まだできない ー もうできる
まだできていない ー もうできている(状態、形容)
まだ暖かくない ー  もう暖かい
まだ太っていない ー もう太っている
まだ強くない ー もう強い
まだ悪くない ー もう悪い
まだ具合は悪くない ー もう具合は悪い
まだ劣っていない ー もう劣っている
まだ負けていない ー もう負けている


以上は、私だけかもしれないが、見事な対比に見える。

基本的には

<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在、不足示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。

なので上のような対比になる。

(注)
行為動詞の場合、継続は何種類かある。

太郎はまだ来る (来る状態が継続している) ー 太郎もう来こない(継続して来る状態は終了してる)
太郎はまだ来ていない (来ていない状態が継続している) ー 太郎もう来ている(来なていい状態は終了している)
太郎はまだ来ない (来ない状態が継続している) ー 太郎もう来る(未来、来ない状態は終了する)

彼はまだ走る (継続する意思、未来) ー 彼はもう走らない (継続する意思、予定は終了している)
彼はまだ毎日走る (習慣、繰り返しする) ー 彼はもう毎日は走らない (習慣、繰り返しは終了している)
彼はまだ走っている (走っている状態が継続している) ー 彼はもう走っていない (走っている状態は終了している)

( これはおもしろい発見で、<まだ>がない場合、日本語の<現在形>は、太郎は来る (一般叙述) 、太郎は毎日来る (継続、習慣)、 太郎は明日来る (未来) となる 。ー 別途検討  )


だが、基本的には上の規則は変わらない。

漢語を使ってみると

まだ継続、残存、存在している ー もう継続、残存、存在していない
まだ未達、未完、不十分だ ー もう未達、未完、不十分ではない(達成、完了、十分)

でつじつまが合う。

もうなり、もうはまだなり。

をこれで解釈すると

継続は終了、終了は継続なり。

続くは終わりなり、終わるは続くなり。

となる。




ーーーーーー

追加

いろいろ調べたり、例文を作ったりしてみりと、ややこしいもの、よくわからないものが続々と出てくる。


まだダメだ(内容的に否定) ー もうダメではない(もういい)、 もうダメというわけではない (内容的に肯定)
まだダメではない(内容的に肯定) ー もうダメだ(内容的に否定)

まだ早い ー もう早くない、もう遅い。
まだ早くない(ダメ)  ー もう早い(ダメ)

<早い>は <達成、完了>まで遠いので (未達、未完) 。<未達、未完>の否定は<達成、完了>になってしまう。<まだ早い>はいいが<まだ早くない>ダメ。

まだ若い ー もう若くない、もう年寄りだ
まだ若くない(ダメ)  ー もう若い(ダメ)

これも<早い>と同じで、<若い>は <達成、完了>まで遠いので(未達、未完)、<まだ若い>はいいが<まだ若くない>はダメ。

まだ新しい ー もう新しくない、もう古い
まだ新しくない(ダメ)  ー もう新しい(ダメ)

まだ子供だ ー もう子供でない、もう大人だ
まだ子供ではない(ダメ)  ー もう子供だ(ダメ)

まだ年寄りだ(ダメ) ー もう年寄りではない(ダメ)
まだ年寄りでない ー もう年寄りだ

<年寄り>は達成とも言えるので、<まだ年寄りではない>は未達と言えるが、<まだ年寄りだ>はダメだ。一方<もう年寄りだ>は<未達、未完ではない>なのでは問題ない。

まだ大人だ(ダメ) ー もう大人ではない(ダメ)
まだ大人でない ー もう大人だ 

以上ででよさそうだが、反例がある。

まだ早くない(ダメ)  ー もう早い(ダメ)

英語に直すと

not yet early   -   already early

さらに直すと

not yet early enough   -   already early enough

回り道だが、これを日本語にもどすと

まだ十分早くない  ー もう十分早い

開始は午前十時だ。我々は到着までまだ十分早くない。 ー もう十分早い

まだ若くない(ダメ)  ー もう若い(ダメ)
まだ子供ではない(ダメ)  ー もう子供だ (ダメ)
まだ年寄りだ(ダメ) ー もう年寄りではない(ダメ)

強力な若返りの薬を毎日飲んでいるが

まだ若くない  ー もう若い
まだ子供ではない  ー もう子供だ
まだ年寄りだ ー もう年寄りではない

まだ新しくない(ダメ)  ー もう新しい(ダメ)

古い家を新しい家のようにフォームしているが

まだ新しくない  ー もう新しい

これは、たとえば

強力な若返りの薬を毎日飲んででいるが

まだ若くない  ー もう若い

を例にとると、<強力な若返りの薬を毎日飲んででいる>目的、目標は<若返り>だ。

この<若返り>の目的、目標に対して

まだ若くない は未達
もう若い  は達成 

で説明がつく。つまりは基本文法法則

<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足。

に合うのだ。 

まだ生きてる ー もう生きていない (死んでいる)
まだ生きていない(ダメ) ー もう生きている(ダメ)

<生きる>は<死ぬ>を完了とすると、<生きる>は <完了>まで遠いので(未完)。<まだ生きてる>はいいが<まだ生きていない>はダメ、の説明でいいか。だが、<まだ十分生きていない>という言い方がある。

まだ死んでいる (ダメ) ー もう死んでいない(ダメ)
まだ死んでいない ー もう死んでいる

<死ぬ>は完了とみなせれ、継続しない。<死に続ける>はだめ。したがって、これも

<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、終了、不存在、不足示す。

が適用され

まだ死んでいる (ダメ) ー もう死んでいない(ダメ)

なのだ。

だが、これも反例が可能だ。

 彼に強力な起死回生の薬を飲ませたが

まだ死んでいる ー もう死んでいない、もう生き返っている

 <まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、終了、不存在、不足示す。

なのだが、起死回生の薬を飲ませた目的は<生き返らす>ことで、

まだ死んでいる ー 未達
もう死んでいない、もう生き返っている - 達成


まだ十分生きていない ー もう十分生きている
まだ十分生きている (ダメ) ー もう十分生きていない (ダメ)

これは<十分生きる>が達成、完了とみなされる。そして、<十分生きる>は継続しない。上の基本的法則

<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、終了、不存在、不足を示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。

なので

まだ十分生きていない ー もう十分生きている

はいいが

まだ十分生きている (ダメ) ー もう十分生きていない (ダメ)

となる。

反例

まだ十分生きている (ダメ) ー もう十分生きていない (ダメ)

Still having lived enough   -    already not having lived enough  

<十分生きている>は完了で継続にはならないが(完了が続く、完了し続けるはおかしい)、残存は考えられる。

上の英語の方は完了とも現在までの継続ともとれる。 <もう十分生きていない>は変言い方で<もう十分死んでいる= already not having lived enough >

まだ十分ある   ー   もう十分ない 、もう不十分しかない

を考えると、寿命を縮める薬を飲ませたが (十分生きさせないのが目的)

まだ十分生きている(内容的には未達成) ー もう十分生きていない(達成 )

ところで、英語をよくみると

Still having lived enough   -    already not having lived enough    

まだ十分生きてきている ー もう十分生きていない(もう十分死んでいる)

 

まだ半分ある - もう半分ない、もう半分しかない

まだ生まれていない ー もう生まれている
まだ生まれている ー もう生まれていない
(これはちょっと変だが、例としてメス豚が幾匹もの子豚を生むことを想像すればいい)
まだ生まれる ー もう生まれない

問題はまだ発生していない ー 問題はもう発生している
問題はまだ発生している ー 問題はもう発生していない
問題はまだ発生する ー も問題はもう発生しない

まだ約束の時間は過ぎていない ー もう約束の時間は過ぎている
まだ約束の時間は過ぎている(ダメ) ー もう約束の時間は過ぎていない(ダメ)
まだ特急は通り過ぎていない ー もう特急は通り過ぎた、ている
まだ特急は通り過ぎている (ダメ) ー もう特急は通り過ぎていない (ダメ)

<過ぎる>は到達とみなせる。 これも<過ぎ続ける>はダメ。だが上の<ダメ>も反例可能だろう。

以上は時間軸上の話だ。 空間では

まだゴールまで遠い ー もうゴールまで遠くない
まだゴールまで近い (ダメ) ー もうゴールまで近くない (ダメ)

<ゴール>は達成とも言えるので、<まだゴールまで遠い、近くはない>と言えるが<まだゴールまで近い>はダメ。一方<もうゴールまで近い>は<未達、未完ではない>なので問題ない。

だが、少し考えてみると、出発点 (例えば岸、駅) からの距離では

まだ岸から近い ー もう岸から近くない
まだ岸から近くない (ダメ) ー もうゴール岸から近い (ダメ) 

となる。これは<岸から十分離れている、遠い>が達成と考えれば問題ない。

まだ不十分(内容的に否定)ー もう不十分でない、もう十分(内容的に肯定)
まだ十分でない ー もう十分
まだ十分だ(ダメ) ー もう十分でない (ダメ)
まだ十分ある ー もう十分ない、もう不十分だ
まだ不十分でない(ダメ)ー もう不十分だ(ダメ) 

これも上の

まだ十分生きていない ー もう十分生きている
まだ十分生きている (ダメ) ー もう十分生きていない (ダメ)

の反例にならえば

まだ十分だ(ダメ) ー もう十分でない (ダメ)

不十分にすることが目的、不十分になることが予測、期待とすれば

まだ十分だ ー もう十分でない 

で問題ない。

まだ足りる、足りている ー もう足りない、不足だ

足りている状態の継続 ー 足りている状態の終息

まだ足りない ー もう足りる、足りている

足りていない状態の継続 ー 足りていない状態の終息

 

基本的法則の見直し


<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在、不足を示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、不十分、不足、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了、十分、充足を示す。 


でいいようだが、<不十分>、<不足>、<十分>、<充足>はこういう言葉、あるいは相当する言葉が使われているからで、<まだ>、<もう>とは分離して考える必要がある。

まだ十分だ(ダメ) ー もう十分でない (ダメ)(これも反例はみつかる)



まだ十分ある ー もう十分ない、もう不十分だ

がいいことを考えると、

<十分>、<十分ない、不十分>は状況の形容で、存在、不存在の問題に還元できるだろう。したがってもっと簡潔

基本的法則の見直し


<まだ>は肯定で使うと継続、残存、存在、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了、不存在を示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了を示す。 

でいいだろう。 つまりは<十分>、<十分ない、不十分>が存在する、存在しない、ということなのだ。さらにもう一歩進めてみる。

まだ十分ある ー もう十分ない、もう不十分だ  

<まだ十分ある>は<十分ある>状態の存在 (xxである) が継続している。<もう十分ない、もう不十分だ >は<十分な、不十分な> 状態の存在 (xxである) 継続が終了している

で、 存在、不存在はこれまた<まだ>、<もう>とは分離して考える必要がある。そうするとキーコンセプトは継続、非継続(継続の終了)になる。したがって

基本的法則の再見直し


<まだ>は肯定で使うと継続、<もう>は否定で使うと非継続、(継続の) 終了を示す。

一方<まだ>は否定で使うと未達、未完、<もう>は肯定で使うと終了、達成、完了を示す。 

とさらに簡潔になり、一般化する。ごちゃごちゃしなくていい。

まだ続く。(<まだ>は肯定で使うと継続)


知覚動詞

まだ覚えている ー もう覚えていない
まだわかっている(ダメ)ー もうわかっていない(ダメ)
まだ知っている(ダメ)ー もう知らないない、もう知っていない(ダメ)

知覚動詞は基本的に継続しているので、肯定で継続を示す<まだ>、否定で終了を示す<もう>と相性が悪い。

ややこしいのは<始め>と<終わり>だ。

まだ始めだ ー もう始めではない
まだ始まりだ ー もう始まりではない
まだ初めでない (基本的にダメ) ー もう始めだ (基本的にダメ)
まだ初級だ ー もう初級ではない
まだ初級でない(ダメ) ー もう初級だ 
まだ中級だ ー もう中級ではない
まだ中級ではない ー もう中級でだ
まだ上級だ (基本的にダメ) ー もう上級ではない (基本的にダメ) 
まだ上級ではない ー もう上級だ

まだ終わりだ (基本的にダメ) ー もう終わりではない、もう終わりというわけではない
まだ終わりではない ー もう終わりだ

まとめてみると

まだ始まる ダメ ー もう始まらない ダメ
まだ始まらない OK ー もう始まる OK
まだ始まっている ダメ ー もう始まっていない ダメ
まだ始まっていない OK ー もう始まっている OK

まだ終わる ダメ ー もう終わらない ダメ
まだ終わらない OK ー もう終わる OK
まだ終わっている ダメ ー もう終わっていない ダメ
まだ終わっていない OK ー もう終わっている OK

でけっこうダメなのが多い。

<始まる><終わる>は 継続になりにくい、一回きりの行為、動作だ。

まだ始まり続けている ー もう始まり続けていない
まだ始まり続けていない ー もう始まり続けている
まだ終わり続けている ー もう終わり続けていない
まだ終わり続けていない ー もう終わり続けている

意味的にダメなのだ。だがこれらの<ダメ>も反例は可能だ。

まだ始まる ダメ ー もう始まらない ダメ

<始まらまい状況を作る>ことを目的、< 始まらまい状況になる>ことが期待、予想される場合には

(それでも) まだ始まる 未達 ー もう始まらない 達成

 したがってこの場合、言葉にでてこない<文脈>が<まだ>、<もう>の使用を決める、といえる。

 
<始まる>から<終わる> までに中断、休止することがあるが、これは継続可能だ。

まだ仕事は始まっている(ダメ) ー もう仕事は始まっていない(ダメ)
まだ仕事は始まっていない ー もう仕事は始まっている
まだ仕事は終わっている(ダメ) ー もう仕事は終わってない(ダメ)
まだ仕事は終わっていない ー もう仕事は終わっている
まだ仕事は中断している ー もう仕事は中断していない
まだ仕事は中断していない ー もう仕事は中断している

ところで、

<終える>、<終わる>は

まだ終わっていない 未達、未完
もう終わっている  未達、未完ではない

でいいが

<始める、始まる>、<中断させる、中断する>が達成する、完了するとはどういうことか。

まだ (否定) 未達、未完だ ー もう (肯定) 未達、未完ではない

を参考にすると

まだ始まっていない
まだ中断していない

はもちろん未達、未完なのだが、意味的には

もう始まっている
もう中断している

も未達、未完だ。だが

<まだ>は否定で使うと未達、未完、<もう>肯定で使うと終了、達成、完了

に関連させると、意味的には

もう始まっている ー もう終了、達成、完了してる
もう中断している ー もう終了、達成、完了してる

にはならないが

もう始まっている ー もう<始まりが>終了、達成、完了してる
もう中断している ー もう<中断が>終了、達成、完了してる

と解釈すれば問題はない。実際

もう始まっている
もう中断している

が未達、未完だと考える人は少ないだろう。 

長くなってきたので、無限にある個々の<ややこしいもの、よくわからないもの>については別途検討する予定。

------

これまで過去形に触れていないのでチェックしておく。

(存在)
まだあった ー もうなかった
まだいた ー もういなかった
まだ半分あった - もう半分なかった、もう半分しかなかった

まだなかった ー もうあった
まだいなかった ー もういた

(行為、動作)
まだした ー もうしなかった
まだしていた ー もうしていなかった

まだしなかった ー もうした
まだしてなっかた ー もうしていた

問題ないようだ。


sptt


Monday, August 14, 2023

中国語の大副詞< 还>ー2 <より> 比較

 

 中国語の大副詞< 还>の第2弾。前回の<まだ>とはほとんど関係ない。ネット辞典 白水社 中国語辞典からの引用。


2 (他の物事比べて)…よりいっそう,もっと,更に,なお.⇒ gèng

これは中国語の比較文構造で

A 比 B 还 xx.

中国語の比較文構造は簡潔でいい。<比>の品詞は調べていないが、比較文では最重要語だ。<还>は必ずしも必要ではなく、

 A 比 B xx.

今天比昨天热。=今日昨日より暑い.

でもいい。きわめて簡潔。<还>は比較の軽い強調と言えるかもしれない。冒頭に<まだ>とはほとんど関係ない、と書いたが、あえて関連を探してみる。次のポストでっくつもりだが、白水社 中国語辞典時の<还>の三番目の解説に

3(ある事柄のほかに別の事柄つけ加わることを示し)また,更に,そのうえ,加えて

というのがある。

2.(他の物事比べて)…よりいっそう,もっと,更に,なお

と比べると、どちらにも<更に> があり、オーバーラップするところがある。比較で使われる<さらに>は後に続く語の意味を増強する。

英語の better は普通<よりよい>と訳されるが

A は B よりよりよい.

は<よりより>語呂がわるい。<よりいっそう>はおおげさで、しかも<より>があり

A は B より一層よりよい。

でますます語呂がわるい。

A は B もっとよりよい。
A は B さらによりよい.。
A は B よりなをおよりよい。

も日本語らしくないし、こうは言わないだろう。問題はどうも<better =よりいい、よりよい>にあるようだ。英語の教科書では

good、well の比較級が better 

となっている。日本語と対比させると

good、well = いい(よい)

better = よりいい、もっといい、さらにいい、なおいい

だが中国語の

 A 比 B xx.

は、これで

A is better than B.

に相当しており、< 还>のついた

 A 比 B 还 xx.

A is even better than B.
A is still better than B.

になる。辞典の解説は

还 = より、もっと、さらに、なお

で、これをそのまま使うと

よりよりいい、
もっとよりいい
さらによりいい
なおよりいい 

になるが、こうは言わないだろう。better は<よりいい>だけではなく、もっといい、さらにいい、なおいい

にもなり、その強調ともいえるので、言葉遊びになるが

よりよりいい、もっとよりいい、さらによりいい、なおよりいい
よりもっといい、もっともっといい、さらにもっといい、なおもっといい
よりさらにいい、もっとさらにいい、さらにさらにいい、なおさらにいい
よりなおいい、もっとなおいい、さらになおいい、なおなおいい

が考えられる。 比較級の強調としては、口語であれば調子のいい

もっともっといい
さらにもっといい
なおなおいい 
が使われそうだ。
 
 このような奇妙なことがおこるにのは
 
 日本語では
 
A は B よりいい。
 
で比較文なのだ。比較級はいらない。重要語は<より>で中国語の< 还>に相当するだろう。
 
書き言葉では<更>がよく使われる。
 
白水社 中国語辞典
 
更 
ピンインgèng ⇒ [異読音] gēng

副詞

1(物事程度が「もとの程度比較して…である」と言う場合)更に,いっそう,もっと.

产品质量更高了。=製品の質が更に高まった.
 
昨天很冷,谁知今天更冷。=昨日はたいへん寒かったが,どうしてどうして今日よりいっそう寒い.
 
农村需要我们,我们更需要农村!=農村は我々を必要としているが,我々はよりいっそう農村を必要としている!
 
他不爱说话,他哥哥更不爱说话。=彼は無口だが,彼の兄はよりいっそう無口だ

2(‘…’の形で,比較する対象示し;…より)よりいっそう,もっと.

 况比过去更复杂。=現在の状況過去よりいっそう複雑である.

(以下略)

 
広東語では<更加好>というのよく聞く。<もっといい>の意で、北京語では<更好>、<还好>でいいか。<还好>の方は<还可以>、<还行>という言い方があるので、ニュアンスがちがうか。
 
英語では much better 相当だが、よく見れば中国語、日本語の<好>はすでに比較級になっていると思われる。これは比較表現では需要な違いだ。

sptt

Saturday, August 12, 2023

中国語の大副詞<还>ー1 <まだ>

 

話が中国語にシフトしかけているが、< 还>は中国語の大副詞と言える語で、詳しく検討する価値がある。前回のポスト "<やはり>と< 还>" で<やはり>と関連させて< 还>を少し詳しく検討したが、< 还>自体おもしろいので、中国語の勉強をかねて、さらにチェックしてみることにした。今回は日本語の<まだ>関連。前回利用したネット辞典 白水社 中国語辞典をまた使うと、まず一番に<まだ>が出てくる。繰り返しになるが


还(還)は二つの読み方があり副詞としてはとしては hái、動詞としては huán で動詞の方は返還、循環の還で

(元の場所・状態に)帰る,戻る,帰す,戻す.

の意がある。今回は触れない。副詞の还の解説。

副詞 ピンイン hái 

1(動作・行為が引き続き行なわれていることや状態・状況そのまま変わらないことを示し)まだ,なお,やはり,依然としてあいかわらず.⇒ 仍旧 réngjiù仍然 réngrán依然 yīrán

これは大いに<やはり>に関連する。前々回のポスと "  レトリック副詞についてー2 <やはり>はレトリック副詞か? " でチェックした<やはり>の中国語では出てこなっかった。

<状況そのまま変わらないことを示し

は <やはり>の一般化した意味の一部。

ある状況 (状態) が、他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが、最終的には状況 (状態) に変わりがない、という意を伝える。

に関連する。だが、<やはり>は<状況そのまま変わらないことを>すのだが、そう単純ではなく、 

他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが、それでも状況がそのままで変わらないことを示す

で屈折があるのだ。上の例を検討してみる。

日本語で逆接的、譲歩的なのは

夜深了,他还在继续工作。=夜も更けているのに彼はまだ仕事をしている。

多年不见,你还那么年轻。=何年ぶりかで会った,君はあいかわらず若々しい。
 
他年过七十,精神还那么饱满,步子还那么轻快。=彼は70過ぎだあいかわらず元気はつらつ,足取り軽やかだ

如今虽然老了,也还能跑得动。=今は年とったけれども,まだあちこちに足を運ぶことができる。

就是有了一些成绩,也还要继续努力。=若干成績上げとしても,なお引き続き努力なくてはならない

 逆接、譲歩は前段と後段の間にヒネリがある。<やはり>は繰り返しになるが

他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが、それでも状況がそのままで変わらないことを示す、で屈折があるのだ。

<まだ>、<あいかわらず>、<なお>を<やはり>で置き換えてみる。

夜も更けているのに,彼はやはり仕事をしている。
何年ぶりかで会ったが,君はやはり若々しい。
彼は70過ぎだが,やはり元気はつらつ,足取り軽やかだ
今は年とったけれども,やはりあちこちに足を運ぶことができる。
若干成績上げたとしても,やはりひき続き努力なくてはならない。

基本的には日本語としてはおかしい。前段は逆接(のに、が、けれども、としても)で、後段は単純に前段の内容に反することが述べられる。<ひねり>は一度だけだ。<やはり>は、くどいようだが
 
他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが、それでも状況がそのままで変わらないことを示す、
 
で<他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが>の逆接、譲歩の結果を後段で述べることになる。これはおそらく<ひねり>は一度だけというルールがあるのではないか?これはおもしろい問題で、再検討する予定。

一方日本語で逆接的、譲歩的でないのは

雨还在下着。=はなお降り続いている.
他还睡觉呢 。=彼はまだ眠っているよ.
还有一些问题要解决。=解決しなければならない問題がまだ幾つかある. 

<まだ>、<なお>を<やはり>で置き換えてみる。

はやはり降り続いている.
彼はやはり眠っているよ.
解決しなければならない問題がやはり幾つかある.

意味は微妙というか、かなり違っているが意味は通る。

は(まだ降り続いていると思ったが)やはり降り続いている.
彼はまだ眠っている思ったが)やはり眠っているよ.
解決しなければならない問題が(まだあると思っていたが)やはり幾つかある. 

<まだ>は必要だろう。还=まだ、依然として、なのだ。

あるいは<やはり>の特徴を加味して

は(もうやんでいると思ったが)やはり降り続いている.
彼はもう起きている思ったが)やはり眠っているよ.
解決しなければならない問題が(もうないと思っていたが)やはり幾つかある.

 <もう>はなくてもいいが、あった方がメリハリがでる。

白水社 中国語辞典では、重要な<还没 xxx>、<まだxxxない>の解説がない。

<まだ>は<いまだ>由来の語で、<いまだ>は

いまだxxxない

で使われ、元来否定で使われた。現代北京語では<还+没>=<まだ+ない>と二語になっているが、古い中国語を残している広東語では<未=mei と発音する>の一語で<まだ+ない>になる。日本語では漢字を使うと、いまだ=未だ、になるが、日本語も<いまだ+ない>の二語構成だ。日本語の<まだ+ない>コンビは頻繁に使われる。頻繁に使われるということは<まだ+ない>、未達に言及することが非常に多いということだ。対比される<もう>、<もうすんだ、終わった、やめた>などの完了言及も多いが、おそらく<まだ+ない>の使用がはるかに多いだろう。

ところで<まだ>は<まだxxxない>とあきらかに<ない>を示さなくても、内容否定的で、未完を表す場合ににも使われる。

まだダメだ。
まだ劣っている。
太郎は英語では花子に勝っているが、数学ではまだ負けているいる。(負け続けているではない)


一方英語を参考にすると、ネット上の中英辞典では

Collins 中英辞典 (例文のみ、解説なし)

副詞

1.(仍旧) still, yet
那家老饭店还很兴旺。 [Nà jiā lǎo fàndiàn hái hěn xīngwàng.] The old restaurant is still thriving.
她还没回来。 [Tā hái méi huílai.] She hasn’t come back yet.
 
2.(更加) even more
他比我还想家。 [Tā bǐ wǒ hái xiǎng jiā.] He’s even more homesick than I am.
 
3.() still
她不聪明,但还算老实。 [Tā bù cōngmíng, dàn háisuàn lǎoshi.] She’s no great brain, but still, she’s honest.
 
4.(尚且) even
她还不着急,你急什么? [Tā hái bù zháojí, nǐ jí shénme?] If even she isn’t worried then why are you?
 
で 1. と3. に still が出てくるが、英語の still も多義語で 

1. は<まだ>、<依然として>、<引き続き>相当。
3. は<それでも>、<だが>相当だが、逆接の後段にでてくる。 だが、この例文の場合、<>というよりは<还算>の用法だ。<>は<>だけでも使う。この用法、still でもまにあうのだが、高級なのに nonetheless、nevertheless というのがある。
 
白水社 中国語辞典の例文を英語でチェックしてみる。

日本語で逆接的、譲歩的なのは
 
夜深了,他还在继续工作。=夜も更けているのに彼はまだ仕事をしている.
He is still working.

多年不见,你还那么年轻。=何年ぶりかで会った,君はあいかわらず若々しい
 You are still young.
 
他年过七十,精神还那么饱满,步子还那么轻快。=彼は70過ぎだあいかわらず元気はつらつ,足取り軽やかだ
He is still active and energetic. He still walks with ease and fast.

如今虽然老了,也还能跑得动。=今は年とったけれども,まだあちこちに足を運ぶことができる.
He (or she) still walks around.

就是有了一些成绩,也还要继续努力。=若干成績上げとしても,なお引き続き努力なくてはならない. 
You (or he or she) still must continue to make effort.
 
日本語の方では<まだ>、<あいかわらず>、<なお>だが still で問題ない。
 
日本語で逆接的、譲歩的でないのは
 
雨还在下着。=はなお降り続いている.
It is still raining.

他还睡觉呢 。=彼はまだ眠っているよ.
He is still sleeping.

还有一些问题要解决。=解決しなければならない問題がまだ幾つかある. 
There are still some problems to be solved.
 
で、日本語の方では<なお>、<まだ>だが、これまた still で問題ない。

上の場合の日本語の副詞としての<まだ>、<あいかわらず>、<なお>は still でいいが、場合によってはそのままでは still は使えない。

まだだ、まだまだ、まだまだだ。
あいかわらずだ。
なおのこと。 
 
上の<まだ>、<あいかわらず>、<なお>は副詞ではない。
 
このポストは日本語の<まだ>の英語ではないので<>に戻る。

繰り返しになるが<>の否定は<还没>でこれは重要。

她还没回来。 [Tā hái méi huílai.] She hasn’t come back yet.

否定の場合、英語では still は使えず、この例文のように<not ... yet>となる。<not ... yet>はアメリカ英語で、イギリス英語では not がない
 
She has come yet.
 
で否定になるがそれほど厳格な差ではないどろう。間違えても大したことはないが、この転換は英語の大きな特徴と言える。
 
もう少し >の否定を検討してみる。
 
还有 - まだある
还没有 - まだない
 
>がない 
 
有 - ある
没有 - ない
 
は中立だが 

还有 - まだある
还没有 - まだない
 


1(動作・行為が引き続き行なわれていることや状態・状況そのまま変わらないことを示し依然としてあいかわらず
 
の意はあるが、背景としては

还有 - まだある ー ないと思っていたが、それに反して
还没有 - まだない ー あると思っていたが、それに反して
 
これは<思っていたが>でなくてもよく
 
还有 - まだある ー ないと聞いていたがが、それに反して
还没有 - まだない ー あると聞いていたが、それに反して
 
でもいい。これは隠れた逆接だ、これがいつも成り立つかというとそうではない。
 
那家老饭店还很兴旺。 [Nà jiā lǎo fàndiàn hái hěn xīngwàng.] The old restaurant is still thriving.
 
の日本語は
 
その古いレストランはまだはやっている。
 
中国語、英語、日本語とも必ずしも<もうない、もうはやっていない、と思っていた、聞いていた>というような隠れた背景がある発話ではなくともよい。<まだ>のない
 
その古いレストランははやっている。
 
と比べると
 
その古いレストランは依然として (変わりなく) はやっている。
 
継続が加わっている、あるいは継続が強調されている程度と見ることができる。もうない、もうはやっていない、と思っていたが、聞いていたが>の意を加えようとすれば、<やはり>の登場で
 
その古いレストランはやはりはやっている。
 
となるが、変な日本語だ。
 
その古いレストランは今でもやはりはやっている。
 
とすると<変さ>がへる。 また過去形にして
 
その古いレストランはやはりはやっていた。
 
なら、なぜか問題ない。 日本語の<まだ>の話にそれて来ているが、このブログは元来日本語の文法、日本語と外国語の文法の比較について書いているので、もう少し日本語の<まだ>の話を続ける。日本語では<まだ>と対比されるのは<もう>で、株式投資の極意とされる名言に
 
まだはもうなり、もうはまだなり
 
というのがある。<まだはもうなり、もうはまだなり>は10年前に (2013年) このタイトルのポストを書いている。読み返してみたが文法的なことはあまり書いていない。<まだ>と対比させると
 
もうある ー ないと思っていたが、それに反して
もうない ー あると思っていたが、それに反して
 
で、見事な対比だ。これでもいいが、 <まだ>を加えた
 
もうある ー まだないと思っていたが、それに反して
もうない ー まだあると思っていたが、それに反して
 
上ででとりあげた<まだ>の方も<もう>を加えて

还有 - まだある ー もうないと思っていたが、それに反して
还没有 - まだない ー もうあると思っていたが、それに反して
 
で見事な対比だ。<もう>は<すでに>でもよく
 
还有 - まだある ー すでにないと思っていたが、それに反して
还没有 - まだない ー すでにあると思っていたが、それに反して
 
まさに<まだ>と<もう>は相反する対比といえる。<もう>の英語は大体 already だ。<もう>の中国語は大体

 

は書き言葉
 

は話し言葉で、よく聞きよく使う。よく聞くというのは
 
香港の地下鉄では
 
列車がまももなく到着します。(ご注意願います。)

の代わりに

列車已经到达。
 
がアナウンスされるからだ。 広東語も北京語も同じで(発音は違う)まだ到着していないときのアナウンスなので、変だと思っていた。最近広東語の方は、地下鉄職員の誰かが私と同じように変だと思ったのか、英語の
 
The train is arriving.
 
に近いもの変わったが、北京語の方は依然として<列車已经到达>だ。
 
さて<>、<まだ>の話にもどる。

还有 - まだある
还没有 - まだない
 
 
还有 - まだ依然として、相変わらず、ある
还没有 - まだ依然として、相変わらず、ない
 
でもいいが<まだ>をとって

还有 - 依然として、相変わらず、ある
还没有 - 依然として、相変わらず、ない
 
行為、現象の場合は  
 
彼はまだ仕事をしている。
彼は依然として仕事をしている。
 
は<引き続き>で置き換えられ
 
彼は引き続き仕事をしている。
は引き続き降り続いている。
 
引き続きある、引き続きない。
 
はあまり使わないが、間違いではない。一方行為の否定は
 
她还没回来。 [Tā hái méi huílai.] She hasn’t come back yet.
 
状況にもよるが
 
彼女はまだ帰らない。
 
とは普通言わない。(歌の文句にこのようなのがあり、簡単だが詞的だ。)
 
彼女はまだ帰ってきていない。
 
が普通。
 
彼女は依然として帰ってきていない。
 
はいいが
 
彼女は相変わらず帰ってきていない。
彼女は引き続き帰ってきていない。
 
はおかしいが、これは<帰る>が一度きりの行為だからで、
 
毎日夜7時に帰ってくる。
 
という場合には
 
毎日依然として夜7時に帰って来ない。
毎日相変わらず夜7時に帰って来ない。
毎日引き続き夜7時に帰って来ない。
 
でいい。これは継続性 (習慣性) があるためだろう。逆に<まだ>は
 
毎日まだ夜7時に帰って来ない。
 
は変だ。したがって、かならずしも<まだ=相変わらず、引き続き>ではないことになる。こまかいことだがおもしろい。
 
 
1(動作・行為が引き続き行なわれていることや状態・状況そのまま変わらないことを示し)まだ,なお,やはり,依然としてあいかわらず.
 
の解説には<雨がふる> のような<現象>が含まれていない。
 
まだ雪がふっている。
まだ曇っている。
まだ風が吹いている。

で現象が<そのまま変わらないことを示す>でいいだろう。一方否定は
 
まだ雪がふっていない。
まだ曇っていない。
まだ風が吹いていない。
 
<雪がふっていない>、<曇っていない>、<風が吹いていない>現象が<そのまま変わらないことを示す>にはならない。
 
<まだ xxx ない>はセットフレーズで<雪がふる>、<曇る>、<風が吹く>の予期、予想しての発話になる。<ない>状態が継続している場合には
 
依然として雪はふっていない。
依然として曇っていない。
依然として風が吹いていない。

でよく、これに<まだ>をつけると
 
まだ依然として雪はふっていない。
まだ依然として曇っていない。
まだ依然として風が吹いていない。
 
となり、あまり言いそうにない。

まだ日が暮れていない。
まだ日が昇っていない。
 
も<日が暮れる>、<日が昇る>ことを想定しての発話だが
 
依然として日が (は) 暮れていない。
依然として日が (は) 昇っていない。
 
はかなり中立的な発話になる。 
 
行為についてもチェックしてみる。
 
夜深了,他还在继续工作。=夜も更けているのに,彼はまだ仕事をしている.
 
前半部分をとってみる

他还在继续工作。= 彼はまだ仕事をしている。
 
中国語の方は<継続>という動詞が使われている。<还在>は<まだ xx している(ところだ)で、現在進行形。
 
彼はまだ仕事をしている。
彼は依然として仕事をしている。
 
彼はまだ仕事をしていない。(仕事を始めていない / 失職中)
彼は依然として仕事をしていない。
 
個人的には大差ないように思う。これは<夜も更けているのに>という状況、背景がないためだが、<まだ>だけだと、純文法的には
 
<まだ>は 
 
動作・行為が引き続き行なわれていることや状態・状況 (現象) がそのまま変わらないことを示す 
 
でいいだろう。<変化 / 変化していないこと>や継続に注目した発話で<まだ>を使うとこういうことになる。<やはり>と比べると、<やはり>は
 
ある状況 (状態) が、他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが、最終的には状況 (状態) に変わりがない、という意を伝える。
 
一方<まだ>は、否定でない場合
 
動作・行為が引き続き行なわれていることや状態・状況 (現象) がそのまま変わらないことを示す。
 
で<他の状況 (状態)に変わるか可能性があったが>の部分がない。
 
が<やはり>との基本的な違い。
  
だが、場合によっては<まだ>の前に<それでも>を使うと、それでもまだ>で<他の状況 (状態)に変わるか可能性があった>ニュアンスが加わることになる。

彼に聞いてみたが、やはりわからない。ー 彼に聞いてみたが、それでもまだわからない。 
 
<それでも>は譲歩の接続詞で<それにもかかわらず>。
 
参考 ー1

デジタル大字典 小学館

まだ
 
副詞《「いまだ」の音変化

打消しの語を伴って)ある事柄その時点までに実現していないさま。「—帰らない」「—できていない

期待されるべき状態になっていないさま。「独立には—早過ぎる」「今は五月だ」

前からの状態がその時まで続いているさま。「—降っている」「—寝ている」

残りがあるさま。また、余地のあるさま。さらに。「—言いたいことがある」「期日まで—日数がある」

時間日数が少ししかたっていないさま。たった。「父が死んで一年だ」

十分ではないが、他にくらべればいほうだという気持ちを表す。どちらかといえばまだしも。「寒いのは—我慢できる」「退くよりは進むほうが—ましだ」

 
簡潔、大雑把、一般化すると
 
1は否定の形で未達、未完。
 
2は肯定の形で未達、未完。
 
独立にはまだ早過ぎる。(十分ではない)
今はまだ五月だ。(期限の6月にはなっていない)
 
3 は肯定だが、内容的には終わっていない、未達、未完の程度を表現している。言い換えると、ある状態の継続をあらわしているように見えるが、その状態が終わることが念頭にあり、<ない>がなくとも達成、完了されていないことをあらわしている。
 
まだ雨が降っている。 (雨はやんでいない、が念頭にある)
まだ寝ている。(目を覚ましていない、起きていない、が念頭にある
 
上記例は継続とも見えるが、純継続は
 
依然として雨が降っている。 
依然として寝ている。
 
で特に <雨はやんでいない>、<目を覚ましていない、起きていない>が念頭にあるわけではない。
 
こじつけ気味になるが、継続は停止ではなく、状態、状況が進行していることで、これが終わることが想定されている (念頭にある) が、その想定に対してまだ終わっていないことを表している、ともいえる。

まだ半分ある。   使い切ってある(達成、完了の)状態にない

 
4 も<ある>で肯定だが、達成、完了されていないことをあらわしている。
 
残りがあるさま。余地のあるさま>は明らかに未達だ。
 
まだ言いたいことがある。(言いたいことはまだ終わっていない、未達)
期日までまだ日数がある。(未達)
 
2、4の例文のように、表面上肯定でも、意味な内容に未達、未完を内包されてる (implied) 場合<まだ>が使われる。他のよく聞く例。
 
まだ早い。まだ若い。まだ新しい
 
<もう>との対比はおもしろく

まだ早い ー もう早くない。もう遅い。
まだ若い ー もう若くない。もう年寄りだ。
まだ新しい ー もう新しくない。もう古い。
 
 
したがって1.2、3、4 は

ある事柄その時点までに実現していないさまを示す、示唆する(3の例)一般化できるだろう。
 
 父が死んでまだ一年だ。
 
は言い換えると

父が死んでまだ年しかたっていない
 
で、もっと時間が経過していると思っていた。それに対して実際は
 
で、言い換えると、<もっと時間が経過している>のに比べると未達なのだ。これまたかなりのこじつけだ。
 
6 の解説にでてくる<まだしも>は、 ”<まだしも>とはどういう意味か" というタイトルのポストを書いている。
 
退くよりは進むほうがまだましだ。

やや変で

進むよりはまだ退くほうがまだましだ。
 
が普通だろう。

 参考 ー2
 
手元の三省堂辞典

<まだ> 副詞
 
1. その時点において、目標とする (予測、期待される) 段階、程度にまでいたっていない状態である様子。

まだ学校から帰っていない。
その時私はまだ生まれていなかった。
手続きがまだの (終わっていない) 人は急いでください。
(以上は否定<ない>の形、以下は否定の形になっていない)
出発までまだ一時間もある。
まだ一万残っている。
もういいかい。まあだだよ。
 
<その時点において、目標とする (予測、期待される) 段階、程度にまでいたっていない状態である様子>の解説は否定<ない>がない最後の3例でも説明できる。
 
 出発までまだ一時間もある。
 
出発を目標とすると、時間軸上、現時点で目標に達していないのだ。
 
まだ一万残っている。 

これも<ある特定の金を使い切ること>を目標とすると、現時点で目標に達していないのだ。
 
もういいかい。まあだだよ。
 
<もういい状態>を目標とすると、現時点で目標に達していないのだ。
 
 
2.それですべてを尽くしたわけではなく、同じことが他にもあると考えられる様子。

理由はまだある。
そういう人はまだ他にもいるはずだ。
 
2番目の例は<他にもいる>が発話されており、<まだ>が<同じことが他にもあると考えられる様子>の例文というのはおかしい。
 
1.になっらて 

すべてを尽くす (出し尽くす) のが目標とすると、現時点で目標に達していないのだ。
 
大雑把に言えば (一般化すれば) 1グループに入る。
 

3.現状と比べ、どうにか許容できる範囲内にあると判断する様子。
 
いっそない方がまだましだ。 
まだ何とかがまんできる。
彼はにくまれ口ばかりたたくが、それでもまだかわいいところもある。
 
例文が解説に合わないものが多い。特に3は全滅だ。
 
いっそない方がまだましだ。 
 
<まだまし>で<どうにか許容できる範囲内にある>の意で、<まだ>に<どうにか許容できる範囲内にある>の意があるわけではない。
 
まだ何とかがまんできる。
 
これはもっとひどく<何とかがまんできる>に<どうにか許容できる範囲内にある>の意があり、<まだ>に<どうにか許容できる範囲内にある>の意があるわけではない。むしろ
 
<何とかがまんできる>の解説が<どうにか許容できる範囲内にある>だ。
 
それでもまだかわいいところもある。 
 
これも<まだ>に<どうにか許容できる範囲内にある>とはならない。
 

 
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