"<でも>の正体 " はまだ続く。
https://upwrite.jp/grammar/auxiliary_verb
日本語の助動詞の種類は、意味で分類すると「受け身・可能・自発・尊敬・使役・丁寧・希望・打ち消し・断定・過去・完了・推量・意思・たとえ・例示・推定・伝聞・様態」
推量・意思 う・よう
たとえ・推定・例示 ようだ
推定 らしい
推量・意思 う・よう
たとえ・推定・例示 ようだ
推定 らしい
文法用語では<類推助動詞>というのはない。類推は
https://sakura-paris.org/dict/%E5%BA%83%E8%BE%9E%E8%8B%91/content/20789_1496
類似点に基づき他の事をおしはかること。二つの特殊的事例が本質的な点において一致することから、他の属性に関しても類似が存在すると推論すること。似たところをもととして他の事も同じだろうと考えること。類比推理。アナロジー。
というようなことだ。えたいの知れない助詞<でも>を考えるとき、この類推、働きとしては<類推作用>は重要だ。これは一種のレトリックだ。これまで何度も取り上げているが、<でも>の解説では
というのがあり、ここで<類推>が出てくる。
子供でもできる
大人ならもちろんできる。
だ。これは類推の一例であって、他の類推例も考えられる。
昼前でも気温が30度もある
の方は、聞き手は
だから、午後2時ごろは33度くらいになるかもしれない。
だから、午後2時ごろはもっと暑いだろう。
が類推例だ。これも何度も引用しているが、手元のかなり古い辞典 (三省堂) では副助詞としての解説で
1.許容される最低の場合を例示する。
と簡単で。例として
2)忙しくて日曜日でも遊んでいられない。
3)今からでも遅くない。
4)これだけでも持って行きなさい。
この辞書では肝心な<聞き手に類推をさせる>というのがない。<許容される最低の場合を例示する>は、少しチェックすればわかるが、間違いとも言える。この間違いはすでにこれまでのポストで書いているので、ここでは触れない。
発話から類推されるのは、状況により違いはあるが、妥当な例では
ましてや、大人なら7-8分で行けるだろう。
2)忙しくて日曜日でも遊んでいられない。
日曜日も含めた休みなしの大忙しだ。(月曜からから土曜日まではもちろん遊んでいられない)
3)今からでも遅くない。
それなら、今すぐに行こう(始めよう)
が類推され、類推に<今から>の比較対象の<遅い><遅くない>が出てこない。これはやや特殊だ。
4)これだけでも持って行きなさい。
わかった。じゃあそうする。(あれこれ持って行くのはやめよう)これもやや特殊だ。
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デジタル大辞泉 (小学館) と三省堂辞典には出てこないが
夢でも見ていたんだろう。花子は今家にいないが、買い物にでも出かけているんだろう。
これは推量、推定ともいえるが、<でも>があるので
<でも>のない推量、推定
夢を見ていたんだろう。
花子は今家にいないが、買い物に出かけているんだろう
花子は今家にいないが、買い物に出かけているんだろう
とは違う。 <でも>がある場合は、類推というか、他の可能性があることを残した言い方だ。このような<でも>を使った言い方は日常少なくない。
デジタル大辞泉 (小学館) と三省堂辞典で似たような例を探してみると
兄にでも相談するか。
三省堂辞典
2.考えられる消極的な条件がともかく成立するさまを表わす。
1)お茶でも飲もう。
2)こんな時木村君でもいてくれたらなあ。
3)けがでもさせたら大変だ。
4)明日にでも来てもらおう。
がある。
<xxxとして、xxxのために一例として挙げる意を表す>としないといけない。
けがでもしたら大変だ。
兄にでも相談するか。
この解説では<けが>、<兄に>が<物事をはっきりと言わず、一例として挙げる意を表す>の一例となるのだが、<けが>、<兄に>とはっきり言っている。
けがなどでもしたら大変だ。
の場合は<けが>は<けが>以外の他の例がある、選択肢を残した一例になる。だが<でも>を使う場合はこうは言いそうもない。
けがなどしたら大変だ。
は
けがでもしたら大変だ。
に近い
兄などにでも相談するか。兄になどでも相談するか。
とは言いそうにない。
sptt
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