Sunday, May 5, 2013

<ある>、<あらわす>、<あらわれる>


<ある>は日本語の動詞のなかで使われる頻度が極めて高いということからも極めて重要な動詞だ。そしてたいていは無意識で使われる。 <ある>は以下に見るように特殊な動詞でもある。

1) <ある>の否定は<ない>で、<あらない>とは言わない。昔は<あら+ず>の<ず>という否定の純助動詞があった。なぜか使わなくなってしまった。

2) xx <が>+<ある>でモノ、コト(出来ゴトを含む)の存在をあらわす。

3) xx <は> yy <で><ある>で存在ではなく、xx(モノ、コト)の属性、性質、特徴(yy)をあらわす。<ある>という動詞が使われることから、(たいてい無意識だが)、より正確には<xx(モノ、コト)の属性、性質、特徴(yy)の存在(あること)>をあらわす。下の5)の解説参照。

4) xx <に><は> yy <が><ある>で<所有>関係をしめす。但し<to have>ほどの<所有>意識はなく、<ある>という語から、存在の意識が強い。ただし、多くは無意識。

太郎には妻子がある。
次郎には金がある。
花子には才能がある。

a )太郎には妻子がある。
b )太郎は妻子がある。
c)太郎に妻子がある。 

a)、b)、c) は微妙にちがう。b )の<太郎は妻子がある>が<所有>関係をしめす度合いが強いようだ。
 
また、内容によっては<所在>をしめす。

次郎の部屋には金がある。 

なお、<次郎の部屋に金がある。 >はいいが、<次郎の部屋は金がある。>はダメではないが少しおかしい。部屋は基本的に金もてないのだ。

5) これは少し考えないとわかりずらいが重要な見方で、モノ、コト、出来事の存在を認識する、していること>をあらわす。認識論がからむが、モノ、コト、出来事の存在とこれらの存在の認識は別のもとする。

前の道路に赤い自動車がある。(大げさになるが<車の存在の認識の表明>とみる)

来週中間テストがある。(<行事の存在の認識の表明>とみる)

けさ大きな地震があった。 <出来事の存在の認識の表明>とみる)

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<ある>関連の言葉のうち重要なのは<あらわす>、<あらわれる>という動詞だ。<表に出して見えるようにする>、<表に出てきて見えるようになる>といった意味だ。 <あらわす>の<あらわ>(名詞、体言)、<あらわれる>連用形名詞(体言)」の<あらわれ>も元の意味を濃く残している。これらの語は発音<a-ra-xx>からして明らかに動詞<ある>関連だ。そうすると、動詞<ある>は

1)<存在>そのものをあらわす、2)<存在を認識すること>をあらわす、さらに、3)<あらわすこと>にも関連してくるスーパー動詞だ。 


sptt 


 


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