Saturday, December 21, 2024

日本語の複合動詞<xxまちがえる>、<xxちがえる>

別のポスト

spttやまとととばじてん " <失敗する>のやまとことば "で


見そこなう /  見そこねる  慣用用法で  to fail to see ではなく、人物評価をまちがえる。
見そびれる                             これが to fail to see になる。

<見る>関連の失敗では

見あやまる
見落とす
見くびる
見過ごす
見まちがえる
見ちがえる  慣用用法がある 花子は大きくなると、見違えるほどの美人になった。

がある。

と書いて、<見まちがえる>と<見ちがえる>の 違いにふれたが、他の<xxまちがえる>、<xxちがえる>をチェックしてみる。例によってアイウエオ順。

 <xxまちがえる>は汎用性がある

言いまちがえる / ちがえる
打ちまちがえる / ちがえる
売りまちがえる / ちがえる
選びまちがえる / ちがえる
送りまちがえる  普通は、送り先をまちがえる
押しまちがえる / ちがえる   ボタンを押しまちがえる
降 (お) りまちがえる / ちがえる

買いまちがえる / ちがえる
書きまちがえる
数えまちがえる / 数えちがえる
切りまちがえる

指しまちがえる
差しまちがえる   差すものや差すところをまちがえる
刺しまちがえる   刺すものや刺すところをまちがえる 
刺しちがえる  ナイフや、昔は刀で互いに刺し合う

漢字はちがうが<指す><差す><刺す>は広い意味で同義語。

出しまちがえる / ちがえる

並びまちがえる / 並べまちがえる
乗りまちがえる

はかり (計り) まちがえる
踏むまちがえる / 踏ちがえる

階段を踏ちがえる、アクセルとブレーキを踏むまちがえる / 踏ちがえる
道を踏みちがえる (踏ちがえる、慣用用法:道を踏みあやまる)

見まちがえる / 見ちがえる   上記参照

やりまちがえる
呼びまちがえる

<xxちがえる>はおもしろい慣用用法がある。

行きまちがえる ー 行き先をまちがえる
行きちがえる / 行きちがう (常用)  ー なにかのまちがいで、会う予定の相手に会えない

入れまちがえる
入れちがえる   慣用用法:ある人が出たすぐあとに別の人がはいってきて、行きちがいになる。入れちが。太郎と入れちがいに花子が入ってきた。

聞きまちがえる / 聞きちがえる (常用) ー まちがって聞きとる、あることを他のこととして聞きとる

食 (く) いまちがえる / くいちがえる  ー 食べ物で、間違ったものを食べる
くいちがう (常用)  ー 合うわない、一致しない (自動詞)

取りまちがえる ー まちがったものを取る
とりちがえる (常用)  ー 普通二つのものを、なにかのまちがいで、一方を他方のものとして理解する

寝まちがえる  必ずしも<寝方をまちがえる>にはならない。
寝ちがえる   慣用用法:寝方が悪くて、首筋などを痛める。

履 (は) きまちがえる ー 履物を履きまちがえる
はきちがえる (常用)  ー 普通二つのものを、なにかのまちがいで、一方を他方のものとして理解する

読みまちがえる / ちがえる  慣用用法:予測をまちがえる


 (追加予定)

ーーーーー

ちがえる ー まちがえる、誤る以外に

ちがうようにする、ちがうように見えるようにする to differentiate  区別する

たがえる  ー まちがえる、誤る以外に

<交わらせる>。ふつうは二本の細長いもの十字に<交わらせる>。だが、こうすると<とりちがえ>や<はきちがい>が生じる可能性がある。さらには

 そむく、反する (たがう)

の意もある。

 

 

sptt

Sunday, December 15, 2024

日本語の複合動詞<xxそこなう>、<xxそこねる>

 

前回のポスト

" 日本語の複合動詞<xx 落ちる、落とす>" の最後で、

"

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

があってもよさそうだが、聞かない。

:"
と書いたが。これを考えているうちにおもしろい複合動詞構成用の言葉が次々と出てきた。

xxそこなう
xxそこねる
xxそびれる
xxちがえる
xxまちがえる
xx忘れる (前回のポストで<xx落とす>に関連して出てきている)

特に

xxそこなう

は汎用性が高く、またおもしろい。

 <そこなう>と<そこねる>はコンピュタワープロでは

そこなう ー 損なう
そこねる ー 損ねる

と出てくる。

引用が長くなるがネット辞書では

 

そこな・う〔そこなふ〕【損なう/害う】の解説

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%90%8D%E3%81%AA%E3%81%86/


[動ワ五(ハ四)]
物をこわして、だめにする。傷つける。「器物を—・う」
人の気持ちやからだの調子を悪くする。「感情を—・う」「健康を—・う」
殺傷する。「一兵も—・うことなく
動詞の連用形に付いて)

㋐…するのに失敗する。「書き—・う」
㋑…する機会を逸する。「乗り—・う」「見舞状を出し—・う」


そこ・ねる【損ねる】の解説

[動ナ下一][文]そこ・ぬ[ナ下

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%90%8D%E3%81%AD%E3%82%8B/#jn-130447



㋐人の気持ちを傷つける。「機嫌を—・ねる」「感情を—・ねる」
㋑からだの調子を悪くする。「働きすぎて健康を—・ねる」



㋐物がこわれる。傷がつく。「私の琵琶はちと—・ねて役に立ちませぬ」〈虎寛狂・伯養〉
㋑気持ちなどが、悪い状態になる。「ちと機嫌が—・ねた」〈虎寛狂・子盗人

(これは自動詞用法で、例文は古文のようだ。<機嫌をそこねる>が現代語だが、<機嫌がそこねた>もわるくない。sptt)

 
動詞の連用形に付いて)

㋐…するのに失敗する。「買い—・ねる」

㋑…する機会を失う。「言い—・ねる」

 ”

<そこなう>は<害う>という漢字も出てくる。複合動詞用法(動詞の連用形に付いて)では、<xxそこなう>、<xxそこねる>もほぼ同じ。

英語で言えば

 ㋐…するのに失敗する。

to fail to do、to fail in doing  (自動詞)

to fail to do something、to fail in doing something (他動詞)

㋑…する機会を失う>は英語で言えば

 to miss a chance to do

<xxする機会を失う>では、これまたおもしろい、これに特化したような<xxそびれる>がある。 

"

そび・れるの解説

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E3%81%9D%E3%81%B3%E3%82%8C%E3%82%8B/

[動ラ下一][文]そび・る[ラ下二]その行為をする機会を失う。…しそこなう。多く動詞の連用形に付いて用いられる。「つい聞き—・れた」
出典:デジタル大辞泉(小学館)

"

<そびれる>は漢字がでてこない<純やまと言葉>だ。もっとも<そこなう>も<そこねる>も漢字を使わなければ<純やまと言葉>だ。

漢語由来では<xx損 (そん) じ>があるが。少数派で意味、使われ方は限られるようだ。例によって、アイウエオ順に書き出してみる。上で書いたように、<xxそこなう>、<xxそこねる>は汎用性が高く、意味を成せば何にでもつくと言っていい。

1)自動詞+ そこなう

会いそこなう
行きそこなう
受かりそこなう   試験に受かりそこなった、受かりそこねた。
降 (お) りそこなう
しそこなう、 漢語+し (<する>の連用形) +そこなう
飛行機が離陸 / 着陸しそこなう、合意しそこなう(自動詞)
(できそこなう)  できそこない
出そこなう
xxになりそこなう
乗りそこなう
入 (はい) りそこなう

(追加予定)

大体<xxそこねる>で言い換えられる。<xxそびれる>は

飛行機が離陸 / 着陸しそびれる、合意しそびれる

はややおかしい。<できそびれる>はダメ。その他は使えるが、 <xxそこなう>、<xxそこねる>と言いそう。個人差があるだろう。

追加予定だが、上の例ではだいたい

xxするのに失敗する、xxしない

<xxそこなった>では  xxするのに失敗した、xxしなかった、xxすることができなかった。

行きそこなった   行かなかった、行けなかった
乗りそこなった   乗らなかった、 乗れなかった

 

2)他動詞+そこなう

合わせそこなう  合わせるのに失敗する、うまく合わせるのに失敗する。 
(人を) 会わせそこなう  会わせそこなった ー 会わせられなかった
打ちそこなう、打ち損じる  例えば<野球の打者がボールを打ちそこなった>。
受けそこなう  受けるのに失敗する、 うまく受けるのに失敗する

例えば<野球のキャッチャーが投手が投げたボールを受けそこそこなった>では、1)暴投でまったく受けられなかった 2)うまく受けられずに前に落とした、横にそらした。
試験を受けそこなった / 受けそびれた。 試験を受けなかった。<試験に失敗する>は<試験いに受かりそこねた> になる。

売りそこなう   売るのに失敗する。
選びそこなう   選択を誤る 例えば<太郎は嫁を選びそこなった>

買いそこなう   買うのに失敗する
書きそこなう   書き損じる、うまく書くのに失敗する <書きまちがう>とはちがう。勝ちそこなう   勝てる試合を勝ちそこなった。
聞きそこなう   聞きそこなった ー 聞かなかった
切りそこなう   うまく切るのに失敗する答えそこなう   
答えそこなった 1)答えなかった 2)正しく、うまく答えるのに失敗した。

しそこなう、し損じる
しそこなう、し損じる   漢語+する

説得しそこなう  説得に失敗する 
説得しそこなった 1)説得しなかった、2)説得したがうまくいかなかった。

説明しそこなう   説明に失敗する 
説明しそこなった 1)説明しなかった、2)説明したがうまくいかなかった。

助けそこなう   助けられたのに助けそこなった。
食べそこなう   食べそこなった。食事時間に遅れて食べられなかった。
うまいものを食べそこなった。食事時間に遅れて、うまいものは残っていなかった。
詰めそこなう   将棋で使いそう。もう少しで詰めるところだったが、詰めそこなった。
取りそこなう   取りそこなった  多分に<取ろうとしたが取れなかった>。

学びそこなう   学びそこなった  多分に<学ぼうとしたが学ば / 学べなかった>。
見そこなう    慣用用法  to fail to see ではない。人物評価をまちがえる。
<見そこねる>はいいが、<見そびれる>は別の意味というか、本来の to fail to see になる。

もうけそこなう  
もうけそこなった  多分に1)<もうけたが、もっともうけられるはずだった>。場合によって2)もうけられるはずだったが、まったくもうけられなかった。
もらいそこなう

やりそこなう   多分に<うまくやることができない>。
読みそこなう   読みそこなった。1)読もうとしたが読まなかった。場合によって2)読みまちがえた。

(追加予定)

以上も大体<xxそこねる>で言い換えられる。


<失敗する>、<失敗した>にもいろいろある。大きく分けると

1)<全否定>というか、<全失敗>の場合。

 まったくxxしない>、まったく<xxするのに失敗する>。

xxそこなった  <xxしよう>としたが、しなかった。できなかった。

2)<部分否定>というか、<未達失敗>の場合。

xxしたが、うまくできなかった 。xxしようしたが、うまくできなかった。

があるようだ。

さらには、<計画やもくろみに反して、失敗する>の意が場合が少なくない。さらにまた、失敗の原因や理由もいろいろあり、言い方もまたいろいろある。

うっかりして、降 (お) りそこなう、乗りそこなう ー 注意不足、不注意

試験に受かりそこなった、受かりそこねた。 ー 勉強不足、努力不足

もう少しで詰めるところだったが、詰めそこなった。ー 思慮不足、読み不足

説明しそこなう   説明に失敗する  ー 能力不足、経験不足

食べそこなう   食べそこなった。食事時間に遅れて食べられなかった。ー 時間おくれ
乗りそこなう   急行列車に乗りそこなった。急行列車に乗り遅れた。ー 時間おくれ

話が横道にそれてきているので、これ (失敗の原因や理由もいろいろあり、言い方もまたいろいろある) については別のポストで話を進める予定。


sptt

 

Thursday, December 12, 2024

日本語の複合動詞<xx 落ちる、落とす>

 日本語の複合動詞<xx 落ちる、落とす>は、前回のポスト

” 

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>

 ”

の最後の方で<xx 下がる、下げる>に関連して触れたのだが、<xx 落ちる、落とす>自体おもしろい複合動詞の構成語なので、独立させ、もう少し詳しく調べることにした。

<xx 下がる、下げる>は<xx 落ちる、落とす>という言い方あもある。

自動詞+落ちる

(かけ落ちる)  かけ落ち <かけ>は<駆ける>の<駆け>でいいのかよくわからない。

欠け落ちる   <欠けて>落ちる

ネット辞書では

<かけおち>

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%A7%86%E8%90%BD%E3%81%A1/

かけ‐おち【駆(け)落ち/×駈け落ち/欠(け)落ち】の解説
[名](スル)
  1. 結婚を許されない相愛の男女がひそかによその土地に逃れること。「親に結婚反対されて—する」

  1. ひそかに逃げること。逐電出奔

    1. 「あとに残った人は自分の—の為に助かるに違いないと考えた」〈漱石坑夫

  1. (欠け落ち)近世重税貧困悪事などから、居住地を離れてよその土地へ逃げること。

と言う解説がある。

くずれ落ちる
切れ落ちる  <切り落とす>の自動詞版
削 (けず) れ落ちる  <削り落とす>の自動詞版

こぼれ落ちる   落ちこぼれ
転 (ころ) げ落ちる、転がり落ちる

滴 (したた) り落ちる
擦 (す) れ落ちる  <擦り落とす>の自動詞版
ずれ落ちる、ずり落ちる  ずれて落ちる   他動詞版<ずらし落とす>。

垂 (た) れ落ちる、 したたり落ちる

抜け落ちる   髪が抜け落ちる、床 (板) が抜け落ちる

はげ落ちる

<勝ち上がる>に対して<負け下がる>、<負け落ちる>があってもよさそうだが、聞かない。

<落ちる>には物理的な<落ちる>の意からずれた慣用表現がある。

汚れが落ちる   汚れが洗い落ちる
衣服の色が落ちる(あせる、褪せる)
金が落ちる   金が使われ (て) 落ちる
運、ツキが落ちる
都 (みやこ) 落ち
落ち度
落ち目 (down、downward)


他動詞+落ちる

<落ちる>は自動詞なので、<他動詞+自動詞>の組み合わせになり、この組み合わせはごく少ない。

振い落ちる  <ふるい>にかけると、小さな、あるいは重いものが下に落ちる。だが<振い落ちる / た>はあまり聞かない。ある種の試験は不適任者を<振い落とす>目的があるが、<俺はふるい落とされた>は聞くが、<俺はふるい落ちた>はあまり聞かない。

 

自動詞+落とす

<落とす>は他動詞なので、<自動詞+他動詞>の組み合わせになり、この組み合わせもごく少ない。

泣き落とす   慣用用法  <落とす>は説得する、攻略する。

<くどき落とす> という言い方があるが、これは<泣き落とす>と違い<他動詞+落とす>。しかも典型的な複合動詞で<説得して攻略する>の意だ。

 

他動詞+落とす

言い落とす  言い忘れる
撃ち落とす  撃って落とす 

聞き落とす  聞き逃す(耳で聞く)、尋ねる、質問するの意の<聞く> の場合もある。

切り落とす  切って落とす
口説 (くど) き落とす      口説いて落とす。<落とす>は説得する、攻略する。
蹴 (け) 落とす   蹴って落とす   慣用表現もある。

叩 (たた) き落とす  叩いて落とす
取り落とす   取りそこなって落とす  実際には<取りそこなって落ちる>か?    <落とす>意思はないだろう。<財布を落とす>も変な言い方だ。

はじき落とす  はじいて落とす
引き落とす   慣用用法  銀行口座から金を引き落とす
吹き落とす   吹いて落とす
振り落とす   振って落とす
振るい落とす   振るって落とす

見落とす    見逃す。<見逃す>は別の意味の慣用用法がある。

これも<落とす>意思はないだろう。 

読み落とす   あまり聞かないが、ある個所を、読み逃す、読み忘れる。 

これも<落とす>意思はないだろう。<読み飛ばす>は意思がある場合とない場合がありそう。

ーーーーー

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

<勝ち上がる>に対して<負け下がる>、<負け落ちる>

があってもよさそうだが、聞かない。 

 

sptt

Wednesday, December 4, 2024

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>

日本語の複合動詞<xx 上がる、上げる>、<xx 下がる、下げる> 、英語の<動詞+up / down>を比較、検討してみる。

細かいことを言うと、組み合わせはもう少し複雑で

1.自動詞+上がる、他動詞+上がる
2.自動詞+上げる、他動詞+上げる
3.自動詞+ 下がる、他動詞+下がる
4.自動詞+下げる、他動詞+下げる
5.自動詞+up 、他動詞+up
6.自動詞+down 、他動詞+down

となる。 英語では、単独動詞として自動詞の to rise (上がる) 、他動詞の to raise (上げる) があり、数少ない自他動詞ペアだ。

1.自動詞+上がる、他動詞+上がる

1-1)自動詞+上がる

浮き上がる

駆け上がる
勝ち上がる
切れ上がる   

よくわからないが<小股が切れ上がる>というのがある。<切れる>は自動詞。

このナイフはよく切れる。

この<切れる>は他動詞<切る>の可能形とみなせるが、自動詞<切れる>とすると、変な自発になる。

せり上がる   

競売 (せり) でせり上がる。この場所がせり上がっている。で多義語のようだが、意味は似ているところがある。

立ち上がる   

<立ち>自動詞<立つ>の連用形。自動詞<立つ> 立たない、立ち (立って)、立つ、立つ時、立てば。

でき上がる   

<できる>は<xxができる>で自動詞。<できる>を英語にしようとすると、やっかいだ。<can> は可能の意がある助動詞。<able >は可能と言うか<能力がある>という意がある形容詞。 <だれだれはできる人だ>では<できる>は形容詞になる。

太郎は数学ができる。

Taro can Math. ダメ。Taro can do Math well. でなんとかなるが、主動詞<do>が必要。

<できあがる>の<でき>は<できる>の連用形とみなせるが、<できあがる>に可能の意は全くない。<できあがる>の、<でき>は

火山ができる、ニキビ (できもの) ができる、耳にタコができる 

の<できる>で、基本的な自動詞の一つだ。上の三例は、原因が想像されるためか自発感が薄い。      

飛び上がる、跳び上がる

成り上がる  

<成り上がり者>はj本来自発的に<成り上がった人>だが、実際はそこそこ努力した人も含む。しかし批判的、非難的な言い方だ。

干 (ひ) 上がる  

<ひ>は古語<ひる>の連用形。 <ひからびる>というのもある。<からびる>は<枯れる>+<xxびる>

吹き上がる

<吹く>は自他兼用。風が吹く。笛を吹く。<吹き上げる>ほどは使われないが<吹き上がる>は自発の感がる。

膨 (ふく) れ上がる  これは自発的だ。<膨れ上げる>という言い方はない。

巻き上がる   <巻く>は自他兼用。ほこりが巻き上がる。
まくれ上がる  

<まくれる>は自動詞。他動詞は<まくる>。<めくれる>、<めくる>というのもある。
舞い上がる   <舞う>は自他兼用。風が舞う。舞を舞う。風が舞い上がる。
燃え上がる

わき上がる   <湯が沸く>の<沸く>。

 

1-2) 他動詞+上がる

買い上がる   相場用語

切り上がる   外為用語  <切り上げる>は意図的。<切り上がる>は<なぜかこのところ円が切り上がってきている>と言うと、自発的だ。

組み上がる  普通は<xxを組み上げる>のように使うが、<xxがうまく組み上がる、上がった>も可能。状況によるが、可能、自発。

汲み上がる  普通は<井戸から水を汲み上げる>のように使うが、<井戸から水汲み上がる>も可能だろう。状況によるが、水に目を向ければ可能、自発。

繰り上がる  <繰 (く) る>>は基本的に他動詞。<繰り上がる>は自動詞、自発か?

仕上がる  <仕 (し)>は<する>の連用形。<する>は基本的に他動詞。<仕上がる>は自動詞、自発か?

積み上がる   <積み上げる>に比べるとかなり自発的。

のし上がる   

<のす>は自他兼用。おもしろい動詞だ。<のし上がる>では自動詞になる。意思が感じられるためか、自発の感がない。<のし上げる>は使役になるようだ。

持ち上がる   

<持つ>は基本的に他動詞。<持ち上がる>は可能にもなるが、自動詞、自発にもなる。 結婚話が持ち上がる。

盛り上がる   <盛る>は基本的に他動詞。<盛り上がる>は自動詞、自発か? 

複合動詞<自動詞+上がる>が自動詞で、自発の意味がありそうなのは推測できるが、 複合動詞<他動詞+上がる>が自動詞になるものがある、さらには自発の意味になる場合があるのは注目すべきことだ。

 

2.自動詞+上げる、他動詞+上げる

2-1)自動詞+上げる

立ち上げる  自動詞 <立つ> 立たない、立ちて (立って)、立つ、立つ時、立てば。

乗り上げる   <乗る>は<xxに乗る>で自動詞。 暗礁に乗り上げる。<乗る>がそぐわない場合もる。

吹き上げる   <吹く>は自他兼用か。風が吹く。笛を吹く。

 

2-2)他動詞+上げる

編み上げる  to finish knitting
打ち上げる
売り上げる
押し上げる  to push up      <腕立て伏せ>は push up

買い上げる
書き上げる  to finish writing
数え上げる
築き上げる
切り上げる
組み上げる
汲み上げる
繰り上げる

差し上げる   慣用用法がある  to give
仕上げる    to finish up

たくし上げる (たくり上げる)   袖をたくし上げる  to roll up one's sleeves
叩 (たた) き上げる   主に慣用用法
立て上げる  他動詞<立てる> 立てない、立てて、立てる、立てる時、立てれば。<立て上げる>はあまり聞かない。 

突き上げる  突いてあげる、慣用用法がある。
作り上げる  to build up、to finish making, building
積み上げる  to pile up
釣り上げる
吊り上げる  
取り上げる  to pick up

 慣用用法<選ぶ> to choose, to select は to pick out で to pick up ではない。

引き上げる  to pull up、慣用用法1)to lift up、to raise up、慣用用法2)to withdraw。

<懸垂 (けんすい) >は pull up。腹筋運動は sit up。椅子から立ち上がることではない。これらはジムで道具を使わなければ、自重 self weigh が負荷のなっているので、self weight training と言うようだ。

振り上げる  to raise     to raise one's hand

吹き上げる  <吹く>は自他兼用。風が吹く。笛を吹く。火山が火を噴 (吹) き上げる。

巻き上げる  

<巻く>は自他兼用。風で砂ぼこりが巻き上がる。風が砂ぼこりを巻き上げる。慣用用法 金を巻き上げる。英語の to wind up は<時計のネジを巻く>。慣用用法では<終える>、to end up (with) というのがある。

まくり上げる  <まくる>他動詞。競馬用語で<まくり上げる>と言うのがある。

<めくり上げる>というのもある。

見上げる   to look up  慣用用法もある。
磨き上げる  to improve、to polish up   ブラシアップ ( to brush up ) は和製英語のようだ。
持ち上げる  to lift, to lift up
盛り上げる

読み上げる

<他動詞+上げる>は汎用性が高く、意味をなせばいくらでもある。 

調理用語
蒸し上げる  ー 蒸しあがる
たき上げる - たき上がる
焼き上げる  ー 焼き上がる
茹 (ゆ) で上げる  ー 茹で上がる

上で書いたが、右側の複合動詞<他動詞+上がる>が自動詞、さらには自発の意味になる場合が少なくない。

 

3.自動詞+ 下がる、他動詞+下がる

3ー1)自動詞+下がる

成り下がる   

垂れ下がる  

ぶら下がる   ぶらりと下がる  複合動詞ではなく<副詞+動詞>の変形。

 

3ー2)他動詞+下がる

食い下がる  慣用用法
繰り下がる

吊り下がる     自動詞  to hang   xxが吊り下がっている

引き下がる  慣用用法 その、ある<場>から去る、撤退する。

<引き下がる>は<他動詞 引く>+<自動詞 下がる>のようだが、<引く>は<わが身を引く>の<わが身が>が隠れているとみなせる。

 

4ー1)自動詞+下げる

 チェック中

 

4-2)他動詞+下げる

言い下げる  to withdraw, deny what one said.
押し下げる  to push down

繰り下げる

ずり下げる   ずりおろす   to pull down

吊り下げる   to hang、down はいらないようだ。 to hang up は奇妙だが<電話を切る>。

取り下げる  慣用用法 to abandon
払い下げる
引き下げる   to pull down 慣用用法
振り下げる
掘り下げる  to dig down はダメで、to dig deep と言うらしい。慣用用法

見下げる   to look down 主に慣用用法

 

<xx 下がる、下げる>は<xx 落ちる、落とす>という言い方あもある。

自動詞+落ちる



(かけ落ちる)   かけ落ち
くずれ落ちる
転 (ころ) げ落ちる。転がり落ちる
ずれ落ちる
抜け落ちる

 <落ちる>は慣用表現が少なくない。

汚れが落ちる    汚れが洗い落ちる
金が落ちる     金が使われて落ちる
運、ツキが落ちる
落ち度
落ち目 (down、downward)

 

他動詞+落ちる

チェック中

自動詞+落とす

チェック中

他動詞+落とす

言い落とす   言い忘れる
撃ち落とす  撃って落とす 

聞き落とす  聞き逃す
切り落とす  切って落とす
口説 (くど) き落とす      口説いて落とす。<落とす>は説得する、攻略する。
蹴 (け) 落とす   蹴って落とす   慣用表現もある。

叩 (たた) き落とす  叩いて落とす
取り落とす   取りそこなって落とす  実際には<取りそこなって落ちる>か?    <落とす>意思はないだろう。<財布を落とす>も変な言い方だ。

引き落とす   慣用用法  銀行口座から金を引き落とす
吹き落とす   吹いて落とす
振り落とす   振って落とす

見落とす    見逃す。<見逃す>は別の意味の慣用用法がある。これも<落とす>意思はないだろう。 

読み落とす   あまり聞かないが、ある個所を、読み逃す、読み忘れる。 

これも<落とす>意思はないだろう。 <読み飛ばす>は意思がある場合とない場合がありそう。

ーーーーー

一体、<財布を落とす>はおかしな言い方だ。 <落とす>意思はないだろう。

言い落とす  言い忘れる
聞き落とす  聞き逃す
見落とす   見逃す

があるので

思い落とす
考え落とす

があってもよさそうだが、聞かない。

 ーーーーー

さて、上記のチェック中に注目したい。実を言うと最近の複合動詞調査で、これは初めから気になっていたことなのだが、これまで<チェック中>に遭遇しなかった。したがって、この<チェック中>は重要なのだ。

これと言うのは

主動詞が自動詞 + 補助動詞が他動詞

主動詞が他動詞 + 補助動詞が自動詞

の組み合わせの場合のことだ。 組み合わせとしては具合が悪いはずなのだ。だが、これまで代表的な複合動詞チェックした限りでは、けっこうある。

4ー1)自動詞+下げる

 チェック中

 数は多くないが

3ー2)他動詞+下がる

はある。

食い下がる  慣用用法
繰り下がる  <繰り下がる>は<繰り下げる>の自動詞用法と見ていい。

算数で、四捨五入で5以上の場合は五入で<繰り上がる>が 、四捨では<繰り下がらない>。<繰り下げる>は 、例えば、ある行事の予定日を一日から数日遅らす場合に使いそうだ。これの自動詞用法は可能だ。

運動会が一週間繰り下がった。

だが<運動会が一週間繰り上がった。>ほどは使いそうもない。 

運動会が一週間延期された。<運動会が一週間延期した>はダメだろうが、自発感がある。

吊り下がる     自動詞  to hang

<吊るす>は明らかに他動詞だが、<吊る>は他動詞か?

衣服をハンガーに吊る。

はダメ。 衣服をハンガーに吊るす

<首吊り>は<首を吊る> で<吊る>は他動詞だ。だが実際は、

首に縄など輪 (わ) っか状のものを首にかけて体を吊るす。 さらには、意思に関係なく体の自重で<(体が)吊り下がる>ことになる。

引き下がる  慣用用法.。上記参照。(わが身を) 引いて後へ下がる。 

 

他動詞+落ちる

チェック中

振い落ちる  <ふるい>にかけると、小さな、あるいは重いものが下に落ちる。だが<振い落ちる / た>はあまり聞かない。ある種の試験は不適任者を<振い落とす>目的があるが、<俺はふるい落とされた>は聞くが、<俺はふるい落ちた>はあまり聞かない。

 

自動詞+落とす

チェック中

泣き落とす   慣用用法  <落とす>は説得する、攻略する。

<くどき落とす> という言い方があるが、これは<泣き落とす>と違い<他動詞+落とす>。しかも典型的な複合動詞で<説得して攻略する>の意だ。


追記

英語の<動詞+up / down>も検討する予定だったが、上の説明では参考程度に出てくるだけだ。<up / down>は自動詞にも他動詞にも付き、元来副詞で、強調して発音すれば副詞<度合い>が高まる。

to go up, to go down

to come up    これは慣用表現で<(現れ)出て来る>

to slow down     to get slowing down、the car is slowing down  自動詞。 to slow down the speed. 他動詞


sptt

Sunday, December 1, 2024

自動詞は自発的か?

 

日本語文法では、よくわけのわからない<自発の助動詞>と言うのがある。Wiki 日本語版では、<自発(文法)>でのタイトルで、助動詞に限らず、自発動詞、自発補助動詞など、やや詳しい解説がある。

前回ポスト ” 複合動詞<xxなおる>、<xxなおす>の英語表現 "  で

日本語文法では、よくわからない<自発の助動詞>というのがあるが、<並び直る>はある意味では<自発表現>と言える。もっとも、このような自動詞は基本的に自発的だ。

と書いた。

また、以前に日本語の自動詞と他動詞をいろいろな観点からチェックしたことがあるが、特に<自動詞は自発的か?> の観点からチェックしたことはないよう気がするので、チェックしてみることにした。

何度か取り上げているが、英語で

This (product) sells well.

というのがあり、この場合 sells ( to sell )は自動詞。

Taro sells cars.

は他動詞で、 to sell は他動詞用法が多いが、上のような自動詞用法もある。これも何度か取り上げているが

This knife cuts well.

も to cut の自動詞用法。初級文法では出てこない (ような) ので、このような自他兼用動詞の自動詞用法を使いこなせる人は少ないのでないか。純自動詞では

Hanako runs fast.
It works (functions) well.

が例。

さて以上を日本語に直してみる。

1)This (product) sells well.  これ (この製品) はよく売れる。
2)This knife cuts well.     このナイフはよく切れる
3)Hanako runs fast.      花子は早く走る
4)It works (functions) well.  これはよく (うまく、具合よく) 働く。

1)2)は<売れる>、<切れる>は受け身ではない。可能とも自発ともとれるのだが、普通は英語でなじみのある<可能>と見るのではないか?

もう二つ英語の例をあげると

5)to see 他動詞と to look 自動詞

to see は他動詞で直接目的語をとり

I see the sea. 海を見る。
I see a church on the hill.    丘の上の教会を見る。 

to see は直接目的語をとる他動詞にもかかわらず、積極的に<見る>のではなく、自発的な<見る>で、場合によっては

I see the sea. 海が見える。The sea is seen. 
I see a church on the hill.    丘の上の教会が見える。 A church is seen on the hill.

と訳せる。この<見える>は<見る>対応の自動詞で、受け身ではなく自発>と言える。<見る>の受身は<見られる>。

一方、 to look は自動詞で直接目的語は取れず、at の後に目的語をとる。

I look at the sea.  海を見る。
I look at a church on the hill.   丘の上の教会を見る。

これは自動詞表現だが、積極的に<見る>相当。

6)to hear 他動詞と to listen 自動詞

to hear は他動詞で直接目的語をとり

I hear a sound of the bell. ベルの音を聞く。

これは、どちらかと言うと

ベルの音が聞こえる。

<聞こえる>は自発だ。<聞く>の受け身は< 聞かされる>か?

一方、 to listen は自動詞で直接目的語は取れず、to を置いて、その後に目的語を置く。

I listen to the sound of the bell.  そのベルの (その) 音を聞く。

これは自動詞表現だが、積極的に<聞く>相当。 the sound と定冠詞 the を取っているが、普通は積極的に<聞く>となると、すでに分かっている音だ。しかし

I listen to a sound of the bell.   あるいは

I try to listen to some sound(s) of the bell.  

とも言えるだろう。

5)、6)で注目したいのは、直接目的語をとる他動詞 to see、to hear が、 積極的に<見る>、<聞く>ではなく、日本語の<自発>に似ていることだ。言い換えると、まことに奇妙だが、他動詞が自発的なのだ。

もう少し例をあげると

日本語の<取る>は他動詞、対応する自動詞は<取れる>。他動詞<取る>は比較的明確だが、<取れる>は可能、自発がある。

太郎は背は高いので、棚の上のモノが取れる。 可能
シャツのボタンがと取れる。 自発  英語では

The button of the shirt comes off.

と言う。自動詞が使われ、自発的だ。日本語<取られる>、英語 be taken の受身形ではない。

日本語では<こわす、壊す>、<こわれる>があり、自発的に破壊するものは

xxが壊れる、壊れた

と言うが、英語は to break ( 壊す ) 、他動詞性が強く、普通は<xx is broken>と受身形を使う。It breaks (それは壊れる) と言いそうだが、そうは言わない。

一方 to crack は自動詞性が強く

It cracks, it cracked が自然で、it is cracked,  it was cracked は間違いではないようだが、こうは言わない。

以上は前置き。

英語にも自動詞、他動詞があり、さらに自他兼用というのが少なくない。 自動詞の代表は

to go, to come, to walk, to run, to swim, to sleep

自他兼用では

to move, to turn, to spin, to roll, to wind, to stand, to bend

一方、日本語の方は、他動詞と自動詞のペアが多く、区別が明確なので、英語の自他兼用による混乱はない。もっとも混乱するのは日本人だけか?

動く ー 動かす
回る ー 回す        <巻く> は自他兼用か?   風が巻く
立つ - 立てる
座 (すわ) る ー 据 (す) える 、置く

受験英語では

to lie (横になる) ー to lay (横にする、ねかす、置く) 

の区別がよく出てくる。

起きる ー 起こす  to rise ー to raise
曲がる ー 曲げる  to bend は自他兼用。
折れる ー 折る    to break は基本的に他動詞.。
混ざる ー 混ぜる  to mix は自他兼用。
染まる ー 染める   to dye は基本的に他動詞.。
流れる ー 流す   to flow は基本的に自動詞.。
解ける ー 解く   to resolve は自他兼用。to solve は他動詞
溶ける ー 溶かす  to resolve は自他兼用。

まだまだある。さて、上に戻って

3)Hanako runs fast.      花子は早く走る
4)It works (functions) well.  これはよく (うまく、具合よく) 働く。

3)は主語の花子があるので<走る>自動詞だが自発とは見られないだろう。

4)も主語 It があるが、自発ともみえる。可能ではない。

最後の4)に注目して話を進める。

自然現象は、自動詞が多く使われるが、原因があるためか自発とは見られないようだ。

雨が降る。
風が吹く。  
カミナリが鳴る。
太陽が昇る。
月が出る。
川が流れる。川の水が流れる。
雪が解ける。(これは自発が少し感じられるか?)

人や動物の動き、活動も自動詞が使われるが、自発とは見られないようだ。 

花子は早く走る 

アリが動く。魚が泳ぐ。鳥が飛ぶ。

自発が少し感じられる表現では

ゆれる ー ゆらす、ゆする  to swing は自他兼用。

木の枝が風にゆれる。

鳴る - 鳴らす   to ring は自他兼用。The bell rings. 電動ベルの<鳴る>は自発的だ。

風鈴が鳴る。


sptt

 

 

 


Friday, November 29, 2024

複合動詞<xxなおる>、<xxなおす>の英語表現

複合動詞<xxなおる>、<xxなおす> をざっと調べてみたが<xxなおす>が圧倒的に多い。そして<xxなおす>は意味は少しずれるのだが、英語では<xxagain>と訳せるものが少なくない。

日本語では<なおる> は書き言葉では<直る>、<治る>、<なおす>は<直す>、<治す>と書いて区別し、<治る>、<治す>は病気、医療関係に使われるが、耳で聞けば<なおる>、<なおす>で区別はない。とにかく複合動詞としての<xxなおる>、<xxなおす>をチェックしてみる。アイウエオ順。

<xxなおる>

居直る  自動詞  慣用表現
開き直る 自動詞  慣用表現
立ち直る 自動詞  to recover

持ち直る 自動詞  to recover <持ち直す>でもいい。
向き直る 自動詞   ネット辞典では to turn around と出てくるが、180度とは限らないか? <向き直す>でもいい。

追加予定

<xxなおす>

<xxなおす>は汎用性が高く、意味が成せばどんな動詞にでもつく。

洗い直す  to wash again
言い直す  to say again in a correct way, in a better way
行き直す  to go again
教え直す  to teach again
思い直す  to reconsider

買い直す  to buy again
書き直す   to rewrite
考え直す  to think again、to rethink、to change the thought
聞き直す  to listen something again
組み直す  to reconstruct、to reorganize

し直す   to do something again、to make something again
座り直す  to change the sitting position

食べ直す  to eat again
作り直す  to make something again, to remake
立て直す  to rebuild、to reconstruct、to recover
出直す   to go again、場合により to come again、to re-start

並べ直す  to realign、to rearrange
寝直す   to sleep again
飲み直す  to drink again

学び直す  to study again、to learn again
見直す   to see something in a different way、to review
持ち直す  to change the holding position (文字通り) 、to recover(慣用)
やり直す  to do something again、to make something again、to rework
読み直す  to read again (from a different point of view)

追加予定 (いくらでもある)

 1)<直す>自体には to correct <間違いを正す>の意がある。あるいは<あらためて、もう一度xxする>の意がある。したがって、単なる again (再び) ではない。<間違いを正す>で、<間違い>を病気 (一種の身体機能の間違い) とすれば、<病気を正す>、<身体機能の間違いをなくす>で<病気を治す>になる。自動詞用法を使えば、<身体機能の間違いが正される>で<病気が治る>になる。

また<直す>と<治す>の違いだが、上の論議を機械に当てはめると

 間違い ー> 故障、不具合 (機能の間違い) 

となる。

故障を直す、不具合を直す

<直す>が使われるようだが、何か変な感じだ。<治す>も変だ。

2)英語の re-xxxx  の<re>はラテン語系の動詞に現れるが、主に again の意だ。一音節なので経済的。

3)<xxなおる>が<xxなおす>に比べて極端に少ない理由。

 <xxなおる>は、上の例では<自動詞+自動詞>構成で、複合動詞としても自動詞になる。

立ち直る 自動詞  (自動詞+自動詞)

<立ち直す>はなく、<立て直す><他動詞+他動詞>になる。<立て直る>もない。 

持ち直る 自動詞  (自動詞+自動詞) 

<xxが持ち直る>でも、 <xxが持ち直す>が使われる。自動詞。<xxを持ち直す>他動詞。

詳しい理由、経緯がよくわからないが、ちょっと調べた限りでは、これは他の動詞にもあてはまり、<xxなおる>が<xxなおす>に比べて極端に少ない表面上の理由だ。

向き直る 自動詞  (自動詞+自動詞) 

太郎は向き直った。


太郎は向き直した。

は同じような意味で、 単独の<向き直す>は他動詞っぽいが、<太郎は向き直した>は自動詞っぽい。

よくわからない、曖昧なので、もう少し調べてみた。

止まった時計が動き始めた、動き出した。 自動詞+自動詞

が普通の言い方だが、<xxなおる>、<xxなおす>にこだわれば

止まった時計が動き直った。 自動詞+自動詞

とはなんとか言えそう。さらに

止まった時計が動き直した。自動詞+他動詞

とも言え、しいていえば<止まった時計が動き直した>を使いそう。この場合<動き直す>は<自動詞+他動詞>構成だが、複合動詞として明らかに自動詞だ。

生き返った。 自動詞+自動詞

が普通の言い方だが、言い換えると

生き直った。
生き直した。 

で、どちらかと言えば<生き直した>を使いそう。

上の<xxなおす>の例では

座り直す  自動詞+他動詞

<座り直る>は純自動詞的だが、ほとんど使われず普通は<座り直す>が使われる。

細かいことを言えば

座る = to sit で日本語も英語も自動詞。しかしながら to sit は to set oneself と他動詞を使った表現も可能だ。あるいはこういう他動詞表現が脳裏にある。

並べ直す  自動的に、放っておいても<並び直る>場合があるのだが、ほとんど聞かない。 

日本語文法では、よくわからない<自発の助動詞>というのがあるが、<並び直る>はある意味では<自発表現>と言える。もっとも、このような自動詞は基本的に自発的だ。

もう少し例文を作ってみた。

船は一度は沈んだが、浮かび直ってきた。 <浮かび直してきた>でもいい。普通は<浮かび上がってきた>。

二人は一旦は離れるが、近づき直ってくるだろう。普通は<近づき直してくるだろう>か。

今は失業中だが、間もなく働き直る。普通は<働き直す>。

その機械はしばらく止まっていたが、今動き直った。普通は<今動き直した>。もっと普通は<今動き始めた>。

成績が / は一旦は下がったが、最近上がり直ってきた。 普通は<上がり直してきた>。


つまりは、元来<xx直る>が<xx直す>で置き換えらているものが少なくないようだ。

 

sptt

 

Thursday, November 28, 2024

複合動詞<xx離れる>、<xx離す>と英語の<xx off>

前回のポスト " 日本語の複合動詞と英語の<動詞+副詞>、複合動詞<xx 去る>、<xx away> " で

<なくす、見えなくする>は away、off が使われるか?away は遠くに離れて行ってみえなくなる感じ。off の方は近視眼的に<切り離れる>、<切り離す>の感じだ。おそらく<xx離れる>、<xx離す>で多く出てくるだろう。この off が (を) 使いこなせるようになれば英語は一人前と言える。

と書いたが、忘れないうちに<xx離れる>、<xx離す>と<xx off>の関係を調べてみる。 <xx離れる>、<xx離す>以外では<外 (はず) れる>、<xx 外す>が関連ありそう。ざっと調べてみたが、これは予想外に少ない。

1.<xx離れる>、<xx離す>

 <xx離れる>

かけ離れる  to go far (away)

<xx離す>

切り離す  to cut off
突き離す(突き放す)  to push away
引き離す  to pull off、to pull apart
見離す(見放す)  to abandon

<外 (はず) れる>、<xx 外す>

<xx 外れる>、

取り外れる  to be removed、 to come off  <(シャツのボタン)がとれる>

<xx外す>

取り外す  to remove
振り外す  to shake off

(追加予定)

 <予想外に少ない>理由は、これらは主に普通、複合動詞の形ではなく、

xxして(すると)離れる  押して (押すと) 離れる 
xxして離す   押して離す、引いて離す、叩いて離す(叩き離す)

xxして(すると)外れる  押して (押すと) 離れる 
xxして外す  押して外す、引いて外す、叩いて外す(叩き外す)

のような言い方になるからだ。なぜだかよくわからない。

これに反して、おもしろいのは off (オフ) がそのまま日本語で使われるケースが少なくない。

オフリミット  off limit
オフレコ  off record(ding)
シーズンオフ  season off   オフシーズン と言うのもある。
スピンオフ  spin off
プレイオフ  play off  スポーツ用語
リードオフマン  lead off man  野球用語
<サヨナラ試合>は walk off (立ち去る) game と言うと言う   野球用語

 使用頻度は高くないが

オフバランス  バランスシート外
トレイドオフ  あちらが立てばこちらが立たずの関係

と言うのがある。

 

sptt


 


Tuesday, November 26, 2024

日本語の複合動詞と英語の<動詞+副詞>、複合動詞<xx 去る>、<xx away>

 

最近シリーズ的に日本語の複合動詞をチェックしてきたが、日本語の複合動詞はきわめて豊富。おそらく相当長い時間をかけてもチェックし切れないだろう。<し切れない>も複合動詞<し切る>を使った言い方だ。日本人であれば、無意識に数多くの複合動詞をほぼ間違いなく使いこなして言語生活をしてる。(使いこなす>も複合動詞)。これまでチェックしたものを、タイトルを使って並べてみると、古い順に

複合動詞<xx 去る>、<xx away>
複合動詞 <xx 払う、はらう>
<出る、出す>と<入る、入 (はい) る、入れる>の複合動詞
<込む>、<込める>の複合動詞
<xxつまる>、<xxつめる>の複合動詞
<はてる、果てる>、<はたす、果たす>の複合動詞
複合動詞<xxかえる>
複合動詞<xxきる>
複合動詞<xx尽きる>、<xx尽くす>
飽きる、飽かす(明かす)

まだまだありそうだが、主要なものは上に含まれている。上のポストでも時々言及しているが、日本語の複合動詞と英語の<動詞+副詞>は対比できるものが少なくない。上のポストでは日本語の複合動詞探しにかなりの時間を使ったので、特に英語の<動詞+副詞>との対比に時間をかけていない。今回以降は英語との対比に重点を移して、再検討することにした。

最初の

複合動詞<xx 去る>、xx away> 

はタイトルにこの対比がある。ネット日英辞典に頼ることになるが、コピー / ペイストではない。

 <自動詞+去る>

崩 (くず) れ去る
過ぎ去る
立ち去る
飛び去る
流れ去る
逃げ去る
走り去る

<崩 (くず) れ去る>は例外で、<崩れて、そして去る>ではなく跡形もなく、すっかり崩れる>といった意味だ。

<立ち去る>は何かおかしい感じがする。調べてみたが<(居座っていた人が立って去る>の意のようだ。その他は 

過ぎ去る  通り過ぎて去る  to pass だと<過ぎる>になるが、to pass away だと通常別の意味になる。  過ぎ去ると見えなくなる。(以下同じ)
飛び去る  飛んで去る、飛びながら去る to fly away
流れ去る  流れながら去る to flow away
逃げ去る  逃げて去る to flee away
走り去る  走って去る、走りながら去る to run away

で<xx away>が対応する。

 <xx away>と書いているが、他動詞なので、実際は<toxx(動詞) something away>となり、自動詞と違って、away は副詞色が濃くなる。

 <他動詞+去る>

洗い去る  洗い流してなくす
奪い去る  奪って去る。強盗。ひったくり。  
置き去る  置いてさる。<置き去 (ざ)り>という慣用句がある。
切り去る  切り取ってなくす。
消し去る  消してなくす。都合の悪い箇所を消し去る、すべて消し去る。
取り去る  取りのぞく。取り除いてなくす。不純物を取り去る。
流し去る  流してなくす。溝にたまった泥を流しさる。
抜き去る  xx(誰だれ)を抜いて行く、去る。
脱ぎ去る  脱いでなくす。古い習慣を脱ぎ去る(脱ぎ捨てる)。
拭 (ぬぐ) い去る  拭ってなくす。
運び去る  モノを運んで去る。元の場所にはモノはなくなる。
拭 (ふ) き去る  拭いてなくす。
吹き去る  吹き飛ばし去る。吹き飛ばしてなくす。
葬 (ほうむ) り去る  葬 (ほうむ) ってなくす。必ずしも殺人 (殺して見えなくする) とは限らない。<見えなくする>の強調ともいえる。
持ち去る  モノを持って去る。元の場所にはモノはなくなる。
破り去る   破ってなくす。十分に破いて、元の形がなくなる。届いた不合格通知を破り去った。
忘れ去る  忘れて、記憶からなくす。

 <他動詞+去る>の方は

1)xx(を)して去る、<去る、to go away>の意味。


2)xx(を)xxして<すっかり>なくす、見えなくする。

があるようだ。<すっかり>は副詞で、英語では thoroughly, completely というのがある。<なくす、見えなくする>は away、off が使われるか?

<人が去る、to go away>の意味があるのは

奪い去る  奪って去る

to rob away は見つからなかったが、to steal away はある。

受験生泣かせだが to rob は

to rob someone of something のように使う。また、to rob は強盗、to steal は泥棒、空き巣がする。

置き去る  xxを置いて去る 英語は leave it で<置き去る>の意があるようで、to leave it away とは言わない。

<置き去る>は<意図的に置いて去る>と<置き忘れて去る>の場合があるが、後者の場合は<去る>のない<置き忘れる>でいいようだ。英語の to leave it の場合は<置き忘れる>も意味するか?英語の <to leave>はやっかいな動詞で以前に ” 英語の to leave は多義語”  というポストを書いたことがある。

<置き去 (ざ)り>もおもしろい言葉だ。普通は<置き去りにする>、<置き去 りにされる>で使う。

抜き去る  <AがBを追い抜いて去る>で他動詞だが自動詞のような感じだ。<away>の意味がある。to pass away は<死ぬ、亡くなる>なので、注意。

to pass で<抜いて行く>の意がありそう。マラソン中継の英語解説で何度も出てくるだろう。ネット辞典では

to pass: 通る,通り抜ける,通り過ぎる,追い越す,抜き去る.

というのがある。

<抜き去る>には<抜き取り去る>の意味もあり、この場合は to pull out。

運び去る  運んで去る

持ち去る  他人の物を<持ち去る>が多いようで、<盗み去る(盗んで去る)>のような感じだ。<持ち去る>は英語のマクドナルドや KFC の<take away>相当だが、日本語では<お持ち帰り>になっている。<持ち去り>では客が泥棒のようになる。<お持ち帰り>は定着しているが、私が住む香港ではいろいろある、というかいろいろあった。ひと昔前は<take away>の訳語と思われる<レン走, ling1 zau2 (拎走)>、一時<行街 haang4 gaai1>というのを聞いたが、最近は<外売、ngoi6 maai6 (外賣)>が定着しているようだ。北京語は<外売>のようだ。

<持ち去る>の<去る>も<away>の意が残っている。

これらの動詞には大体<去る、離れて行く、away>の意味はあるが、どうもそれだけではないようだ。<離れて行く、away>以外にどんな意味があるかというと、それは<すっかり、ない>、<跡形もなく、ない>、<徹底的に>といった副詞的な意味で、一種の強調。

跡形もなく消し去った
跡形もなく壊 (こわ) し去って行った
すっかり忘れ去った

<なくす、見えなくする>は away、off が使われるか?away は遠くに離れて行ってみえなくなる感じ。off の方は近視眼的に<切り離れる>、<切り離す>の感じだ。おそらく<xx離れる>、<xx離す>で多く出てくるだろう。この off が (を) 使いこなせるようになれば英語は一人前と言える。

洗い去る  to wash away

切り去る  to cut away

消し去る  to erase で十分のようだが、to erase away、to erase off でもよさそう。<xxから、from xx>とした方が明確だ。

取り去る to take something away

取り除く to remove

to take off は

1.(of an aircraft or bird) become airborne. 

"the plane took off from the runway"

自動詞で、(飛行機などが)離陸する。

2.to remove clothing from one's own or a body of someone else

"she took off her cardigan."

他動詞で、(衣服を) 脱ぐ。

流し去る  to wash away   <洗い去る>と同じ。to flow away は自動詞で<流れ去る>

脱ぎ去る   上記の to take off 参照。

拭 (ぬぐ) い去る、拭 (ふ) き去る  to wipe away でいいだろう。to wipe out はもっと力ずくで、強力。

運び去る  to carry away

吹き去る  吹いて取り除く,吹き飛ばし去る to blow off。  

 

<xx去る>にはなかなかいい言葉がある。上でとりあげた<忘れ去る>以外では

消し去る  消し去ることのできない罪悪感
過ぎ去る  楽しい時間は過ぎ去った。
拭い去る  この汚名はきっと拭い去る。

忘れ去る  頭の中にあるモノが<to go away, gone away>。 だが<忘れ去る>は<すっかり忘れる>の意味も含んでいる。 


sptt

日本語の複合動詞と英語の<動詞+副詞>、複合動詞 <xxこなす>

 

最近シリーズ的に日本語の複合動詞をチェックしてきたが、日本語の複合動詞はきわめて豊富。おそらく相当長い時間をかけてもチェックし切れないだろう。<し切れない>も複合動詞<し切る>を使った言い方だ。日本人であれば、無意識に数多くの複合動詞をほぼ間違いなく使いこなして言語生活をしてる。(使いこなす>も複合動詞)。これまでチェックしたものを、タイトルを使って並べてみると、古い順に

複合動詞<XX 去る>、<XX away>
複合動詞 <XX 払う、はらう>
<出る、出す>と<入る、入 (はい) る、入れる>の複合動詞
<込む>、<込める>の複合動詞
<xxつまる>、<xxつめる>の複合動詞
<はてる、果てる>、<はたす、果たす>の複合動詞
複合動詞<xxかえる>
複合動詞<xxきる>
複合動詞<xx尽きる>、<xx尽くす>
飽きる、飽かす(明かす)

まだまだありそうだが、主要なものは上に含まれている。上のポストでも時々言及しているが、日本語の複合動詞と英語の<動詞+副詞>は対比できるものが少なくない。上のポストでは日本語の複合動詞探しにかなりの時間を使ったので、特に英語の<動詞+副詞>との対比に時間をかけていない。今回以降は英語との対比に重点を移して、再検討することにした。

ちなみに、上の<使いこなして>ー><使いこなす>、<xxこなす>を例にとると、

<xxこなす>は汎用性があり、<こなす>の三音節、一語で<訓練して上手くできる、できるようにようになること>を表しており、英語でいえば

to do something skillfully
to manage to do something skillfully

副詞 skillfully が肝要だが、<ある程度の時間をかけて訓練して(by practice for a certain time)>も必要だ。

汎用性があると言っても上のような条件のもとに使える。

私の息子は自転車が乗りこなせるようになった。
私の娘は着こなしがうまい。
この道具が使いこなせるようになるには時間がかかる。

汎用性を示せば

練習してカヌーが (を) 乗りこなせるようになった。
たくさん練習していろいろな歌が (を) 歌いこなせるようになった。

 

sptt

 

<勉強は飽きる>は正しい日本語か?

 

前回のポスト<飽きる、飽かす(明かす)>の初めの方で


調べてみると

(to) bore

という他動詞があり、<飽きさす>という意味、したがって

Math bores me.

数学は私を飽かす。

古語調、超翻訳調だが、なんとかなる。

数学は私を飽きさせる。

なら少しいい。

動詞 bore の形容詞は boring で、これはよく聞く。

Math is boring.

が普通のいい方。これを日本語にすると

数学は飽き飽きする。
数学は飽きる。

と書いた。特に気をつけて書いたわけではないが、後から<数学は飽きる> がかなり特殊な言い方であることに気がついた。

数学は飽き飽きする。
数学はうんざりする。 

の方が<数学は飽きる>より普通のようだが、上の二つは

数学は飽き飽きする。
数学はうんざりする。 (<うんざり>の語源は諸説ある)

の方がもっと普通ではないか。一方

数学には飽きる。

はやや変だ。

数学は飽き飽きする。
数学はうんざりする。 

は一般叙述で、実際の発話場面は個人的な嘆きのようで

私は数学には飽き飽きする。
私は数学にはうんざりする。 

がフル文のようだ。<私は>は多くは省略される。

文脈としては

私は、数学に、飽き飽きする。
私は、数学に、うんざりする。

<飽き飽きする>、<うんざりする>のは<私>だ。

<に>がない

私は数学は飽き飽きする。
私は数学はうんざりする。

とはまず言わない。  それでは<私は>にない

数学は飽き飽きする。
数学はうんざりする。 

の場合<飽き飽きする>、<うんざりする> は何か?

一見、形容詞のようで

数学はおもしろくない。
数学はつままらない。

相当だが、<する>があるので動詞だ。 

数学が飽き飽きする。
数学がうんざりする。 

とは言わないが、<を>を取らない、取れないので、<飽き飽きする>、<うんざりする>は自動詞だ。このような自動詞の使い方は、英語にもある.。

These apples sell well.  これらの(ここにある)リンゴはよく売れる。
This car runs well.  この車はよく走る。

数学は飽き飽きする。

の場合、英語では、初めに書いたように、普通

Math is boring.

で、動詞 to bore 由来の形容詞 boring が使われる。動詞由来、かつ動名詞形なので<飽きさせる>の意が残っているが、形容詞扱いだ。

さて<数学は飽きる>だが、<数学は飽きる>は一般叙述。人をからませると

私は数学に飽きる。

私は数学は飽きる。

とはいわない。

私は、数学に、飽き飽きする。
私は、数学に、うんざりする。

と同じだ。違いは<飽き飽き+する>、<うんざり+する>と複合動詞的なの対して<飽きる>は単独動詞であることだ。

数学は飽き飽きだ。
数学はうんざりだ。  

ともいえるが、これも<飽き飽き+だ>、<うんざり+だ>と複合動詞的だ。

もっとも、<だ>のない

数学は飽き飽き。
数学はうんざり。

ともいえ、この場合は<動詞性>がなくなる。これからしても<飽きる>は特殊だ。

 数学は飽き。

とは言えない。あくまで<動詞>として使われる。 <飽きる>の仲間は、少し調べた限りでは、きわめて少ない。

数学は飽きる。
太郎は数学に飽きる。

もっと一般的に

勉強は飽きる。
太郎は勉強に飽きる。

<飽きる>以外をさがしてみたが

仕事は疲れる。
花子は仕事に疲れる。

の<疲れる>しか見つからない。<くたびれる>もほぼ同じ。

(継続チェック予定)

<困る>が候補。 同じような意味で<弱 (よわ) る>がある。

次郎は金に困る。 

と言えるが

金は困る。

変だ。

次郎は金がないのに困る。
金がないのは困る。

はいいが、<金がないのは困る>は

勉強は飽きる。

と文構造が違う。

いじめは困る。
次郎はいじめに困る。

はよさそう。

ニュアンスが弱いが

酒は溺 (おぼ) れる。 (アル中)
三郎は酒に溺(おぼ) れる。

<飽きる>、<疲れる>、<困る>、<溺れる>はみな独立自動詞。なぜか否定的、悲観的な意味が濃い。


sptt


 

 

 


 

 

 

 

 

 

Monday, November 25, 2024

飽きる、飽かす(明かす)

このところ(最近のポストで)複合動詞について、多くは再チェックして書いているが、意外とおもしろい。前回では<xx尽きる>、<xx尽くす>をチェックしたが、次から次と疑問が出てきて、はっきりした結輪がでないまま尽きた

 <xx尽きる>、<xx尽くす>のチェック中に出てきたのだが、同じような複合動詞に<xx飽きる>、<xx飽かす>がある。<xx飽かす>の方は、自動翻訳では往々にして<明かす>が出てくる。<xx飽きる>、<xx飽かす>はこれまた、おもしろい複合動詞のようなので、忘れないうちに、少し詳しく検討することにした。

ーーーーー

 簡易ネット翻訳で<飽きる>をインプットすると

 ( to) get bored

と出てくる。 <飽かす>は

(to) satiate

とあまり見慣れない語がでてくる。get bored の bored は to bear の受身形のようだが

(to) bear

に<飽きさす>の意味がない。 bear - bore - born と受験生泣かせの変な活用をする。

She bore two children.

I was born in the year of xxxx.

調べてみると

(to) bore

という他動詞があり、<飽きさす>という意味、したがって

Math bores me.

数学は私を飽かす。

古語調、超翻訳調だが、なんとかなる。

数学は私を飽きさせる。

なら少しいい。

動詞 bore の形容詞は boring で、これはよく聞く。

Math is boring.

が普通のいい方。これを日本語にすると

数学は飽き飽きする。
数学は飽きる。

だが、これは実際には基本的に間違いで

High IQ の生徒ならいいが、普通または普通以下のIQ生徒では、わかりすぎて、簡単すぎて<飽きる>のではない。語源は調べていないが<うんざりする>なら <わかりにくくて嫌になる>の意にもなる。

Math is boring. も<わかりすぎて、簡単すぎて飽きる>の意にも<わかりにくくて嫌になる>の意もあうだろう。

やや詳しいネット辞典でチェックしてみると

飽きる


デジタル大辞泉 「飽きる」の意味・読み・例文

あ・きる【飽きる/×厭きる/×倦きる】

[動カ上一]《動詞「あ(飽)く」(四段)の上一段化。近世後期、江戸で使われはじめた語》
多すぎたり、同じことが長く続いたりして、いやになる。「勉強に―・きた」「彼の長話に―・きた」
十分に味わったり経験したりして、それ以上欲しくなくなる。「牛肉を―・きるほど食べたい」
動詞の連用形に付いて、いやになるほど十分に…するの意を表す。「見―・きる」「聞き―・きる」→飽く

三番目がこれから検討する複合動詞用法。

<いやになるほど十分に…する>は

十分に…していやになる

でもいいだろう。<いやになる>がキーワードだろう。

ところで、 

数学は飽きる。

は文法的におもしろい表現で、この<飽きる>は動詞か?はたまた形容詞?上のネット辞典では形容詞としての解説はでてこない。横道にそれるので、別途検討としておく。


飽かす

 ”

デジタル大辞泉 「飽かす」の意味・読み・例文・類語

あか・す【飽かす】

[動サ五(四)]

 多く「…にあかして」の形で)ありあまっているものを十分に使う。ふんだんに使う。「金と暇に―・して収集する」
飽きさせる。「聴衆を―・さない話

 ”

でやや特殊。 複合動詞用法の説明がない。むしろ複合動詞用法は主ではないか。一方<飽かす>関連で<明かす>もネット辞典でざっとチェックしてみたが、複合動詞用法の説明は見つからなかった。

ということでチェックしてみる。 例によってアイウエオ順に並べてみる。

愛し飽きる  愛し飽かす  愛し明かす
遊び飽 (あ) きる  遊び飽かす  遊び明かす
歩き飽きる  (歩き飽かす)
言い飽きる  (言い飽かす)
行き飽きる  (行き飽かす)
生き飽きる  (生き飽かす)
いじめ飽きる  いじめ飽かす
いつわり飽きる  いつわり飽かす
歌い飽きる  (歌い飽かす) 歌い明かす
おどし飽きる  おどし飽かす

(悲しみ飽きる)  悲しみ飽かす 悲しみ明かす
書き飽きる  (書き飽かす)
考え飽きる  (考え飽かす} 考え明かす
聞き飽きる  (聞き飽かす)
恋いし飽きる  恋いし飽かす 

し飽きる   し飽かす  し明かす
xxし飽きる  xxし飽かす  xxし明かす
(例:愛し飽きる  愛し飽かす  愛し明かす)
知り飽きる   知り飽かす  知り明かす

楽しみ飽きる  楽しみ飽かす  楽しみ明かす
食べ飽きる  食べ飽かす  (食べ明かす)

立ち飽きる (立ち飽かす) 立ち明かす
取り飽きる  取り飽かす  取り明かす

泣き飽きる  (泣き飽かす)  泣き明かす
嘆き飽きる  (嘆き飽かす)  嘆き明かす

飲み飽きる  飲み飽かす  飲み明かす
眠り飽きる  眠り飽かす  (眠り明かす)

走り飽きる  (走り飽かす)
働き飽きる  (働き飽かす)
話し飽きる  (話し飽かす)
(笛を) 吹き飽きる  吹き飽かす  吹き明かす
(ほらを) 吹き飽きる  吹き飽かす  吹き明かす

学び飽きる (学び飽かす)
見飽きる  (見飽かす) 見明かす

やり飽きる  やり飽かす  やり明かす
読み飽きる  読み飽かす  読み明かす
( 喜び飽きる) 喜び飽かす   喜び明かす

笑い飽きる  笑い飽かす  笑い明かす

 (追加予定)

(かっこ)内のものはややおかしい程度、(かっこ)がないものでも<ややおかしい>ものがある。個人差があろう。もう少しチェックしてみる。

<xx飽きる>、<xx飽かす>は<xx尽きる>、<xx尽くす>に似たところがあるが、 <飽きる>、<飽かす>は人の心理状態なので、基本的には人に関連し、モノやコトに関連した表現が見つからない。

基本的には上のネット辞典の定義を使うと< xx飽きる>は<いやになるほど十分にxxする>、(十分にxxしていやになる)。

一方<xx飽かす>は<いやになる>の意は薄く、<十分に、十二分にxxする>の意のようだ。個々に調べてみる。組み合わせとしては

1)自動詞+飽きる
2)自動詞+飽かす
3)他動詞+飽きる
4)他動詞+飽かす

の四つがある。

1)、2)自動詞+飽きる、自動詞+飽かす

遊び飽 (あ) きる  遊び飽かす  遊び明かす

遊び飽 (あ) きる

いやになるほど十分、十二分に遊ぶ。<遊び飽きる>は<自動詞+自動詞>で<遊び飽きる>も自動詞。

遊び飽かす

これも<いやになるほど十分、十二分に遊ぶ> になる。したがって、<飽かす>は<飽きさせる>で使役のようになるが他動詞とすると<遊び飽かす>は<自動詞+他動詞>で、意味としては自動詞になる。ところが、< 遊び飽 きる>と<遊び飽かす>の違いがある。

< 遊び飽 きる>と<遊び飽かす>の違い

遊び飽きる ー  いやになるほど十分、十二分に無意思、無意図的に遊ぶ

したがって、<遊び飽きた>は気がついてみたら、いやになるほど十分、十二分に遊んでいた。

遊び飽かす ー  いやになるほど十分、十二分に、意思、意図的に遊ぶ 。

 したがって、<遊び飽かした>は意思、意図的にいやになるほど十分、十二分に遊んだ。

とでもなる。 問題は<いやになる>で、<いやになる>は大体無意思、無意図にそうなる。したがって、<いやになるほど十分、十二分に、意思、意図的に遊ぶ>はおかしなことだ。

ややこしくなってきたので次。

遊び明かす

は<明かす>と書くと字は違うが<いやになるほど十分、十二分に遊ぶ>で<遊び飽きる><遊び飽かす>とほぼ同様の意味。

<遊びあかす>と書けば、この問題はなくなる。

 一方<明かす>は使役のような他動詞だが、<明ける>は自動詞。日が明ける。ややこしくなるが<開ける>、<空ける>は純他動詞。<遊び開ける>、<遊び空ける>はダメ。そうすると<遊び明かす>は変な言い方、書き方になるが、これは後で

<飽かす>と<明かす>の違い

として検討することにして次に進む。

歩き飽きる  (歩き飽かす)

歩き飽きる

いやになるほど十分に歩く。 

<歩き飽かす>とは言わないだろう。他人を<歩き飽きる>ようにするのは使役で<歩き飽かす>、<歩き飽きさす>となる。だが、自分自身を<歩き飽きる>ようにできないわけではないが、意思、意図的になる。

 自分自身を<歩き飽かす>、<歩き飽きさす>

となるが、まずこうは言わない。 ところが不思議なことに<歩き飽かす>は<いやになるほど>がない<十分、十二分歩く>の意味になる。

太郎は10キロの道を歩き飽した。

だが、これは

太郎は10キロの道を歩き明かした

で<飽きる>が関与しない表現と言える。耳で聞けば

太郎は10キロの道を歩きあかした

 になる。意味としては <歩ききった>。

行き飽きる  (行き飽かす)

上の<歩き飽きる、(歩き飽かす)>準じるだろう。したがって

行き飽きる  (行き飽かす)  行き明かす

物理的に<どこどこに行く>の場合はこれでよさそうだが、

学校に行き飽きる

だと話は違ってくるだろう。検討省略。


生き飽きる  (生き飽かす)

生き飽きる

いやになるほど十分に、十二分に生きる。 

でよさそうだが、 <生き飽きて自殺した>となると物騒だ。ここでは<いやになる>が肝心だ。ということは<十分に、十二分に>でなくても<飽きる、いやになる>ことがあるのだ。上の

遊び飽きる
歩き飽きる
行き飽きる
学校に行き飽きる

ということは、冒頭のネット辞典の解説


いやになるほど十分に…するの意を表す


に疑問がでてくる。

途中で遊び飽きて、遊ぶのをやめた
途中で歩き飽きて、歩くのをやめた
途中で行き飽きて、行くのををやめた

次に進む。

(悲しみ飽きる) 悲しみ飽かす 悲しみ明かす

<いやになるほど十分に悲しむ>ことはないだろう。

 悲しみ飽かす

は自動詞。したがって<悲しみ飽きる>と同じになるが、<いやになるほど十分に悲しむ>ことはなく、意味としては <悲しみ尽くす>に似ている。<いやになるほど>がない

十分、十二分に悲しむ

悲しみ明かす(あかす)

でもいいだろう。

楽しみ飽きる  楽しみ飽かす  楽しみ明かす

楽しみ飽きる

<いやになるほど十分に、十二分楽しむ>は可能。楽しいことでも、長く続けていると<いやになる>ことはある。

 楽しみ飽かす

< 楽しみ飽きる>と同じようだが、<いやになる>度合いは低い、またはない。したがって

十分に、十二分楽しむ

 楽しみ明かす(あかす)

もそのような意味だ。

立ち飽きる (立ち飽かす) 立ち明かす

立ち飽きる

<いやになるほど十分に、十二分に立つ>は可能。小学校の廊下で<立ち飽きる>経験をした人がいよう。<立たされる>のだが<立たされ飽きる>とは言わない。

立ち飽かす

これも<いやになるほど十分に、十二分に立つ>の意は可能。<いやになるほど>のない<十分に、十二分に立つ>も可能だが<長時間、最後まで>という修飾と相性がいい。

立ち明かす (あかす) も同じような意味だ。

泣き飽きる  (泣き飽かす)  泣き明かす

<いやになるほど十分に、十二分に泣く>は可能だろ。

 泣き飽かす

は<いやになるほど>の感じが薄い。 <十分に、十二分に泣く>。泣き尽くす。

 泣き明かす (あかす) も同じような意味だ。

眠り飽きる  眠り飽かす  (眠り明かす)

眠り飽きる

<眠る>は 無意識行為なので、<いやになるほど飽きる>の意識は生じないだろう。だが

もう眠り飽きたから、起きる。

とは言いそう。この場合、眠りから覚めてからの発話なので

十分、十二分寝た。

の諧謔的な言い方と見ることもできる。後から出てくるが<飽きる>にはこの諧謔的な言い方がある。すこし前に<あきれかえる>という言い方を何度か取り上げたが、<あきれる>は<飽きる>と関係がありそう。

走り飽きる  (走り飽かす)

走り飽きる

いやになるほど十分、十二分に走る。

走り飽かす

あるいは< 走りあかす>と言うのはまれだろう。<いやになるほど>がない

十分、十二分に走る。最後まで走る。走り終える。<走り切る>ほどではないようだ。

走り明かす

は何か変だ。

働き飽きる  (働き飽かす)

働き飽きる

いやになるほど十分、十二分に働く。だが、いやになることがなくても<働き飽きる>ことは普通だ。

いやではないが、もう働き飽きたので、少し休む。
いやではないが、もう働き飽きたので、会社を辞める。

働き飽かす

はまれだ。<いやになること>も関係ない。(最後まで)十分、十二分に働く。

働き明かす

もまれだ。
 

話し飽きる  (話し飽かす)

いやになるほど十分、十二分に話す。もう話し飽きた。

話し飽かす

これもまれ。十分、十二分に話す。<話し切る>ほどではないようだ。

話し明かす (あかす)

も同様。 十分、十二分に話す。

だが、<話して明らかにする>、<秘密を話す>の意もあるか。 

この失敗は、話し明かせば、太郎がやったことだ。

( 喜び飽きる) 喜び飽かす   喜び明かす

喜び飽きる

いやになるほど十分、十二分に喜ぶ。

でよさそうだが、<喜び飽きた>とはあまり言わない。

<いやになる>と<喜ぶ>は相性が悪いからか?

 喜び飽かす

 十分、十二分に喜ぶ。<いやになる>と<喜ぶ>は相性が悪いのだが

 いやになるほど十分、十二分に喜ぶ、でもよさそう。

諧謔というよりは一種の強調。 

喜び明かす (あかす)

十分、十二分に喜ぶ。字面からは<いやになるほど>がない。

笑い飽きる  笑い飽かす  笑い明かす

笑い飽きる

いやになるほど十分、十二分に笑う

も少し変だ。 <いやになる>と<笑う>も相性が悪そう。したがって<いやになるほど>のない

十分、十二分に笑う

だが<もう笑い飽きた>とは 言いそう。これも一種の強調だが、諧謔の意味を持たせることができそう。

笑い飽かす

十分、十二分に笑う。最後まで笑い尽くす。<笑い飽かす>は意思的、意図的で、意思、意図が薄い<最後まで笑い尽きる>は変だ。


3)4)他動詞+飽きる、他動詞+飽かす

愛し飽きる  愛し飽かす  愛し明かす

<愛す>、<愛する>は漢語の<愛>+<す>、<する>で純大和言葉の<動詞+動詞>ではないが、取り上げてみることにした。

愛し飽きる

いやになるほど十分、十二分に愛する

の意にならない。< いやになる>と<愛する>は相性が悪い。

もう愛し飽きた

とすると<飽きて、愛さなくなった>とゆゆしきことになる。 これは<3)他動詞+飽きる>の特徴か?

愛し飽かす

十分、十二分に愛する

<いやになるほど>を強調とすると

 いやになるほど十分、十二分に愛する

でもいい。 

愛し飽かした

も<飽きて、愛さなくなった>の意にはならない。これも<3)他動詞+飽きる>の特徴か?

愛し明かす (あかす)

十分、十二分に愛する。徹底的に愛する。愛しきる>。場合によっては<最後まで愛し続ける>。

言い飽きる  (言い飽かす)

言い飽きる

もうこの忠告は言い飽きた。

 もうこの忠告は、いやになるほど十分、十二分に言った。

<小言を言う>では、<言う>は <を>をとるので他動詞。上の<もうこの忠告は言い飽きた>は<を>がないので自動詞か? これは別のポストで検討したが、<言う>は

xxxxと言う、xxxxと言った

という言いが多い。これも<を>がないので自動詞か?

 言い飽かす

もうこの忠告は言い飽かした。

とは言わない。

いじめ飽きる  いじめ飽かす

いやになるほど十分、十二分にいじめる。

もういじめ飽きたから、いじめるのはやめる。

これはいいことだ。だが<飽きる前にやめる>方がもっといい。言い換えると<いじめ>、<いじめる>はいやになるほどやらないとやめないようだ。<いじめる>は意思的、意図的行為だが、<飽きる>は無意思的、無意図的、自律t的な心理作用だ。はたまた言い換えると、意思的、意図的に<飽きる>ことはないのだ。

いじめ飽かす

<飽かす>の意味を生かすとと<飽きるまで、いやになるほど十分、十二分にいじめる>でゆゆしいことだ。

いじめ明かす(あかす)

は、字面からは、<飽かす>の意味はないが<いやになるほど十分、十二分にいじめる>、さらには<いじめきる>。<夜が明ける>まで言及すると

明けても暮れてもいじめ尽くす

とまさにゆゆしき意になるか。

いつわり飽きる  いつわり飽かす

いつわり飽きる

いやになるほど十分、十二分にいつわる。

もうつわり飽きたから、いつわりるのはやめる。

はいいことだが、<飽きない>とゆゆしきことになる。

いつわり飽かす

これも<飽かす>の意味を生かすと<飽きるまで、いやになるほど十分、十二分にいつわる、いつわり続ける>でゆゆしぃことだ。さらにゆゆしいのは<飽きるまで>で<飽きないと、いつまでもいつわり続ける>ことになる。これは<いじめ飽かす>も同じだ。

いつわり飽きる  いつわり飽かす

は実際あまり使いそうにない。もっと一般的なのは

うそをつき飽きる  うそをつき飽かす

試してみると、ほぼ<いつわり飽きる、いつわり飽かす>と同じだ。

歌い飽きる (歌い飽かす) 歌い明かす

歌い飽きる

いやになるほど十分、十二分に歌う。

歌い飽きた。

いやになるほど十分、十二分に歌った。意思、意図がない。

歌い飽かす

<歌い飽きる>とほぼ同じ意味になる。

いやになるほど十分、十二分に歌う。

歌い飽かした。

 いやになるほど十分、十二分に歌った。だが、こちらの方は意思、意図がある。

おどし飽きる  おどし飽かす

<おどす>も<いじめる>に似たようなところがある。反社会的行為だ。

チェックしてみると、ほぼ<いじめ飽きる、いじめ飽かす>と同じだ。

反社会的行為は同じような解説になるか?

盗む、泥棒をする。物騒だが、殺す、殺人をする。

これは読者にまかせて、次。

書き飽きる  (書き飽かす)

書き飽きる

書き飽きた

いやになるほど十分、十二分に書いた。意思、意図がない。多分に (書き飽きて) 書きやめた。 

書き飽かす

 書き飽かした

いやになるほど十分、十二分に書いた。意思、意図がある。耳で聞いた場合 (かきあかす), <飽きる>の意が薄く、(書き飽きて) 書きやめる、とは限らない。変な言い方だが

書き飽きるまで、書き飽かした。

飽きないと書き続けて、大量に書くることになるが、この場合は

書き明かす (あかす)

で、<飽きる、飽きない>の意識が薄い、もしくはないので、<飽きる、飽きない>は関係なくなる。これが<飽かす>と<明かす>の違いだろう。

考え飽きる  (考え飽かす} 考え明かす

考え飽きる

いやになるほど十分、十二分に考える。<考える>には多分に意思、意図があるが、<飽きる>には意思、意図がない。多分に (考え飽きて) 考えやめる。

考え飽かす

いやになるほど十分、十二分に考える。今度は意思、意図がある。

考え明かす

飽きる、飽きないに関係なく、いろいろ、たくさん考える場合を想定すると、 

考え明かす (あかす) 

でいいだろう。

聞き飽きる (聞き飽かす)

聞き飽きる

いやになるほど十分、十二分に聞く。

<xxを聞く>には意思、意図がある場合とない場合がある。ない場合は普通、自動詞の<聞こえる>が使われ、<xxが聞こえる>。

音楽を聞く

は意思、意図がある。

噂を聞く

は聞こうとして聞く場合が意思、意図があるが、聞こうとする意思、意図がなく<聞こえてくる>場合でも<噂を聞く>、<噂を聞いた>という。

一方<飽きる>には意思、意図がない。<聞き飽きる>は多分に 聞きたくないモノ、コトに飽きて、聞くのをやめる。

実際のところ、特別の場合を除き、音楽や歌は聞きたいから聞くので、

音楽や歌をいやになるほど十分、十二分に聞き、そして<いやになって聞きやめる>

ことはないだろう。<聞きやめる>のは、予期しない電話や用事があった時だ。特別の場合というのは、例えば<好きでない音楽や歌>の場合。小言や苦情も基本的に聞きたくない。聞きたくないものは、強制されて聞くとき以外、聞くことはない。

聞き飽かす

いやになるほど十分、十二分に聞く。今度は意思、意図がある。

実際のところ、特別の場合を除き、音楽や歌は聞きたいから聞くので、

<聞き明かす>は言いそうにない。

恋いし飽きる  恋いし飽かす

これはめったに聞かないが、<愛す>、<愛する>が漢語の<愛>+<す>なので、大和言葉の<恋する>をチェックしてみる。もっとも、<恋する>も<恋+する>のパターンだ。

恋いし飽きる

 いやになるほど十分、十二分に恋いする。<恋いする>には意思、意図があるが、<飽きる>には意思、意図がない。多分に (恋いし飽きて) 恋いするのをやめる。

恋いし飽きた


いやになるほど十分、十二分に恋した

の意になる。<飽きて、恋さなくなった>とゆゆしきことになる。

 恋し飽かす

 恋し飽かした

は<飽きて、恋さなくなった>の意にはならない。

ほぼ<愛し飽きる、愛し飽かす>と同じだ。

好き飽きる 好き飽かす

もめったに聞かない。<好き (だ) >は超高頻度使用語だが、<好く>はあまり使わない。

<好 (この) む> も<好く>と同じくあまり使わない。

し飽きる  し飽かす  し明かす

し飽きる

いやになるほど十分、十二分にする。<する>には多分に意思、意図があるが、<飽きる>には意思、意図がない。多分に (し飽きて) するのをやめる。 

し飽かす

いやになるほど十分、十二分にする。今度は意思、意図がある。

(もう)し飽かした

は多分に<飽きた>の意が残っている。 

もうそれはし飽かした。だから、もうやらない、やりたくない。これが<飽かす>の原意。すこし横道にそれるが

しでかす、しでかした

という言い方がある。造語構造は似ていて (ほぼ同じ) 、

し(<する>の連用形) + でかす(自動詞<出る、でる>の使役形)
し(<する>の連用形) + あかす(自動詞<飽く、あく>の使役形)

<出る>の使役形には<出さす>があり、これがよく使われ、<出かす>はまれだ。
<飽く>の使役形には<飽きさす>があり、こちらの方が普通、使われ、<飽かす>はまれだ。

違うのは<し出 (で) かす>はあるが<し出さす>はない。一方<飽かす>の方は<し飽かす〉も<し飽きさす>も可能だ。<し飽きさす>は明らかに使役で

花子は太郎に歌い飽きさせた。 

一方

花子は太郎に歌い飽かせた。

も可能で<飽きる>の意が残っているともとれるが、 <飽きる>の意が残っていない<明かす>の意も可能だ。つまりは<花子は太郎に歌い明かせた>。もっとも、いずれも耳で聞けば<花子は太郎に歌い明かせた>で同じだ。

<する>は他動詞の代表で、以上のt説明は他の他動詞に応用、敷衍 (ふえん) できるだろう。 

知り飽きる   知り飽かす  知り明かす

知り飽きる

いやになるほど十分、十二分に知る。<知る>は認識、認知動詞だが、意思、意図があるとはかぎらない。

知ろうとすれば意思、意図があるが、知ろうとしなくても<知っててしまう>場合には意思、意図がない。<聞く>の場合は。基本的には、意思、意図があれは<聞く>で他動詞。意思、意図が泣けれは<聞こえる>で自動詞。xxが聞こええる。<見る>の場合は、意思、意図があれば<見る>で他動詞。意思、意図が泣けれは<見える>で自動詞。xxが見える。

<xxを知る>は多様で

事件の真相を知る

では知らされて、知る場合が多いだろう。 <聞く>、<見る>では意思、意図がない場合

事件の真相が聞こえる
事件の真相が見える 

と自動詞が使われる。

事件の真相を知らされる

という言い方も可能だが、言葉には出てこないが他人が関与している 。<事件の真相を知る>では他人は関与していない、といえる。

嫌なこと、知りたくないことは<容易に、いやになるほど知る>ことがありうるが、知りたいことは<なかなか、いやになるほど知る>にならない。

事件の真相を知る

は基本的には中立だが、知りたい場合と知りたくない場合はありうるだろう。

知りたくない内容の場合は、何度も知る、知らされると

知り飽きる


いやになるほど十分、十二分に知る。

 知りたい内容の場合は、何度も知る、知らされても

 いやになるほど十分、十二分に知る。

になりにくい。<知り飽きる>はややこしい。

知り飽かす

いやになるほど十分、十二分に知る。今度は意思、意図がある。これも<知る内容>によりそうだ。

嫌なことを知る場合 

いやになるほど十分、十二分に知る。

で問題ない。<知り飽きる>と同じになる。嫌なことは嫌になりやすい、飽きやすい。

知りたいことを知る場合 

いやになるほど十分、十二分に知る。

おかしい。<十分、十二分に知る>でいいが、<飽かす>は強調の意があるので<徹底的に知る>。

楽しみ飽きる  楽しみ飽かす  楽しみ明かす

楽しみ飽きる

いやになるほど十分、十二分に楽しむ。意思、意図がない。

楽しみ飽かす

いやになるほど十分、十二分に楽しむ。今度は意思、意図がある。 

楽しみ明かす

十分、十二分に楽しむ。飽きる、嫌になる意識はない。意思、意図はあってもなくてもいい。

以上の<楽しみxxx>の説明は簡単で、一般化できる。

食べ飽きる  食べ飽かす  (食べ明かす)

食べ飽きる

いやになるほど十分、十二分に楽しむ。意思、意図がない。

食べ飽かす

いやになるほど十分、十二分に楽しむ。今度は意思、意図がある 

食べ明かす(あかす)

一晩中食べ明かす。(現実的でない)飽きる、嫌になる意識はない。意思、意図はあってもなくてもいい。

取り飽きる  取り飽かす  取り明かす

<取る>は他動詞の代表の一つだ。目的語がないと一般的すぎる。 

<写真をとる>は、書くときは<写真を撮る>と書くようだが、耳で聞いたり、言う時には<写真をとる>で、実際、無意識だが<写真を撮る>ではなく<写真を取る>が頭をかすめるのではないか。

写真を取り飽きる

いやになるほど十分、十二分に写真を取る。<取る>は意思、意図があるが、<飽きる>は意思、意図がない。多分に<写真を取り飽きて、取るのをやめる>。

写真を取り飽かす

ひと昔前はデジタルカメラ、今は携帯電話のカラメで、フイルム代がいらないから<写真を取り飽かす>のは大いに可能だ。

いやになるほど十分、十二分に写真を取る。<飽かす>は他動詞で意思、意図があるが

写真を取り飽かした

は<いやになるほど十分、十二分に写真を取った>で<写真を取り飽きた>と同じような意味になる。多分に<写真を取り飽きるほど取ったが、取るのをやめた>とは限らない。

嘆き飽きる (嘆き飽かす) 嘆き明かす

嘆き飽きる

いやになるほど十分、十二分に嘆く。意思、意図がない。多分に<嘆き飽きて、嘆くのをやめる>。この<やめる>は<を>をとるので他動詞だが、自動詞っぽい。嘆くのがやむ。<嘆く>は<xxを嘆く>で、これまた<を>をとる他動詞だが、自動詞っぽい。<飽きる>は自動詞なので<嘆き飽きる>は自動詞。したがって<嘆くのがやむ>、<嘆くのがやまる>が正しい。

 嘆き飽かす

いやになるほど十分、十二分に嘆く。意思、意図がある。多分に< 嘆き飽かして、嘆くのをやめる>。<飽かす>は他動詞だが、意味的には<いやになるほど十分、十二分に嘆く>で、<嘆き飽きる>と同じになる。だが、<嘆き飽かす>には意思、意図がある。

嘆き明かす (あかす) 

飽きる、飽きないに関係なく十分、十二分に、徹底的に嘆く。

朝まで 嘆き明かした

だと、<夜が明けるまで嘆き続けた>になりそう。

飲み飽きる  飲み飽かす  飲み明かす

<食べ飽きる、飽かす>に準じる。

飲み飽きる

いやになるほど十分、十二分に飲む。意思、意図がない。

飲み飽かす

いやになるほど十分、十二分に飲む。今度は意思、意図がある 

飲み明かす(あかす)

一晩中、徹底的に、飲み明かす。飽きる、嫌になる意識はない。意思、意図はあってもなくてもいい。

(笛を) 吹き飽きる  吹き飽かす  吹き明かす

吹き飽きる

いやになるほど十分、十二分に笛を吹く。意思、意図がない。<吹き飽きた>だと、多分に<飽きて吹きやめた>。

吹き飽かす

いやになるほど十分、十二分に笛を吹く。今度は意思、意図がある 

吹き明かす(あかす)

一晩中、徹底的に、吹き明かす。(あまり現実的でない)飽きる、嫌になる意識はない。意思、意図はあってもなくてもいい。

(ほらを) 吹き飽きる  吹き飽かす  吹き明かす

ほらを吹き飽きる

いやになるほど十分、十二分にほらを吹く。意思、意図がない。<ほらを吹き飽きた>だと、多分に<飽きてほらを吹きやめた>。

ほらを吹き飽かす

いやになるほど十分、十二分にほらをを吹く。今度は意思、意図がある。<ほらを吹き飽かした>は、多分に<ほらを吹きやめなかった>。 

吹き明かす(あかす)

徹底的に、ほらを吹きまくる。飽きる、嫌になる意識はない。意思、意図はあってもなくてもいい。耳で聞く<ほらを吹きあかす>は<ほらを吹き飽かす>と区別はないと、いっていい。

学び飽きる (学び飽かす)

学び飽きる

いやになるほど十分、十二分に学ぶ。意思、意図がない。多分に<学び飽きて、学びやめる>。

学び飽かす

いやになるほど十分、十二分に学ぶ。今度は意思、意図がある。多分に<学び飽きずに、学び続ける>。

学び飽かした

多分に学び飽ずに、学び続けた。

学び明かす(あかす)

飽きる、嫌になる意識はない。徹底的に、懸命に学ぶ。主体は意思、意図があるが、他人から見て意思、意図はあってもなくてもいい。

見飽きる  (見飽かす) 見明かす

見飽きる

いやになるほど十分、十二分に見る。意思、意図がない。多分に<見飽きて、見るのをやめる>。

見飽かす

いやになるほど十分、十二分に見る。今度は意思、意図がある。多分に<見飽きずに、見続ける>。

見飽かした

多分に見飽きずに、見続けた。あるいは<徹底的に、飽きるまで見た>。

見明かす (あかす)

徹底的に見る。 <見飽かす>とほぼ同じ。

<見明かす>は別の意味がある。

見て明らかにする。

明智探偵はその謎を見明かした。明智探偵はその謎は明智探偵に見明かされた。

やり飽きる  やり飽かす  やり明かす

<し飽きる  し飽かす  し明かす>に準じるだろう>。具体的な例

悪事をやり飽きる  悪事をやり飽かす  悪事をやり明かす

をチェックしみる。

悪事をやり飽きる

いやになるほど十分、十二分に悪事をやる。<悪事をやる>は意思、意図があるが、<悪事をやり飽きる>意思、意図がない。多分に<やり飽きて、悪事をやるのをやめる>。これは<いじめ>と同じで悪くないことだ。

悪事をやり飽かす

これはよくない。 いやになるほど十分、十二分に悪事をやる。<悪事をやる>には意思、意図があり、<やり飽かす>にも意思、意図がある。多分に<やり飽きずに、悪事をやるのをやめない>。

悪事をやり明かす(あかす)

徹底的にに悪事をやる。<悪事をやり飽かす>と同じような意味だ。 

<やる>は<擦る>以外に

やる = 与える
やる = (人) を遣る

があるが、省略。

読み飽きる  読み飽かす  読み明かす

読み飽きる

いやになるほど十分、十二分に読む。意思、意図がない。多分に<読み飽きて、読むのをやめる>。

読み飽かす

いやになるほど十分、十二分に読む。今度は意思、意図がある。

読み明かす (あかす) 

飽きる、飽きないに関係なく十分、十二分に、徹底的に読む。

読み明かした (あかした) 

これは<読み終えた>の意がある。

<読み明かす>は別の意味がある。

読んで明らかにする。

明智探偵はその暗号を読み明かした。この場合<読む>はじっくりチェックする、考える、と言った意味だ。将棋や囲碁ではこの<読む、読み>が活躍する。

 

<飽かす>と<明かす>の違い

繰り返しになるが、上で


書き飽かす

(中略)

飽きないと書き続けて、大量に書くることになるが、この場合は

書き明かす (あかす)

で、<飽きる、飽きない>の意識が薄い、もしくはないので、<飽きる、飽きない>は関係なくなる。これが<飽かす>と<明かす>の違いだろう。

(中略)

考え明かす

飽きる、飽きないに関係なく、いろいろ、たくさん考える場合を想定すると、 

考え明かす (あかす) 

でいいだろう。

と書いた。さらに<し飽きる  し飽かす  し明かす>で

(中略)

(もう)し飽かした

は多分に<飽きた>の意が残っている。 

もうそれはし飽かした。だから、もうやらない、やりたくない。これが<飽かす>の原意。

(中略)

 一方<飽かす>の方は<し飽かす〉も<し飽きさす>も可能だ。<し飽きさす>は明らかに使役で

花子は太郎に歌い飽きさせた。 

一方

花子は太郎に歌い飽かせた。

も可能で<飽きる>の意が残っているともとれるが、 <飽きる>の意が残っていない<明かす>の意も可能だ。つまりは<花子は太郎に歌い明かせた>。もっとも、いずれも耳で聞けば<花子は太郎に歌い明かせた>で同じだ。

<する>は他動詞の代表で、以上のt説明は他の他動詞に応用、敷衍 (ふえん) できるだろう。

と書いた。

<飽かす>と<明かす>の違いは微妙なところがあるが、耳できけば<あかす>で同じだ。<明かす>に<飽きるほど>の意はない。

 

sptt

 


飽く、飽きる、飽かす、飽きさせる、飽かせる、飽かさせる

 

古語<飽く>は自動詞か、はたまた他動詞か。

現代語では<太郎は勉強に飽きる>で自動詞。これはいいのだが、<飽きる>の他動詞は何か?

<飽かす>というのがあるが、他動詞というよりは自動詞<飽きる>の使役形だろう。

 花子は太郎を勉強に飽かす。

で使役になるが

花子は太郎を勉強に飽きさす。
花子は太郎を勉強に飽きさせる。
花子は太郎を勉強に飽かせる
花子は太郎を勉強に飽かさせる

も可能だ。

という言い方もあり、こちらの方を使いそう。 いずれにしても、こういう言い方は翻訳調だ。<飽かす>が<飽きる>の使役形とすると<飽かせる>、<飽かさせる>は使役形の使役形ということになる。文法用語にはないが、redundancy (冗長) 用法だ。

問題は<飽かす>で、単独用法として、ネット辞典では

デジタル大辞泉 「飽かす」の意味・読み・例文・類語

あか・す【飽かす】

[動サ五(四)]

多く「…にあかして」の形で)ありあまっているものを十分に使う。ふんだんに使う。「金と暇に―・して収集する」
飽きさせる。「聴衆を―・さない話

 ”

でやや特殊。

金を飽かす ー ありあまっている金を十分に使う。ふんだんに使う
暇を飽かす  ー ありあまっている暇を十分に使う。ふんだんに使う

となりそうだが、例文は

金に飽かす、暇に飽かす

で、これだけでは<を>ではなくに>をとるので<飽かす>は他動詞ではなく、自動詞となる。だが短文にすると

太郎は金に飽かして収集する。(暇は省略)

となるが、 

主文は

太郎は収集する。

で<金に飽かして>が修飾句だ。 だが<飽かす>のは太郎で、そうすると<飽かす>は他動詞のように見える。繰り返しになるが

飽かして

で、<を>ではなく<に>をとる。一方<飽きる>は自動詞で

太郎は金飽きる。

で問題ない。

太郎は金に飽かして収集する。

収集する>は他動詞なので不完全

太郎は金に飽かして骨董品を収集する。

不完全でなくなる。しかし<金に飽かして>の<飽かす>は他動詞っぽい。<に>にこだわって自動h詞<飽きる>を使うと

太郎は金に飽きて、骨董品を収集する。

で、意味内容は完全に違ってくる。 <飽かして>はいったい何だ? <飽かして>の意を汲み取ると

太郎はわが身 (自分自身) を金に飽かして骨董品を収集する。

太郎は金に飽かして、骨董品を収集する。

では言葉に出てこないが

わが身 (自分自身) を> が内包されている (implicit ) と見れば、この問題は解決する。そしてわが身 (自分自身) >と<を>を取るので、<飽かす>は他動詞だ。

こうすると、冒頭にネット辞典の解説


あか・す【飽かす】

[動サ五(四)]

多く「…にあかして」の形で)ありあまっているものを十分に使う。ふんだんに使う。「金と暇に―・して収集する」
飽きさせる。「聴衆を―・さない話

とまったく違った解釈になる。

では、一体この<わが身 (自分自身) 飽かす>はどういう意味か?

わが身 (自分自身) 飽きさせる

が原意のようだが

わが身 (自分自身) 金に飽きさせては、金はたまらず、高価な骨董品は暇がっても買えない。

わが身 (自分自身) を金に飽かす

は<金は飽きるほどたくさんあって、飽きるほど使う>という意味だろう。

 

簡易ネット翻訳で<飽きる>をインプットすると

 ( to) get bored

と出てくる。 <飽かす>は

(to) satiate

とあまり見慣れない語がでてくる。

 これを利用すると

太郎は金に飽かして、骨董品を収集する。

Taro satiates himself in his abundant money to collect antiques.

とでもなるが、himself は二音節の一語。日本語の方は<わが身 (自分自身) >で相当長く、わずらわしい。


sptt

 

 

 


Wednesday, November 20, 2024

複合動詞<xx尽きる>、<xx尽くす>


複合動詞<xx尽きる>を<xx尽くす> 比べてみた。アイウエオ順に並べてみて、ざっとチェックしたが、意外と複雑。微妙、曖昧なところがある。

遊び尽きる  遊び尽くす
歩き尽きる  歩き尽くす
言い尽きる  言い尽くす
行き尽きる  行き尽くす
生き尽きる  生き尽くす
動き尽きる  動き尽くす
歌い尽きる  歌い尽くす
思い尽きる  思い尽くす

書き尽きる  書き尽くす
悲しみ尽きる  悲しみ尽くす
考え尽きる  考え尽くす
(聞き尽きる)  聞き尽くす
消え尽きる  (消え尽くす)
(消し尽きる)  消し尽くす

探し尽きる   探し尽くす
叫 (さけ) び尽きる  叫び尽くす
し尽きる  し尽くす
死に尽きる  (死に尽くす)
進み尽きる  進み尽くす

(食べ尽きる) 食べ尽くす
立ち尽きる  立ち尽くす
疲れ尽きる  (疲れ尽くす)
使い尽きる  使い尽くす
取り尽きる  取り尽くす

泣き尽きる  泣き尽くす
(鳥が) 鳴き尽きる  鳴き尽くす
(ベルが)鳴り尽きる (鳴り尽くす) 
(飲み尽きる) 飲み尽くす

走り尽きる  走る尽くす
(運び尽きる) 運び尽くす
働き尽きる  働き尽くす
(風が、は)吹き尽きる  吹き尽くす
(笛を)(吹き尽きる) 吹き尽くす
(雨が、は)降り尽きる  降り尽く。

学び尽きる  学び尽くす
(見尽きる) 見尽くす
燃え尽きる  (燃え尽くす)
燃 (もや)し尽きる  燃し尽くす


(焼き尽きる)  焼き尽くす
焼け尽きる  焼け尽くす
やり尽きる  やり尽くす

読み尽きる   読み尽くす
喜び尽きる  喜び尽くす

笑い尽きる  笑い尽くす

忘れ尽きる  忘れ尽くす

(追加予定)

 (かっこ)内のものはややおかしい程度、(かっこ)がないものでも<ややおかしい>ものがある。個人差があろう。もう少しチェックしてみる。

基本的には自動詞< 尽きる>はまっとうせずに、不完全で、到達間近だが<終わる>、<やむ(止む)、やまる>。<やむ(止む)だが中断の意は薄く、再開する見込がは薄い。<(無意思的、無意図的、自然に)なくなる>。

一方他動詞<尽くす>は多義語だが、<終わる>、<なくなる>、<やむ(止む)>、<なくなる>関連では

終える、完了する、なくなるまでxxする(意思的、意図的)、やめる。個々に調べてみる。組み合わせとしては

1)自動詞+尽きる
2)他動詞+尽きる
3)自動詞+尽くす
4)他動詞+尽くす

の四つがあるが、ややこしくなるので1)と2)、3)と4)の二分類で進める。

1、2)自動詞+尽きる、尽くす

 遊び尽きる  遊び尽くす 

<遊ぶ>は<xxを遊ぶ>と言わないので自動詞と言える。

遊び尽きる (自動詞)

太郎は遊び尽きた  無意思的、無意図的に遊び終わった、遊びが終わった

変な言い方だが、まだ遊べるのだが、(とにかく)遊び終わった。

遊び尽くす (他動詞)

太郎は遊び尽くした  意思的、意図的に遊び終えた、遊びを終えた

遊べるものはみな遊び終えた。この場合<遊び>は複数。

<遊び>が特定の一つの場合は

(その)遊びを遊びきった。(その)遊びを、すっかり、のこりなく、心おきなく、遊んだ。一種の強調。

 歩き尽きる  歩き尽くす

 歩き尽きる  太郎は歩き尽きた。

まだ先はあるのだが歩き終わった。意思的、意図的な感じはない。to give up の感じだ。

歩き尽くす  太郎は歩き尽くした。

歩けるだけ歩いた。歩ける限度まで歩いた。このグループのものは多い。

言い尽きる  言い尽くす  (目的語がない場合、または<xxと言う>場合は自動詞っぽい。<文句、苦情を言う>では他動詞になる)

行き尽きる  行き尽くす

行き尽きる  目的地までいくよていだったが、途中で行き尽きた。

行き尽くす  いけるところはすべて行き尽くした。

生き尽きる  生き尽くす  

生き尽きる  生きることを全 (まっと) うせず、その前に生き尽きた。

生き尽くす   生きることをうした。

目的語がない場合は自動詞。<乱世を生きる>では他動詞っぽくなるが、<乱世に生きる>と同じような意味だ。

動き尽きる  動き尽くす

動き尽きる

動き終わった。意思的、意図的な感じはない。to give up の感じだ。

動き尽くす

動けるだけ動いた。動げる限度まで歩いた。意思、意図が感じられる。

(悲しみ尽きる)  悲しみ尽くす

花子は悲しみ尽きた。

変な言い方、かつ微妙だが

花子は、まだ悲しめると思われるが、とにかく悲しみ終えた。また

花子の悲しみは尽きた、終わった、やんだ。

悲しみ尽くす

花子は悲しみ尽くした。

悲しめるだけ悲しんだ。悲しめる限度まで悲しんだ。だが意思、意図は感じられない。

 <悲しむ>は一種の自然現象だろう。

消え尽きる  (消え尽くす)

これは主語が基本的に人ではなく、もの、こと。

火が消え尽きた。

これは<火が尽きて消えた>の意。後にあるが<燃え尽きる>は<火が燃え終わった>、 <燃えるのが終わった>。

 人ではなく、もの、ことなので to give up はおかしい。英語で to cease という動詞がある。

<cease fire>は停戦。to cease は自動詞、他動詞兼用。名詞にもなる - cease。

自動詞の場合は cease to 動詞となる。したがって、<燃え尽きる>は to cease to burn。では<火が消え尽きる>はなんというか?英語では他動詞<消す> to distinguish の受身 to be distinguish (消される) が<消える>に代用される。the fire is distinguished は<火が消える>。to burn out というのが自動詞、他動詞兼用だが、自動詞の場合は<燃え尽きる>。おそらくthe fire is distinguished out>とは言わないだろう。

これは<死に尽きる>と<生き尽きる>にも言える。

死に尽きる  (命が)尽きて死んだ。
生き尽きる  生き終わった。生きるのが終わった。

叫び尽きる  叫び尽くす

次郎は叫び尽きた  無意思的、無意図的に叫び終わった、叫びが終わった。 to give up

変な言い方だが、まだ叫べるのだが、(とにかく)叫び終わった。

叫び尽くす

次郎は叫び尽くした。 叫べるだけ叫んだ。叫べる限度まで叫んだ。意思、意図が感じられる。

進み尽きる  進み尽くす

まだ先はあるのだが進み終わった。意思的、意図的な感じはない。

進み尽くす  太郎は進み尽くした。

 めいっぱい進んだ

立ち尽きる  立ち尽くす

次郎は立ち尽きた。

<立ち尽きる>は、意思的、意図的な感じはないが、 <めいっぱい、できる限り立っていた>の感じがある。これは本来<立ち尽くす>なのだが、<立ち尽くす>が別の意味があるので、ヘンテコになっている。<立ち尽くす>には意思的、意図的な感じがない。

次郎は立ち尽くした。

意思的、意図的な感じを持たせようとすると、

(最後まで) 次郎は立ちきった。次郎は立ち果たした。<次郎は立ち尽くした>には<最後まで>の感じがない。

 疲れ尽きる  (疲れ尽くす)

花子は疲れ尽きた。

<疲れ終わる>はおかしい。とりあえず<強調>として

花子はとても疲れた。(もこれ以上何もできない)

花子は疲れ尽くした。

はダメだろう。<疲れる>は上の<悲しむ>、次の<泣く>と同じく自然現象で、意思や意図がない。

泣き尽きる  泣き尽くす

花子は泣き尽きた。

泣き終わった。泣きやんだ。 意思的、意図的な感じはない。

花子は泣き尽くした。

これも意思的、意図的な感じはないが、泣ける限度まで泣いて、泣きやんだ。

 (鳥が) 鳴き尽きる  鳴き尽くす

<人が泣く>と同じだろう。だが鳥には意思、意図があるだろうが、人には感じられない。

 (ベルが)鳴り尽きる (鳴り尽くす) 

ベルが鳴り尽きた。

 鳴り終わった。鳴りやんだ。人が関与せず、一種の自然現象。

ベルが鳴り尽くした。

<ベルが鳴り尽きた>と同じような意味で可能だが、<鳴り尽きた>が普通だろう。

 走り尽きる   走り尽くす

これは< 歩き尽きる>、<  歩き尽くす>に準ずる。

太郎は走り尽きた。

まだ先はあるのだが走り終わった。意思的、意図的な感じはない。to give up の感じだ。

太郎は走り尽くした。

走れるだけ走った。走れる限度まで走った。意思、意図が感じられる。

働き尽きる  働き尽くす

次郎は働き尽きた。 

他人から見て、まだ働けるのに走り終わった。意思的、意図的な感じはない。

次郎は働き尽くした。 

働けるだけは働いた。働ける限度まで、目いっぱい働いた。意思、意図が感じられる。

(風が、は)吹き尽きる  吹き尽くす

 風には意思、意図はない。<吹き尽きる、尽きた>は何か変で、<吹き尽くす、吹き尽くした>で、意思、意図はないが、限度まで吹く、吹いた。<吹き尽くす>は<尽くす>があるが自動詞。<立ち尽くす>に似ている。

 (雨が、は)降り尽きる  降り尽くす

これは上の、風に準じる。

燃え尽きる  (燃え尽くす)

火は間もなく燃え尽きる。

燃えるものが<なくなって>燃え終わる / 燃え終える。

 <火は間もなく燃え尽くす>も可能だが、<燃え尽きる>と同じような意味。火に意思、意図はないのだ。したがって<燃え尽くす>は自動詞になる。<燃え終える>は<終える>があるが自動詞だ。 

焼け尽きる  焼け尽くす

家は焼け尽きた。 

家は焼け尽きて<なくなった>。

家は焼け尽くした。

も可能で、<家は焼け尽きた>と同じような意味。 家に意思、意図はないのだ。<焼け尽くす>は自動詞。

喜び尽きる  喜び尽くす

花子は喜び尽きた。

まだ喜べる余地があるのに喜び終わった / 終えた。意思、意図はない。

花子は喜び尽くした。

喜べる限度まで、目いっぱい喜んだ。意思、意図が感じられる。

笑い尽きる  笑い尽くす

まだ笑える余地があるのに笑い終る / 終える。意思、意図はない。

笑い尽くす


解説が多くて、何が何だかわからくなっていいるが、まとめてみると

1)、2)自動詞+尽きる、尽くす

主語、主体が人か<もの、こと>で違いがある。そして、この違いは<人>の場合、多くは意思、意図のあるなしが関係してくる。

<人>の場合

意思、意図がなく、自然な感じで<すすむ>場合は<xx尽きる>。 意思、意図があって<なされる>場合は<xx尽くす> 。

 <モノ、コト>の場合

<モノ、コト>には意思、意図がないので<xx尽きる>はいいが<xx尽くす>は変なことになる。だが実際は変なことにならず

火が消え尽きる。 火が消え尽くす。
風が吹き尽きる。 風が吹き尽くす。
雨が降り尽きる。 雨が降り尽くす。
家が焼け尽きる。 家が 焼け尽くす。

でほぼ同じような意味。複合動詞としては<xx尽きる>、<xx尽くす>とも自動詞だ。

 人の場合で例外は

 立ち尽きる  立ち尽くす

次郎は立ち尽きた。
次郎は立ち尽くした。

<次郎は立ち尽くした>が<次郎は遊び尽くした>、<次郎は走り尽くした>のように限度まで、目いっぱい<xxした>の意にならないのは、おそらく<立つ>が動作、行為とはいえ静的なためだろう。

次郎は座り尽きた。
次郎は座り尽くした。

は普通では言いそうにない。

次郎は寝 (ね) 尽きた。
次郎は寝 (ね) 尽くした。  

は、<寝る>には意思、意図があるが、<寝ている>に意思、意図がないので<寝尽きた>、<寝尽くした>は同じような意味になりそう。だが

次郎は寝尽きて、目を覚ました。

はいいが、

次郎は寝尽くして、目を覚ました。

は何かおかしい。


相当だらだらと長くなっているが、次に

3)、4)他動詞+尽きる、尽くす

をチェックしてみる。そう多くはないので、再度並べてみる。

歌い尽きる  歌い尽くす
思い尽きる  思い尽くす

書き尽きる  書き尽くす
考え尽きる  考え尽くす
(聞き尽きる)  聞き尽くす

探し尽きる   探し尽くす
し尽きる  し尽くす

(食べ尽きる) 食べ尽くす
使い尽きる  使い尽くす
取り尽きる  取り尽くす

学び尽きる  学び尽くす
(見尽きる) 見尽くす
燃 (もや)し尽きる  燃し尽くす

(焼き尽きる)  焼き尽くす
やり尽きる  やり尽くす

読み尽きる  読み尽くす

忘れ尽きる  忘れ尽くす

 

歌い尽きる  歌い尽くす

歌い尽きた ー まだ歌うべきなのだが、歌い続けると思っていたが、歌い終わった、歌いやんだ。
歌い尽くした ー 歌える限度まで歌った。予定の歌をすべて歌いきった。 

思い尽きる  思い尽くす

<思う>は目的語があれば他動詞、なければ自動詞だろう。

太郎は思い尽きた。ー もう思わなくなった。意思、意図はない。

太郎はxxを思い尽きた。

は変なので、他動詞としてはダメだ。 

<思い尽くす>は目的語のある他動詞としてであれば問題ない。

太郎は花子を思い尽くしたが、ふられた。

書き尽きる  書き尽くす

書き尽きた ー まだ書くべきなのだが、書き続けると思っていたが、書き終わった、書き終えた(この<終えた>は自動詞か。<書くのをやめた>だと意思、意図が入ってくるので<書くのがやまった>だが、まずこうは言わないだろう。

書き尽くすた ー 書くべきことはすべて書いた。意思、意図がある。

考え尽きる  考え尽くす

これは

思い尽きる  思い尽くす  

に準ずるだろう。

<考える>は目的語があれば他動詞、なければ自動詞だろう。

次郎は考え尽きた。ー もう考えなくなった。意思、意図はない。

次郎はxxを考え尽きた。

は変なので、他動詞としてはダメだ。 

<考え尽くす>は目的語のある他動詞としてであれば問題ない。

次郎はこの算数問題を考え尽くしたが、解けなかった。

 (聞き尽きる)  聞き尽くす

ショパンの曲を聞き尽きた。

はおかしい。 だが

ショパンの曲はいいものが多いので、 聞いても尽きることはない。

ならいい。 いくら聞いても、 聞き尽きることはない。聞く曲がなくなることはない。

ショパンの曲を聞き尽くした。

は問題ない。

探し尽きる   探し尽くす

探し尽きた ー まだ探せるのだが、探し終わった。意思、意図はない。
探し尽くした ー 探せるところはすべて探した。 

これが<2)他動詞+尽きる、尽くす>の基本だろう。

し尽きる  し尽くす

し尽きた ー まだすることができるのが、し終わった。したがって、まだやることが残っている。意思、意図はない。

し尽くした ー することができることはすべてした。 だが、これはなぜか意思、意図があまり感じられない。

(食べ尽きる) 食べ尽くす

食べ尽きる ー まだ食べるものはあるのだが、 食べ終わった。意思、意図はない。何か変だ。

花子は、食べるものは多すぎて、食べきれずに、食べ尽きた。

これならいい。

食べ尽くした ー すべてを食べきった。

使い尽きる  使い尽くす

使い尽きる ー 使いきれずに、使い終わった。意思、意図はない。だが何か変だ。

<使う>はやや特殊で、 <使う対象が、使うと減っていき、ついにはなくなる、例えば洗剤>場合、<使う対象が使うと機能が衰えるていき、ついには使えなくなる、例えば洗濯機>

洗剤を使い尽きる ー なくなるまで使う

花子は洗剤を使い尽きた。なくなるまで使った。意思、意図が薄い。例えば

花子は洗剤を気付かないうちに使い尽きた。

だが、これは変で

花子が気付かないうちに洗剤は使い尽きた。
 

花子は洗濯機を使い尽きた。

これも変で、

洗濯機は使い尽きて、壊れた。

花子は洗剤を使い尽くした  ー なくなるまで使った。意思、意図が濃い。
花子は洗濯機を使い尽くすした ー 1)こわれるまでで使った。2)いろいろな使い方をした。

取り尽きる  取り尽くす

 <取る>は他動詞の代表で、他の前半が他動詞の<xx尽きる>、<xx尽くす>複合動詞に応用できよう。

取り尽きた ー まだ取れるのだが、取り終わった。意思、意図はない。
取り尽くした ー 取れるものはすべて取った。

 学び尽きる  学び尽くす

 学び尽きる ー まだ学べるのだが、学び終わる。意思、意図はない。

美代子は学び尽きた ー まだ学べるのだが、さらに学び続けるのは終わった。 gave up studying。

学び尽くす  ー 学べるものはすべて学ぶ。 

(見尽きる) 見尽くす

XXを見尽きる

はあまり聞かない。<見る>の自動詞は<見える>が可能にもなる。

海が見える。

<海を見尽きる>は<長い間海を見ていて、見るのをやめる>だが、何か変だ。

海を見るのに飽きて、見るのをやめる

ならいい。一種の to give up。

<海が見え尽きる>は<海が見えなくなる>だが、これも変だ。

 海が見え尽きるところが陸だ。 海が見え尽きるところに陸がある。

でなんとかなるが、こういう人は少ないだろう。<海の向こうに陸がある> が簡潔でいい。

見尽くす ー 見えるものはすべて見る。

燃 (も) やし尽きる  燃やし尽くす 

燃やし尽きる ー1)まだ燃えるものがあるのに燃やし終わる、終える。まだ燃やしきっていない。意思、意図は薄い。<燃やし尽きる>は他動詞。<xxが燃やし尽きる>とは言わない。だが曖昧なところがある。

燃やし尽きる ー2)燃やしきる、の意もある。

燃し尽くす ー すべてを燃やしきった。意思、意図が濃い。

燃え尽きる、燃え尽くす (自動詞)、 燃やし尽くす。いずれも燃えるものはなくなって灰になる。

 やり尽きる  やり尽くす

<やる>にはいくつか違った意味がある。

やる = する to do
やる = 与える to give
やる = 遣る to delivery、 to dispatch

 ここでは

やる = する to do

を取り上げて<する>の意おとりあげ、<し尽きる>、<し尽くす>と比較してみる。上の

し尽きる  し尽くす

の説明を<やる>で置き換えてみると

やり尽きた ー まだやることができるだが、やり終わった。したがって、まだやることが残っている。意思、意図はない。

やり尽くした ー やれることができることはすべてやった。

で、問題ない。だが<やり尽くす>の方が<し尽くす>より意思、意図が感じられるか。これは<やり>が二音節、<し>はわずか一音節であるのが影響しているか。<軽い>のだ。<する>は日本語では<漢語+する>で大活躍する。<やる>の場合は<漢語+を+する>となる。

勉強する   勉強をする   (勉強やる) 勉強をやる
(宿題する)  宿題をする  (宿題やる) 宿題をやる

<勉強>は中国語では基本的に動詞ではない。

仕事する   仕事をする   (仕事やる) 仕事をやる
<仕事 (しごと) >は和製漢語で、基本的に名詞。

生活する   生活をする   (生活やる) (生活をやる) 

話が横道にそれるので、ここでやめる。

読み尽きる  読み尽くす

<読み書き>と言うので、上の<書き尽きる ー 書き尽くす>を応用すると

読み尽きた ー まだ読むべきなのだが、読み続けると思っていたが、読み終わった、読み終えた(この<終えた>は自動詞か。<読むのをやめた>だと意思、意図が入ってくるので<読むのがやまった>だが、まずこうは言わないだろう。

読み尽くした ー 読むべきものはすべて読んだ。意思、意図がある。

で、問題ない。

忘れ尽きる  忘れ尽くす

基本的に<忘れる>に意思、意図はない。<忘れ尽きる>もなんだか変だが、<忘れ尽くす>は、意思的、意図的とすると、もっと変だ。

だが<忘れようとする>では 意思、意図がある。

 <忘れ尽きようとする>、<忘れ尽くすそうとする>だと意味がでてくる。この場合、同じような意味だ。いずれも意思、意図がある。したがって<意思、意図の有無>は重要だ。

  <忘れ尽きる>、<忘れ尽きた>、<忘れ尽くす>、<忘れ尽くた>とは言わない。アイウエオ順に並べたため、順序が全く逆になっているが、<xx尽きる>、<xx尽くす>が基本的に使えない動詞がある。これはアイウエオ順に並べる過程で、私の頭の中で無意識にのぞかれているのだ。<忘れる>はやや特殊な例で、一般的には

継続的、行程的な動作、行為、現象は<尽きる、終わる>、<尽くす、終える>ことができるので<尽きる、尽くす>が使える。一方、瞬時的な動作、行為、現象は普通<始まり>と<終わり>がないと認識されるので<尽きる、終わる>、<尽くす、終える>はそぐわない。

<尽きる、尽くす>がなじまない瞬時的な動作、行為、現象の例

着く    着き尽きる、着き尽くす

始まる   始まり尽きる、始まり尽くす
始める   始め尽きる、始め尽くす

見つかる  見つかり尽きる、見つかり尽くす
見つける  見つけ尽きる、見つけ尽くす

終わる   終わり尽きる、終わり尽くす
終える   終え尽きる、終え尽くす

だが、上は主語、主題、目的語が単数の場合で、数が大いと変でなくなる。

 着く    全員着き尽きた、全員着き尽くた。(<着き尽くす>は自動詞)

 始まる  時間に差はあったが、皆始まり尽くした。

見つかり尽くす  なくなったモノはいろいろあったが、すべて見つかり尽くすした、見附尽くした。

終わり尽きる  すべて皆が終わり尽きた、 

終わり尽きる  すべて宿題を終わり尽くした、終え尽くした。

ーーーーー

また瞬時的な動作、行為、現象に見えるが、<xx尽きる>、<xx尽くす>で変でない場合があり、これはそうなる、そうなって行く過程が無意識に含まれているからだろう。

切れる   切れ尽きる、切れ尽くす
切る    切り尽きる、切り尽くす

離れる   離れ尽きる、離れ尽くす
離す    離し尽きる、離し尽くす


横道にそれたが

忘れ尽きる  忘れ尽くす

に戻ると

<忘れる>は瞬時的な現象に見えるが、徐々に<忘れる、忘れていく>場合も考えられる。

忘れ尽きる

忘れ尽くす   

いやなことはすべて皆忘れ尽くした方がいい。<忘れ尽くす>は自動詞か。

主語は<いやなことはすべて皆>ではない。

xxxxがいい。

となっているので、

 <いやなことはすべて皆忘れ尽くした方>が主語となる、かなり複雑な分構成だ。

いやなことすべて皆忘れ尽くした方がいい。

はダメ。

君は、いやなことはすべて皆忘れ尽くした方がいい。

<君は>の<君>は

君は忘れ尽くす
君が忘れ尽くす

と言えるので、主語、主題といえるようだが、ややこしい。

君が忘れ尽くすすことはいいことだ。

いやなことをすべて皆忘れ尽くせればいいのだが。(<忘れ尽くす>は他動詞)

ーーーーー 

以上なのだが、繰り返しになるが、まとめとして、

<xx尽きる>は完了せずに<終わる>、<やむ、止む、已む>。場合によっては<(無意思的、無意図的、自然に)なくなる>の意 ー 燃え尽きる(燃えるものがなくなる)。

一方<xx尽くす>は<すっかり、残りなく、目いっぱい xx (する) >で大体カバーできる。一方、単独で使う<尽きる>、<尽くす>の場合は

 xxが (は) 尽きる 自動詞

はやはり

 xxが (は) 終わる, やむ (止む、已む), なくなる, の意。

命が尽きる、金が尽きる、道が尽きる

一方<尽くす>は多義語で

1)全力を尽くす ー すっかり、残りなく、すべての力を使いきる。 to use up (all) without any  reserve

2)太郎は花子に尽くしたが、ふられた。 to serve

この場合<xxを>の目的語がないので、自動詞にように見える。だが、内容的には<わが身を>が省略されたもの、と見ることができる。

 

とりあえず、以上で終わる(尽きる)、終える。

 

sptt

 

 

 

 

Friday, November 15, 2024

複合動詞<xxきる>

 複合動詞<xxきる>の例はいくらでもあると言っていい。すこし前に "  <xx きる (切る) >の複合動詞 " というポストを書いているが、これは第二弾。前回のポストをあまり参考にしないで再検討してみる。

<切る>は<切る>由来で、物理的に<切る>では

打ち切る  打って切れないことはない。だが、慣用用法が主に使われる。

押し切る  <押して切る>ことはまずないだろう。西洋の鋸 (のこぎり) は押して切るようだ。慣用用法が主。

たたき切る  たたいて切れないことはない。慣用用法の<たたき切る>は一種の強調。 


強い勢いで斬りつけること、斬り捨てることを意味する表現一般的には叩き切る」と表記する

という解説がある。( 日本語表現辞典

ち (千) 切る   これは<ちりぢり、散り散りになるように)切る、切り散らす、で複合動詞とすれば<散り切る>の変形。

突っ切る   <突いて切る>こともほとんどないだろう。<道路を急いで突っ切る>のような慣用用法が主。

ねじ切る、 ねじり切る   ねじって切る

はさみ切る  はさんで切る

引き切る             引いて切る、引っ張って切る。<ひっきりなし>の<ひっきり>は

<ひっきりなし>のネット辞典の解説で

絶え間のないこと。「引っ切り」は「切れ目」「区切り」の意 (デジタル大辞泉

とある。<区切り>、<区切る>は後で述べるが<切る>の重要なコンセプト。

焼き切る  焼いて切る

 

また、<途中で切る>、中断の意があるが、これはむしろ少数派で

 打ち切る、見切る、思い切る、割り切る

多数派は

1)強調
2)完了

1)強調は前回のポスト " 複合動詞<xxかえる> " で<xxかえる>と並行して並べてみた。

あきれかえる  あきれきる
あふれかえる  あふれきる
甘えかえる   甘えきる
いばりかえ(えばりかえる) いばりきる(いばりきる)
うかれかえる  うかれきる
おごりかえる  おごりきる
恐れかえる   恐れきる
おびえかえる  おびえきる

悲しみかえる  悲しみきる
乾きかえる   乾ききる

狂いかえる   狂いきる
こごえかえる  こごえきる
困 (こま) りかえる   困りきる
こわがりかえる  こわがりきる

しょげかえる  しょげきる
すねかえる   すねきる

黙りかえる   黙りきる
だらけかえる  だらけきる
ちぢみかえる  恐ろしさでちぢみかえる、 ちぢみきる
ちらかりかえる  ちらかりきる
疲れかえる   疲れきる

泣きかえる   泣ききる

嘆きかえる   嘆ききる
怠 (なま) けかえる  怠けきる

冷 (ひ) えかえる  冷えきる
膨 (ふく) れかえる   膨れきる
ふさぎかえる  ふさぎきる
震 (ふる) えかえる   寒さで震えかえる、震えきる
へたりかえる  へたりきる

乱れかえる   乱れきる
むくれかえる  むくれきる

汚 (よご) れかえる  汚れきる
喜びかえる  喜びきる
弱りかえる  弱りきる

笑いかえる  笑いきる  

強調といってもいろいろあり、<xxかえる>の方は

a) 極度の<恐れ、驚き、喜び、嘆き、悲しみ、乱れ、疲れ、寒暑>。

b) 絶望的な<どうしようもない>のニュアンスのものが少なくない。

あきれかえる、困りかえる、疲れかえる、赤ん坊が泣きかえる、乱れかえる、弱りかえる

c) 状況ににより批判的な言い方と言えるものがある。

あきれかえる、甘えかえる、いばりかえる、だらけかえる、ちらかりかえる、汚れかえる

一方上記の<xxきる>例の方はどちらかというと ” 一般的な ” な強調で、極度まではいかず

<すっかり、xxきる>程度。また<切る、to cut>の意味はないと言っていい。いくらでもあるが、上の例以外では

開けきる   戸を開けきる
上がりきる
飢えきる
売りきる   なくなる
押しきる
落ちきる   葉が落ちきる  なくなる

買いきる
かたずけきる
枯れきる   木が枯れきる
乾ききる  のどが乾ききる

探しきる
閉 (し) めきる  戸を閉め切る
湿りきる
知りきる
捨てきる  なくなる

出しきる  なくなる
楽しみきる
使いきる   なくなる
勤めきる
跳びきる  <とびっきり>とは?
取りきる  なくなる

伸ばしきる
伸びきる
乗りきる  皆船に乗りきる。残る人がいなくなる。<困難を乗りきる>と言うが<乗り越える(きる)>が適切だろう。

張りきる   ゆるみなく十分に張る。ぴんと張る。「張り切った糸を指ではじく」「張り切った筋肉」(デジタル大辞泉)。だが、主に慣用方法で使われる。
減りきる  腹が減りきる、体重が減りきる。限度があって<なくなる>ことはない。
増えきる
太りきる
振りきる  <振って切る>こともあるが、普通は<追手、後続を振るようにして離す>。
広げきる  風呂敷を広げきる 

曲げきる   <曲げて切る>こともあるが、普通は<しっかり曲げる>、<可能な限り、できるだけ曲げる>。
混ぜきる
燃えきる  燃え尽きる   なくなる

痩 (や) せきる

わかりきる 

ーーーーー

漢語+しきる

これもいくらでもある

感動しきる
絶望しきる
疲労しきる
燃焼しきる


2)完了

完了、完了形は文法用語であり、少し詳しく検討してみる。完了は文字通りでは<終わる、終わる>。文法用語の完了は英文法の解説用に作られた和製漢語だろう。中国の中国語文法解説で<完了>の字はあまり見ない。<了>は多義語だが過去、完了の意味がある。また<完了、wán le >というのはドラマなどでよく聞く。<ああ、これで終わりだ。もうダメだ。>という意味。

さて<切る>と完了だが、上で

<区切り>、<区切る>は後で述べるが<切る>の重要なコンセプト

と書いたが、<終わる>、<終える>は終了、完了を表す一般的な動詞で、自動詞<終わる>では主語(主題)、他動詞<終える>では対象の内容が関連してくる。この内容、意味内容はいろいろあるが、ここでは<区切り>を考えてみる。

<区切り>がある意味内容の場合は<完了>が可能だが (これが大多数)、<区切り>がはっきりしない意味内容の場合は<完了>表現になりにくい。

<区切り>がはっきりしない意味内容の場合

a)<終わり>が想定しにくい一種の過程

行く、来る、帰る、進む、動く、遊ぶ、さまよう、うろつく、生まれる (生まれて来る)  、生きる、死ぬ、風が吹く、雨が降る

太郎は学校に行ききる、行ききった。
次郎は我が家に来きる、来きった
兵士は敵陣に進みきる、進みきった
花子は家に帰りきる、帰りきった。
美代子は一日中動ききる、動ききった。(一日中は一種の<区切り>だ。)
三郎は遊びきる、遊びきった
四郎はさまよいきる、さまよいきった
五郎はうろつききる、うろつききった

赤ん坊が生まれきる、生まれきった。
彼は、裕福に (貧しく) 生ききる、生ききった。
老人が死にきる、死にきった。

風が吹ききる
雨が降りきる

以上は完了表現は基本的に変だ。

b)通例、習慣の場合 これは動詞内容にあまり関係がない。

太郎の息子は毎日遊びきる、遊びきった。  (<毎日遊ぶ>は通例、習慣)
次郎の息子は毎日勉強しきる、勉強しきった。
花子の娘は年に一度実家に戻りきる、戻りきった。
美代子の娘は毎日働ききる、働ききった。
佐藤は毎朝運動をしきる。
加藤は毎晩居酒屋で酒を飲みきる。

<区切り>がある意味内容の場合

歩ききる  特定の距離
歌いきる  一曲、3曲も
泳ぎきる  特定の距離、場所

語りきる  一つの話、三つもの話
過ぎきる  列車は踏切りを過ぎきるまで待つ。

食べきる  特定の量の食べ物、食事

飲みきる  特定の量の飲み物

走りきる  特定の距離

やりきる  ある特定のこと
読みきる  一冊の本、10冊もの本

渡りきる  ある特定の者、場所

以上は完了表現が可能。 

<すっかり、xxきる>で強調で取り上げ、<なくなる>を付記したもの

売りきる  なくなる
落ちきる  葉が落ちきる  なくなる
出しきる  なくなる
使いきる   なくなる
取りきる  なくなる
燃えきる  燃え尽きる   なくなる

は完了とも見做せる。

 

3)<途中で切る>、中断

打ち切る
思い切る
見切る

ーーーーー

終了、完了では<きる>以外に、一般的な<xx終わる>、<xx終える>を除き

xx果てる、xx果たす
xx尽きる、主に<なくなる>、 xx尽くす

上の例では

売りきる  売り尽くす。だが<売り尽きる>もOKで自動詞。  
落ちきる  落ち尽きる。だが<落ち尽くす>もOKで自動詞。

出しきる  出し尽くす。だが<出し尽きる>もOKで自動詞。 
使いきる  使い尽くす。だが<使い尽きる>もOKで自動詞。 
取りきる  取り尽くす。だが<取り尽きる>もOKで自動詞。 
燃えきる  燃え尽きる。<燃え尽くす>は変だ。

<言いきる>はややこしい。

はっきりと言いきる

(言いきる) ー 言い尽きる、言い尽きた、で自動詞  完了、もうない

すべて(すっかり)言いきる ー 言い尽くす、で他動詞  完了、もうない

<尽きる>は<きる>があるが、昔は<つく>。今でも<底 (そこ) をつく> という言い方がある。

資金が底をつく。

で他動詞のようだが、昔は<資金尽く>で自動詞。今でも<資金が底を尽くす>とは言わない。<資金が底につく (着く) >ならいいがこうも言わない。

その他では

xxやむ、xxやめる   雨がやむ

がある。別途検討、再検討予定。

 

 sptt