Monday, November 25, 2024

飽く、飽きる、飽かす、飽きさせる、飽かせる、飽かさせる

 

古語<飽く>は自動詞か、はたまた他動詞か。

現代語では<太郎は勉強に飽きる>で自動詞。これはいいのだが、<飽きる>の他動詞は何か?

<飽かす>というのがあるが、他動詞というよりは自動詞<飽きる>の使役形だろう。

 花子は太郎を勉強に飽かす。

で使役になるが

花子は太郎を勉強に飽きさす。
花子は太郎を勉強に飽きさせる。
花子は太郎を勉強に飽かせる
花子は太郎を勉強に飽かさせる

も可能だ。

という言い方もあり、こちらの方を使いそう。 いずれにしても、こういう言い方は翻訳調だ。<飽かす>が<飽きる>の使役形とすると<飽かせる>、<飽かさせる>は使役形の使役形ということになる。文法用語にはないが、redundancy (冗長) 用法だ。

問題は<飽かす>で、単独用法として、ネット辞典では

デジタル大辞泉 「飽かす」の意味・読み・例文・類語

あか・す【飽かす】

[動サ五(四)]

多く「…にあかして」の形で)ありあまっているものを十分に使う。ふんだんに使う。「金と暇に―・して収集する」
飽きさせる。「聴衆を―・さない話

 ”

でやや特殊。

金を飽かす ー ありあまっている金を十分に使う。ふんだんに使う
暇を飽かす  ー ありあまっている暇を十分に使う。ふんだんに使う

となりそうだが、例文は

金に飽かす、暇に飽かす

で、これだけでは<を>ではなくに>をとるので<飽かす>は他動詞ではなく、自動詞となる。だが短文にすると

太郎は金に飽かして収集する。(暇は省略)

となるが、 

主文は

太郎は収集する。

で<金に飽かして>が修飾句だ。 だが<飽かす>のは太郎で、そうすると<飽かす>は他動詞のように見える。繰り返しになるが

飽かして

で、<を>ではなく<に>をとる。一方<飽きる>は自動詞で

太郎は金飽きる。

で問題ない。

太郎は金に飽かして収集する。

収集する>は他動詞なので不完全

太郎は金に飽かして骨董品を収集する。

不完全でなくなる。しかし<金に飽かして>の<飽かす>は他動詞っぽい。<に>にこだわって自動h詞<飽きる>を使うと

太郎は金に飽きて、骨董品を収集する。

で、意味内容は完全に違ってくる。 <飽かして>はいったい何だ? <飽かして>の意を汲み取ると

太郎はわが身 (自分自身) を金に飽かして骨董品を収集する。

太郎は金に飽かして、骨董品を収集する。

では言葉に出てこないが

わが身 (自分自身) を> が内包されている (implicit ) と見れば、この問題は解決する。そしてわが身 (自分自身) >と<を>を取るので、<飽かす>は他動詞だ。

こうすると、冒頭にネット辞典の解説


あか・す【飽かす】

[動サ五(四)]

多く「…にあかして」の形で)ありあまっているものを十分に使う。ふんだんに使う。「金と暇に―・して収集する」
飽きさせる。「聴衆を―・さない話

とまったく違った解釈になる。

では、一体この<わが身 (自分自身) 飽かす>はどういう意味か?

わが身 (自分自身) 飽きさせる

が原意のようだが

わが身 (自分自身) 金に飽きさせては、金はたまらず、高価な骨董品は暇がっても買えない。

わが身 (自分自身) を金に飽かす

は<金は飽きるほどたくさんあって、飽きるほど使う>という意味だろう。

 

簡易ネット翻訳で<飽きる>をインプットすると

 ( to) get bored

と出てくる。 <飽かす>は

(to) satiate

とあまり見慣れない語がでてくる。

 これを利用すると

太郎は金に飽かして、骨董品を収集する。

Taro satiates himself in his abundant money to collect antiques.

とでもなるが、himself は二音節の一語。日本語の方は<わが身 (自分自身) >で相当長く、わずらわしい。


sptt

 

 

 


No comments:

Post a Comment