最近<込む>、<込める>をかなり念入りに調べているが、<打ち込む>という言い方がある。
1)釘を打ち込む
2)打者が打ち込む
3)仕事に打ち込む
1)釘を打ち込む
は原意に近く、<xxの中にxxを打って入れる> 、<xxを打って中に入れる>
釘を木に打ち込む
<込む>自体は自動詞。他動詞は<込める>。<打ち込む>は他動詞。<打つ>は複合動詞<打ち込む>の意味の主動詞で、<打つ>は他動詞。<込む>は複合動詞<打ち込む>の副動詞といえ、<副詞>的な働き。意味としては<入 (はい) る、入れる、in、 into)。
2)打者が打ち込む
この<込む>は<込む>の代表的な慣用用法の一つで、<十分 (に) xxする>の意。これは、意味が成り立てば、いわばいくらでもある。
覚え込む
鍛 (きた) え込む
切りきざみ込む
探 (さが) し込む
仕込む
締め込む
調べ込む
染め込む
使い込む <しっかり使う>の意味。使い込みが足りない
突き込む <突っ込む、つっこむ>原意は<突きこむ>だが、上記の<探 し込みが足りない>、<調べ込みがたりない>は<つっこみ>(掘り下げ)が足りないのだ。
漬け込む
投げ込む 投手が投げ込む
煮込む
塗り込む
走り込む 陸上選手が走り込む
磨 (みが) き込む
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打ち込む
打ち込む 打者が打ち込む
投げ込む 投手が投げ込む
は少しやっかいで
バットでボールを打ち込むボールを投げ込む
なら、特に一場面に限ると、確かに他動詞といえるが
打者が、なっとくいくまで、打ち込む
投手が、しっかりと、十分に投げ込む
とすると<他動詞感>が薄くなるようだ。だが、他動詞としておく。
<走り込む>の<走る>は<xxを走る>とは言えないので自動詞(*)。<走り込む>も自動詞となる。一方
(*)運動場、トラックを走るは、いわゆる”<を>を取る自動詞”としておく。
<走り込む>の<走る>は自動詞で主動詞。副動詞の<込む>も単独では自動詞。<自動詞+自動詞>の<走り込む>は自動詞で問題ない。 <トラックを走り込む >とすると2)の<十分 (に) xxする>の意になる。”<を>を取る自動詞” で問題ないだろう。
さて
3)仕事に打ち込む
だが、少しやっかい。
字面上<仕事に打ち込む>は、<xxを>がない、<を>をとれないので自動詞。
<仕事に打ち込む>は意味的には他動詞的だ。解釈は異なるものがいくつかあるかもしれないが、
<わが身を仕事に打ち込む>の<わが身、oneself>が省略されたものとみなす解釈。この<みなす解釈 (みなし解釈) >は重要で、他に応用できるのではないか。
たとえば
入れ込む 他動詞 玉を籠 (かご) に入れ込む。 自動詞 あの馬は入れ込んでいる。そう入れ込まないで落ち着け。<わが身を入れ込む>で隠れた他動詞。
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