Monday, June 17, 2013

まだはもうなり、もうはまだなり


<まだはもうなり>、<もうはまだなり>は株式投資をしたひとならたいてい聞いた、読んだことがあるだろう。金がからんでいるにので、意味するところは身にしみてわかるのではないか?ここでは文法的な意味をさぐってみる。

<もう>も<まだ>も状況は同じだが見方が違うと言える。よく例に出されるが(心理学など) ビールジョッキにビールが半分ほどある。

A - まだ半分ある。まだ半分残っている。まだ半分だ。
B - もう半分しかない。もう半分しか残っていない。もう半分だ(イントネーションにより違う意味にもなる)。

AもBも何かを基準にして比較、対比しての表現だ。何を基準にしているかというと、最終的に行き着くところ(こと)、つまりはビールを飲みほしてジョッキにビールがないところ(こと)、あるいは飲む前のビールがジョッキに一杯あるところ(こと)も考えられるが、たいていは前者の最終的に行き着くところ(こと)だ。何かを使う、消費する場合は対象の初期状況よりは最終的に行き着く先の状況を大体無意識に想定する。初期状況を気にするのは思い出すとき、後悔するときだ。

<まだ>の語源は<いまだ>、<いまだに> だろう。一方<もう>の語源は以外だが<いま>だ。<イマイチ>は<いまひとつ>からきているが、この<いま>は<今(now)>と関連はある<今(now)>の意そのものではない。<いまひとつ>は<もうひとつ>という言い方もする。そしてこの<もう>が発展、あるいはなまったのが<もっと>だ。(注)

<今(now)>と関連があるというのは<まだ>にしても<もう>にしても現在の状況と最終的に行き着く状況、あるいは初期状況との比較、対比しての表現だからだ。

<まだ>、<もう>を英語と比較してみる。

まだ - まだある、まだやる   - still
まだ ...   ない - まだない、まだやらない、まだやっていない -yet, not yet, not already (この言い方は現在はいいことになっている)

もう - もうある、もうやる - already
もう ...   ない、もうない - already not、not be any more
もうやらない - not do any more
   
日本語の方がすっきりしている。


(注)問題、障害、困難を通りぬけて最終的な目的に達する、やりとげる、ときに使う言葉に<やっと>、<ようやく>(他に、どうにか、何とか、がある)という副詞がある。<やっと>の語源は<よう(古語では<やう>と書く)だろう。この<よう>は<xx するのに、xx し終えるのに、時間がかかる>といった意味だ。<やっと>、<ようやく>もおもしろい言葉で、次回のポストで検討する予定。

sptt



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