Friday, June 21, 2013

日本語の自動詞、他動詞-4、自動詞の受身形


しばらくぶりだが、<日本語の自動詞、他動詞>について考えてみる。日本語には自動詞の受身(形)という英文法からは理解に苦しむ言い方がある。

夜中に生まれたての赤ん坊に泣かれてよく眠れなかった。
母に死なれてしばらくは何もできなかった。
思いがけず雨に降られてびしょぬれになった。
大きな太郎に前に立たれて前がよく見えない。
そこに(きみに)座られては人が歩くの邪魔になる。
この忙しいのに無口で働き者の妹に出かけられてこまった上に怠け者でおしゃべりの姉に来られてますますこまった。
泥棒に入(はい)られて時計と宝石を盗まれた。

<泣く>は<何を泣いているんだ?>という他動詞表現もあるが、普通は<.....が泣く(赤ん坊がなく)>で自動詞だ。<死ぬ>、<降る>、<立つ>、<座る>、<出かけける>、<来る>は自動詞だ。<入(はい)る>は<.....を 入る>という言い方もあるが、普通は<.....に入る>で自動詞だ。自動詞の受身(形)は<被害>の受身(形)と説明されている。確かに上記の例は<被害>感、<迷惑>感を表している。<盗まれた>は他動詞の受身だが、<盗まれる>という被害の意味にもかかわらず<入(はい)られて>ほどの被害はない。

形式的には、上記の例では<xxに + 動詞の未然形 + れ、られ + て>のような副詞句になっているが、(泣かれる、泣かれた、死なれる、死なれた)と文終止でもいい。xxには被害、迷惑をあたえ、およぼす人、モノがくる。

それでは他動詞の受身(形)はどうか。
 
1)車にひかれて足の骨を折った。
2)バットで打たれて死んだ。(バット打たれて、とは言わない)
3)蚊(か)に刺されて皮膚が赤く、かゆくなった。
4)滝に打たれながら修行した。
5)兵隊たちは雨に打たれながら進んだ。

1)-3)は <被害>をあらわしているようだが<被害>感、<迷惑>感はなく、どちらかというと感情をいれずに客観的に理由、原因を示している。4)、5)は<打たれる>のは被害、迷惑だが、必ずしも特に<被害>感、<迷惑>感を表してはいない。

 もう少し例を調べた方がいいかもしれないが(興味とヒマのある人は調べてください)、自動詞の受身(形)は<被害感>、<迷惑感>を表すといっていいだろう。

多くの、特に簡単な文法書ではこの<被害、迷惑を表す>という説明が<おまけ>的になっているが、もっと前面に出すべきだろう。というのは人は感謝の気持ちよりも被害感(迷惑感)のほうがはるかに強く、感情表現は言語の重要なな働きだからだ。この被害感(迷惑感)の表現は特に、日本人、韓国人、中国人など東洋系のひと、また特に教育程度の低い人に多いようで(偏見的な見方ではない)、これが言葉に反映しているのではないか。

中国語では他動詞の受身形は<被>を使うが、受身というよりは<被害、迷惑>を表す場合が多いようだ。日本語と同じく<被害、迷惑>を示さない<純>受身は翻訳調になるようだ。

http://dict.cn/en/search/  <被>

Examples:

1.は<被子(掛け布団)>の用例。

2. 她的钱一个奸诈的会计骗去了。
   She was defrauded of her money by a dishonest accountant.
3. 他他的老板解雇了。
   He was fired by his boss.
4. 道路一块大石头堵住了。
   The road was blocked by a huge rock.
5. 这个孩子他的爷爷给惯坏了。
   The child was spoilt by his grandfather.
6. 这座城市已敌人占领。
   The city is held by the enemy.

例文は少ないが自動詞の受身形の例はない(これも興味とヒマのある人は調べてください)。


sptt


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