Friday, August 27, 2021

exist の語源


最近基本的に<out>の意味を持つ英語の接頭辞<ex->を調べている時にたまたま exist の語源を調べる機会があった。英語の語源はたいていネット辞書のwww.dictionary.com を使わしてもらっている。このネット辞書には

Origin of exist
1595–1605; <Latin ex(s)istere to exist, appear, emerge, equivalent to ex-ex-1 + sistere to stand

とある。

- sistere (-sist) には

to assist
to consist, to constitute, consistent
to insist
to persist, persistent
to resist
 
があり<to stand>となんとか関連はある。
 
assist の<a(s)>は<そば(で)> 
consist の<con>は<ともに>。<ともに立つ>は<一部となってささえる>とこじつけられる。
insist の<in>は<中で(に)>で<中で立つ>になる。これは一見 to insist の意味と関係なさそうだが<中でささえる>と考えれば<なかなか倒れない>とこじつけられる。
persist の<per>はperpetual, permanent の<per>で<永久に>。<永久にに立つ>で<しつこく立ち続ける>。 
resist の<re>は<また、ふたたび、くりかえして>で代表的は接頭語だ。to resist <反対する、反抗する>の意味は to stand 自体にあり to stand は<立つ>以外に<立ち向かう>がある。倒れても<また、ふたたび、くりかえして> <立ち向かう>で<かなりしつこく立ち向かう>で<反対する、反抗する>の意味になる。
 
こういうのをイモズル式英単語記憶法という。
 
to exist はこの辞書では
 
appear, emerge という意味があるが to exist (存在する)と appear(現れる、見える)、 emerge(現れる)ではかなり意味が違う。語源は単純に<外に立つ>とすると<現れる、見える>=見えないとところから出て姿を見せる、で関連はある。だが、<外に立つ>、<現れる>は<存在する>とどういう関係があるのか。to exist は日本語では<存在する>に対応する<ある、いる>がある。<ある>は<存在する>以外に
 
ここに小さな石ころがある。
あそこに太郎がいる。
 
という言い方があり、これは存在というほどのことはなく

Here is a small stone (pebble).
There is Taro.

の<is>相当で、特別の場合以外は<存在する>とはいわない。これは<to exist>と<to be>の違いに似ているところがある。また <to be>には copula の用法があって

A is B.
Taro is a small stone.

といういいかたある。一方日本語の方も

A はB である。
太郎は小さな石である。

となって<ある>がでてくるが
 
A はB (だ)。
太郎は小さな石(だ)。
 
という簡潔な言い方もでき<ある>がでてこない。英語では
 
A B.
Taro a small stone.
 
はだめだが、
 
A,  B.(A、すなわちB)
Taro,  a small stone.(太郎、すなわち小さな石)
 
とは言えそうだ(同格か)。
 
これで終わりそうだが、しつこくてまだ終わりではない。
 
上のイモズル式英単語記憶法では取り上げなかったが
 
to subsist 

と言う動詞がある。英和ネット辞書で日本語をあったてみたがどうもしっくりしない。もっとも to subsist 自体英語母国語人でも一生のうちに一度使うか一度も使わないか程度の超低使用頻度動詞だろう。なぜこれを取り上げたかというと to exist (存在する)との対比からだ。subsist の<sub->は<下(で、に))の意の接頭辞。イモズル式英単語記憶法を使うと
 
submarine  潜水艦
subconscious  潜在意識
a subject  主題、主語、subjective  主観的(な)  (-ject もイモズル式に to inject, injection,
to project, projection, a project, to reject、rejection がある)
to submerge  潜(もぐ)らせる、沈ませる (他動詞、自動詞用法もある)
to subdue   減少する、 沈む
to submit  提出する
sub prime (loan) - 一時大きな金融危機を招いた。
subsequently   したがって(followingly というのはないようが、こんな感じだ)
to subscribe  雑誌、新聞を定期的にとる
substance  (基本)物質、substantial  基本的に重要な
to substitute   代替する
subtitle  副題
subtle   微妙な
sub total   小計
subway   地下鉄
sub zero   零度以下
to sustain  維持する、最近はsustainable というのをよく聞く (-tain もイモズル式に to attain, to contain, to retain がある。)
 
さてto subsist に戻り www.dictionary.com で調べてみると
 
Origin of subsist (語源)
1540–50; <Latin subsistere to remain, equivalent to sub-sub- + sistere to stand, make stand; see stand

で to exist に準じている。だが意味はネット英和辞典の日本語とはかなり違う。哲学的になるのだ。

verb (used without object)

1)to exist; continue in existence.
2)to remain alive; live, as on food, resources, etc.
3)to have existence in, or by reason of, something.
4)to reside, lie, or consist (usually followed by in).
Philosophy.
to have timeless or abstract existence, as a number, relation, etc.
to have existence, especially independent existence.

1)は to subsist = to exist だが to continue in existence は意味ありげで、継続的に存在する、存在し続ける、なくならない、という意味だ。

2)この意味はネット英和辞書の日本語にでてくる。現実的、実際的、形而下的な意味の用法だ。

3) xx の中にある、xx が原因である

4)住む、横たわる、xx の中にある(xx の中にあって構成する)

哲学用語

to have timeless or abstract existence, as a number, relation, etc.

は普遍的な存在を言っている。数字や物理法則(因果関係)は普遍的なモノで、普遍的に存在する。

to have existence, especially independent existence.

これは他からの影響を受けない独立的で普遍的な存在を言っている。数字は確かにそうだ。因果関係はこれと矛盾するようだが、因果関係に絡むモノに変化はあるが、物理法則は不変で普遍的なのだ。

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まさに哲学的になってきたが、 哲学は<堂々巡り>的なところがあるので、to exist と to subsist の違いを総括しておく。上のネット辞書の解説にあるように to subsist =to exist のところがある。だが言葉(語源がからむ)からは

 to exist は<外にある>、 to subsist は<下にある>だ。上で<形而下>という哲学用語が出てきたが、 to subsist は

Philosophy.
to have timeless or abstract existence, as a number, relation, etc.
to have existence, especially independent existence.

の普遍性から <形而下>というよりは<形而上>だ。一方 to exist は<外にある>、<現れる(見える)>から<形而下>といえる。つまりは

to exist は<形而下>の存在、<形而下>で存在する。
to subsist は語源に反して<形而上>の存在、<形而上>で存在する。

もっとも<形而下><形而上>は漢語を借用した日本語で、to exist、 to subsist とは直接関係ない。

上で<to subsist 自体英語母国語人でも一生のうちに一度使うか一度も使わない程度の超低使用頻度動詞だろう>と書いたが、これにはわけがある。それは超高使用頻度動詞の<be動詞>があるからだ。だが<be動詞>は使われすぎて<形而上の存在を示す>動詞とはとても思えない。(注)

 

(注)

前回のポスト"<これはペンです>に動詞はないのか?" でこの<be動詞>に相当するイタリア語の essere について相当詳ししく検討してる。もっともこのポストを書き始めたのは前回のポストを書いていた半ばの時だ。

 

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