昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあ さんは川へ洗濯に行きました。
「は」と「が」の使い分け:新情報か既知情報か?
始めの<が>は、昔話の冒頭で、聞いている人にとっておじいさんとおばあさんが住んでいることが新しい情報のためです。続く<は>は、おじ いさんとおばあさんは一度登場してしいて、聞いている人にとって既に知っている情報(既知情報)となっているためです。
というのが一般的な説明。
<なるほど>なのだが、反例はすぐにみつかる。
1)昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行っているときに突然雷が鳴り、大雨が降りだしました。
これは<が>を<は>で置き換えられない。
2)昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行くと、突然雷が鳴り、大雨が降りだしました。
これも<が>を<は>で置き換えられない。
3)昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行こうとすると突然雷が鳴り、大雨が降りだしました。
これは<が>を<は>で置き換えられるが、やや不自然。
4)昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、いつものようにおじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行くのをやめて、おじいさんが川へ洗濯に、おばあさんが山へ芝刈りに行きました。
これも<が>を<は>で置き換えられない。 後の方は
おじいさんは川へ洗濯に、おばあさんは山へ芝刈りに行きました。
でもいい。
以上は<が>の他の用法が優先するためだ。
xxがyyするとき
<xxはyyするとき>は習慣をあらわす。
xxがyyしようすると
<xxはyyしようすると>は習慣、必然的な結果をあらわす。
xxがyyする<の>を、は
xxがyyする<こと>を、は
<xxはyyする<の>、<こと>を、は ー ダメ
いつものようにおじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行くのをやめて
は、<いつものように>から<のをやめて>まで長い挿入があるが、日本人ならば、そして<のをやめて>が念頭にあれば。<が>がでてくるはずだ。
ーーーーー
追記
これは最近発見したもの。まだ詳しくはチェックしていないが、仮定文ではほぼ間違いなく、条件文でも大体は<が>が使われるというもの。<昔々、あるところに>の話では話が進まなくなるが
仮定文
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんが山へ芝刈りに行っても行かなくても、もしおばあさんが川へ洗濯に行かないとすると、桃太郎に遭遇することはなかっただろう。
おじいさんが山へ芝刈りに行っても行かなくても
の方は<は>でもいい。
条件文
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんが山へ芝刈りに行っても行かなくても、適当な時に、おばあさんが川へ洗濯に行くならば、桃太郎に遭遇することになる。
おじいさんが山へ芝刈りに行っても行かなくても
の方は<は>でもいい。
以上はきれぎれになっているのと、みな短いので、長いのを作ってみた。
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある日、いつものように、おじいさんが山へ芝刈りに行こうとすると、おばあさんが<今日はやめておいた方がいい>と言いました。おじいさんが<なぜだね?>と尋ねると、おばあさんが答えるには<まもなく雨が降り出すからだよ>。おじいさんがだまっていると、まもなく雨が降り出しました。しばらくして雨がやむと、おばあさんが<川へ洗濯に行ってくる>と言って、出て行った。またしばらくして、おじいさんが山へ芝刈りに行こうとすると、おばあさんが大きな桃を抱えて帰って来た。
おじいさんが<その大きな桃はどうした>と尋ねたが、おばあさんが黙っていたので、おじいさんが<泥棒はいけない>とさとしたところ、おばあさんが答えて言うには<川で洗濯していると、川上から流れてきたので、すくいあげ、こうして家に持って帰りました。>
さて、おじいさんとおばあさんが<どうしたものか>と顔を見合わせ、思案していると、その大きな桃が突然揺れ動き出して二つに割れ、中から男の子が出てきた。びっくりしたが、おじいさんとおばあさんが近づくと、男の子が<桃から生まれた桃太郎。>と大黄な声で叫んだ。
(以下略)
sptt
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