以下は天気を話題とした場面で、自然現象のためか<が>の使用が比較的多い。
天気予報では今日は雪が降っている。
天气预报说: 今天下雪。
上の日本語は全くダメではないが、ややおかしい。中国語のように
天気予報は今日は雪が降る、と言っている。
だろう。
今日は雨が降る。
今天有雨。今天下雨。
これは別のところで詳しく書いている。
中国語では<は>相当の語がないが、日本語で
今日雨が降る。と
今日は雨が降る。
では少し違う。<は>に意味、役割があるからだ。
今日雨が降る。は
中立の叙述で It will rain today.
一方<今日は雨が降る>は
今日について言えば、雨が降る。
さらには
明日ではなく今日について言えば、雨が降る。
<は>は限定の働きがあるが、制限された限定、選択肢を残した限定で
明日ではなく ( 明日ではなくとも、今日でなければいい) が<制限された限定、選択肢を残した限定>になる。
一方中国語の方は
今天有雨。今天下雨。
It will rain today. 或いは It rains today. で中立。
今天是有雨。今天是下雨。とすれば
今天=有雨、下雨 だが
今日は雨が降る。
の意になるか?
<雨が降る>の<が>については最近のポスト
<下雨了>,<雨だ>の文法分析 (追加)
中国語と日本語の時制表現 ー2 <下雨了>,<雨だ>の文法分析
などで、飽きるほどしつこく書いてあるで、こちらを参照。
今日は風が強い。
今天刮风。
<刮>
コトババンク 中日辞典
[動]
[注意]“吹风”といえば普通ドライヤーをかけること.
~风/風が吹く.
大风~了一天一夜/大風が一昼夜吹いた~胡子
/ひげをそる.”
雨で置き換えると
下
(雨) が降る
下雨/雨が降る
大雨下了一天一夜
もちろん<下>には別の意味もあるが。基本的には語順を含めて<下>も<刮>同じような使われ方だ。この使われ方では<下>も<刮>も自動詞。私が住む香港の広東語では<下>は使われず<落雨>と言う、<刮>は使われず<打風>と言う。
霧が出た。
下雾了。
風が出る。日が出る。月が出る。雲が出る。
自然現象では<が>が一般に使われる。天気ほどの自然現象ではないが
汗が出る。 涙が出る。鼻(水)が出る。咳が出る。血が出る、の生理現象も<が>が一般に使われる。はネット翻訳では
我出汗了。
眼泪都出来了。
我在流鼻水・
我咳嗽。
血出来了。
で語順は<下雨>と同じだ。雨と違って<我>を頭における。だが、自分が<出す>わけではないので、<私が>ではなく<私は>になるが、<私について言えば>のニュアンスはない。<私>は場所とも言える。
英語のネット翻訳は
I sweat.
Tears come out.
runny nose(名詞)
I have a cough.
Blood comes out.
で統一がとれておらずメチャクチャだ。
病気関連も<が>がよく使われるが、別途取り上げる。
水が凍 (こお) った。
冻冰了。
日本語は変で、まずこうは言わない。<氷が張った>が普通だろう。この現象は<水が変じて氷になる>で<雨、雪がふる>、<風、霧が出る>とは違い。やや複雑で、表現のし方は、どう見る、どう表現するで、言語によってさまざまだろう。
日本語特有と思われる<湯が沸く>は上で出てきた。
水が流れる。川が流れる。(水が流れて川となる) だが
水は流れる。川は流れる。はよく言う。
今日は風とほこりがとてもひどい。
今天的风沙很大。
中国語の方は、文字通りでは
今日の風とほこり (多分砂ぼこり) とても大きい。<大>は形容詞で
風とほこりとても大きい
で<が>相当の語がない。つまりは<名詞の主語、風とほこり>と<形容詞、大きい>を並べるだけなのだ。簡単でいいが、最初は違和感がある。だが逆に言うと、日本語を学ぶ中国人にとって<風とほこり>と<大きい>の間に<が>を置くのは違和感があるどころか、慣れるまでは至難の業だろう。日本語に興味のある学習者なら<風とほこり大きい>でいいのに、なぜ<風とほこりがとても大きい(ひどい)>と言うのか? さらには<風とほこりはとても大きい(ひどい)>とどう違うのか?という疑問がわくだろう。この疑問に答えるのは簡単ではない。
前々回のポスト " <が>と<は>の使い分け。中国語ではどうする。" で引用したが
”
<助詞「は」「が」の使い分け| 外国人に教える際の使い分けのルールを解説!>
https://japanese-bank.com/nihongo-how-to-teach/ha-ga-difference/
1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)
「伝えたい情報(新情報)には「が」、すでに分かっている情報(旧情報)には「は」を使う」
「は」の文では、伝えたい情報は「は」の後に来る。
「が」の文では、伝えたい情報は「が」の前に来る。
「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)
「現象をそのままいうときは「が」、判断、評価したときは「は」を使う」
”
を参考にして解説を試みる。
今日の風とほこりがとてもひどい。 かなりダメ
もとの日本語では
今日は風とほこりがとてもひどい。 OK
今日の風とほこりがとてもひどい。
が<おおかたダメ>なのを説明するのは難しい。
1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)
<風とほこり>は<新情報>とも<旧情報>ともいい難い。
<風とほこり>の前に<今日の>があり、かなり限定された<風とほこり>なので<旧情報、既知情報>っぽい。少なくとも聞き手に取って<新情報>とは言い難い。
「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)
発話の内容が<今日の風とほこりについて>の説明、解説、(判断) で現象文でないからだろう。<が>は現象を伝える。だが
<風とほこり>はクセモノで<風とほこり>(体言、名詞)だけで<風とほこりが出る> (現象) とは言っていない。 つまりは<風とほこり>の説明、解説になる。
「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)
今日は風とほこりはとてもひどい。
が<おおかたダメ>なのは、<は>が二度出てきて語呂が悪い。内容的には<今日はと言えば>、<風とほこりはと言えば>となり、話題が<今日>と<風とほこり>の二つとなる。だが<おおかたダメ>で<まったくダメ>というわけではない。説明、解説、判断調になる。
今日は風とほこりがとてもひどい。
は<現象>の報告になる。但し<とてもひどい風とほこりだ> という現象で<とてもひどい風が吹き、とてもひどい砂ぼこりがたっている>という動的な現象の報告ではない。
稲妻が光り雷が鳴る。
电闪雷鸣。
中国語はきわめて簡潔。名詞と動詞を<名詞><動詞>の順で並べただけだ。これだけでは
稲妻が光り雷が鳴る。
とも
稲妻は光り雷は鳴る。
なりそうだ。 <稲妻が光り雷が鳴る (っている) >は現象文だ。だが<稲妻は光り雷は鳴る。>も現象文と言えないことはない。この自然現象を説明、解説しようとすると。
稲妻は光るもの、雷は鳴るもの。
で、これは
稲妻が光るもの、雷が鳴るもの。
の用法は全くダメではないがごく限らているだろう。
中国語にならえば。、やや古風だが
稲妻光り雷鳴る。
でもいい。
空気がひどく汚れている。
空气污染的厉害。
状況報告として<空気がひどく汚れている>と<空気はひどく汚れている>は大差ない。<今日は>を冒頭に置くと様子が違ってくる。
今日は空気がひどく汚れている。 OK
今日は空気はひどく汚れている。 場合によりOK
今日は空気はひどく汚れている。
は<は>が続いて二度出てきて語呂が悪いが、
今日の空気はひどく汚れている。
に近い。
ところで、この例文の下に<は>が出てくる例文がある。
今日はとても涼しい。
今天的天气真凉快。
凉 (サンズイではなくニスイ) 快 = 涼しい、がピンとこないが(広東語では、涼爽という)並べ方は、少し前に取り上げた
今天的风沙很大。今日は風とほこりがとてもひどい。
と全く同じだ。これにならうと<が>を使った
今日は天気がとても涼しい。
となる。中国語では<天气>があるが日本語では<天气が>がない
今日はとても涼しい。
めずらしく日本の方が簡潔だ。同じような例文が並んでいるが、中国語の方も簡潔だ。
今日はとても寒い。今天真冷。
今日はとても暖かい。
今天暖和。
天気のことを言うのにわざわざ<天気は>ということはない、ということか。
sptt
私の言ったことがわかりましたか?
我说的是你明白吗?
你明白吗? ー 我明白。 我明白了。
はよく聞く。< 私の言ったことがわかりますか?>も同じだろう。ところで日本語で<私の言ったことがわかりましたか?>でないとダメなのは、例えば
あの時、私の言ったことがわかりましたか?
で、過去を示す語や句が出てくる場合だろう。これは意外と重要なことだ。
sptt
以下は天気を話題とした場面で、自然現象にためか<が>の使用が比較的多い。
天気予報では今日は雪が降っている。
天气预报说: 今天下雪。
上の日本語は全くダメではないが、ややおかしい。中国語のように
天気予報は今日は雪が降る、と言っている。
だろう。
今日は雨が降る。
今天有雨。今天下雨。
これは別のところで詳しく書いている。
中国語では<は>相当の語がないが、日本語で
今日雨が降る。と
今日は雨が降る。
では少し違う。<は>に意味、役割があるからだ。
今日雨が降る。は
中立の叙述で It will rain today.
一方<今日は雨が降る>は
今日について言えば、雨が降る。
さらには
明日ではなく今日について言えば、雨が降る。
<は>は限定の働きがあるが、制限された限定、選択肢を残した限定で
明日ではなく ( 明日ではなくとも、今日でなければいい) が<制限された限定、選択肢を残した限定>になる。
一方中国語の方は
今天有雨。今天下雨。
It will rain today. 或いは It rains today. で中立。上の例にならって
今天是有雨。今天是下雨。とすれば
今日は雨が降る。
の意になるか?
<雨が降る>の<が>については最近のポスト
<下雨了>,<雨だ>の文法分析 (追加)
中国語と日本語の時制表現 ー2 <下雨了>,<雨だ>の文法分析
などで、飽きるほどしつこく書いてあるで、こちらを参照。
今日は風が強い。
今天刮风。
<刮>
コトババンク 中日辞典
[動]
[注意]“吹风”といえば普通ドライヤーをかけること.
~风/風が吹く.
大风~了一天一夜/大風が一昼夜吹いた~胡子
/ひげをそる.”
雨で置き換えると
下
(雨) が降る
下雨/雨が降る
大雨下了一天一夜
もちろん<下>には別の意味もあるが。基本的には語順を含めて<下>も<刮>同じような使われ方だ。この使われ方では<下>も<刮>も自動詞。私が住む香港の広東語では<下>は使われず<落雨>と言う、<刮>は使われず<打風>と言う。
霧が出た。
下雾了。
風が出る。日が出る。月が出る。雲が出る。
自然現象では<が>が一般に使われる。天気ほどの自然現象ではないが
汗が出る。 涙がる。鼻が出る。咳が出る。
の生理現象もが>が一般に使われる。
水が凍 (こお) った。
冻冰了。
日本語は変で、まずこうは言わない。<氷が張った>が普通だろう。この現象は<水が変じて氷になる>で<雨、雪がふる>、<風、霧が出る>とは違い。やや複雑で、表現のし方は、どう見る、どう表現するで、言語によってさまざまだろう。
日本語特有と思われる<湯が沸く>は上で出てきた。
水が流れる。川が流れる。(水が流れて川となる) だが
水は流れる。川は流れる。はよく言う。
今日は風とほこりがとてもひどい。
今天的风沙很大。
中国語の方は、文字通りでは
今日の風とほこり (多分砂ぼこり) とても大きい。<大>は形容詞で
風とほこりとても大きい
で<が>相当の語がない。つまりは<名詞の主語、風とほこり>と<形容詞、大きい>を並べるだけなのだ。簡単でいいが、最初は違和感がある。だが逆に言うと、日本語を学ぶ中国人にとって<風とほこり>と<大きい>の間に<が>を置くのは違和感があるどころか、慣れるまでは至難の業だろう。日本語に興味のある学習者なら<風とほこり大きい>でいいのに、なぜ<風とほこりがとても大きい(ひどい)>と言うのか? さらには<風とほこりはとても大きい(ひどい)>とどう違うのか?という疑問がわくだろう。この疑問に答えるのは簡単ではない。
前々回のポスト " <が>と<は>の使い分け。中国語ではどうする。" で引用したが
”
<助詞「は」「が」の使い分け| 外国人に教える際の使い分けのルールを解説!>
https://japanese-bank.com/nihongo-how-to-teach/ha-ga-difference/
1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)
「伝えたい情報(新情報)には「が」、すでに分かっている情報(旧情報)には「は」を使う」
「は」の文では、伝えたい情報は「は」の後に来る。
「が」の文では、伝えたい情報は「が」の前に来る。
「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)
「現象をそのままいうときは「が」、判断、評価したときは「は」を使う」
”
を参考にして解説を試みる。
今日の風とほこりがとてもひどい。 かなりダメ
もとの日本語では
今日は風とほこりがとてもひどい。 OK
今日の風とほこりがとてもひどい。
が<おおかたダメ>なのを説明するのは難しい。
1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)
<風とほこり>は<新情報>とも<旧情報>ともいい難い。
<風とほこり>の前に<今日の>があり、かなり限定された<風とほこり>なので<旧情報、既知情報>っぽい。少なくとも聞き手に取って<新情報>とは言い難い。
「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)
発話の内容が<今日の風とほこりについて>の説明、解説、(判断) で現象文でないからだろう。<が>は現象を伝える。だが
<風とほこり>はクセモノで<風とほこり>(体言、名詞)だけで<風とほこりが出る> (現象) とは言っていない。 つまりは<風とほこり>の説明、解説になる。
「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)
今日は風とほこりはとてもひどい。
が<おおかたダメ>なのは、<は>が二度出てきて語呂が悪い。内容的には<今日はと言えば>、<風とほこりはと言えば>となり、話題が<今日>と<風とほこり>の二つとなる。だが<おおかたダメ>で<まったくダメ>というわけではない。説明、解説、判断調になる。
今日は風とほこりがとてもひどい。
は<現象>の報告になる。但し<とてもひどい風とほこりだ> という現象で<とてもひどい風が吹き、とてもひどい砂ぼこりがたっている>という動的な現象の報告ではない。
稲妻が光り雷が鳴る。
电闪雷鸣。
中国語はきわめて簡潔。名詞と動詞を<名詞><動詞>の順で並べただけだ。これだけでは
稲妻が光り雷が鳴る。
とも
稲妻は光り雷は鳴る。
なりそうだ。 <稲妻が光り雷が鳴る (っている) >は現象文だ。だが<稲妻は光り雷は鳴る。>も現象文と言えないことはない。この自然現象を説明、解説しようとすると。
稲妻は光るもの、雷は鳴るもの。
で、これは
稲妻が光るもの、雷が鳴るもの。
の用法は全くダメではないがごく限らているだろう。
中国語にならえば。、やや古風だが
稲妻光り雷鳴る。
でもいい。
空気がひどく汚れている。
空气污染的厉害。
状況報告として<空気がひどく汚れている>と<空気はひどく汚れている>は大差ない。<今日は>を冒頭に置くと様子が違ってくる。
今日は空気がひどく汚れている。 OK
今日は空気はひどく汚れている。 場合によりOK
今日は空気はひどく汚れている。
は<は>が続いて二度出てきて語呂が悪いが、
今日の空気はひどく汚れている。
に近い。
ところで、この例文の下に<は>が出てくる例文がある。
今日はとても涼しい。
今天的天气真凉快。
凉 (サンズイではなくニスイ) 快 = 涼しい、がピンとこないが(広東語では、涼爽という)並べ方は、少し前に取り上げた
今天的风沙很大。今日は風とほこりがとてもひどい。
と全く同じだ。これにならうと<が>を使った
今日は天気がとても涼しい。
となる。中国語では<天气>があるが日本語では<天气が>がない
今日はとても涼しい。
めずらしく日本の方が簡潔だ。同じような例文が並んでいるが、中国語の方も簡潔だ。
今日はとても寒い。今天真冷。
今日はとても暖かい。
今天暖和。
天気のことを言うのにわざわざ<天気は>ということはない、ということか。
以上が天気を話題とした場面の例文で、他の場面に比べて<が>がよく出てくる。
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