Tuesday, September 12, 2023

<が>と<は>の使い分け。中国語ではどうする。-5(雨が降る。天気)


以下は天気を話題とした場面で、自然現象のためか<が>の使用が比較的多い。

 

天気予報では今日は雪が降っている。

天气预报说: 今天下雪。

上の日本語は全くダメではないが、ややおかしい。中国語のように 

天気予報は今日は雪が降る、と言っている。

だろう。

 

今日は雨が降る。

今天有雨。今天下雨。

これは別のところで詳しく書いている。

 中国語では<は>相当の語がないが、日本語で

今日雨が降る。と

今日は雨が降る。

では少し違う。<は>に意味、役割があるからだ。

今日雨が降る。は

中立の叙述で It will rain today.

一方<今日は雨が降る>は 

今日について言えば、雨が降る。

さらには

明日ではなく今日について言えば、雨が降る。

は>は限定の働きがあるが、制限された限定、選択肢を残した限定で

明日ではなく ( 明日ではなくとも、今日でなければいい) が<制限された限定、選択肢を残した限定>になる。

一方中国語の方は

今天有雨。今天下雨。

 It will rain today.  或いは It rains today. で中立。

今天有雨。今天下雨。とすれば

 今天=有雨、下雨 だが

今日は雨が降る。

の意になるか?

<雨が降る>の<が>については最近のポスト

<下雨了>,<雨だ>の文法分析 (追加)
中国語と日本語の時制表現 ー2 <下雨了>,<雨だ>の文法分析

などで、飽きるほどしつこく書いてあるで、こちらを参照。


今日は風が強い。

今天刮风。

<刮>

コトババンク 中日辞典

[動]

(風が)吹く

[注意]“吹风”といえば普通ドライヤーをかけること.

~风/風が吹く.

大风~了一天一夜/大風が一昼夜吹いた

2 そるこすり削る.こすり落とす.

~胡子húzi/ひげをそる.

” 

雨で置き換えると

(雨) が降る

下雨/雨が降る

大雨下了一天一夜

もちろん<下>には別の意味もあるが。基本的には語順を含めて<下>も<刮>同じような使われ方だ。この使われ方では<下>も<刮>も自動詞。私が住む香港の広東語では<下>は使われず<落雨>と言う、<刮>は使われず<打風>と言う。


霧が出た。

下雾了。

風が出る。日が出る。月が出る。雲が出る。

自然現象では<が>が一般に使われる。天気ほどの自然現象ではないが

汗が出る。 涙が出る。鼻(水)が出る。咳が出る。血が出る、の生理現象も<が>が一般に使われる。はネット翻訳では

我出汗了。
眼泪都出来了。
我在流鼻水・
我咳嗽。
血出来了。

で語順は<下雨>と同じだ。雨と違って<我>を頭における。だが、自分が<出す>わけではないので、<私が>ではなく<私は>になるが、<私について言えば>のニュアンスはない。<私>は場所とも言える。

英語のネット翻訳は

I sweat.
Tears come out.
runny nose(名詞)
I have a cough.
Blood comes out. 

で統一がとれておらずメチャクチャだ。

病気関連も<が>がよく使われるが、別途取り上げる。


水が凍 (こお) った。

冻冰了。

日本語は変で、まずこうは言わない。<氷が張った>が普通だろう。この現象は<水が変じて氷になる>で<雨、雪がふる>、<風、霧が出る>とは違い。やや複雑で、表現のし方は、どう見る、どう表現するで、言語によってさまざまだろう。

 日本語特有と思われる<湯が沸く>は上で出てきた。

水が流れる。川が流れる。(水が流れて川となる) だが

水は流れる。川は流れる。はよく言う。

 

今日は風とほこりがとてもひどい。

今天的风沙很大。

中国語の方は、文字通りでは

今日の風とほこり (多分砂ぼこり) とても大きい。<大>は形容詞で

風とほこりとても大きい

で<が>相当の語がない。つまりは<名詞の主語、風とほこり>と<形容詞、大きい>を並べるだけなのだ。簡単でいいが、最初は違和感がある。だが逆に言うと、日本語を学ぶ中国人にとって<風とほこり>と<大きい>の間に<が>を置くのは違和感があるどころか、慣れるまでは至難の業だろう。日本語に興味のある学習者なら<風とほこり大きい>でいいのに、なぜ<風とほこりとても大きい(ひどい)>と言うのか? さらには<風とほこりとても大きい(ひどい)>とどう違うのか?という疑問がわくだろう。この疑問に答えるのは簡単ではない。

前々回のポスト " <が>と<は>の使い分け。中国語ではどうする。" で引用したが


<助詞「は」「が」の使い分け| 外国人に教える際の使い分けのルールを解説!>
https://japanese-bank.com/nihongo-how-to-teach/ha-ga-difference/

1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)

「伝えたい情報(新情報)には「が」、すでに分かっている情報(旧情報)には「は」を使う」

「は」の文では、伝えたい情報は「は」の後に来る。

「が」の文では、伝えたい情報は「が」の前に来る。

「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)

「現象をそのままいうときは「が」、判断、評価したときは「は」を使う」

 ”

を参考にして解説を試みる。

今日の風とほこりとてもひどい。 OK
今日の風とほこりとてもひどい。 かなりダメ

もとの日本語では

今日は風とほこりとてもひどい。 おおかたダメ
今日は風とほこりとてもひどい。 OK

 

今日の風とほこりとてもひどい。 

が<おおかたダメ>なのを説明するのは難しい。

1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)

<風とほこり>は<新情報>とも<旧情報>ともいい難い。

 <風とほこり>の前に<今日の>があり、かなり限定された<風とほこり>なので<旧情報、既知情報>っぽい。少なくとも聞き手に取って<新情報>とは言い難い。

「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)

発話の内容が<今日の風とほこりについて>の説明、解説、(判断) で現象文でないからだろう。<が>は現象を伝える。だが

<風とほこり>はクセモノで<風とほこり>(体言、名詞)だけで<風とほこりが出る> (現象) とは言っていない。 つまりは<風とほこり>の説明、解説になる。

「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)

 

今日は風とほこりとてもひどい。

が<おおかたダメ>なのは、<は>が二度出てきて語呂が悪い。内容的には<今日はと言えば>、<風とほこりはと言えば>となり、話題が<今日>と<風とほこり>の二つとなる。だが<おおかたダメ>で<まったくダメ>というわけではない。説明、解説、判断調になる。

今日は風とほこりとてもひどい。

は<現象>の報告になる。但し<とてもひどい風とほこり> という現象で<とてもひどい風が吹き、とてもひどい砂ぼこりがたっている>という動的な現象の報告ではない。

 

稲妻が光り雷が鳴る。

电闪雷鸣。

中国語はきわめて簡潔。名詞と動詞を<名詞><動詞>の順で並べただけだ。これだけでは

稲妻が光り雷が鳴る。

とも

稲妻は光り雷は鳴る。

なりそうだ。 <稲妻が光り雷が鳴る (っている) >は現象文だ。だが<稲妻は光り雷は鳴る。>も現象文と言えないことはない。この自然現象を説明、解説しようとすると。

稲妻は光るもの、雷は鳴るもの。

で、これは

稲妻が光るもの、雷が鳴るもの。

の用法は全くダメではないがごく限らているだろう。

中国語にならえば。、やや古風だが

稲妻光り雷鳴る。

でもいい。

 

空気がひどく汚れている。

空气污染的厉害。

 

状況報告として<空気がひどく汚れている>と<空気はひどく汚れている>は大差ない。<今日は>を冒頭に置くと様子が違ってくる。

今日は空気がひどく汚れている。 OK
今日は空気はひどく汚れている。 場合によりOK

 今日は空気はひどく汚れている。

は<は>が続いて二度出てきて語呂が悪いが、

今日の空気はひどく汚れている。

に近い。 

 

ところで、この例文の下に<は>が出てくる例文がある。

今日はとても涼しい。

今天的天气真凉快。

凉 (サンズイではなくニスイ) 快 = 涼しい、がピンとこないが(広東語では、涼爽という)並べ方は、少し前に取り上げた

今天的风沙很大。今日は風とほこりがとてもひどい。

と全く同じだ。これにならうと<が>を使った

今日は天気がとても涼しい。

となる。中国語では<天气>があるが日本語では<天气が>がない

今日はとても涼しい。

めずらしく日本の方が簡潔だ。同じような例文が並んでいるが、中国語の方も簡潔だ。

今日はとても寒い。
今天真冷。

今日はとても暖かい。
今天暖和。

天気のことを言うのにわざわざ<天気は>ということはない、ということか。



sptt

 

 私の言ったことがわかりましたか?

我说的是你明白吗?

你明白吗? ー 我明白。 我明白了。

はよく聞く。< 私の言ったことがわかりますか?>も同じだろう。ところで日本語で<私の言ったことがわかりましたか?>でないとダメなのは、例えば

あの時、私の言ったことがわかりましたか?

で、過去を示す語や句が出てくる場合だろう。これは意外と重要なことだ。

 

 sptt

 

 

 


 

 

 

以下は天気を話題とした場面で、自然現象にためか<が>の使用が比較的多い。

 

天気予報では今日は雪が降っている。

天气预报说: 今天下雪。

上の日本語は全くダメではないが、ややおかしい。中国語のように 

天気予報は今日は雪が降る、と言っている。

だろう。

 

今日は雨が降る。

今天有雨。今天下雨。

これは別のところで詳しく書いている。

 中国語では<は>相当の語がないが、日本語で

今日雨が降る。と

今日は雨が降る。

では少し違う。<は>に意味、役割があるからだ。

今日雨が降る。は

中立の叙述で It will rain today.

一方<今日は雨が降る>は 

今日について言えば、雨が降る。

さらには

明日ではなく今日について言えば、雨が降る。

は>は限定の働きがあるが、制限された限定、選択肢を残した限定で

明日ではなく ( 明日ではなくとも、今日でなければいい) が<制限された限定、選択肢を残した限定>になる。

一方中国語の方は

今天有雨。今天下雨。

 It will rain today.  或いは It rains today. で中立。上の例にならって

今天有雨。今天下雨。とすれば

今日は雨が降る。

の意になるか?

<雨が降る>の<が>については最近のポスト

<下雨了>,<雨だ>の文法分析 (追加)
中国語と日本語の時制表現 ー2 <下雨了>,<雨だ>の文法分析

などで、飽きるほどしつこく書いてあるで、こちらを参照。


今日は風が強い。

今天刮风。

<刮>

コトババンク 中日辞典

[動]

(風が)吹く

[注意]“吹风”といえば普通ドライヤーをかけること.

~风/風が吹く.

大风~了一天一夜/大風が一昼夜吹いた

2 そるこすり削る.こすり落とす.

~胡子húzi/ひげをそる.

” 

雨で置き換えると

(雨) が降る

下雨/雨が降る

大雨下了一天一夜

もちろん<下>には別の意味もあるが。基本的には語順を含めて<下>も<刮>同じような使われ方だ。この使われ方では<下>も<刮>も自動詞。私が住む香港の広東語では<下>は使われず<落雨>と言う、<刮>は使われず<打風>と言う。


霧が出た。

下雾了。

風が出る。日が出る。月が出る。雲が出る。

自然現象では<が>が一般に使われる。天気ほどの自然現象ではないが

汗が出る。 涙がる。鼻が出る。咳が出る。

の生理現象もが>が一般に使われる。


水が凍 (こお) った。

冻冰了。

日本語は変で、まずこうは言わない。<氷が張った>が普通だろう。この現象は<水が変じて氷になる>で<雨、雪がふる>、<風、霧が出る>とは違い。やや複雑で、表現のし方は、どう見る、どう表現するで、言語によってさまざまだろう。

 日本語特有と思われる<湯が沸く>は上で出てきた。

水が流れる。川が流れる。(水が流れて川となる) だが

水は流れる。川は流れる。はよく言う。

 

今日は風とほこりがとてもひどい。

今天的风沙很大。

中国語の方は、文字通りでは

今日の風とほこり (多分砂ぼこり) とても大きい。<大>は形容詞で

風とほこりとても大きい

で<が>相当の語がない。つまりは<名詞の主語、風とほこり>と<形容詞、大きい>を並べるだけなのだ。簡単でいいが、最初は違和感がある。だが逆に言うと、日本語を学ぶ中国人にとって<風とほこり>と<大きい>の間に<が>を置くのは違和感があるどころか、慣れるまでは至難の業だろう。日本語に興味のある学習者なら<風とほこり大きい>でいいのに、なぜ<風とほこりとても大きい(ひどい)>と言うのか? さらには<風とほこりとても大きい(ひどい)>とどう違うのか?という疑問がわくだろう。この疑問に答えるのは簡単ではない。

前々回のポスト " <が>と<は>の使い分け。中国語ではどうする。" で引用したが


<助詞「は」「が」の使い分け| 外国人に教える際の使い分けのルールを解説!>
https://japanese-bank.com/nihongo-how-to-teach/ha-ga-difference/

1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)

「伝えたい情報(新情報)には「が」、すでに分かっている情報(旧情報)には「は」を使う」

「は」の文では、伝えたい情報は「は」の後に来る。

「が」の文では、伝えたい情報は「が」の前に来る。

「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)

「現象をそのままいうときは「が」、判断、評価したときは「は」を使う」

 ”

を参考にして解説を試みる。

今日の風とほこりとてもひどい。 OK
今日の風とほこりとてもひどい。 かなりダメ

もとの日本語では

今日は風とほこりとてもひどい。 おおかたダメ
今日は風とほこりとてもひどい。 OK

 

今日の風とほこりとてもひどい。 

が<おおかたダメ>なのを説明するのは難しい。

1. 「は」と「が」の使い分け①:情報のルール(新情報か旧情報か?)

<風とほこり>は<新情報>とも<旧情報>ともいい難い。

 <風とほこり>の前に<今日の>があり、かなり限定された<風とほこり>なので<旧情報、既知情報>っぽい。少なくとも聞き手に取って<新情報>とは言い難い。

「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)

発話の内容が<今日の風とほこりについて>の説明、解説、(判断) で現象文でないからだろう。<が>は現象を伝える。だが

<風とほこり>はクセモノで<風とほこり>(体言、名詞)だけで<風とほこりが出る> (現象) とは言っていない。 つまりは<風とほこり>の説明、解説になる。

「は」と「が」の使い分け②:文の性質のルール(現象文か判断文か?)

 

今日は風とほこりとてもひどい。

が<おおかたダメ>なのは、<は>が二度出てきて語呂が悪い。内容的には<今日はと言えば>、<風とほこりはと言えば>となり、話題が<今日>と<風とほこり>の二つとなる。だが<おおかたダメ>で<まったくダメ>というわけではない。説明、解説、判断調になる。

今日は風とほこりとてもひどい。

は<現象>の報告になる。但し<とてもひどい風とほこり> という現象で<とてもひどい風が吹き、とてもひどい砂ぼこりがたっている>という動的な現象の報告ではない。

 

稲妻が光り雷が鳴る。

电闪雷鸣。

中国語はきわめて簡潔。名詞と動詞を<名詞><動詞>の順で並べただけだ。これだけでは

稲妻が光り雷が鳴る。

とも

稲妻は光り雷は鳴る。

なりそうだ。 <稲妻が光り雷が鳴る (っている) >は現象文だ。だが<稲妻は光り雷は鳴る。>も現象文と言えないことはない。この自然現象を説明、解説しようとすると。

稲妻は光るもの、雷は鳴るもの。

で、これは

稲妻が光るもの、雷が鳴るもの。

の用法は全くダメではないがごく限らているだろう。

中国語にならえば。、やや古風だが

稲妻光り雷鳴る。

でもいい。

 

空気がひどく汚れている。

空气污染的厉害。

 

状況報告として<空気がひどく汚れている>と<空気はひどく汚れている>は大差ない。<今日は>を冒頭に置くと様子が違ってくる。

今日は空気がひどく汚れている。 OK
今日は空気はひどく汚れている。 場合によりOK

 今日は空気はひどく汚れている。

は<は>が続いて二度出てきて語呂が悪いが、

今日の空気はひどく汚れている。

に近い。 

 

ところで、この例文の下に<は>が出てくる例文がある。

今日はとても涼しい。

今天的天气真凉快。

凉 (サンズイではなくニスイ) 快 = 涼しい、がピンとこないが(広東語では、涼爽という)並べ方は、少し前に取り上げた

今天的风沙很大。今日は風とほこりがとてもひどい。

と全く同じだ。これにならうと<が>を使った

今日は天気がとても涼しい。

となる。中国語では<天气>があるが日本語では<天气が>がない

今日はとても涼しい。

めずらしく日本の方が簡潔だ。同じような例文が並んでいるが、中国語の方も簡潔だ。

今日はとても寒い。
今天真冷。

今日はとても暖かい。
今天暖和。

天気のことを言うのにわざわざ<天気は>ということはない、ということか。

以上が天気を話題とした場面の例文で、他の場面に比べて<が>がよく出てくる。

 

 sptt

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