Friday, December 21, 2012

<たつ>、<たてる>の多義性-3 接辞的用法


1.<飛び立つ>と<降り立つ>

<飛び立つ>と<降り立つ>は合点(がてん)がいかない。<飛びたつ>は<飛び立つ>ではなく<飛び発つ>だろう。<降り立つ>は<立つ>でもよさそうだが(降りて足で立つ)、おそら意味は<to stand><立つ>ではなく、位置は違うが接辞に関系しているのではないか?

 関連表現

舞い立つ(発つ)
舞い降りる
舞い降りたつ


<たちxxx>-接頭語

私が使っている辞書(三省堂)では下記例を挙げているが意味の説明がない。

たち至(いた)る
たち勝(まさ)る
たち返(かえ)る
たち分かれる
たち消える
----

たち至(いた)る
<たつ>に<現れる>、<目に見えるようになる(目に立つ))>の意があり、<いたる>は<xx着く>、<xxになる>の意だ。したがって< たちいたる>は<xxになる>の強調で<目に見えるようにxxになる>の意。

たち勝(まさ)る
これも<たちいたる>と同じで<たち>は<目に見えるようになる(目に立つ)>の意で、<たちまさる>は<目に見えるようにまさる>の意だ。

たち返(かえ)る
この<たち>は、<基本にたちかえる>のような言い方からすると<横のものが縦になる>の<立つ>の意だろう。また<立つ>には<に>に付いて<位置を占める>の意がある。

帝位に立つ - これは<就(つ)く>も可能
苦境に立つ - 苦境に<つく>はダメ
優位に立つ - 優位に<つく>はダメ

したがって、<もどって元の位置に立つ>の意になる。

たち分かれる
<たち分かれる>はあまり聞いたことがないが、<すっきりと分かれる>、<急に分かれる>のような意味だとするとこの<たち>は<断つ>の<断ち>だ。普通断つ(切る)のに時間はかけない。

 たち消える
<たち消える>は時間は急とは限らないが、やはり<断つ>の<断ち>だろう。消える前と消えた後の境、消える瞬間がすっきりしない(曖昧)な感じがある。<たち現れる>も同類だがこちらの方は<急に、思いがけなく現れる>の感じもある。ただしこの感じだけではない。

以上の外

たち寄る - - (すっきりしない(曖昧)な感じで、ちょっと)寄る

がある。

一般に辞書の接辞(接頭語、接尾語)の解説は比較的簡単だ。これは、<た><たて>意味のよくわからない接辞が多いからではないか。

<xxxたつ>- 接尾語

辞書(三省堂)には

たけりたつ
たぎりたつ
いきりたつ
煮え立つ
沸き立つ

があげられている。これ以外では

浮き立つ
渦巻き立つ
奮(ふるい)い立つ

が同類だろう。

本来の<立つ>の意味1)横のもの(ねているもの)が縦になる>、2)現れる、目に見えるようになるもあるが、<盛んになる>、<程度が高くなる>の意が加わっている。

<xxxたてる>- 接尾語

辞書(三省堂)には

はやしたてる
まくしたてる
書き立てる
取り立てる
暴(あば)き立てる

があげられている。これ以外では

煽(あお)り立てる
言い立てる
掻き立てる
がなり立てる 
駆り立てる
せき立てる
申し立てる
わめき立てる

も同類だろう。<たつ>と同じく本来の<立てる>の意味1)横のもの(ねているもの)が縦にする>、2)現わす、目に見えるようにするもあるが、<盛んにする>、<たえまなくxxする>の意が加わっている。



sptt

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