Friday, December 28, 2012

使役の助動詞<せる><させる>



Japan Wiki 使役の助動詞の紹介は次のようになっている。

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令

使役 せる せる せる せれ せよ
せろ
下一段型 五段動詞とサ変動詞に接続する。
させる させ させ させる させる させれ させよ
させろ 
下一段型 上一段・下一段・カ変動詞に接続する。

接続:動詞の未然形に付く


わたしが使っている三省堂辞書や簡単な文法書では<せる><させる>に加えて<しめる>を載せてせている。

少し調べてみると分かるが動詞の未然形に付きかつ<使役>の意味を持つのに<す>と<さす>もある。三省堂辞書では<さす>は関西、西日本方面の方言と解説しているが、<す>の助動詞としての説明はない。

五段動詞とサ変動詞
行く - 行かせる -- 行か、 行かさす、 行かさせる
する - させる -- さ、 ささす、 ささせる

上記の例では五段動詞とサ変動詞でも<させる>をとることができる。

上一段動詞
見る - 見させる -- 見さす、 見す(X)、見せる、 見せさす、 
起きる - 起きさせる --> 起こす、起こさす、起きさす、 起きす(X) 起きせる(X)

<起こす>は<起きる>の特別変化とも<起こす>で独立した動詞(他動詞)とも見ることができる。 上記の例では<起きせる>はダメだが<見る>は<せる>もとれる。<見る>、<見せる>はかなり複雑で、<見せる>は普通 to show something の意だが、<それを私に見せてください>の場合には、相手が<見せる>と同時に私が<見る>ことになる。したがって、<それを私に見させてください>とも言える。さらに<見させる>は to make someone (not me) to see something の意にもなる.<見さす>は to make someone to see something の意だけだ。

下一段動詞
染める -  染めさせる -- 染ます(?)、染めさす、染めす(X)、染めせる(X)、染ませる (?)
立てる - 立てさせる  -- 立たす、立てさす、立てす(X)、立てせる(X)、立たせる
考える - 考えさせる -- 考わす(?)、考えさす、考えす(X)、考えせる(X)、考わせる(X)
負ける - 負けさせる -- 負かす、負けさす、負けす(X)、負けせる(X)、負かせる(可能)

 <染める>に対応する自動詞に<染まる>がある。古語の<染む>は自/他両刀使い。<染ます>、<染ませる>は<染む>に使役形。<染まる>の使役形は<染まらす>、<染まらせる>だが他動詞の<染める>があるのであまり使われないだろう。
<立てる>に対応する自動詞に<立つ>がある。古語の<立つ>は自/他両刀使い。<立たす>、<立たせる>は<立つ>に使役形。
<考える>に対応する自動詞は現代語ではない。古語の<かんがう(ふ)>、<かんがうる(ふる)>は自/他両刀使い。直接目的語(xx を)をとらなければ自動詞とすれば、<考える>は自/他両刀使い。<考え>+<する>と考えれば、<考え>は<かんがう(ふ)>の連用形、あるいは連用形の名詞(体言)用法ともとれる。
<負ける>も相当複雑。古語は<負く>だろう。<xxに負く>で<xxに負ける>の意で自動詞。<xxを負く>という他動詞的な言い方があったかもしれないが、現代語では他動詞は<負かす>だ。<負かす>は<負く>の使役ではなく<勝つ>の意の他動詞となる。<負かせる>、<負かせられる>は<負かすことができる>の可能の意になるが、<任(まか)かせる>、<任(せられる>と混同しそうだ。


カ変動詞

来る - 来(こ)させる -- 来(こ)さす、 来(こ)す(X)、来せる(X)


ところで、<使役>の意味だが、これはなんだろう?

基本的には、XX(たいていはヒトか動物)に

1)嫌がるのに強制的に、YY(行為)をおこなわす。 to force somebody to do something
2)普通はだめだが、特別にゆるしてYY(行為)をおこなわす。to allow somebody to do something
3)関心がない、意図がないのに、お願いしてYY(行為)をしてもらう。to ask somebody to do something

英語で使役というと <to make somebody do something> あるいは <to let somebody do something>。 これは<to> がないのが特徴で、日本語の場合の<未然形に付く>が連想される。おそらくこの連想が使役 = <to make>、<to let> に働いているのだろう。しかし、使役をもっと一般的にみると、よく使う to ask、to want や to force、to request、to order など<to> がいる動詞も使役動詞だ。<to> がない、<to> があるにしても英語の使役は極めて簡単明瞭で使いやすい。

ところで、上に<XX(たいていはヒトか動物)>と書いたが、<モノの場合>はどうか?

石に落とさせる  ダメ    --> 石を落とす
<石を落とさせる>は<誰かに>を省略したものとみなせる。

旗に立たせる   ダメ    --> 旗を立てる
<旗を立たせる>は<誰かに>を省略したものとみなせる。

どうも具合が悪い。

一方英語では

to make the (a) stone fall    石を落とす
to make the (a) flag stand    旗を立てる

は可能だ。

to let it be, to let it go (英語の歌にはこういうのが以外と多い)

問題がないというかよく使われる。

(検討継続予定)


sptt


















































































































































































































































































































































































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