Saturday, December 8, 2012

日本語にない形容詞-2 crazy, lazy


以前に日本語にない形容詞としてhungry、thirsty、ready をとりあげた。今回はその第二弾で crazy  と lazy をとりあげる。

crazy  狂った、頭が狂っている、頭がおかしい

lazy    怠惰な、無精(ぶしょう)な、怠け者の

普通は大体上記のように訳される。<狂った>、<頭が狂っている>、<頭がおかしい>、<怠惰な>、<無精(ぶしょう)な>、<怠け者の>はいづれも英語のような純形容詞ではない。

1)crazy Taro   狂った太郎、頭が狂っている太郎、頭がおかしい太郎

2)lazy Hanako  怠惰な花子、無精(ぶしょう)な花子、怠け者の花子

3)Taro is crazy. 太郎は狂っている。太郎は頭が狂っている。太郎は頭がおかしい(頭がどうかしている)。

4)Hanko is lazy.  花子は怠惰だ。花子は不精だ。花子は怠け者だ。

1)、2)の名詞の修飾ではなく 3)、4)の叙述用法のとき、ほとんど意識しないが上記のように訳している。

<狂った>自動詞<狂(くる)う> の過去、完了形。 英語では他動詞はこのような働きがあるが、自動詞にはない。

他動詞  -  scolded Taro,  praised Taro
自動詞  -  slept Taro --->  sleeping Taro,  walked Taro ---> walking Taro

頭が狂っている太郎、は<狂っている太郎>でもよさそうだ。英語で言えば現在分詞だ(sleeping)(walking)。<おなかがすいている(hungry)>、<のどがかわいている(thirsty)>もこれだ。

<頭がおかしい太郎>の<頭がおかしい>は太郎を修飾する主語(頭)つきの形容詞(狂っている)だ。<頭が狂っている太郎>と同じような構造だが<おかしい>は純形容詞。

<怠惰な花子>の<怠惰な>は形容動詞の連体形で花子を修飾する。あるいは、大和言葉に適当な形容詞がないので漢語の体言(名詞)<怠惰>に<な>や<だ>をつける。<な>や<だ>は助動詞<だ>の連体形、終止形とも言える。<怠惰の>花子ではダメ。<怠惰の>が使えるのは<怠惰の意味は、、、>、<花子における怠惰の存在は、、、>と論理的になる。花子の性情、性格、属性を形容するには<な>をつける。

<無精(ぶしょう)な>は口語的だ。<怠惰な>と同じく形容動詞あるいは漢語の体言(名詞)<無精>+<な>。<無精の花子>とはあまり言わない。

<怠け者の花子>。今度は<怠け者>に<な>ではなく<の>がついている。名詞<怠け者>の中に性情、性格、属性が含まれている。<怠け者な花子>とはいえる。間違いではながあまり聞かない。<怠惰>に比べると<怠け者>は独立した意味を持つ名詞としての独立度が高いようだ。日本語では<怠惰は良くない>よりも<怠惰なの良くない>が普通。

<太郎は狂っている>と<太郎は頭が狂っている>は意味が違う場合が多い。

<太郎は漫画に狂っている>は頭がおかしいわけではない。英語でも  Taro is crazy about cartoons.  という。

<太郎は頭がおかしい>は主題(太郎)、主語(頭)、形容詞(おかしい)の構造。この場合、<頭がおかしい>のだが、<太郎がおかしい>はおかしいが、<太郎はおかしい>はおかしくない。<象は鼻が長い>は<象が(は)長い>わけではない。

<花子は怠惰だ>の<怠惰だ>は形容動詞<怠惰な>の終止形。

<花子は怠け者だ>の<怠け者だ>は名詞<怠け者>に断定の助動詞<だ>がついた形。<怠け者な>を形容動詞とみとめれば<怠惰だ>と同じく形容動詞<怠け者な>の終止形。

もちろん話したり、訳したりするときに以上のような文法事項は意識しないが、 crazy, lazy の形容詞がないことをちょっと頭にうかべるとなにかのたしになる。 

ところで<なまける>はおもしろい大和言葉(動詞)だ。<怠惰>に比べるとよっぽどなじみがある。おそらく英語にない動詞だろう。<lazy> の動詞ではなさそうなので to become lazy,  to be lazy  となるだろうが<なまける>とは少し違う。おそらく<lazy>は<怠惰な>に近く、あくまで性情、性格、属性を形容する形容詞なのだ。一方<<なまける>は動詞で物理的にしろ、心理的に’しろ<動き>がある。関連語もおもしろい。

なま(生) - <なま>関連のおおもと。元来<なま>はけっしていい意味ではない。刺身や寿司がうまく、安全になったのは長い言葉の歴史からするとごく最近で、コールドチェーンが普及してかなだろう。なま米やなま麦はスズメは喜んで食べるようだが、ひとは今でも調理してから食べる。

なまる(鈍る) - <なまける>のもとの動詞 -(推測)
なまらす  - <なまる(鈍る)>の使役形-1 
なまく  - <なまる(鈍る)>の使役形-2 -(推測)
なまくる - <なまく>のある特殊(慣用)の自動詞形(自発) -(推測)
なまくら - <なまくる> - <なまくらなり>の<なり>がとれた形 -(推測)

なめる - 舌で<なめる> ではない。<なめるな> - おれを<なまらす>(馬鹿にする)な

<xxける>となる純動詞(<xxく>の使役、自発でないもの)でいい言葉はないようだ。(継続調査)


しける  <-- しけらす
こける  <-- こけさす
しらける <-- しらけさす
とぼける <-- ぼける
ぬける  <-- ぬく、ぬかす
ける、老ける  <-- ふけさす、耽(ふ)ける、老ける 深い;吹く(fu-ku)、拭く(fu-ku)
ぼける  <-- ぼけさす


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