融合の自動詞
融合度が高そうな動詞は<溶(と)ける-溶かす>だ。<まじる、まざる-まぜる>がこれに次ぐか。<しみる>、<にじむ>、<そまる>といった動詞も融合関係を示すといえよう。 これらは<合う-合わせる>、<込む-込める>との相性がいい。英語では名詞になるが、fusion、diffusion が融合だ。
融合とは直接関係なさそうだが、融合を<溶け合う>とすれば<あう>は大いに関係がある。<xx にあう>は漢字で書くと<合う>と<会う>があるが、ごく大雑把には<あう>で、言ったり聞いたりするのは<あう>で、大きな問題はない。<出会う>、<似合う>がある。これらも<xx に出会う>、<xx が似合う>、<xx に似合う>と言い典型的な自動詞だ。以前に ” 超高使用頻度語の<あう>の分析 " というポストを書いているが、そこから抜き出すと
”
慣用表現
意見が合わない
性(しょう)に合う、合わない
そりが合う、合わない
タイミングが合う、合わない
つじつまが合う、合わない
間(ま)にあう、あわない
リズムに合わせる
<xx あう>の例はそれこそいくらでもある。
愛しあう、争(あらそ)いあう、言いあう、いがみあう、打ちあう、打ちあわせる、押しあう、押しあいへしあい、落ちあう
語(かたり)あう、からみあう、切りあう、競いあう、組みあう(とっくみあう)、けなしあう、蹴りあう、殺しあう
以下略
”
<互いにxxする>という意味、<一緒にxxする>という意味の表現も少なくはないが、大局的に、あるいはこれまた大雑把に<一緒になる>の意味がある場合には<融合の自動詞>と言える。
英語で<xx に会う>は
to meet xx (他動詞)to meed with xx (自動詞)
の二つがあり、両方同じくらい聞くので、使う人の習慣や好みの選択だろう。もっとも日本語も<xx と会う>という言い方があり、やや他動詞っぽいが自動詞。<xx を会う>とは言わないので<あう>は自動詞なのだ。融合そのものは<融合する>で<xxがyy に融合する>、たまに<xxがyy と融合する>では自動詞だが、<xx を yy に融合する>、<xx を yy と融合する>、<AとBを融合する>で他動詞。使役形を使った<xx を yy に融合させる>、<xx を yy と融合させる>、<AとBを融合させる>も可能だ。大和言葉では自動詞<まじる>、他動詞<まぜる>がある。<AとBがまざる>。<AとBをまぜる>で区別は明確だ。<まじる>の使役形<まじらす>、<まじらせる>、<まじらさせる>はほとんどきかない。これは<まじる>が自動詞性が強いためか、はたまた<まぜる>という他動詞があるためか?
これまた
xx にまじる、xx とまじる
xx にまぜる、xx とまぜる
が可能だが<xx にまじる><xx にまぜる>の方が融合度が高い、混ざり具合が濃い、感じだ。助詞<に>の特徴か。これ以外に<まざる>がある。<まじ>関連では<まじわる>という自動詞もある。<まざる>は自動詞で、個人差もあるが<まじる>よりも<まざる>の方が自動詞らしくきこえる。 これは mazaru の<a>音の影響だろう。少し調べてみた。
あかる(戸があかっている、東京弁か)、開く <- 戸があいている(あきている) -開ける植わる(木が植わっている) - 植える
受かる -受ける
埋(う)まる、 - 埋める
掛(か)かる - 掛ける
決まる - 決める
しまる(閉まる、締まる) - しめる
せまる - せめる
染まる - 染める
溜(た)まる) - 溜める
つまる - つめる
とまる -とめる
はまる - はめる
ひたる - ひたす
まじわる - まじえる
ゆだる - ゆでる
と<a>音は自動詞<e>音は他動詞の例が多い。 特に<xx まる>-<xxめる>は<まる-める>動詞群といえる。
<まじる>、<まざる>、<まぜる>に<あう>を加えると融合度が増すようだ。
まじりあう
まざりあう
まぜあわせる これは<あう>ではなく、後ろも他動詞の<あわせる>になる。
A I B
I
c ->
I
I
上の図は、わかりにくいが、A室にいれば、c がドアをあけてA室からB室の<中に入って行く>図。これは一種の融合ととらえることができる。この動きで使われる言葉は
(から)xx の中に入って行く
で<入って行く>が肝心だ。また、B室にいれば、c がドアをあけてA室からB室の<中に入って来る>図。この動きで使われる言葉は
(から)xx の中に入って来る
融合で重視されるのは<行く><来る>ではなく<入(はい)る>だ。 <入(はい)る>は自動詞。他動詞は<入(い)れる>。<入(はい)る>は、昔は<入(い)る>といっていた。<入口>は今でも<いりぐち>。なぜか私がこどものころは<はいりぐち>というのをよく耳にした記憶がある。
融合度強化関連では<込む>、<込める>という動詞がある。上の図を使えば
c はB室に<入(はい)り込む> 。これはA室にいようが、B室にいようが、はたまた家の外にいようが<入り込む>でまにあう。 もっとも
A室にいれば - 入り込んで行く
B室にいれば - 入り込んで来る
融合度が高いのは<溶(と)ける-溶かす>。ついで<しみる>、<にじむ>、<そまる>か。<まじわる>は融合度合が低い。いつわりの融合では<まぎれる-まぎらす、まぎらわす、まぎれさす>がある。
溶け合う溶け込む
溶け入る (あまり聞かながまさしく融合だ)
うち溶ける
しみ込む
しみ入(い)る
身にしみる
しみ出す
<にじむ>はなぜか<でる>との相性がいい。
にじみ出る
にじみ出す(<xx がにじみ出す>でこれも自動詞)
<染(そ)まる>は
xx が yy に染まる (悪にそまる)で融合の自動詞だが
染め入(い)れる
染め出す
染め込む
で他動詞形の<染める>が多用される。
交(まじ)わる - まじえる
は融合とまではいかない。 そのたあめか<あう>、<込む>との結びつきがない。<交わりあう>はなんとかなるが、<<交わり込む>、<まじえあう>、<まじえあわせる>、<まじえ込める>は聞かない。
まぎれ込む - まぎれ込ます
融合ではないが、融合まがいの基本動詞がある。癒着(ゆちゃく)という漢語がある。<つく(付く、着く)>、<くっつく>だ。<中に入ったり。入り込んだり>はしないが、上の図で c がA室とB室の堺(壁。ドア)に<くっついて>離れなければB(室)に融合しているのに近い状態(癒着)になる。
次回は<理解の自動詞>
sptt
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