約9年前に<気は心>というタイトルのポストを書いており、これを利用する。このポストでは<気>を漢語由来の語としている。末尾参照(<気>の大和言葉化)。
<気(き)>を含む重箱読みの例
気合い、気負い、気後れ、気落ち、気掛かり、気兼ね、気位い、気配り、気心(こころ)、気さく、気障(ざわ)り、気立て、気違(ちが)い、気遣(使)い、気どり、気詰まり、気取り、気まぐれ、気短か、気晴らし、気まずい、気難(むずか)しい、気持ち、 気やすい、気弱(よわ)、気楽(らく)
<心>で入れ替え可能なもの
こころ配り
こころ遣(づか)い
ぐらいで思ったより少ない。これらは意味に大きな差はない。 これからすると、<気は心>は<気=心>でもよさそう。だが、大部分のその他は、試してみればわかるが、<気>を<心>で置き換えがきかないのだ。
<気持ち>と<こころもち>はかなり違う。
こころもち右にずらした方がいい。
だが
君の気持はよくわかる
君のこころの内はよくわかる
はかなり近い。
気やすい - こころやすい
<気やすい>と<こころやすい>は似て言うようで違う。
<こころやすくたのめる>はダメだ。
これからすると、<気は心>は<気=心>でもよさそう。だが、大部分のその他は、試してみればわかるが、<気>を<心>で置き換えがきかないのだ。<気=心>ではない。また<気は心>のいうところは、いろいろな解釈があると思うが、<気=心>では意味をなさない。
もう少し調べてみる。
<気(き)>を含む湯桶読みの例
いい気、勝(かち)気、強気、弱気、悪気(わるぎ)、堅気(かたぎ)(気質とも書かれる)
悪気(わるぎ)、悪い気 = 悪いこころ、ではない。 例)悪気はなかった。悪い気がする。悪い気はしない。
もちろん、<気(き)>は独立して(名詞)自由に使われる。
動詞 + 気 - する気、やる気、行く気、乗り気(どういうわけか<乗る気>ではない)
形容詞 + 気 - いい気、悪い気
名詞の気 - 気が合う、気がある、気がいい、気が狂う、気が気でない、気が立つ、気が付く、気がない、気が滅入る、etc.
繰り返しになるが、
いい気 = いい心、 ではない。
悪気(わるぎ)、悪い気 = 悪いこころ、ではない。
これからしても
<気は心>は<気=心>ではない。気と心はどこが違う。
<心>がつく熟語
心意気(いき)、心構(がま)え、心変わり 、心苦(ぐる)しい、心遣(づか)い、心なし、心にくい 、心残り
心持ち(心持ち大きい、小さい)、心やさしい
これまた<心>を<気>で置き換えはきかない。 <心持ち>と<気持ち>はあきらかに違う。<気は心>という言いかはあるが、<心は気>、<心は気なり>と言わない。
今回は文法的に日本語のこの二つの超高頻度使用語の違いを検討してみる。
1)気が xx(動詞)、心が xx(動詞)
この場合、動詞は基本的に自動詞だ。 <気(心)が yy を xx>ではxxは他動詞になるが
気が行動を制御する。心が人生を決める。
で日本語らしくなくなる。2) 気を xx(動詞)、心を xx(動詞)
この場合、動詞は基本的に他動詞だ。
3) yy が気に xx(動詞)、 yy が心に xx(動詞)
この場合、動詞は基本的に自動詞。
4) yy を気に xx(動詞)、 yy が心に xx(動詞)
この場合、動詞は基本的に他動詞。
5)気が xx(形容詞、形容動詞)、心が xx(形容詞、形容動詞)
をできるだけ多くチェックしてみる。
1)気がxx(動詞、心がxx(動詞) - 動詞は基本的に自動詞。
気が合う 気合(きあい)は別物
心が合う
気が当たる
心が当たる 心当たり <心が当たる>ではなく<心に当たる>由来か
気がある
心がある
気が浮(う) 、 気がうきうきする、 うきうきした気分
心が浮(う)く 心がうきうきする
気が動く
心が動く
気が移(うつ)る 気移り
心が移る 心移り
心が起こる
気が落ちつく 気を落ちつかせる
心が落ちつく 心を落ちつかせる
気が落ちる 気落ちする
心が落ちる 心落ちする
気がおどる
心がおどる
気が勝つ 勝気(かちき)(な)
心が勝つ
心が変わる 心変わり
気がきく
心がきく
気が狂(くる)う
心が狂う
気がさける
心がさける
気がさわぐ
心がさわぐ 胸(むな)騒ぎ
気が沈(しず)む
心が沈(しず)む
気が静(しず)まる、気を静める
心が静(しず)まる、心を静める
気が済(す)む 気が済まない 慣用的な言い方
心が済(す)む
気がすわる (据わる)
心がすわる (落ち着いている、多少のことにはどぎまぎしない、あわてない)
気が急(せ)く
心が急く
気が立つ ((怒る>か)
心が立つ
気が散る
心が散る
気がつく 慣用的な言い方
心がつく
気が伝わる
心が伝わる
気がつまる 気づまり
心がつまる
気が出る やる気が出る、やる気が出てこない
心が出る
気が遠くなる
心が遠くなる
気がとがめる
心がとがめる
心がない、心ここにない(うわのそら)、心なし
気がなごむ
心がなごむ
心がぬける
気がねじける
心がねじける 心がねじけた
気がのる 乗り気(になる)
心がのる
気が入(はい)る 気を入れる
心が入(はい)る 心が入っていない
気がはずむ
心がはずむ
気が晴れる 気晴らし
心が晴れる
気が張る (緊張する)
心が張る
心がひける
気がふらつく
心がふらつく
気がふれる 慣用的な言い方
心がふれる
気がむかつく
心がむかつく
気が向く <気が向いたら>は慣用的な言い方だ。
心が向く
気が滅入(めい)る
心が滅入(めい)る
気が休まる
心が休まる
気がゆらぐ
心がゆらぐ 心のゆらぎ
気がゆるむ
心がゆるむ
気がよろめく
心がよろめく
2) 気を xx(動詞)、心を xx(動詞) - 動詞は基本的に他動詞。
気を移す
心を移す 心移り
心を映す これは<心>そのものが対象になっている。
気を失う
心を失う
気を打つ
心を打つ
気を奪(うば)う
心を奪(うば)う
気をえぐる
心をえぐる
心を置く
気を落とす
心を落とす
心を決める
気をさらう
心をさらう
気を静める
心を静める
気をそぐ やる気をそぐ
心をそぐ
気をそこねる
心をそこねる
気を使う
心を使う
気を詰(つ)める
心を詰める
気をつける
心をつける
気を閉じる
心を閉じる
気を取る 気を取り戻(もど)す
心を取る
気を盗む
心を盗む
気を晴らす 気晴らし
心を晴らす
気を引く
心を引く
気を開(ひら)く
心を開く 中国語では<開心>日常の高頻度使用語だ。
気を紛(まぎ)らす
心を紛(まぎ)らす
気を回(まわ)す
心を回す
気を結ぶ
心を結ぶ
気を揉(も)む
心を揉む
気を休める
心を休める
気を許す
心を許す
3) yy が気に xx(動詞)、 yy が心に xx(動詞)
この場合、動詞は基本的に自動詞だ。
yy が気に入(い)る 気に入り
yy こころに入(い)る
yy が気に掛かる 気掛(が)かり
yy が心に掛かる
yy が気にさわる
yy が心にさわる
yy が気になる
yy が心になる
yy が気に響く
yy が心に響く
4) yy を気に xx(動詞)、 yy を心に xx(動詞)
この場合、動詞は基本的に他動詞。
yy を気に決める
yy を心に決める
yy を気にする
yy を心にする
yy を気にとめる
yy を心にとめる
yy を気に病(や)む
yy を心に病む
5) 気が xx(形容詞、形容動詞)、心が xx(形容詞、形容動詞)
心が熱い、冷たい、あたたかい、寒い
気が美しい
心が美しい
気が大きい
心が大きい
気が重い
心が重い
気が軽い
心が軽い
気がきたない
心がきたない
気がきれい
心がきれい
気が狭(せま)い
心が狭い
気が小さい
心が小さい
気が長い 気長(に)
心が長い
気がはやい
心がはやい
気が変だ
心が楽だ
気が広い
心が広い
気が変だ
心が楽だ
気が短い 気短(気みじか)
心が短い
気がみにくい
心がみにくい
気が楽だ
心が楽だ
下線の表現は、個人的な判断だが、一般的に使われる表現。下線のない表現もだいたい可能だが一般的でないもの(*)。
残念ながら、看板にいつわりありで、文法的分析がたりないが、二つの超高頻度使用語の違いを検討してみる。文法構造に関係なく<気>は<心>よりも多く使われる。これは気が<ki>の一音節で短く言いやすい、使いやすいのに対して、心(こころ)が<kokoro>の三音節と長く言いにくいためだろう。
<気>は概して emotional(感情的、気分的)。方向性がある。相手が想定される、動的。外向的。短期間。
気がつく
点(0D、線的 (1D) - 気が長い、短い。
<相手が想定される>場合は一般に他動詞が多く使われる。
だが何事も例外がある。
例外)
気がとがめる (この<とがめる>は自動詞か)、気が長い
<心>は概して理性的なところがある。方向性に乏しい。自分自身に向かう。静的。内向的。長期、継続的。 心して、心得る、心のゆらぎ
面(2D、立体的 (3D) - 気が広い。
テレパシー効果 - 心が伝わる、心を結ぶ
<自分自身に向かう>場合は一般に自動詞が多く使われると考えらる。
例外)
心を決める
上の方で、<心は気>、<心は気なり>と言わない、と述べたがこれは意味がある。ポストでは詳しく説明していないが<気>は漢語由来で、中国からの借り物の日本語。<こころ>は純大和言葉で、本物の日本語。
<気は心>は、場合のよっては借り物の<気>は本物の<こころ>になりうる、本物の<こころ>とみなせる。一方本物の<こころ>は借り物の<気>にならない。
以上が結論。
(*)下線のない表現もだいたい可能だが一般的でないもの。
下記のような表現も可能ろだろう。
心が折れる
心がうるおう
心がかたむく
心が返る
心が枯(か)れる
心が澄(す)む 心が澄んでいる
心が倒れる
心がつぶれる My heart breaks.
心がにごる 心がにごっている
心が曲(ま)がる
心が戻(もど)る
気が当たる
気が折れる
気が返る
気が隠(かく)れる
気が駆(か)ける
気がかげる
気が枯(か)れる
気が曇(くも)る - 気が晴れる
気がころぶ
気がしおれる
気がしぼむ
気が過ぎる、過ぎ去る
気がすべる
気が縮(ちぢ)む
気が出る やる気が出る、出て来る
気が飛ぶ
気が流れる
気がぬれる
気が走る
気がはねる
気がもどる
気が曲(ま)がる
まだまだあり、これを調べているうちに、むしろ慣用的になっていない表現で<気と心>を比較してみた方がおもしろく、何か発見がありそうだと思うようになった。長くなるがさらに続けてみる。(時間興 / 興味のない人は読みとばした方がいい)。
気を開(あ)ける
心を開ける 中国語では<開心>日常の高頻度使用語だ。
心を上げる
気を折る
心を折る
気を押す
心を押す
気を切る
心を切る
気を汲(く)む、汲み取る
心を汲(く)む、汲み取る 真意を汲み取る
気を下(さ)げる
心を下(さ)げる
気を進める 気が進まない
心を進める
気を足す、引く、掛ける、割る
心を足す、引く、掛ける、割る
気を流す
心を流す
気を投げる
心を投げる
気を直(なお)す
心を直(なお)す
気をやめる
心をやめる
気を渡す
心を渡す
末尾
追加、参考 - 約9年前に<気は心>の一部コピー
<気>の大和言葉化
<気は心>というが、ここでは、大和言葉化した<気>について書く。気心(きごころ)という言葉があり、気(き)=心(こころ)のようだが、大きな違いがあるようだ。<こころ>は大和言葉の名詞代表と言える。一方気(き)の方は純やまとことばではなく中国語起源の<気>がろう(*末尾参照)
<気>の発音は<き>と<け>がある。
現代中国語(普通話)の<気>の発音は(qi、チまたはチィ)で昔のある地域では<き>に近い発音だったのだろう。広東語では(チ)とはほとんど関係なさそうな<hei>と発音するが、これも、もともとは<khei>ではなかったか。なぜなら、他の普通話の<qi>は、
広東語では汽、起は<hei>だが、企、旗、其、期、起,騎、奇などは<khei>と発音する。<kei>ではなく<khei>としたのは<khei>は
<gei>ではないが<ややソフトkei>に対して、<khei>は少しばかり<h>が入る<ハードな<kei>だ。<khei>が<け>に変わるのは難し
くない。経済の法則が働く。(四声は無視)。いつ、中国のどの地域(の人々)から輸入したのか調べるのはむずかしいが、とにか日本では<気>の発音は<き>と<け>の二つになり(漢音、呉音とかいうやつかもしれない) 、意味も微妙, というよりはかなり違う。
なお、<チ>は普通話では<qi>はややハードで、<ji>はややソフト, さらに<chi>が<zhi>があって日本人は相当練習しないと聞き取れないし、発音しわけ切れない。
<気(き、け)>は深く日本語化(大和言葉化)しているが、気は気韻、気功、気宇などの純中国語が多いことからしても、純大和言葉ではない。
<気(き)>を含む重箱読みの例
気合い、気負い、気後れ、気落ち、気掛かり、気兼ね、気位い、気配り、気心(こころ)、気さく、気障(ざわ)り、気立て、気違い、気遣(使)い、気詰まり、気取り、気まぐれ、気短か、気晴らし、気まずい、気難しい、気持ち、 気やすい、気弱(よわ)、気らく
<気(き)>を含む湯桶読みの例
いい気、勝気、強気、弱気、悪気(わるぎ)、 堅気(気質とも書かれる)
もちろん、<気(き)>は独立して(名詞)自由に使われる。
動詞 + 気 - する気、やる気、行く気、乗り気(どういうわけか<乗る気>ではない)
形容詞 + 気 - いい気、悪い気
名詞の気 - 気が合う、気がある、気がいい、気が狂う、気が気でない、気が立つ、気が付く、etc.
まあ、これだけあれば、 <気(き>がやまとことばと思っても不思議ではない。
意味は大まかに言えば大和言葉の<こころ> に近い。<気は心>なのだ。したがって、人がかかわっている。
一方、<気(け)>の方も
<気(き)>に劣らず日常よく使われるが、どちらかといえば、湯桶読みが多いようだ。また<気(け)>の方は<こころ>というよりは、<なんだかよくわからないが何かある>の<何か>、或いは<なんだかよくわからないが何かあるような様子>を表している、気配だ(気配りではない)。したがって、必ずしも人がかかわっていなくともよい。また、<XX
の気(け)がある>で<XX の傾向がある>の意味を表す。<XX 気味(ぎみ)>ともいえるが、こちらは<け>ではなく<き(ぎみ)>だ。
<気(け)>を含む湯桶読みの例
味気、嫌(いや)気、色気、女っ気、男っ気、寒(さむ)気、 吐き気、火の気、人の気、眠(ねむ)気、
<気(け)>を含む重箱読みの例
気高い
形容詞 + <気(げ)>
あやしげ、いそがしげ、うるさげ、うれしげ、おぼろげ、おそろしげ、きむずかしげ、たのしげ、つまらなげ、すずしげ、むずかしげ、ものうげ、やさしげ、よわよわしげ、
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