Thursday, July 22, 2021

日本語の自動詞の世界 - 4.消滅の自動詞

 

消滅の自動詞

<生成、変化>の自動詞の代表<なる>の反対、否定は<なくなる>。大体は<見えなくなる>。中国語で<財布をなくした>は

(我的)钱包不见了。

と言う。一方日本語で<なくした財布>が出現した場合は<出現の自動詞>を使って

財布が現れた。

でもいいが、普通は

財布が見つかった。 

という。いずれにしても<なくす>、<見つかる>、<消える>、<現れる>は自動詞の世界だ。<みつかる>対応する他動詞は<見つける>で、ある状況では

財布を見つけた。

という。<ある状況>というのは

見つけようとしていた(ところ)
探していた (ところ)

で期待、予期していたことの出現、すなわち実現だ。 

基本自動詞は

ある(存在)

これは別格。

行く - 来る
去る - 着く
離れる - 近づく(近着く)
出る - 入る

以上は大体人、モノの動きを示すが、視点、方向がからんで複雑だ。消滅、<なくなる>では

去って行く
出て行く
離れて行く

一方出現は

出て来る
入って来る
近づいて来る

<行く-来る>は<to go - to come>だが、<out - in>という対応も考えられる。

to come out は出現(出て来る、現れる)
to go out は消滅(出ていく、なくなる)  (to go off も考えらえる。off の反対は on だ。)

部屋の壁にあるドア(出入り口)を考えると

話者が部屋の中にいる場合

Hanako comes in で花子の出現(現れる)
Hanako goes out で花子の消滅(消えてなくなる) 

話者が部屋のそとにいて、花子が部屋に入って行く

Hanako goes in で花子の消滅(消えてなくなる)
Hanako comes out で花子の出現

相対的のようだが

to go は消滅(消えてなくなる)、to come は出現(現れる)で変わりない。 

<去る>は<行く>以上に消滅(消えてなくなる)感じがる。<去り行く>、<去って行く>でさらに<なくなる>、<いなくなる>の感じだ。<見えなくなる>も<消えてなくなる>感じだ。視界から消えて、<いなくなる>感じだが、そのものの<存在(あること、ありつづけること)が<なくなる>感じはそれほどない。

<なくなる>、<いなくなる>、<消えてなくなる>、はいかにも<日本語の自動詞の世界>だ。

 

そして、だれもいなくなった。

 

 sptt

 

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